アメリカ留学日記
7月16日から、ミズーリ州コロンビアに住み始めま
した。ここでの生活の苦労話等、どうか聞いてやっ
てください。
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5月11日 トルネードがやって来た!!
といっても、野茂のことじゃない。本物のトルネードがやって来た。お隣のカンザスや、ミズーリのほかの地域では死者もでたらしい。ここコロンビアでも、一昨日、昨日とトルネード警報のサイレンが鳴り響き、テレビでも警戒を呼びかけていた。ニュースキャスターが、「家の中の一番低い場所に下りて、窓から離れていてください」って言ってたけど、ここはアパートの2階だからそんな場所はないし、もしあっても、それで大丈夫なのか?とちょっと疑問に思ったが。幸い何の被害にあうこともなく、トルネードは去って行ったようだが、アメリカならではのスリリングな経験だった。

さて、勉強の方は授業が全て終り、あと課題がひとつと試験がひとつだけ。明日、記者活動をまとめたスクラップブックを出さなきゃいけないのだが、そこには、自分がどのくらいの成績に相当すると思うのか自己申告しなくてはならない。そうエディターにいわれた時、つい、「えー、でもぼくの場合は記事の数が足りないから、今の段階では、Cにすら相当しませんよ。かといって、F相当ですとも書けないし…」と答えた。あまりに馬鹿正直すぎたのか、エディターは大笑いして、「まあ、どんなことに苦労したか、どんなものを得たのか、そんなことを書いておけよ」と言ってくれた。とにかく落ちこぼれ記者だから、今週以降も取材を続けて、何とか帰国するまでに記事の数を15にしないと。今ふたつ書いているから、残り6つ。もう授業に出なくていいので、なんとかなるだろうと楽観しているが、どうなることやら。だめ記者のドタバタ取材記はまだまだ続く。


5月2日 ノルウェーの森

このセメスターの授業も、いよいよ残すところ来週のみ。今週、最も大変だった課題を提出したので、内容の如何はともかく、すこしほっとした。あとは、ひとつある試験がちょっと不安なだけ。しかし、マスター向けの授業なのに試験なんていい加減にしろよ、なんて思ってしまうがしようがない(マスター向けの授業では、通常試験はない)。そんなわけで、今日は少し余裕があったので、友達と、結構感じのいいレストランに昼食に出かけて、昼からビールと白ワインをかましてきた。明日は、昼からバーベキュー。英気を養って、日曜からはまた勉強に励まないと。

最近、すごく日本の音楽や本が恋しい。で、友達に頼んで、本とB’zのCDを送ってもらった。日本ではB’zなんて聞かなかったが、最近少しはまっている。やっぱり日本の音楽はいい!!なんていったって日本語だもん。本は、メディア関係のものを中心に10冊くらい送ってもらったのだが、久しぶりに、村上春樹のノルウェーの森が読みたくなって、それも頼んだ。大学3年のときに読んで以来だから、15年ぶりだ。やっぱり歳を重ねてから読むと、より深い部分まで理解できるように思う。といっても、内容を完全に忘れてしまっていたので、以前読んだ時にどう感じたかなんて覚えていないけど。

あとは日本のお笑い。ダウンタウンとかナイナイが見たいよー。まあ、あと1ヶ月。なんとか我慢しよう。


4月26日 疲労気味

課題の提出と記者活動に追われ、現在少し疲労気味。来週も提出課題がひとつと、プレゼンテーションがひとつあるから、週末も勉強しないと…。忙しさのせいで、部屋も散らかり気味だし、大好きな料理も、それほど凝ったものが作れず生活が少し荒れている。立て直さなければ。

この忙しさの原因は、このセメスターに取ってしまった、Quantitative Researchのせい。この授業が、ためにもならないし、それでいて、課題はきついはテストはあるはで、もう大変。しかも、教授がそれほど教え方がうまくも、熱心でもない。あー、金と時間の無駄だー。金返せー、時間を元に戻せー。って言っても無意味なのは分かっているけど。

とりあえず、6月に帰国することにしたので、それを楽しみにして、今は我慢の時期。あー、はやくラーメンと、寿司と、刺身と、うなぎが食べたいよー。日本酒飲みたいよー。だめだ、こんなこと書いていたらお腹が空いてきた。もう、深夜だから寝よう。あと、ワープロの調子がなんかおかしいので、きょうはここまで。

