97年12月21日

月初め、オレゴン州立大学の生徒がスタジオのプレゼンテーションをメトロのオフィスで行なったので、私も批評に加わることに。久しぶりに学生の熱気、好奇心、そして手作りの図面を見て嬉しくなる。全く1年前には学生の側にいたのが嘘のよう。年代も近いせいか学生達と意気投合。批評も妙に喜ばれてくすぐったい。後から女子学生が何人か寄ってきて、「せっかく太一と建設的な話しが楽しめたのに、次にやって来たおじさん、はっきり言ってクレイジーだったよ」などとこぼしていったのは妙に嬉しかった。

12月11日、最大の仕事であったフレームワーク・プランが議会で制定された。自分が下書きし、人と打ち合わせしながら書き直してきた政策文書が、今後の地域のまちづくりを規定していくことになったわけで、その充実感と緊張感の大きさは言葉で表わせない。この感動が非常に増幅されているのには2つの理由があると思う。一つは、これを英語でやり遂げたことで、今後の大きな自信になった。もう一つは、周囲からの評価。自分の書いた文章が新聞紙上で好意的に批評されているのを見るのは心地よかったし、議会でも該当箇所を指摘しながら議員の労いの言葉を聞けたのは嬉しかった。また、職員一同の拍手と相互にねぎらい合う輪に加われたことも、自分の役割が認識されていたという感覚を味あわせてくれた。アメリカでは個人の努力がきちんと評価され、それが次への大きな意欲になる。

一方、随分時間が経ってからも続いた「我々はやったのだ!」という職員自身による自画自賛には少し癖々した。直後に喜びを発散するのは自然だし、過度の謙遜は不要だけれども、自分の役割や仕事を過大評価している者も見受けられたのは、ちょっといただけなかった。これは一つの節目に過ぎないのだし、まだまだ課題は山積しているのだから、過去に酔い続けるのではなく前を向いて欲しい。

ともあれ、今年の大きな山は終了し、世の中はホリデー気分。メトロの職員のクリスマスパーティーは翌日金曜日の午後2時から(!)ビアレストランを借りきって行なわれた。おいおい、役所って昼からビール飲んで騒いでていいのか?居残りの受付係に後から聞けば、用事で来た市民が誰もいないオフィスに唖然として途方に暮れていたそう…。これでも皆怒らないのがポートランドが平和な証拠。

仕事の方もかなりスローダウン。諮問委員会が始まる前の、職員の他愛ないひそひそ話し。

職員A:「えー、今日○○議員いないの〜、私大好きなのに〜」
職員B:「(左の薬指を差しながら)でも、彼って指輪してるわよ」
私  :「××さんも格好いいじゃん」
職員A:「(きょろきょろしながら)え、どこどこどこどこ…」
何時もこんな会話をしている訳ではないけれど、今は万事こんな感じ。

しかし! 来年もこのスローペースではちょっと辛いので、メトロと並行して民間事務所でも働くことになりました。2ヵ所を往復する生活は慌ただしくなりそうですが、もともと忙しいのが嫌いではない私には丁度良さそう。民間事務所は退職するフレゴネジ局長とプランナーのピーター・カルソープ氏が新設するプランニング・コンサルで、私を誘ってくれた局長に大感謝。久しぶりに意欲がみなぎるのを感じる。やはり人の信頼は大切にしたいもの。

鍋パーティー以来の無理がたたって、風邪をこじらせてダウン。年末はクリスマスの日からペルーに出かけるというのに、それまでに治るか心配。寝るのが一番、と思いつつコンピューターに向かってしまうのは末期症状。おまけにバークレーの友人がリサーチで泊り込んでいて、夜中まで議論の相手をさせられるのが嬉しくも辛い。そんな中、ホームページのカウンターが異常な伸びを示す。故障かと思っていたら、見知らぬ人からのメールでYahoo JAPANに特集されたためとわかる。おそるべしYahooの威力。こうしたことから始まる人とのつながりも大事にしたいもの。

では、皆さん、よいクリスマスとお正月を! 来年も素晴しい年になりますように!


メールはこちらへ

ポートランド編に戻る
このページは
の提供です。 無料のページがもらえます。