- ７月某日 隊歌コンクール
- 何度も言うが、我が社は軍隊ではないので「軍歌」という言葉は使わない・・・はずなのだが、今回は同期生会長の発案で「軍歌祭」と名称変更。各区隊（我が社の教育機関では、学級のことを「クラス」といわず、「区隊」という。なお英語では”ＵＮＩＴ”なので、略称はｕ）がそれぞれ持ち歌を合唱し、その上手さを競うコンクールである。なお唄う曲は軍歌（自衛隊発足後に制定された隊歌も含む）か自分達で作詞作曲した歌だが、まさか自分で作曲できるような学生はいないので、事実上軍歌かその替え歌を唄うことになる。審査員は教官方の他、となりの第４特科連隊から音楽隊の方がいらしてくれ、思ったより本格的だ。
- しかしウチの区隊が力を入れたのは、歌よりもむしろパフォーマンス。歌では防大卒にかなわんから、発想の豊かさで勝負だ！ということらしい。そこで某金首領様と某江主席の人形を作り、それをボクシング部出身者と居合道の有段者が拳と日本刀でぼこぼこにしているのを背景に「嗚呼紅の血は燃ゆる」を唄おう、ということになった。では出場。
- 結果：他区隊の学生、審査員とも大幅に引いてしまい、受賞を逃したばかりか後で教官に散々叱られてしまった。しかも「部外の人がいる前では、絶対にあんなことはやるなよ」とぶっとい釘をさされている。今週末は果たして外出できるだろうか？
- ７月某日
- 一応外出は出来た。もっとも今期の一般大卒学生は射撃の成績が悪いので、土曜日の朝は射撃姿勢と照準の訓練。来週が検定なので、何とかして受からせようということなのだが、前回の射撃では教官に姿勢を
直されたせいで直されてから全然当たらなくなってしまったのだが・・・。- 昼食後時間が余ったので、献血でもしようかと久留米市街地のアーケードにある献血ルームへ。必要書類に記入し、問診を受ける。
医者：「（血圧、脈拍を測りながら）顔赤いですね。熱でもおありで？」
屈：「いえ、昼メシの時生ビールを一杯・・・。」
医者：「（しばらく無言）・・・以前も酒飲んでから献血したことが？」
屈：「宿酔いで献血したことはありますが・・・。」
医者：「（さらに無言）・・・生ワクチンの予防接種から一ヶ月半しか経っていませんね。今回はご遠慮下さい。」- 本当にワクチンのせいかどうか知らないが、結果コーヒーのタダ飲みしかしなかった。赤十字の皆さんごめんなさい。
- ７月某日
- 今日は香椎と箱崎にお参り。両方とも同じ方向にあるので、お参りは楽と言えば楽だ。ついでに言うと宮路岳神社も同じ方角にあるので、次にはそこまで足を伸ばしてみよう。今回はとりあえず香椎宮までで足を止め、ここにお参りしてからＵターンしてメインの箱崎へ行く。
- 箱崎がメインというと香椎宮の関係者に怒られそうだが、今回は来週の検定射撃の成績がかかっている。両社とも神宮皇后と八幡神（応神天皇）を祭っているのだからどちらをメインにしても良さそうだが、やはり軍神として名高い箱崎を中心にしておこう。地下鉄の駅から出て、白砂青松の参道を進む。御塩井取りを控えお参りの人も少なくない。心を鎮め、一心に祈るのは「敵国降伏」・・・じゃなくて、「検定合格」。どこだ、その敵国ってのは。
- なおこの箱崎宮では７月２４日、２５日に夏越しの祭りがある。去年は神田明神で茅の輪をくぐったよな・・・と思いながら、スケジュールに書き込むが、職場のスケジュール次第では太宰府天満宮にするかもしれない（同日に夏越しの祭り）。
- 次に向かうのは福岡市博物館特別展示「幻の宮・伊勢斎宮」。平安時代伊勢神宮を祭った皇族の女性のことが「斎宮」と言われていたのは知っていたが、そうした方々のためにかなり大きな屋敷が構えられていたのは初耳だった。この展示で中心となったのは、当然そうした斎宮たちの王朝絵巻。当時の衣装の再現やら、絵巻物、貝合わせの貝等蒔絵も美しい日用品や玩具の色々、もちろん斎宮のマネキンは白い着物に赤い袴！ぎゅ〜！この展示は伊勢にある斎宮史料館との共同開催で、全国を回っているとか。確か８月に大阪であるはず。確認次第報告します（誰にだ）。
- やや時間が余ったので、天神付近の警固神社と護国神社に参拝。警固神社には巫女さんは居ないらしいが、西鉄福岡駅のすぐ近くというにぎやかな環境の中でひっそりとした静けさを残す、文字通りの都会のオアシスと言った感じだ。護国神社では巫女さんを確認。しかし福岡という大都会の中に、ここまで広い神社があるとは意外だった。しかし授与所がわかりにくいな・・・。こういう神社はお守りを買う参拝者より、信者団体からのまとまった寄付が多いからだろうか？会館の方でも催し物が多く、ちょっとした文化センターのようだ。
- ところでその護国神社で一心不乱に念仏を唱えている男を発見。本殿に面しているのでこちらからは背中しか見えないが、そんなに歳はいっていないようだ。まあ他人様の宗教にどうこういうつもりは毛頭ないが、でもここは神社なのでわ？
- ７月某日 検定射撃
- いよいよ本番。ここで当てなければ今週末は外出できない！というわけでいつになく真剣に臨む。射撃までの待ち時間には、じっと精神集中・・・していると疲れるので、本番直前までリラックスしておく。箱崎の八幡様に祈るかたわら、「元寇」を口ずさんでご加護を願うのはいささか悪ノリ。では出番だ。
