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Kangeki Kansou Link : IPPO's part 1999.07-09

観劇感想りんく

一歩支部
SF副題は 「真珠たち
1999年4〜6月   1999年10〜12月

 「芝居ってそんなに面白いのか?」と問われると、 ふと困る事がある。
 所詮は人のやる事だし、 私の知るのは基本として「兼業」の人であり、「趣味」の人であるからして、 「プロ」を見てるのだ、見せて頂いた、という感触は、 正直少ない。なのに、観に行く自分が居る。
 未完成な部分、未熟な部分までを含めて、人生の縮図を、 ドラマを、視に行くのだろうか。
 ほら、本でも、SFでも、漫画でも、映画でも、 そこまで人生かけて、生涯の中での最大の感動を求めて、 いつもトライしながら読んだりしてるのってないでしょ。 所詮ほとんどは鼻にも棒にもひっかからないと判っている。 なのに、また本を手にとる。ふと暇になったら映画館に行ってしまう。 そういう感触に、近いかも知れない。
 暇がなくても時間を割いて観に行く。 ハズレかもしれないと思いつつも魅に行く。
 人生変えてしまうような感動を与えてくれた 児童文学があって、SF小説があって、映画があって。
 いつか、芝居もその中に入る。

 で、このページはそんないつかの為のログ。 「 観劇感想りんく」 という巨大かつ遠大なるネットワーク企画に参加もしていたり。
 このページはタコだからと言ってこの企画はなめてはいけない。
 興味のある方はぜひ他も参照/参加。


観劇感想リンク:私のおしながき
1999年 10〜12月・5本
正坐 〜花嫁たちの狂宴〜 リリパット・アーミー ☆☆☆☆
1999年 7〜9月・8本
RELAX TPプロデュース ☆☆☆
努力しないで出世する方法 劇団赤鬼 ☆☆☆
50000年 化石オートバイ ☆☆☆☆
新・僕の先生 ランニングシアターダッシュ ☆☆☆
スペース・ラブ 世界一団 ☆☆☆☆
説得’99 怪傑ラッキーランドセル ☆☆☆
破壊ランナー 惑星ピスタチオ ☆☆☆☆
血の創世記 劇団衛星 ☆☆☆☆
観劇感想リンク:事務局
事務局 規約と書式解説 運営掲示版 演目総目次 そして全てを統べる 和田本部


リリパット・アーミー #36
『正坐 〜花嫁たちの狂宴〜』
期間 1999年忘月忘日(忘)〜10月11日(月) 会場 扇町ミュージアムスクエア
観劇日 10/11(月)M 座席 後列下手 客席 満席 チケット 当日券4000円
  とにかくウケるのは保証付き。面白いぞ

 リリパット・アーミー。
 いやあ、面白かった。もう、ひたすらに馬鹿だった。
 なんというか、サービス精神にこれでもかと溢れている演出、 明らかに楽しんでるなあという感触の役者の突っ走り。
 この舞台、出てくる女性は全部「男優」が演じ、 出てくる男性は全部「女優」が演じている (深遠な試みというよりは、もうひたすら単純に「ウケ」で。)。 そういう遊び心もまた楽し。
 んでもって、女装の男共はもうどうでもいい、無視(笑)として、 男装の女性陣のなんと美人に見える事か(いやマジマジ(笑))。
 舞台のマジックというのは当の女優陣に失礼か?  それともきちんと褒め言葉になっているだろうか?

 ひっかかった所。
 その笑いの半分が、私がよく言う所の「芸」、 つまり役を演じる事によって手に入れた感動/笑い、ではなく、 その役者個人をあてこすった感のあるものだった事。
 これは、席の半分以上がファンクラブで埋められていたから出来た技だろう (予約席として明記されてた)。なんでもない通りすがりの私には、むしろ冷め る所があった……
 彼らは「芸人」なのであって「役者」ではないのかもしれない。
 純粋に「役者」たろうとしてるのはおそらくわかぎえふ。 って、あんまり観てもいないし知ってもいないのに断言はできないのだが。 反面、その他の面々は舞台を利用してふざけて/遊んで/ 楽しんでいるのではないだろうか。
 不純物のない「役者」を目指しているのではない、という程度の意味である。
 この姿勢は、リリパット・アーミーに特有のものなのか。
 はたまた、千秋楽だから起きたおふざけの積み重ねなのか。
 微妙ではある。

