ショッピング-PartT

ヨーロッパに来て、一番不自由を感じたものが買い物でした。とくに独身ですごしたドイツの6年間あまりは大変でした!


ドイツにいた頃

なにしろ平日は深夜まで仕事していて、6時半にしまる店に買い物できるわけありません。

日本では当たり前の、コンビニエンスストアに相当するものはなく、閉店法とゆう法律で小売店の深夜営業と日祝日営業を禁止していました。

となると、土曜日だけが買い物できるチャンスでして、しかも午後2時には閉店してしまう。

午後2時に閉店といっても、時間外労働を嫌い顧客にサービスする精神がそもそも欠如しているドイツ人のことですから、最後の20分間はレジの現金をあわせる作業に入りますので実態は1時半までの営業と言える。

それでも何とか頼むと頭を下げると(おいおい一体売り手と客とどっちが偉いんだ、、、ドイツでは売り手の方が絶対偉い-本当!)、「もう小銭は数えちゃったから、釣り銭がいらない買い物なら売ってあげる」としゃあしゃあと抜かす。

でも、ここで腹をたてるようではドイツで生活する資格はありません。

うっかり寝過ごしてしまうとへたすると次の一週間は冷蔵庫は空っぽ、飲み物もなく外食に頼るしかない状況に追い込まれます。おのずと金曜日の夜の深酒も自重するようになり、土曜日に買い揃えるものをキチンとリストアップする習慣が、身についてしまった。

一人暮らしで必要なものは一般家庭より少ないとはいっても、一週間分の買い物を、土曜日の朝10時から午後2時までのたった4時間にすませるのは、かなり要領のよさが要求される。

ここで、買い物以外の用件が重なったりすると(郵便局で小包を受け取る、クリーニング屋に背広を出す、散髪に行くetc..)、更に優れたタイムマネジメント能力が、ものを言います。

当然、大型のショッピングセンターなど、一個所でいろいろ手に入るタイプの店でないと無理です。

いちいち肉屋とパン屋と八百屋を回っていると時間を消費してしまいますので最初からパス。朝10時の開店時間に間に合うように9時半には出発して駐車場の確保が必須。一時間タイミングを遅らすと、まず駐車場の争奪戦がまっていて、最後にレジの行列のスピードの読みをする余計な気苦労が増えるからです。

長年の経験で、ショッピングカートの中身を一瞥して、速くすむ列と時間がかかる列が識別できるようになりました。

レジに所要する時間は、カートの中身のボリュームには比例しません。年寄り、とくにおばあさんがいる列は要注意です。まず、後ろにどんなに行列していても世間話を始めてキャッシャーの注意力をそらすリスクをはらんでいます。

次に、現金払いの確率がたかくなるのも一因です。大手スーパーでは大抵銀行キャッシュカード(Euroscheck Karte)による支払い設備を導入していますが、現金の場合は、当然所用時間が長くなるのです。

次に、客の分析の次にするべきことはカートの中身ですが、同じ商品を大量に買っているだけか、多くの品目にわたっているか、そして野菜果物のたぐいを沢山買っているかのチェックです。

パンパース®を大量に買い込んでいる若夫婦などは、結構速く終わりますので後ろにつくと良いでしょう。かさばっているようで品目が少ない上に、赤ん坊がいるとあまりゆっくり買い物もできないので、無駄の少ない買い物をしています。

一方野菜果物は、通常セルフサービスで秤にのせてバーコードのシールを自分でプリントして貼り付ける方式が主流ですが、バーコードの貼りかたが下手な場合には、スキャナーがうまく通さずに時間をとる上に、たまに計量を忘れてレジにもってくるうっかりものもいるので、時間がかかるリスクが高くなります。

以上の結論から、言えること、

  1. おばあさんの後ろは避ける
  2. 同じ品目を大量に買う若夫婦は時間がかかるような錯覚を起こすが、速く終わる
  3. 野菜果物客は、Aの逆の現象がおこる。

これで第一幕のスーパーマーケットは終了です。手早く駐車場に向かいますが、この時に店に近い駐車場を前もって確保していたかがひとつの鍵になります。

同じように開店と同時に駆け込んだ客が駐車場から出る、第一の波があるからです。


さて、ここで日用食料品は揃いましたが、日本食の材料も欲しいなとゆうような時には専門店に行くよりありません。大型のショッピングセンターは郊外に位置し、日本食の買える専門店は、中心街にあるのが常です。

そこで11時頃に街の中心に向けて車を走らすことになりますが、もう道は混んできています。既に主要道路と駐車場は、高級ブティックで買い物をしてから、昼食を町中のレストランでとろうとして着飾っているスノッブな人々が、高級車でひしめいています。

そのなかに、高級車に乗っているとゆう点では共通するものの、垢抜けない普段着の子供連れの日本人の車がやはり多くひしめいています。

やはり考える事はみな一緒で、昼時の少し前に日本食料品の専門店に来て、家族で日本レストランのランチを食べようとゆう人が多いからです。

町中の高級ホテルの地下駐車場にこうした日本人の集団がドドーっとなだれ込み、一杯になります。その後日本食の買い物を済ませた人たちが、ネギなんかが飛び出てる白い買い物袋をぶらさげて、駐車場に戻ります。

この時、ドレスに着飾ったドイツ人が集まっているロビーを、通過する日本人家族のミスマッチはいつみても異様ですが、一種の街の風物詩でもあります。

さて、私も米とか漬物なんかを買い込み、気がつくともう12時を回っています。ここで日本レストランのランチの誘惑に負けると、待ち時間を含め、食べおわったら1時半ですからもうそれでタイムアウトです。

そこでぐっと我慢して、昼食は普通カットします。たまに余裕あるときは立ち食いの軽食で(Imbiß:インビスと呼ばれる)ソーセージを齧って次に向かいます。

残された約1時間の間にあと、本屋に行ったり、理髪店にいく、あるいはデパートで衣服を買うとゆうような用件をすませ、家にかえると2時。

もうすっかり疲れてしまい、結局夕方までまたグーグー寝るとゆうパターンでした。

土曜の夕方になると、友達から大抵電話がかかってきて、どっかで夕飯食おうとか、街に繰り出して飲もうぜなんて過ごし方をしてました。今となっては懐かしい生活です。

次回はオランダに移ってからの買い物について。


©copyright 1997 Hiroyuki Asakura