- 結果：５０点満点中４３点と、さほど悪くはない（３１点以上で合格）。というより、かなりいい成績だったようだ。さすがは箱崎八幡様、霊験あらたかである。しかし今週末は故あってお礼参りが出来ない。来週まで我慢して下さい。
- ７月某日〜某日 水泳訓練
- 水泳訓練ということで、３Km完泳を目指して唐津の近く、深江海水浴場へ泊まり込み。一応「観光ホテル」なるところに泊まるのだが、実際には旅館の大部屋に素泊まり。食事はどうなるかといえば、近所の第４施設科大隊が支援に来て下さった・・・つまり野戦調理車で作った食事である。それでも「缶メシではない！」「畳がある！」と同期の皆さんには大好評。これならどこに遠征に出かけても大丈夫だろう。生活レベルの低い兵隊は強いとは、つまりこういうことなのね。
- 水泳訓練の他に、救助法を練習。溺れた人の助け方、引き上げ方と人工呼吸法があるが、海の上だとなかなかプールでやったようには行かない。悪戦苦闘したとは言え、まあ多少は身に付いたのではないだろうか。また「自己救助法」と言うことで、着ている服を浮き袋にするやり方などを教わる。もっともこういう救助法の訓練で一番大切なのは、技術そのものよりもむしろ「自分は救助法を知っているんだ」という自信の方らしい。この自信がないとすぐパニックに陥り、たとえ救助技術を完璧にマスターしていてもすぐ溺れてしまうので。
- ３Km遠泳は普段の訓練に比べれば、別に大したことではない。同期の中には全くのカナヅチから、３Km遠泳組に出世したのもいるくらいだ。もちろん２Km組、１Km組もいるけれど・・・。ただ自分にとっては水泳は得意な方なので、３Km位なら余裕である。しかし途中で周りの同期にクラゲを投げたのは、さすがに怒られてしまった。おまけにクラゲの祟りか、投げたクラゲより一回り毒性の強い奴に刺されたし・・・。しかし全員定められた距離を完泳、打ち上げのスイカ割りも無事すんで、久留米に帰還できました。これも前の週末に水天宮にお参りしておいたおかげか。めでたしめでたし。
- ７月某日 骨董市
- 今日は先々週のお礼参りという事で箱崎宮へお参り。もちろん巫女さんにお酌して頂ける御神酒が主な目的だという事は、口が裂けても言えない。とりあえず福岡市営地下鉄箱崎駅を降り、参道に出て驚いた。この神社の夏祭りは来週のはずなのだが、参道一杯に屋台と人波。どうやら骨董市を開催しているらしい。出し物は古着やアンティーク、玩具など。こちらのお目当ては古着と古道具・・・しばらく見て回り、男物の単衣と袴、浴衣を３０００円で購入。良い買い物をした、と思った所で気が付いたが、帯も足袋も皆実家に置いてきている。これを着るのは夏休みまでお預けだな・・・。
- ７月某日 海の日
- 今日は海の日でお休み・・・のはずなのだが、何故か「自主的に」６kmタイムトライアル。しかも設定が午後なので、午前中だけ遊びに行った所で行く当てもなし、という訳で結局ほとんど一日校内でごろごろ。しかもタイムトライアルでは最後の最後にコースを間違え、本来のタイムより１、２分遅れてゴール。踏んだり蹴ったりとはまさにこの事だ。とりあえず夕方から外出して、少し呑んですぐ帰る。まったく・・・。
- ７月某日 登山走
- この日は土曜日で本来お休みだが、またも「自主的に」裏山の高良大社まで登山走。しかし今週一杯６km走だのインターバルだので酷使した足の疲れが取れていない・・・。とりあえず良くマッサージしてから発走。２km地点辺りで気にならなくなり、それからはいくらか楽に走れた。結果は目標タイムより２分ほど早い２５分台前半。まあまあかな。
- この夜はクラスの皆で呑み会。しかし記憶が飛んでいるので一体何があったのかは不明、と言うより俺が知りたい。
- 翌日は箱崎宮で夏越祭り。今週も屋台が多く、かなり盛り上がっていた。さすが福岡県神社庁お膝元（謎）。しかし騒ぎには興味無い、と言うより前の日の酒がまだ残っていて、あまり騒ぐ気分になれない。ここはあくまでも静かに茅の輪をくぐり、身代わり人形をお供えして、巫女さんに御神酒のお酌をして頂いてお参りを済ませた。しかしこの神社は巫女さんが多い。近所の九大生がバイトしているのだろうか？
- ７月某日 催涙ガス体験
- ガスマスクの使い方の練習の一環として、密閉したテントの中で催涙ガスを浴びながら装着する練習を行う。但し、マスクの有効性を確認するためにテントの中でマスクを外す事になっているのが少し問題かな？使われるガスは機動隊などが使っているもの（ＣＮ）で、「この位ならまだ我慢できるんだよ（教官談）。」そうは言うものの、露出している皮膚はヒリヒリするわ、当然目から涙ポロポロ、鼻水も垂れ流しでえらい目にあった。教官と学生がみんな涙と鼻水で顔をくしゃくしゃにしながら語り合っている姿は、まるで昔の学園ドラマのよう・・・なんてことはないが。
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