98年12月6日

東京での生活は慌ただしすぎて、物事をゆっくり考える時間がない。何となく時間を消費しているようで、ふと今の生活に対する疑問が湧いてしまう。これで良いのか? 帰国して4ヶ月、ここまで順調に日本社会に(ある程度距離を置きつつ)再適応してきたと思っていたが、毎年不調のこの時期になって、心身共にかなり追い込まれていることに気付く。いよいよ覚悟していた逆カルチャーショックが本格的に到来したようだ。 バークレーでもポートランドでもそうだったが、こういう時は無理せずに物事が好転するのを待つとしようか…今回はかなり難しいかもしれないが。

手帳を振り返ってみると、生活自体はかなり充実していたことに気付く。 11/11にはバークレーの教授が来日したのでアテンド。英語のリズムに慣れるのに少し時間がかかるが、すぐいつもの調子に。会社の偉い人も同席しているが、こういう席では緊張しない。教授はバークレーで私のことを非常に気にかけてくださった方で、帰国後の様子なども気にしていてくれて嬉しい。共同研究が実現すると良いのだが。 教授とは翌晩もパーティーで出会う。この席には3年ぶりに出会う同業他社の先輩が大勢おり、会う人が口々に「これ程苦労せず留学を満喫してきた奴は初めて見たよ」「もう帰ってこないと思ったよ」「会社、何時辞めるの?」など手厳しい歓迎のお言葉。愛されているなあ(苦笑)。

後輩に紹介されたNさんは、やる気と好奇心みなぎる人。結構、似ているところもあり、話は弾む。久しぶりに「骨のある女性」に出会えて、ちょっと嬉しい。 別の機会に紹介されたFさんの留学の相談に乗る機会も。彼も将来に希望が溢れており、話しているこちらが元気になってくる。 バークレーの悪友Gが来日したので、Thanksgivingの日にランチに。相変わらずテンションが高い。こっちまでつられて元気になってくる。 28日、同窓会のはしご。昼間の高校の同窓会には、久しぶりに会う顔も結構いて懐かしい。夜はサークルのOB会。婚約・結婚を発表する者が目立つ。しかし、現役の大学生は若くて元気がよい。自分がおやじ化しつつあるのか?(←その通り!) ストレスの反動か、私は飲み会では異常に元気。「太一、飲み方変わったねえ」とは褒め言葉か?

テニスも復活。H社との対抗戦では、旧知の皆さんと再会。主任→課長に昇進していたり、結婚していたり、パパになろうとしていたり、皆さん結構変化がある。テニス自体は目を覆いたくなる出来。練習不足は明らか。Yさんには「お前の下手クソぶりが悲しいぜ。昔、俺にタコ(0-6)つけたくせに。でも、対抗戦にお前がいて嬉しいよ。盛り上がるよな。」泣かせます! ちょっと練習してから迎えたM社との対抗戦でも、プレイは冴えないまま。でも、サークルのN先輩とは久しぶりに「お互い変わらない」のを確認できたし、一緒に宴会の買い出しに行ったHさん、Tさん、Aさん達とも結構お話できた。M社では不況でテニスコートがなくなったそうで(これは私の会社も同様なのだが)、今度、どこかにコートを取って一緒にプレーしようという話に発展。年が明けたら実行しよう。

仕事に不満を増大させつつあった頃、客観的にまちづくりを考えようと「横浜都市デザイン会議」に出席。アメリカの都市計画コンベンションと比べると、規模も小さく議論もあまり発展せず不完全燃焼。唯一、地元の方からの率直な意見「専門家は10年前から同じことばかり言って何も実現しない。アイデアは我々で考えられる。もっと、実現する方策を考えるべきだ。」には、場内からこの日唯一の拍手! しかし、日本の専門家(と呼ばれる人)が集まると、どうしても無難な意見に終止してしまう。しかも、いつも同じ顔ばかりで、年功序列も顕著。ディスカッションでも一般参加者に意見を求めないから、物事の核心を突かずに終わる。これで、まちづくりが発展するのか、はなはだ疑問。 会議での救いは、元気な同世代の人達と会えたこと。コンサルのKさん、区のSさん、役所のNさん、大学助手のS、そして同僚H、誰もが似たような不満を持っている。そして、今度、近い年代での勉強会(という程ではないが)を起こすことに。若手が頑張らねば。

サッカーも観る。横浜での会議最終日には、国立競技場に直行してサッカーU21日本vsアルゼンチン戦を観戦。めちゃくちゃ面白い試合。稲本、宮本、戸田、中村など、初めて生で見たが、アルゼンチン人との体格差・技術差はかなりある。と、思っていると日本先制。そして、1-0で勝ってしまった! これは凄い。アジア大会に期待が持てる…と思っていたら、本大会は冴えない。2次リーグはきつそうだ。 Jリーグ、チャンピオンシップは見逃すも、入れ替え戦では白熱。はっきり言って下手だが、その頑張りは感動的。川崎vs福岡のロスタイムでの同点劇には震撼。スポーツは素晴しい!コンサドーレとフロンターレ、来年は頑張れ! でも、トヨタカップやヨーロッパ選手権を見ると、改めてレベル差に愕然とするが…

結局、不調の原因は仕事にあるのだ。不明瞭なモノの進め方、権力に媚びる人々、スケジュール管理のなさ、根本的な思想の食い違いなどなど、これらが積み重なって一気に押し寄せてくると、さすがに堪え難い。希望、やる気、知識など、アメリカから持ち帰ったモノがどんどん衰えていく。29歳という(お仕事で)伸び盛りの時期を、このように過ごしていることに大きな疑問が生じる。ああ、このままじっとしていても何も解決しそうにない。 でも、日本で何とかしたいという部分はまだ譲れない。外国脱出は最後の手段、とりあえず現状への闘いを開始しよう。絶対にケリをつけてから新年を迎えるのだ!!

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