集中連載!
超やさしい星空観測ガイド
「美しい星空とおいしい空気を楽しもう」
(記)1998.2.14〜10.14
◆星座盤で知ってる星座を見つけてみよう
◆星座盤には書かれていない明るい星たち
◆さあ、観測に出かけよう
◆特別な星空の日、そして思いがけない夜
◆星空を撮ろう〜固定撮影に挑戦
◆絵になる星空とは
◆<番外編>挑戦!流星群を撮る
◆知ってる星座を見つけてみよう
星空観測の楽しみは、その美しい星空との出会いに始まります。
ほら、覚えているでしょう。旅先で思いがけず遭遇した満天の星々、キャンプ場で初めて見た天の川、学校帰り夜道を照らした大流星などなど。でも、日々の忙しい生活に追われて、そんな古い感動の記憶も心の奥にしまい込みがち。
「街の夜空は明るくて・・・」なんて言い訳はやめましょう。ベランダから晴れた夜の空を見上げてごらんなさい。1等星や太陽系の惑星たちが今夜も輝いていますよ。
ここであえて「天体観測」と言わず「星空観測」とタイトルを名づけたのは、そんな何気ない夜空を、決して堅苦しくなく楽しんでもらいたいという願いを込めたからです。さあ、それでは早速「超やさしい星空観測ガイド」を始めましょう。
まずは星空観測の基本ツールを用意しましょう。それは星座盤(星座早見盤)とコンパス(方位磁石)です。
星座盤の「北」を自分に向けて、目盛りを今の日時に合わせたら、コンパスが北を指す方向にからだの向きを変え、その星座盤を天にかざすようにします。これで、見上げた空と星座盤の星の位置のイメージが一致します。
さあ、あなたの知ってる星座を、星座盤を頼りに見つけてみましょう。「はくちょう」、「カシオペア」「オリオン」など、季節にもよりますが、明るい星がコンパクトに並ぶ星座が見つけやすいかも。
◆星座盤には書かれていない明るい星たち
ひときわ明るく輝く星。ところが「どうも星座盤に書かれていないような・・・」と不思議に思われる星に出会うことがあります。
星座盤の日付目盛りをぐるぐる回すと、星たちが北極星を中心に回っていて、星と星の位置関係は変わらないことがよくわかります。でも、ここにはあらわせない星があるのです。
それは太陽系の惑星たちです。惑星たちは、遙か彼方の星たちと違い、地球のすぐ近くにある星だと思って下さい。地球と同じく太陽を中心に回っている(公転という)のです。遠い星たちの組み合わせで描かれる星座と異なり、惑星はその位置を日毎に変えます。残念ながら、星座盤に位置を示すことはできないのです。
そして、惑星は自分で燃えて光っているのでなく、太陽に光を受けて輝いています。木星、火星、土星、金星など地球からも近く(しかも地球よりはるかに巨大なものもある)惑星たちは他の星よりも明るく見える場合があるのです。
惑星の位置も大まかに知りたいのなら月刊の天文雑誌を買ってみましょう。その月毎の主な惑星の見える位置が天文カレンダーの記事に載っていることでしょう。
◆さあ、観測に出かけよう
美しい星空を求めるのなら、とにかく、空の暗いところへ出かけてみましょう。
街明かりの少ない、なるべく標高の高いところが理想的。きっと空も澄んでいることでしょう。
本格的に観測場所を探すのなら、ある程度、昼間にうちに下見をしておいたほうが良いです。どちらの方角の空が見えるのかという「空の開け方」を確認しておくのも大切なこと。夕方、西に沈む星座を観たいのに西の空が大きな山影に隠されていたら困りますよね。もちろん、全天開けていることに越したことはありませんが・・・。
さて、どんな日に観測に出かけたらいいのかということですが、基本は月明かりのない(少ない)晩ということになります。
月は一定の周期で満ち欠けを繰り返しています。月が完全に地球の影に隠されて真っ黒になる日が新月です。新月の夜は一晩中、月明かりを気にすることなく星空観測が楽しめます。前節でも紹介した天文カレンダーにはこの月の満ち欠けの状態(「月齢」という)も載っています。
◆特別な星空の日、そして思いがけない夜
初めての観測なら、なにか特別なイベントのある日が楽しいでしょう。