 あの暴走した役者の遊び心。どこか 「スライムピープル」 に通じている、と言えば私の思う所が判って頂けるだろうか。
 OMSだからこそ出来た事、なのかもしれない。


 あらすじ。
 時は近世。カトリック寄宿舎学校で夢見ながら学ぶ女学生達。
 うち一人が結婚をする事になる。相手はトランシルバニアのヴラド伯爵……
 そして候爵には「特殊な血」があるらしいとの噂が。
 嫁入り先に舞台は移り、意味深な台詞が飛び交うホラーの世界へ。


 女優さんが美人話をもう少し。ゴシップ。
 「いっひっひ」のお兄さんが正しく野郎に見えてよかった。あいつ頭悪いし。
 わかぎえふさんがディープキスしてたように見えた (私は端席だったので要確認)。
 最後の挨拶の踊りの時に誰かの黒い下着が赤いドレスの端に見えた。気もした。
 「90才」の髪の毛が長くて柔らかそうで、もう触ってみたくてみたくて。
 ……って、そんなのしかないんか>俺。気をとり直してと。
 「関さんたまには帰ってね(はぁと)」は、 千秋楽ならではの個人攻撃飛入ギャグだよな、多分。 (関さんってあの役者さん?)
 他にも千秋楽ならではギャグはおそらく大量にあったと思う。


 ちくわ、取れんかったなあ。


 そうそう、東京で見る人に耳寄り情報。
 「桂さん」という方がイカイヨウで入院、代役として東京では、
 「中島らも」が出るそうだ。告知。

評者:一歩  評価:☆☆☆☆
観劇感想リンク 一歩




TPプロデュース #7
『RELAX』
期間 1999年9月??日(忘)〜9月26日(日) 会場 スペース・ゼロ
観劇日 9/27(日)M 座席 二列目中央 客席 半分 チケット 招待券ごちそうさま円
  「うめずかずお」+「lain」。

 この様に代名詞で切って捨てられるのは、 劇団側にしてみれば非常に怒る事でしょう。 ごめんなさい。うまく言えなかったんです。
 しかし、色々話を統合するに、まさしくそーいうお話だったのだな、と。
 私なんかにしてみれば、しまったもっと予習してから行けばよかったか、 とか。

 いまいちのれませんでした。せっかくSFなのになあ。

 役者は結構鋭い/うまいと思うんですが、なんでしょうね、こっちの体調か、 緊張感を持続できんかったです。観てて引き込まれなかった。 うめずかずお(実は嫌い)でもレイン(実は観てない)でもそうでしょうが、 感性で攻めるこういうサイコ/ホラーは、どれだけ没入させれるかがキモで、 それ以外には実はなにもなくて。どんなに迫真の演技でも、共感できなかったり、 ひいたり、冷めた目で見たりしたらそこでもうアウト。ゼロ。

 あの方向でもっと感性だけに突っ走ってくれと言うべきか。
 それとも逆に踏みとどまって、 もっと人にやさしい起承転結をつけてくれと言うべきか。
 どっちがより面白くなる道だろうか、わかんないや。

 あらすじ。
 コンピュータの少し発達した近未来。バーチャルリアリティが発達したネットは、 電子の上で人と人が「会う」事とか、「RPG」で遊ぶ事を可能にしていた。
 そんな世界の中で揺れる木の葉となる登場人物達。
 自分は人間だと思っていた彼女は、 自身の昔は「人工知能」であったと思い出す。
 狂った母親は、自分の美と健康を取り戻すために 育てた娘の脳へ自分をダウンロードしようとする。
 狂った母親をサポートするのは狂った博士。 博士の影は電脳の中でかげろうになり後悔に身を焦がす。
 狂った母親の犠牲になりかけていた娘は、 「人工知能」へと転生することで自分の人生を見い出す。
 ネットの無意識を具限化した青年は娘との出会いと共生を果たす。
 たむろしていた少年らは、 何故か遠未来へ飛ばされて超能力で帰還を果たそうとする。
 果たして、行先は?

