68年に、リー・ベイカーが、パーティーで出会ったジーン・ウィルキンズをリード・ヴォーカルに勧誘、新バンドを結成。69年、ドン・ニックスに見出され、スタックスのエンタープライズ・レーベルと契約。同年、アメリカ東部をツアー。 翌年、ドン・ニックスの全面的な関与を得て制作したデビュー・アルバム『モロク』(70年)を発表。数次にわたるメンバーチェンジを経て、72年春、リーダーのリー・ベイカーが脱退。まもなくバンドは解散した。
リー・ベイカー
1944年生まれ、1996年死去。本名ジョゼフ・リー・ベイカー・ジュニア。高校時代に、ブルースの魅力にはまる。まもなく、テネシー州メンフィスのW・C・ハンディ・シアターで、箱バンドのメンバーに採用される。61年、学生バンドとしてブレイザーズを結成、マーキーズを意識してホーンを4本入れたメンフィス・サウンドで、地元で人気を集める。また、カントリー・ブルースを中心にした弾き語りで、地元のコーヒーハウスにたびたび出演、ファリー・ルイスら黒人ブルースマンとも親交を深める。
68年から新バンド、モロクのリーダーとして活動。72年春にモロクを脱退、まもなくジム・ディッキンソンらと、マッド・ボーイ&ザ・ニュートロンズを結成。いったんレコーディングを試みるが断念、その後このバンドは年数回程度のペースでギグを行う、不定期のバンドに。
この後、ジム・ディッキンソンの絡んだセッションを中心に、ディッキンソンのソロ、ビッグ・スター、アレックス・チルトンのソロ、シド・セルヴィッジなどの収録に参加。ふだんは、アーカンソー州ホースシュー・レイクの湖畔に所有する築百年を越す小屋で、家族と自給自足の生活を続けた。86年、マッド・ボーイ&ザ・ニュートロンズの初のアルバム
Known Felons in Drag を発表。93年にもセカンド・アルバム
Negro Streets at Dawn
を出している。
90年代は、モロクの元バンドメイトを含む新グループ、リー・ベイカー&ザ・アジテーターズで活動。96年8月12日、自宅が不審火による火災で焼失。同9月10日、近所の叔母の家を訪ねている際に、押し入った強盗に銃で撃たれて亡くなる。死後の97年に発売されたアジテーターズのアルバム
Fresh Oil
が遺作に。
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