マイホームパパのひとりごと- PartU
これも、家を買った直後に書き留めていた文章です。古くてすんません。
昨日は植木の刈込をして庭の手入れをしていました。
日本人が昔、米国に渡ると最初に手がける職が庭師だったときいたことがありますが、たしかにこうゆう仕事は結構根気と細かい気配りがいるので、日本人むきかもしれないなあなどと思いつつ、チョッキンチョッキンしてました。
困ったことに、私は今 中村主水状態に陥っています(若い人はしらないかな、藤田まことの必殺仕置人シリーズ)。
一応、折角買った家だから自分の趣味に合う作りにしようと思い、部屋の趣味は東洋的に、竹を編み込んで作ったテーブルとソファを揃えました。
客室には、日本のお客さんが来てもくつろげるように、香港の職人さん特注のがっしりした装飾の全くない低めのベッドで、背中の部分は
弾力性のある木材を何本も渡して上に、綿フトンを敷いて寝るようになっています。勿論スプリングのはいったマットなどは使いません。
さて、時間を掛けてでも東洋趣味に統一するために、入り口には暖簾をかけて、窓には竹の巻き上げ式のカーテンをつるそうを思っておりました。
ところが突然、ヨメサンの母親がドイツからトラックを引き連れて(以下ババと略す)やってきて、どかどかと、典型的なドイツ的の仰々しいグニャグニャ装飾がついたアンティーク家具を運び込んでしまった。全然他のインテリアと合わない。
翌日には、会社から帰ってみると、ババの友達が突然来ていて、レースのカーテンを取り付けてしまった。
「あああ、あそこには竹の巻き上げカーテンをかけて、その隙間から陽光が差すはずだったのにいい」
私が仕事に追われていて日中いないのをいいことに、毎日私の趣味に合わないものが 家の中に増えてゆく。
ついには、客間の綿ぶとんが、「こんなぺらぺらなスプリングも無いベッドに寝られない」」といって、ババが分厚い醜悪なスプリングがボヨンビヨンのマットを注文してフトンの上に置いてしまった。
庭は小さいながらも日本庭園になっている。砂利をしいて、石灯篭をたてて、松の木とかえでが植えてある。バルコニーに座ると、地味な赤砂利と灰色の砂利が松の緑と調和している。
昨日帰ってみると、色とりどりのゼラニウムが植えられている、ばかもの!日本庭園にゼラニウムなど植えるなあ!と
私もぷっつん来て、ババが帰ったら全部小便を毎日かけて枯らしてやると決めた。はらわたが煮えくりかえった。
仕事から帰って、ああ何かあっさりしたものが食いてえな、今晩はそうめんでも茹でて食おうと思ってかえると、アブラぎとぎとの こってりドイツ料理が待っていた。当然ババの作品である。
我が妻にはちゃんと日本料理の基礎は仕込んだので、最近は彼女もローカロリー食を作れるようになっている。結局食欲がおきず、昨日は夕飯を食べずにビールとスナックだけですませた。
おおい、ここは俺が買った家だぞ、貯金を崩して、頭金も払ったしこれから住宅ローンを払うのも私。
ババが登場してから一週間経つ。一体いつまで人の家に居座るのだ。
私は中村主水じゃないぞ。
©1997copyright by Hiroyuki Asakura