4月11日 終盤戦
今日、通算6つ目の記事を書き終えた。このセメスター中に15の記事を書かなくてはいけないのだが、とても書けそうにない。そこで、今日、エディターとどうしたものか話し合った。彼曰く、アメリカ人のレポーターでも、現時点で6つくらいしかかけていない者も何人かいるので、言語の壁を考えれば、私は非常に良くやっているとのことだった。とはいっても、15個記事を書くことがノルマなので、学期終了後、数週間さらに働いて、十分な記事を書くようにする、ということで話がまとまった。エディターは、比較的取材しやすい記事を私にまわすようにするので心配するな、と言ってくれた。やっぱりエディターに恵まれた。友達から、他のエディターの話も聞くが、やはり私のエディターは最高だ。

しかし、とふと思う。この英語力でよく記者なんてやってるよなーと、我ながら、あきれるやら、感心するやらしてしまう。最初の頃は、電話を1本かけるのにもビビっていたが、今はもう、出たとこ勝負でがんがん攻めている。聞き取れないことがあったり、一度では話が通じないこともあったりするが、やろうと思えばなんとかなるもんだ。記者としての能力はともかく、英語で取材する度胸だけはついたことは間違いない。だから、海外のジャーナリズムスクールにいきたいと思っているけど、英語力で不安に思っている方がいたら是非伝えたい。何とかなります。私には、スクールで最低の英語力でも、記者として活動するノウハウ(何じゃそりゃ)があるので、必要な方は、是非ご一報ください。

冗談じゃなくて、私の英語力は、Missouri School of Journalismで、あるいは、少なくともthe Columbia Missourianで働いているレポーターの中で最低だろう。韓国や中国からの留学生もいるが、さすがに全米ナンバー1といわれるジャーナリズムスクールに入るような奴らだから、英語力は並じゃない。だから、英語で苦労しているのは、私くらいしかいない。でも、何とかやっていけるもんだ。今年の夏から留学する皆さんの中には、英語力に不安を持っている人もいるだろう。だけど、絶対何とかなります。たくさん恥をかいて、たくさん落ち込んで、たくさん悔しがって、それで少しずつ進歩していくものだから。私は30代半ばだから、進歩が遅いが、若い方はもっとどんどん伸びると思う。だから、気後れせず、かといって力まず、柔軟に物事を吸収していけば、必ず自分の目指した分野でそれなりの成果を得られると思う。

4月6日 辛い
楽しかった春休みも終わり、先週から、また勉強漬けの毎日に戻った。ちなみに、今、ひとつ課題をやっつけて、これから取材テープを聴かなきゃいけない。あー、今夜は眠れそうにないな。いきなり徹夜で1週間が始まるか。今週も辛い戦いだ。

こんな現在の唯一の楽しみは、スーパーに食料の買出しに行くこと。現実逃避するために、意味もなく、頻繁に買い物に出かけている。最近のお気に入りは、ベーコン卵サンド。ゆで卵にマヨネーズを混ぜたものと、こんがりと焦がしたベーコンをマスタードを塗ったパンに挟む。これ最高。使うベーコンは、厚切りの、hickory smokedで、すごくいい香りのするもの。やっぱりアメリカは肉の国だから、ベーコンとかハムはすごくおいしい。あと、牛テールでつくるビーフシチューも最高。

あと最近はまっているのは、Starbucksのビン入りコーヒー。これ、日本のコーヒー牛乳と味が似ているので、子供の頃に飲んだ味を思い出す。ちなみに今も、勉強のお供に飲んでいる。うーん、うまい。あっ、そうだ、今日はまだ夕飯食べてなかったんだ。ってもう深夜の12時過ぎだけど。

と、ここまで現実逃避してしまったが、また勉強に戻らないと。うーん、現実は厳しい。

3月24日 春休み
ついに春休みになった。このセメスターの前半は、勉強にも取材にもあまり集中できず、充実したものではなかったが、春休みをゆっくり過ごし、後半は死に物狂いで頑張りたい。

さて、車を入手したおかげで、生活が楽しい。いつでも友達を訪ねられるし、色々なお店に行って、様々な食材を手に入れられるので、趣味の料理をさらに楽しむことができるようになった。明日は、お弁当を作って、友達とハイキングに出かける予定だ。

ここColumbiaは、よくやく厳しかった冬が去ったようで、ここしばらくは過ごしやすい日が続いている。日中は、20度くらいまで気温が上がる日もあって、すっかり春の装いだ。ただ、アメリカは天候が変わりやすいので安心できない。

そうそう、今日マジでショックなことが。日本人の女の子と買い物に行って、ワインを買ったところ、IDの提示を求められた。私は自分のものを見せたのだが、彼女は持っていなかったので、その旨告げると、それではワインは買えないとのこと。今まではそんなことはなかったので、ちょっと驚いたが、それは大した問題じゃない。問題は、店員が、「彼女はあなたの娘ですか?」と訪ねてきたことだ。おいおい、確かに私は35歳、彼女は22歳だけど、娘はないだろー!!後で、よく考えたら、娘かと聞かれてそうだといえば、問題なくワインは買えただろうから、あえてそう聞いてきたのかとも思ったが、なんか納得いかない。少しへこんだ。