 うまく表現できないのだが、「SFな舞台」である事と、 「SFを利用した舞台」とは別であると思う。
 サイバーだから、コンピュータを使ってるから、だからSFなのではない。 ただの舞台装置として、都合のいい雰囲気や道具を持たすためのSFなら、 実はそれはSFじゃなくてもいい。
 だから例えばこの舞台は、エセSFとでもいう所だと思う。 半歩だけSFに乗っている感触がある。惜しい。 かなり頑張ってSFしたと見受けられるのに、まだ足りなかった。
 結局焦点は心理面にあたってしまって、 つまりSFじゃなくてもいい所が大きいと思う。 そうじゃなくて、SFならではのセンスオブワンダーを、 SFだから見れるモノを。と、この話になら私は期待してしまう。
 心理を書くのにSFがあるのじゃなくて、SFの向こうに心理が見える。 この差、俺的には大きいんです。他の人にはどうでもいいだろうけど。

 そう、この話で攻めるなら、人工知能として産まれたものが、 何を考え感じて生身にあこがれ、生身に変わり、 更にそこで何を得て失ったからまた生身を捨てたのか、 なんの為に、なにを守るために、何を意義として捨てたのか、 そういう所に焦点をあてた物語にして欲しかった。 それも人工知能=人、ではなく、 人工知能=似てて実は人とは全く異質のオブジェクト、 というベクトルで。
そこだけに焦点をあてて、他のシーンはしのびがたきをしのんで落して。

 心に残っているのは、曲「リラックス」の残響。
 あの曲「リラックス」を軸に、 特にあの曲の山をブチ切ったあの音の切り方を主軸に、 もっとすっきりした話にすれば、 鮮やかに感性に傷跡を残す物語になったかもしれない。

評者:一歩  評価:☆☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩 いあはーと iwamomo リン 支部長 由信 はるお BASIL ひろ




劇団赤鬼  #小劇場 the ベスト 1
『努力しないで出世する方法』
期間 1999年8月忘日(忘)〜8月22日(日) 会場 アトリエ劇研
観劇日 8/22(日)S 座席 三列目中央 客席 7割 チケット 招待0円
  芝居をやってる人間には痛い。純に見ると散慢?

 大好評を受けた他劇団の本を、劇団赤鬼でリバイバル……という、 企画だそうです。
 となると、良かった分には構わないのだが、 文句を言うにはどこに持っていけばいいのか……本にか、役者にか?(笑)
 多分今回の私の愚痴は、本に向かっていると思います。
 ほんと、なんでこれがそんなに名作だったんだろう。
 (役者の力量がすごくあると面白くなる本なんだろうか?)
 私にとっては、様々な部品を寄せ集めた「だけ」の話に映ります。

 あらすじ。
 (A)真面目で真剣な語りを得意とする劇団。
 (B)話なんかそっちのけで、とにかく楽しく暴れるのが特色な劇団。
 (C)たった二人の、静かで淡々とした雰囲気を示す劇団。
 3つの劇団は、本番を一週間前に控えていた。
 だが、(A)はまだ台本が出来ていないし、(B)もまだ準備不足。
 あせる彼らが練習に来てみると、 なんと両劇団の練習場がバッティングしてしまっていた。 とにかく部屋を二分割して練習を始めるが、 お互いにお互いが気になって仕方がない。 行き詰まっていると、案外外野の方が良く見えるもので、 (A)の改良は(B)が指摘、 (B)の欠点は(A)が指摘して、セッサタクマになる始末。
 だけども不穏な空気は消えない。両劇団のトップ二人。彼らはかつて 「二度と貴様とはやらない」と喧嘩別れした二人だった。
 やがて(C)までが、今日はここは私達の練習場のはず、 と割り込んでくる。
 わやくちゃなやりとりの行きつく先、(A)の芝居だったはずの劇 「また会おう、とサンタは言った」は、三劇団合同芝居の様層をていし始める。


 ……というものなんですが、この「また会おう、とサンタは言った」は、 前半は面白くもない苦しい語りをし、 後半に行くに連れてどんどんはじけた構成になってしまい、 挙げ句クライマックスには脈絡もなく(いやあるけど) 飛行機と車のチェイスになると言う話。
 笑う前に呆れてしまいますがな。

