新竹週末旅行
Q:「ところで、どこへ行くんだっけ?」
Z:「まずは新竹で一番有名な『義民廟』かな。バイクならすぐだけど……ちょっとここでストップ。飲み物でも用意しておこう。観光地の周りは高いからね。」
Q:「ここは?」
Z:「台湾全土の城隍廟(『陰官』つまり人間の善事、悪事を記録する、霊界の地方官の廟)のうちで一番位の高い、新竹城隍廟だ。何で台南や台北じゃなくて新竹なのかは知らないけど、とにかく有名な観光地でもある。門前市の賑わいもすごいだろう。」
Q:「まるで龍山寺(台北で一番有名なお寺。近くに繁華街がある)だ。台北の城隍廟(駅の近くにある)なんか比較にならないね。」
Z:「それは当然。じゃ、ここでメシにしようか。」
Z:「ここは道教の廟だから関係なし。」
とのアドバイスをもらい、勇んで(?)参拝に。しかし奥には仏様も祭ってあるなあ……。ふと見ると、壁の石にはこの廟が建立された時の寄進者名簿を彫り込んである。日本人の名前が混じっているのは日月潭辺の文武廟でも見たし驚く事でもないが、何か変だ……。名簿の前の方にある建立委員の名に見覚えがある。「鄭肇基」とはこの前台湾史の授業で出てきた日本統治時代の富豪ではないか?年代を確認すると「昭和12年」と彫り込んであり、「昭和」の二文字が赤いペンキで塗りつぶされている。やはり日本時代の建築か。しかし「昭和」は消しても縁起文(漢文)の中の「大正」にはまったく手をつけていないのは可笑しい。誰がどういう動機で消したのかは知らないが、日本史に詳しくないか縁起文をよく読まない/読めない人の仕業ではないだろうか。
Z:「夕べうちにきた従兄も車で台北に帰るんだ。弟を乗せていってくれるというから、ついでに屈さんも乗っていきなよ。一人乗せても二人乗せてもどうせ一緒だし。」
Q:「いいのかい?それは助かる。」
Z君の母:「そうそう、これを持っていきなさい。台北に帰ったら召し上がれ。」
Q:「これはご馳走様です。何から何までお世話になって恐縮です。」