赤い短パン姿のスーザン・マクレイン議員が、住民の厳しい反対意見に応えています。私見では、彼等の意見は他人を顧みずに既得権を守ろうとするもので、地域全体では少数派に属します。しかし、少数意見も無視してはならないので、メトロとしても可能な妥協はしつつ、譲れない部分については少しでも理解を取りつけるようにしています。
ポートランド地区の住民にはメトロの計画を原則的に支持する意見が強く、今日のディスカッションは建設的な雰囲気で終わりました。成功の要因の一つは、ワシントン議員の議事運営です。彼は全ての意見をじっくりと聞いて住民の本音を読み取り、やさしくかつ誠実な返答をしていました。住民と議員、職員が協同して計画を発展させていこうとする姿勢には、職員として大変勇気づけられました。
どうしてクラカマス地区のディスカッションは平行線に終わり、ポートランドでは建設的に終えられたのでしょうか?勿論、最大の要因は住民の要求内容にあると思われます。クラカマス住民の考えは保守的な少数派であり、地域全体の多数派の意見に基づく計画とは相容れないものですし、ポートランド住民は数字の上でも声の大きさでも明らかに地域の主流派です。でも、理由はそれだけでは無いように思えます。
私の考える2つの問題の1つは、議員と選挙区住民との関係です。ワシントン議員はポートランド地区選出の議員でしたが、マクレイン議員はクラカマス地区選出の議員ではありませんでした。地区内の問題および政治に関して理解の深い当該地区の議員であれば、より良い対応が可能だったように思えます。
2つめは、コミュニケーションの問題です。長年に渡り高校でディベートの先生をして来たマクレイン議員は、理詰めで相手を追い込むような話し方をしてしまいがちで、反対住民をやりこめて硬直化させてしまったようでした。成長管理計画の議会責任者である彼女は、まちづくりに関する理解が大変深いので、議会や諮問委員会などの運営は大変上手なのですが、専門知識がない住民を相手にした際には、相手の求めているものを掴みきれていないように見受けられました。これに対し、ワシントン議員は、話された言葉に込められた住民の希望をしっかりと受け止め、大変やさしい言葉でゆっくりと返答していました。これは当り前のようで大変難しいことです。
その後、私達職員はディスカッションの結果をまとめ、計画の見直しを進めています。そして、10月末の2回の住民ヒアリングの後は、議会審議が本格化し、11月中に議会承認を取りつける予定です。
「終」
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