 それぞれに特色を持ってたはずの2劇団。ないし、3劇団。 混ぜただけじゃあむしろマイナスってもんでしょう。
 それぞれの劇団のやりとりは、 いわばそれぞれのポリシーのやりとりな訳ですが、 これが痛い。 痛いままつっ走ればそれはそれでいいのですが、 いつの間にやら妥協っていうのかな、してしまってなあなあになっている。


 うまく言えませんが、 私は(B)にだけ焦点をあてて楽しみ成分を抽出していた感じです。 もしくは、(B)を抹消して(A)だけにしていても、 それなりに評価できたかもしれない。なんていうか、 その真剣さ、その寒さみたいなものに対して。 (C)に至っては不要だったのでは、おそらく。 お笑い成分として大好きですけどね、 なんといっても「神田川」。くう、魂に響くぅ(笑)

 まず絶対的な話として(A)(C)タイプの話と(B)タイプの話は、 相容れないと思うんですな。それを混ぜた瞬間、 両者の長所が互いを打ち消しあうというか。 シリアスの中の笑いと馬鹿笑いは両立しないというか。

 おいしくない混ぜご飯。
 それぞれの具は美味しいのにねえ。

 だから、具の話。
 (B)の隊長好き! あの脳味噌のなさっぷり(笑)
 なんていうか、この一言のベクトルに支配されています、私。 はらほろひれはれ。

評者:一歩  評価:☆☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩 iwamomo 支部長 由信 はるお BASIL ひろ




化石オートバイ  #2
『50000年』
期間 1999年8月忘日(忘)〜8月15日(日) 会場 HEP HALL
観劇日 8/15(日)M 座席 二列目中央 客席 満席 チケット 貰った
  あの「感覚」を追いかけろ。複合する物語は観劇玄人向け

 うぬ。よし。面白かった。
 趣味にあう/あわないは大きいようですが。 これは化石オートバイの味を肯定するか否かにある気がします。

 さんざん人に言われてようやくわかって来た事ですが、 芝居に理屈を求めてはいけないそうです。「感覚」の、「感情」の、 クローズアップを、焦点を目指すのが演劇というものだそうです。
 ですから、ある種のメタ的な連結があれば、 時空が飛ぼうと話が意味不明だろうと構わないのです。 そのジェットコースター的な誘導に、乗れるか、乗れないか。
 そこで全てが別たれます。

 そういう意味で、この芝居、玄人にはいいだろうけど、 これが芝居初めてとかって人にはどうだったろうかなあとは思います。

 話は、三つの物語が錯綜して入ってて。(化石オートバイはこれが好きみたい。 前作もそうだった。全くリンクしてない話を並列してやって。 でも、両者で主人公が感じてるのは同じ風、同じ思いだったりする。)
 脈絡とかは、まあなくて。

 ギャグって言えば、歌うのって、ここの独特のギャグだよなあ。

 あと、役者の切れ味がいい。他にはないタイプの鮮やかさがある。
 ビールのコマーシャルに使いたいような味。それぞれ4人に独特な所があって。 でも化石つながりな同じ所もあって。
 うまいよなあ、とうならせられる。


 あらすじ。

 青年は全ての記憶をなくしていた。純朴な子供に帰った彼は、何もない 楽しみと、何もない不安と、それから、突然時折り襲う哀しさを引き連れていた。 彼の前に突然現れた男がこう言って彼を連れ出す。「俺はお前の相棒だ。 俺達は一緒に泥棒をやってたんだ。」

 そこを「宇宙」と呼ぶ地底人の国があり、そこにひたすら穴を掘る人夫がいた。 こんな日常は嫌なんだ、そう叫んだ時、 世界の果てを掘る彼らのつるはしに何かがあたった。 それは上へ上へと続く空洞だった。 「あの光の丸はなんだ?」全てを捨てての登行が始まる。

 記憶のない彼に皆は勝手な事を言っていた。「お前は地底人だ、大統領だ、 とてもいい息子だ、家族だ、仲間だ。」どれが虚でどれが本当か。 何もわからぬまま連れていかれた先には、盲目の老人とネコが居た。 金庫破りの達人と言う彼らを連れて、更に旅は進む……