3月12日 折り返し

しばらく日記が書けなかったけど、戻ってきました。記者活動は、順調とはいえないが、何とか進んでいる。でも、ひとつの記事を仕上げるために、時間がかかり過ぎている。記事を書くこと自体はそれほど問題ないし、時間もかからないのだが、インタビューテープを聴いてまとめるのに、異常に時間がかかる。1時間のインタビューなんてしようものなら、一日中それと格闘しなくてはならない。インタビューは極力短時間でポイントを押さえるようにして、聞きなおす時も、引用する場所以外は聞き流せるようにするなど、改善していかないと、とても体が持たないな。

今日はふたつ記事を仕上げたので、これから試験の勉強をしないと。覚えなければならないことが大量にあるし、時間もあまりないので、マジでやばい。記者活動と授業という二束のわらじは、英語というハンデを考えると、本当に辛い。まあ、泣き言は言っていられないので、とにかくやらないと。

そうそう、しばらく前についに車を購入した。95年式のホンダシビック。新聞広告で見つけて、友達が電話してくれたうえに、価格交渉までしてくれて、$4,000で買うことができた。相場よりかなり安く買えたので、満足している。日本人の友達によると、やはりどんな旧型でも、日本車は故障が少ないとのことだ。前の持ち主が丁寧に扱っていたようで、今のところ全く問題はない。車を入手したおかげで、生活がぐんと豊かになった。いつでも好きな時に買い物に出かけられるし、気分転換にドライブにも行ける。日本にいれば当たり前のことだが、今まで車がなかった私としては、初めて車を買った人のように嬉しい。くれぐれも事故には注意しないと。

来週で、このセメスターが半分終了して、再来週は春休みだ。今のところ、まだ何をするか考えていないが、とにかくゆっくりと過ごしたい。


2月16日 パソコンがー!!

昨日パソコンが壊れた、というか壊してしまった。コーラを飲みながら勉強していて、誤ってボトルを倒してしまい、パソコンがコーラまみれに…。当然のごとくパソコンは二度と起動しなくなってしまった。あー、自分のアホさ加減に腹が立つ。しかしいくら嘆いても、後悔先に立たず。で、今メーカーに電話してみたら、アメリカで修理を担当している会社に、日本人スタッフもいるとのことなので、早速メールを送ってみた。早く直してもらいたいよー。今昔のパソコンを使っているんだけど、めちゃめちゃ遅いんだもん。

さて、勉強の方はというと、International Journalismのひとつ目の課題の締め切りが迫っている。イラク問題についての、日米のメディアの報道姿勢の比較がテーマだ。日本のメディアとして、朝日、読売、アメリカのメディアとして、New York TimesとWashington Postの関連記事を集め、現在分析している。記事の分析は、今までも幾度となくやっているので、これは何とかなるだろう。ただ、アメリカメディアの記事の量が膨大なので、それを読みこなすのが結構大変だが。Reportingのクラスでは、先週、ようやく自分の書いた記事が新聞に掲載された。ボツになったと思っていた記事が、だいぶ遅くなったが掲載された。ただ、第4週を終えて、たった1本しか記事が掲載されていないので、かなりやばい。もっともっと積極的に取材に出かけないと。

あと1ヶ月くらい頑張れば春休みになる。当分は勉強に集中しなくては。


2月11日 小休止

今日は、仲のいい友達が、車を買った友達に運転指導をすると聞いたので、一緒にでかけた。東京のような大都会と違ってColumbiaは車が少ないので、運転もそれほど困難ではない。久しぶりに運転したという友達もすぐに慣れて、何の問題もなかった。私も車を買いたいのだが、仲のいい友達がどこにでも連れて行ってくれるので、ついつい買いそびれている。また、今、円のレートが一気に悪化しているので、ドルを買いたくても買えず、そんなこともあって、だらだらと買わずにきている。117円台の時にドルを買っておけばよかった…。でも、こればっかりは、誰にもいつが一番得かは分からないのでしようがない。いずれにせよ、近いうちにドルに換えて車買わなくちゃ。

友達の運転指導が終わったあと、みんなで夕飯を食べに、Columbiaで有数と言われるレストランに行った。確かに、私の頼んだ料理も、友達のも、かなりいい味だった。私は、ロブスターとアスパラのパスタを食べた。$15という値段の割には、ロブスターがたっぷり入っていて、アスパラもおいしかったし、ソースの味もよかった。だが、パスタがフニャフニャ…。アメリカ人て気にしないんだよな。いくら素材やソースがよくても、パスタがフニャフニャじゃ、全てぶち壊しなのに。アメリカ人のみなさん、アルデンテのパスタ食べようよ!!

