ショッピング-PartU
ドイツでの買い物の不自由については、前章で述べたとおりです。ドイツの閉店法は96年の11月から改正され、土曜日の4時までの営業を認めるようになりました。
この閉店法(そもそも、日本にこんな名前の法律が、あっただろうか?)は、家族経営の小規模な小売店を保護する意味がひとつあります。
確かに家族経営だと、深夜営業も、年中無休にもできないから、大規模なチェーン店やデパートとは太刀打ちできなくなるでしょう。
オランダの場合はドイツよりは規制は緩く、もとから土曜日は4時半までやってるのが普通でしたし、弾力的運用を許しているので、一部のスーパーは夜8時まであいてます。
ドイツにいたころは、オランダの国境まで一時間もあればいける距離だったので、土曜日に寝坊した時なんかは、夕方まであいているオランダまで、買物にいったものです。
それに、物価がだんぜんオランダの方がやすいし、新鮮な野菜も手にはいるので国境を超えて、オランダまで買物に来るドイツ人も一杯いました。
土曜日に2時間のアドバンテージ、平日もドイツの6時半に対し、オランダの8時。
オランダに来てこれほど嬉しかったことはありません。それに、もうひとつドイツで得られなくてオランダにくるとどこにでもあるありがたいものがあります。
それは、、「売り手の笑顔とサービス精神」です。これはドイツではお金を出してもなかなか買えません。どこにいっても店員が偉そうな態度をとっていて、にこりともしない。
日本の接客業の(はっきりいって世界一のサービスレベルだと思う!)感覚になれていた私は、ドイツに来てこの違いにショックを受け、やがてはなれてしまいましたが、オランダにはこの「笑顔」が売っているのでした。
オランダの小売店で非常に浸透している、システムがあります。
日本でも昔けっこうあったように記憶してるけど、スーパーで買物する度にシールをくれるのです(spaarzegelってよんでる)。これを貼るノートもちゃんと配布していて、ノート一冊一杯になると、持っていけば現金に払い戻ししてもらえる。
我が家がいつも使ってる大手スーパーチェーンでは、これを現金にしないで投資信託にするオプションもついていて、有価証券化できますので、ちょっとした財テクです。定期的に運用利回りの連絡もきて、本格的です。
家内がこれを面白がって、買物する度にこのシールをため込んでは、投資信託にしていたら 馬鹿にならないもので、2年間こつこつやっていったら運用実績もよくいまでは6万円相当くらいに増えてます。いかにもオランダ的「つめの垢に灯をともして、、」な制度ではありませんか。
その他、常連客を大切にする意味でか、スタンプカードってのもやたら多い。美容院だろうと、ガソリンスタンドだろうがオリジナルのカードをくれて、買物する度にスタンプを押してくれる。これが何個か貯まると、割引になったり ガソリンスタンドの場合には洗車がただになったりする。おかげで家中スタンプカードだらけです。
アムステルダムの飾り窓にも、このスタンプカードがあると、冗談を吹き込まれて本気にした阿呆がおりました(作者ではない、念のため)。
窓際に立つおねぇさんにたずねたら、特殊なプレイを求めているのかと勘違いされたそうです。
May.8.97
©1997 copyright Hiroyuki Asakura