 錯綜する物語の中、誰もが目指しているのは、一点。一点の、心。


 かっこよさ爆発。
 あざやかさ爆発。

 主張は……弱い、かな。
 カクとしたものが後に残る訳でもない。 でも、残響は鮮やかにブルーのライトともに残る。

評者:一歩  評価:☆☆☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩 iwamomo 支部長 由信 はるお BASIL ひろ




ランニングシアターダッシュ  #アンコール2
『新・僕の先生』
期間 1999年7月忘日(忘)〜8月1日(日) 会場 AI・HALL
観劇日 8/1(日)M 座席 桟敷三列目中央 客席 満席 チケット 当日券2000円
  青い主張真正面より。「終るまで、生き続けるんだ。」

 うわ、くさ。(笑)
 相変わらずのダッシュ。
 特に今回は、汗によらず、台詞で押す所が多かったので、 余計に臭いと思ったのかな。
 「学校」という空間を利用した所でも、点数は辛いかな。 私的に学校ってのは聖域であるからして。

 あらすじ。
 青い空と青い海に面した、小さな学校。ギスギスした空気の漂う学校。
 生徒も、先生も、疲れた人が、孤独にひたりに屋上へ足を運ぶ。
 その屋上に「引っ越して」来た一人の若い先生。純粋なまでに無知な先生。
 誰にでもねちこく肯定的に接する彼に巻き込まれるうちに、 孤独にひたっていた彼ら/彼女らのベクトルは変わっていく。
 登校拒否の子は学校に現れ、 壊れていたラグビー部の顧問と生徒の関係も修復される。

 だけど彼は知っていた。知っていて尚、殺那を精一杯生きていた。
 この街に未来はない事。

 再生したラグビー部、様々な再帰の象徴であるラグビー部、 その試合の日が決まる。
 8月6日。
 空にはB29の爆音が響いていた。


 いっそのこと、8/6の事は、最後の最後まで伏せてしまってても 面白かったのではなかろうか。 「はじめから終りは見えていた」という物語もまたよい。よいが、 そこには滅びの美学みたいなものがある。この物語は、滅びを否定する物語である。 あって欲しい。破壊と再生という形で破壊を肯定するにしても、しないにしても、 やはり、最初から滅びを見せるのは、 その物語においてあるべき形でない気がする。
 一生懸命に、生きて、生きて。
 ただ生きて、生きて、生きて。
 唐突に断たれる。

 断たれても、続いていく。

 ならば、断たれる事を予感させてはいけない。

評者:一歩  評価:☆☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩 いあはーと iwamomo




世界一団 #(忘)
『スペース・ラブ』
期間 1999年7月忘日(忘)〜7月20日(火) 会場 HEP HALL
観劇日 7/20(金)S 座席 壁立下手 客席 超満席 チケット 当日券2800円
  良質。

 さて、今回は辛めに。
 で、その前にザンゲ。芝居中においらの腹がなってました。 申し訳なかったです。ごめんなさい。

 トータルバランスのとれた、いびつな所がどこにもない劇団、世界一団。
 そこを突き抜けて、いびつでないのにかつすっごい突出した 特徴を持つ劇団へと成長していくのを期待、という所でしょうか。
 どこにも危なげな所なく豊かである分、それを強く思うのでした。

 楽日だからなのかな、そういう突っ張りが消えたなめらかな演技に見えたのは。
 それは同時に、全てがスルーしたという事であり、 プラスもあり、マイナスもあり。

 他、気がついた点と言えば、照明、それから筋展開的な小道具、 そういうのに、最近見た芝居と重なる所があって首をかしげました。
 例えば、全員で合唱(?)しながら、逆光の中で「これまでの粗筋」 を行なう事ではじまる幕開け。あれ、 「破壊ランナー」でも見たぞ。いやそれを言うなら 「血の創世記」もだったな。
 例えば、登場人物各位が、自分の過去を劇中で演じる所。あれ、それは 「説得’99」もそうだった。