月に地球の影が映る「月食」、ある方向に流れ星が集中して観られる「流星群」、明るい惑星たちが並ぶ
ランデブーなどなど。晴れることを祈りつつ、そんなに日には思い切って遠出してみるのもいいかもしれません。
流星群なら、8月のペルセウス座流星群や11月の獅子座流星群が出現数では群を抜いています。極大日(出現数がもっとも多くなると想定される日)と新月が重なれば、最高の観測好機となることはもうおわかりですね。
そんな特別な日の星空観測はもちろん前々から計画を立てて出かけることになるでしょう。でも、思いがけない夜の星空も大切にしたいです。例えば、台風一過の夜。夏の旅先で運悪く台風の雨に見舞われた晩、何気なく見上げた空はきっと澄んでいますよ。本当に空が澄んだときにしか見られない「瞬かない星々」はまた格別です。
◆星空を撮ろう〜固定撮影に挑戦
美しい星空を眺めたら、その感動や興奮をなんとか残しておきたいと思うことでしょう。さあ、ここからは星空写真撮影のお話です。
用意するのはバルブ機能がついた一眼レフカメラと三脚(できれば、かめらの方向を自由に調整できる自由雲台も)。バルブとはシャッター速度目盛で記号Bと表される、シャッターボタンを押してる間中シャッターが開き続ける状態のことをいいます。星空は暗いので、シャッターを開き続けて初めてフィルムに焼き付けられるのです。シャッターを押すときの手ぶれ防止のためのレリーズもお忘れなく。
フィルムの選定は悩むところですが、固定撮影なら、好感度かつ粒子も鮮明なASA400〜800程度のネガカラーフィルムを使ってみましょう。
それから、もうひとつ、ぜひ用意しておきたいのが炭のカイロ。天文雑誌に載っている通販でもカイロ本体と炭のセットが購入可。レンズに夜露がつかないようにするための必需品です。カメラのレンズ部にゴムバンドで固定して使います。
さて、「はじめての撮影」のためのカメラ設定のポイントは次のとおり。
・レンズ:50mm〜24mm(星座の全体像を捉えたいなら広角レンズがよい。)
・シャッター速度:B(バルブ。電子式シャッターのカメラの場合、内蔵電池の消耗に注意。シャッターを開いている間中どんどん電池が消耗します。必ず予備を持っていこう。)
・絞り:「開放」位置から一段絞った程度(絞る理由はレンズに光が入りすぎて、写真が白っぽくならないようにするため。)
・露出時間:例えば10分(長時間露出をすれば星は線のように写る。北極星に近いほど、時間あたりの星の動きが小さいことにも注意。露出時間はいろいろ変えてみよう。)
撮影はもちろん月明かりや街明かりのない空がベストです。それから、撮ったフィルムをプリントに出すときは「星の写真なので、少し濃いめに焼いて欲しい」とお店に注文したほうがいいかも知れません。
さあ、まずは、挑戦してみましょう。いろいろと「取り返しのつかない失敗」をしつつ(悲しい・・・)、テクニックを磨いていってください。
星空撮影の超やさしいノウハウ紹介はこのあともつづきます。
◆絵になる星空とは
はじめての星空写真撮影はいかがでしたか。なかなか思っていたとおりにはいかなかったかも知れません。徐々にコツをつかんでいって下さい。
さて、どうせ撮るなら「絵になる星空」を残したいものです。ただ漠然とカメラを星空に向けるのではなく、少し構図に気をつけてみましょう。
ポイントとしては地上の景色を入れることです。山や木々の影、建物(窓の明かり)等を取り入れることで写真の印象が大きく変わります。風景を入れる場合、きちんと水平にカメラをセッティングすることが大切。せっかくの風景が斜めに傾いていたら興ざめです。これは、市販の水準器をカメラに取り付ければ簡単にできますのでやってみましょう。
西の空なら山並みに沈みゆく星座を、東の空なら木々の合間から昇り始める星々を。ほら、だんだんとイメージが湧いてきたでしょう。
天体観測というとちょっと堅苦しいイメージがありますが、簡単な星空写真撮影に挑戦してみるだけでも楽しみが大きく広がることがおわかりいただけたと思います。さあ、皆さんも星空ファンへの第一歩を踏み出しましょう。
さあ、ここからは番外編!
