この物語『 The Dark Land Stories』は、確か高校一年生の春に生まれたものだと記憶している。
その頃地元のテレビ局(っても目茶苦茶小規模。一つの市しか対象じゃない)が発行してるカラーの番組目録が紙上でイラスト葉書を募集していて、茅は500円の図書券目当ての常連であった(笑)。今回は何書こうかな〜と思っていて、その時購読していた『Gファンタジー』という雑誌に掲載されていたとある作家さんの読み切り漫画……の、表紙から連想した絵を描いてみた。オリジナルってのは、自身の想像力というかデザインセンスに欠ける茅としては滅多に描かないんだが、その時は何となくイメージが膨らんでいって、結構気に入ってしまった。出来上がった絵には、不敵な笑みをたたえる15歳くらいの超若い魔女(メイガスの原形。顔に星の刺青が入ってた)と、バックで鉄格子にしがみついて困った顔をしている正統派な王子様(ブルー王子)が描いてあり、インレタで『おうじさまをすくえ!』の字が入っていた。
発想の逆転とでも言うべきか、要するに可愛いお姫様が悪の老魔術師とか魔王とかにさらわれて、白馬の王子または騎士に助けられるのではなく、いわゆる正統派美形っていうか優男な王子様がピチピチの女子高生くらいの魔法使いにさらわれる、という……ストーリーを考えてみたら結構楽しくなってきて、その後も心の片隅にこのネタは残っていた。
クルーガーは弟が買ってきたSFC版『ソードワールドRPG1』で主人公に選んだエルフ(のグラフィック)が気に入ってしまって生まれたキャラクターである(勿論クルーガーという名前でプレイした)。当時茅は『ドラゴンマガジン』を既に2年近く購読していたのもあって、実はクルーガーを含めて「ダークランド物語」の登場人物のうち何人かは『ソードワールド』用のキャラクターデータを持っているので、実際にTRPGをプレイできたりするのだ。最初クルーガーは例の『コギャル魔女と王子様』とは何の繋がりも無かったが、何年か後に動機は不明だが無性に好き勝手にファンタジー世界で遊びたいという欲求の元に一つのストーリーとなった。コンセプトは『美女と美形ばっかり出てくるギャグ』である。
ダークランドでは人々が不死(不老ではないので、老化では死ぬ)で無敵であるという噂が近隣諸国に流れているが、それはダークランドの住民の全てが『ギャグキャラ』だからである。ギャグキャラは強い。岩につぶされてもぺっちゃんこになるだけで、死にはしない。極論すれば、死んでも勝手に蘇ってしまう程のしぶとさである(御都合主義とでも言うか)。そして茅の永遠の好みのテーマである『見かけと中身のギャップが激しい』というコンセプトの元に、華美な外見だが中身の全く正反対なキャラクターばかりが出てくる世界ができあがった。細かい事が全て出来上がったのは、
1998年の3月末〜4月初頭にかけて、つまり茅がユタ州に引っ越してきた当時だ。全部のキャラクターの名前が決定して、おおまかなデザインも決まった。当時の茅はRPGツクールが欲しくて欲しくてたまらなかったので、ストーリーラインもある程度作った。『 The DarkLand Stories』は、RPGツクール用に構想された、正統派(?)ファンタジーのRPGなのだ。しかし、肝心のソフトは今現在の時点(1999年3月)未購入である。
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