 あらすじ。
 「異星人探査」を目的とした宇宙船は2年を旅して地球に帰還。
 だが、成果は0だった。まさに今この時まで。
 船の軌道が太陽系内にまで入った今の今、 なんと真空中に立つ一人の女性がレーダーにひっかかる!  彼女は船をヒッチハイクしていたりしたのだ!
 船に乗り込んだ彼女は記憶喪失。徹底した身体検査の結果は地球人。 でも地球人が宇宙空間でヒッチハイクしてるはずないじゃないか!
 はじめての「成果」−−ただし評価はグレイ−−を前にしながら、 隊員たちのすったもんだが始まる。
 隊員らは、それなりに過去を背負ってこの任務へとやってきていた。 いや、どの過去も笑っちゃうような、いいぇ、こほん、失礼、 当人らにとっては非常に痛いお話で。それを明かしながら、 エイリアン疑惑が渦巻きながら、そして地球は近づいていく……

 ラストシーン、私には難解でした。
 あのホノボノ味でいくのなら、各自の後日談が欲しい所。
 眠りっぱなし隊員も、ドクター・ノウも落して、更に人物も整理して、 おそらくメインだったろう心臓移植とそれを絡む人物らのドラマに 焦点当てて、太らして、してたら、よりおいら好みだったかも。 いや、他の人らの話も居るけど、こう、うま〜くサブ扱いに格を落してね。
 演技はうまいっす。
 心臓移植お嬢さんが、俺的に可愛かったかなあ。仕草とか。
 車椅子のお嬢さんも好みであった。
 あと、でずっぱり幽霊にも拍手。あの人 「ハワイの結婚式」でも精霊やってたけど、「人外」のモノ やらせるとおもろいなあ(笑)
 で、この人が無口隊員の代弁するアタリはもうおいらのツボだった。 あ、でも、 自殺の動機はもっとしっかり欲しかったかな。ドラマときちんと絡めて。 あ、あ、それから、立つ時ちょっとあごをそらせるのは、 役者さんの好みなんだろうか。 おいらはあごひいた方が美人かなあと思うんだけど。 それからそれから、時に瞬に動きがとても冷たいタイプの性格の挙動、 突き放した感じの動きを見せるのは、あれは個性?
 チュースケマウスッチョも、 肉づけしたら面白そうなキャラクタだったな。 もうちょっと複雑な挙動をして、 役者らと「勝負!」をしたりとして欲しかったかも。

 基本的に登場人物に嫌いな人が居ない。全員好きな部類だ。
 そのあたりにも「人好きのする世界一団」な感触はある。

 星は厳しく。とも思ったが、反芻しても古びない後味に加点して。

評者:一歩  評価:☆☆☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩 iwamomo 支部長 由信 はるお BASIL




怪傑ラッキーランドセル #(忘)
『説得’99』
期間 1999年忘月忘日(忘)〜忘月忘日(忘) 会場 忘会場AI・HALL
観劇日 7/17(土)S 座席 最前列中央 客席 満席 チケット 当日券2200(?)円
  暴走とシリアス。

 これは、なんと言えばいいのだろうか?
 一直線に、かなり切りにくい青臭さを切る芝居である。
 この青さ。スポ根路線に逃げればまだ汗の匂いで誤魔化せる(笑) のだが、それをしないこの青さ(笑)
 で、それの照れ隠しに、青さに比例して笑いが暴走している(笑)
 そういう、混然とした芝居です。

 あらすじ。
 ここは宇宙船「コウシン号」の中。
 不慮の事故により、不時着惑星を探してさ迷う船の中。
 5人の青年男女と、一人の中年(?)。
 それが、宇宙船のメンバー。
 6人はおかしな船内生活を過ごしていた。
 面白おかしく、笑いだけに囲まれた。時々、影の落す。
 船には外壁に一枚の扉がある。
 扉の「外」は、真空の、暗闇の、宇宙。のはず。

 人生に迷いつかれた若者が5人。
 頼られたのは、過去に過ちを持つ男。
 6人は山奥の小屋に集まる。
 小屋には扉が一つ。
 扉の「外」は、皆を傷つけ続けてきた、街。