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☆ 流星雨の夜に...
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さて、ここでは超やさしい(けど、むずかしい)流星群写真撮影法をご紹介しましょう。
流れ星も普通の星と同じように、カメラを三脚に固定した”固定撮影”で捉えることができます。
まず、一眼レフカメラ、三脚、自由雲台、それにレリーズという必須アイテムを用意しましょう。また、露よけのカイロもお忘れなく。よくわからない方は、まず「星空を撮ろう」の章を読み直してみて。
さて、初体験の流星群を「とにかくフィルムに残したい」というあなたのために、以下にポイントを示してみます。
<レンズはどういうのがいい?>
なるべく広角のレンズを。望遠は不要です。少なくとも50mm以下21mmまでぐらいで選定を。
流れ星はどこに飛ぶかわからないわけですから、広い範囲を狙って捕まえたいものです。
<フィルムは何を買う?>
ネガカラーフィルムならASA800〜1600程度が適当。
超高感度フィルムならASA3200というのもあります。とても暗い流星まで写すことが可能ですが、粒子が粗いのが難点なのと、超高感度なゆえ、露出時間を長くしてしまうと、よけいな光(星や街明かりの影響による明るい空など)も写し込んでしまい、肝心な流星の姿が隠れてしまうことになりかねません。初心者の方には取り扱い注意のフィルムです。
なお、フィルムは撮影枚数を考えて、多めに購入を。
<カメラはどっちに向ける?>
この判断は難しいですね。
基本的には輻射点(放射点)に向けてみるのがひとつの方法です。うまくいけば、一枚の写真に輻射点を中心(「ここがポイント!」)に複数の流星が流れる様子が残せるかも知れません。流星雨になれば、もっと感動的な写真になることでしょう。
広角のレンズなら、天頂(空の真上)に向けて、撮り続けるのも面白いかも。撮影結果の分析により、出現数の目安になるという意味合いもあります。
そしてもう一つ。輻射点からちょっと離れたところのほうが、大きな流星が流れるかもという期待もあります。
まあ、いずれにしても、これは運。
本来の観測では、複数台のカメラでいろんな方向を狙うのが正しい撮影方法です。
<最後に気になる絞りと露出時間は?>
まず大前提!なるべく空の暗いところへ行きたいですね。
というのも、なるべく暗い流星も捉えたいと思えば、やはり絞りは「開放」にしたいところなのです。
空が明るいとフィルムの欄でもお話ししたように「カブリ」と言って、写真が露出オーバーで白っぽくなってしまうことがあります。一段絞れば、その分、フィルムに流れ星の姿が残りにくくなります。うーん、これは微妙。
余談ですが、カメラを向けた方向に「あっ、流れたぁ!」と思った流れ星が、いざ現像してみると微かにしか写ってないなんてこともよくあるんです。
露出時間は、高感度フィルムを使うので抑え目に。ご紹介している固定撮影なら5分程度が適当でしょう。
いずれにしても、絞りと露出時間の選定は機材を使いこなしていくうちに覚えていくものです。
というわけで、あまり難しく考えてもしかたありません。流星雨の夜を夢見つつ、カメラを星空に向けて、まずはチャレンジしてみましょう。
あなたの一枚が貴重は記録になるかも。撮影時間(露出時間)と流れ星が流れた瞬間の時刻、撮影場所の最低3項目の記録をお忘れなく。
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