今のこのアパートに落ち着いたのは、ここに引っ越してきて4日目のことだった。それまではダーリンの実家でお世話になっていたのだが、超異例のスピード引っ越しにダーリンのパパやママをはじめ、友人みんなに驚かれたものだった。『こないだ日本から帰ってきたと思ったら、もうアパート見つけたのぉ〜?!超はやいじゃん!』日本語に訳すと、こんな感じだろうか...。
ここのアパートのコンプレックスは1ベッドルームと2ベッドルームのお部屋を合わせると、100以上あって、学生さんからファミリーまでたくさんの人が住んでいる。けれど、そんなに騒がしいわけでもなく、緑の芝生にかこまれているし、小さいながらもプールも備わっていて(まだ泳いだことはないけれど...)、私はなかなか気に入ってたりする。外観は、ホワイトとブルーで統一されていて、結構カワイイのだ。ペットも、マネージャーさんに連絡しDepositを払えば、猫ならokだ。残念ながら、わが家にはすでに大きな子供=ダーリン(?)がいるので、ペットは飼っていないのだが。こうして「流れ者」だった私達も、思ったよりもはやく1ヵ所に落ち着き、ついに「定住生活」をスタートさせたのだった。
わが家に突如、「小さなお客さん」がやってきたのは、生活に必要ないろんなものが整い、お部屋も何とかそれらしく見え始めたある日の夜のことだった。「Ashley(アシュリー)」と名前の入った首輪をつけた猫である。まだ、生まれて1年位の子猫だ。人の家のドアのところで「ミャ〜ミャ〜」なくので、何かと思いドアを開けたら入ってきたのである。
私は、戌年生まれ(あっ、年がわかっちゃう?)なので犬が大好きだ。(そういえば、うちの広島の実家にいる、ちょっとマヌケなゴールデンレトリバーの「マックス」、元気かなぁ〜?)正直言って、猫はあんまり好きじゃナイ...と思っていた。Ashleyがくるまでは。だって、犬って飼い主に忠実で、かわいいじゃない。たとえ、ヨダレで腕やお洋服がベトベトになったって。(「ねえ、マックス...」)でも、猫はマイペースで、ムーディーな生き物。突然、プイッといなくなったりする。まっ、ヨダレをたらしながら走って来るなんてことはないけどね。一方、ダーリンは、猫がだいすき。だから、「Ashley〜・」とネコなで声でよんだり、ネコっかわいがりして...。どうやら、それが効いたらしい。その日から、この猫ちゃん、毎晩のように家にやってくるようになってしまった。自称「猫に詳しい」ダーリンに言わせると、猫は自分で飼い主を選ぶらしいのだ。幸か不幸か、私達が気に入ってしまったようなのである。ただ、夜、寝る前は外に追い出しているにしても、うちのペットではないし、アパートのマネージャさんにもDepositを払っていないので、私達だけのひ・み・つなのだ。
Ashleyが、ここにやってくるようになってもう1ヵ月近くになる。ところで、このAshley、なんか変わった猫である。ご飯やスナックを食べる前には、『おすわり!』と言うと、おすわりして待っているし、爪とぎもしない。前世は、犬だったのか...?。そして、甘えん坊でめちゃくちゃ怖がりの猫である。私達がソファーに座ると、いちもくさんにひざの上にやってくるくせに、実のオーナーさんによく叩かれるのか、はたまた、私のたくましい細腕が怖いのか、近くでちょっと手を上げただけで逃げてしまう。別に叩いたりはしないわよぉ〜。さらに、美形で整った顔だちもしている。きっと、猫の世界ではモテるんじゃないかしら...。今では、朝でも昼間でもここにやってくる始末。時々は、自分の「おうち」に帰っているようだけど。大の犬好きの私も『猫も結構かわいいのねぇ』なんて思ったりしている。