 6人の旅路。

 幕合いは結構話の本筋と無関係で楽しい。学芸会のノリ。 歌あり踊りありラップあり。学芸会っぽくて好きだけど、 本筋と無関係な所で面白くない。どう評価したもんだか。

 星は、3つではない。だが、4つでもない。
 微妙な所だが、勢いや主張だけでなく、それに見合う演技力、 ないしは誘導力を期待して辛めに。

評者:一歩  評価:☆☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩 iwamomo




惑星ピスタチオ  #(忘)
『破壊ランナー』
期間 1999年7月2日(金)〜7月11日(日) 会場 シアター・ドラマシティ
観劇日 7/11(日)M 座席 5列目下手 客席 満席 チケット 当日券5500円
  一度は観るべき。二度目からは財布と相談。

 「一度は観ろ」周囲からそう言われ続けてきた「惑星ピスタチオ」。
 私的には、 「ランニング・シアター・ダッシュ」の 「風のピンチヒッター」にここの人が客演してたのを知りながら 観た時から、気にしていた劇団だった。

 そして、いよいよ観た感想は、「一度は観ろ」(笑)
 味としては「ランニング・シアター・ダッシュ」に非常に近い。
 これが、ピスタチオを先に観てた奴がダッシュを観ると 「まるでピスタチオだ」と感想を持つというから面白い。 根が類似しているのだろう。

 特に観るべきは、やはりその特異点として常にささやかれている 「パワーマイム」。これはやはり特色だろう。
 いきなり語りに入り、延々と一人で「口つきパントマイム」 を始める主人公。マイムに口で解説が入ったら既にマイムじゃない(笑) のだが、それでもマイムでやる主人公。まさに 「力押しマイム」=「パワーマイム」(笑)
 体感としては30分、実測すればまあ5分〜10分くらいなものなのだろう、 そのマイム。
 ……で。マイムが終ると、何事もなかったかの様に本編再開。
 今の、延々とやっていたマイムは、置き去り。
 もう、おいてけぼり。
 全く無相関。
 ……。

 すげえ(笑)

 マイムの内容は演じる度にその場のノリで増えるようで、 トライアウト公演を観た人とデータをつき合わせると、 確かに楽日に観た私の時には、色々と増えている。むむ。

 劇の種類として、そういうノリを楽しむ部分が強く、 話の筋とかそういう細かいとこはおいてけぼりのタイプの芝居。
 頭を使わなくていい分楽しいが、そういう楽しさしかないともいえ、 しかもしかも、これがネックなのだが、値段が高い。
 一度はいいが、二度目からは私はちとためらうのであった。
 これで二千円なら何度でも行くことであろう。
 そういう意味で、ある種俺の中の評価としては 「劇団衛星」 にも並ぶ所があるのであった。

 あらすじ。
 時は未来。スポーツ科学のメチャクチャな発達は、 人を音速で走らせる事に成功していた。オリンピックなどのスポーツ祭典は F1カーレースを思わせるモノへと変質していく。
 そして、ここに一人の野性派”レーサー”(笑)が一人。
 最高速記録を持つチャンピオン。
 迷いを持ち始めた彼の前に、彼の記録を打ち破る「チーム」が現れる。 そのチームの裏には影がつきまとう。
 チームとはりあい、事故を起こし、再帰不能となったチャンピオンは、 それでも、それでも走り続ける……

評者:一歩  評価:☆☆☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩 iwamomo はるお




劇団衛星 #7月興行
『血の創世記』
期間 1999年7月9日(金)〜7月20日(火) 会場 吉田神社
観劇日 7/10(日)S 座席 一列目中央 客席 満席 チケット 当日清算扱学生1000円
 

