Blank
by Lilinpo

Prologue






あれ? 久し振りに聞くな〜‥この声…
誰だったっけ?






「ニコラスが‥死んだ‥‥‥」








それから何も聞こえなくなった‥‥。



















オレは兄貴の墓の前に座っている。

親父とお袋が誰かと喋っている。

誰かが花を棺桶の上においている。

誰かがオレに挨拶をしている。

誰かが泣いている‥。



「泣かないんだな…」
誰かがオレの隣に座る。

泣く?
…そういえばニックが死んで 一度も泣いてない‥。
‥‥これって普通じゃないのか?

‥‥‥ってゆうか、…どーでもいい‥‥。


「‥泣いても笑っても何しても、…ニックは戻らない‥‥‥‥」

オレは小さく呟く。
だってそうだろう?
もし戻ってくるんなら、いくらでも泣いてやるよ‥‥。
オレはフッと笑う。

オレの言葉をどう解釈したのか、隣の男は少し呆れた様に立ち上がる。
「相変わらず 冷たい弟さんだな‥」
そして向うへ歩いて行く。

オレは頭を上げ、男の広い背中を見る。




「…自殺‥じゃない」

男は立ち止まる。小声でも聞こえたらしい。
その反応を見て、オレはあぁ、と思った。


少し厳しい顔で オレに振り向く。




ああ、‥あの電話の声‥‥‥


‥やっぱりあんただったのか…
















Prologue:
End


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