 また最前列(笑)
 なんでKKLのメンバと行くとこれが多いのでしょうか(笑)
 おいといて。

 吉田神社の境内に作られた特設ステージ。う〜ん。すごい。
 ほんっとに屋外なのです。
 舞台に天井はない。たしかに。
 幕を張ってたりとか。しない。まったく、ぜんぜん。
 蝉の声が、羽虫の音が聞こえる中で、日が沈むと共に始まった芝居なのでした。
 まるで盆踊りでも見るかの様に芝居を見る(笑)
 ある種原始的で非常によろしい。(笑)
 舞台に遮るものない平面というのは非常に広く、広く、広過ぎで、 焦点が合わなかったりとかします。
 例えば役者が後ろを向いていたりすると、発声が全然届かなかったりします。
 下は砂利地面で、役者さんが歩く時には足音が、走る時には石つぶが飛びます。
 でも。
 これが舞台も中盤になってくると、不思議と気にならなくなりますねえ。
 スポットライトの使い方などで、 空間をうまく「仕切る」作業が鮮やかだったのか、 その手法に私の脳波がようやくチューニングされるのにそこまでかかったのか。
 当然タダの境内ですから、例えば奥には樹が生えてたりします。 例えば本堂へ続く石段があったりします。 例えば車の通れる道も奥から通じてる訳で、おっとこれ以上はネタばれ自粛。
 とにかく、この「地の利」を生かした、 他では絶対に(手軽には)出来ない、そうこれは 「裏技」(笑)をタンノウさせていただきました。 こーれは吉田神社でなきゃ見れない。うん。

 あらすじ。
 はるかな昔。人類は3つの国に分かれていた。
 A)エの国。貴真面目気質、ちょっと陰険。
 B)ビーパイ国。めちゃくちゃ(笑)
 O)オムレツ国。ええ顔しいの無責任。
 A国とB国は彼らにとって重要な土地(聖地)の取り合いで争いをしており、 戦争は避けられないとも思われる事態。和平に入るO国。
 そうこうするうちに事態は混乱、某お人と某お人がナニをしてカニとなり……

 話自身はベタで、もうベタベタで、 私は粗筋を聞いただけでなんかわかっちゃって、 その理解は確かにその通りだったのでした。 きちんと裏切られた部分もある。同時に予想通りともいう。
「衛星」らしさというべきなのか? それともマンネリとそしるべきか?
 「新規点」としてのインパクトは少々弱かった舞台。 私に見えた新規というのは、
1)B型国の気配。国王を筆頭としたヤンキーなノリ。ノリノリ(笑)
2)ラブシーン重視。
 と、この二つでしたが。
 ラブシーンと言えば、出てる人が美人やったですねえ。 もう、毎度の事ながら(笑)
 A国王女。AB王女。

 星は、「屋外」で行なったその野心的な行動と企画に一杯盛られて。

評者:一歩  評価:☆☆☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩 iwamomo 支部長 はるお BASIL





評者:一歩 の思う所



 その観劇姿勢など。

 芝居を観だしたのは、ひとえに 和田さん (又の名は制御盤さん)に誘われたから。
 必ず5割、いや、無理でも3割は、冷静に、シニカルに、理性的に舞台を観よう、 っていうか、誰が笑ってやるものかという姿勢を保とうというのが一応方針。
 感想はけなし専門。

 プラス評価は
1)ギャグ
2)オチ(結末がきちんとついてる)
3)エンターテイメント(シリアス含む)
 マイナス評価は
1)ピンボケ(判りやすく)
2)眠気(静か過ぎず)

 笑わしてくれて、かつ、後味がすっきりしてれば最高ってわけ。

 強度の眼鏡着用による眼労と、 不節制な生活によるバイオリズム崩壊の為、始終アクビをしています。
 が、これは劇がつまらないとかとは全くの無関係ですので、 大口開けている馬鹿を見ても皆様怒らないで下さい。


 観たの一覧は こちら になりますね。



 ☆の数についてなど。

 一応、五段階評価。

☆☆☆☆☆ 理想!(絶対出ない(笑))
☆☆☆☆ 完璧おもろい! 〜 並よりマシ
☆☆☆ 並 〜 一点買い
☆☆ 意欲は買う

 ☆三つなら見て間違いなし、☆二つなら要検討、でしょう。

 そのうち「☆」マーク以外を導入しようか、とも考えている。
 例えば「☆+」「☆−」(0.25点加減点)とか。
 例えば「☆★」(0.5点加点)とか。
 どうしようかなあ。



 芝居の法則
「10観て1アタリなら満足しろ」
「舞台装置がすごいと話は駄目」
「最前列は舞台全体を把握できない」
「ナマモノだから痛みや外れが激しい、そして当たりも」
「開幕にはこなれてない舞台が透ける」
「千秋楽は役者さんが声を潰している」






 おまけ。

 芝居小屋マップ
 でも実は 本部 にも こういうの がある。


1999年4〜6月   1999年10〜12月
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