と、ここまで書いたところで友達から電話がきて、つい長電話してしまった。

最近、ネット上のラジオ局にアクセスして聴くことにこっていて、いいサイトを発見した。
特にMSNのToday’s Soft Rock & Popと’80s Hits (いずれも
http://entertainment.msn.com/Genre/Default.aspx?genre=22)が最高。今は、Soft & Rockを聴いてるんだけど、Eva Cassidyが流れてる。80sの方は、80年代後半は私の大学在学時代に当たって、すごく懐かしい。Bangles, Madonna, U2, Prince, REO Speedwagonなどなど。これらのサイトのおかげで、かなりリラックスできるし、寂しさもまぎれる。やっぱ音楽って、人間にとって大切なんだなあ。

さて、勉強の方は必ずしも本調子ではないが、まあ、焦らずぼちぼちやっていく。まあ、何とかなるでしょう。明日は授業はないが、取材にでかける。なんとか記事になるような話があればいいんだけど。


2月3日 ボツ?!

先週末にひとつ記事を書き上げて、日曜日の紙面に掲載される予定だったが、みなさんもご存知の、スペースシャトル・コロンビアの墜落事故のため、記事が飛んでしまった…。そんなー、せっかく書いたのに…。まあ、世界的ニュースと張り合えるわけもなく、このままボツなんだろうか?しようがない。気を取り直して、今週も頑張ろう。

前回、電話でのインタビューが辛いと書いたが、今日、レコーダーと電話をつなぐコネクターを購入したので、これで電話インタビューも録音できる。録音した後聞き返すのも結構大変なのだが、その場で、会話しながらメモを取るのに比べれば天と地の差。これで電話取材にビビる必要もなくなった。よーし、明日からガンガンでんわするぞ!!

とまあ、勉強の方はそんな感じで進んでいる。息抜きの方もちゃんとしていて、先週末は、友達と日本食レストランにでかけた。刺身、焼き鳥、枝豆、すしを食べてみたが、まあ、そこそこといったところだろうか。枝豆が温かかったのには閉口したが、アメリカ人の友達は、温かいものだと思っていたらしい。彼は枝豆が大好きらしいのだが、「いつも温かいのが出てくるぞ」といっていた。味を考慮に入れて費用を考えると、かなり高めだ。日本でこの程度の味なら、金額は半分くらいだろう。ここがアメリカのど真ん中であることを考えれば、妥当といえるのかもしれないが。

さて、1週間が始まったばかりだが、今週こそ記事を掲載してもらいたいな。他のクラスはどうでもいいので、何とか2本くらい記事が書けるといいのだが。まあ、あせらずマイペースで。


1月27日 記者活動開始

今日、ついにEducation beatで仕事をすることに決まった。ここのエディターは、だれもが最高という人だ。友達曰く、彼は順を追って徐々に大きな取材に導いてくれるし、表現、語の選択なども熱心に指導してくれ、何より人柄が良いとのことだ。彼は、夏期集中コースの時の講師の一人だったので、私も好感を持っていた。彼のbeatはいっぱいいっぱいであるにもかかわらず、僕を受け入れてくれた。ありがたい。

で、今日早速ひとつ取材を命じられ、記者活動を開始した。電話でのインタビューだったのだが、ほんと電話は辛い。面と向かってであれば、色々確認しながら話を進められるが、電話となると、相手が見えないので一気に難易度が高くなる。なんとか慣れていかないとな…。話したい相手がひとり捕まらず、4時半に電話してくれといわれたので、その時間に電話してみた。ところが、公立学校だから、その時間には既に留守番電話での応答に切り替わっていた。やばい…どうしよう…。とりあえずエディターに相談してみようと思い急ぎ彼の部屋に行った。「どうやら、へまをやらかしたようなんですが…」「来て初日にか。で、どんなへまをやらかした?」「指定された時間に電話したんですが、留守番電話でして…」「まあいいよ。明日もう一度電話しろ」「明日は朝から授業が3つありまして…」「よし、じゃあ木曜日か金曜日に記事になるように取材を続けろ」というわけで、取材は継続となった。でも、この内容の記事が木曜か金曜でいいのか?という疑問はあるものの、まあ、また明日。

私は些細なことでも深刻に考えてしまいがちだが、ここではもっとおおらかになるべきだ。以前も取材相手が捕まらなかった時、どうにもならないのに困っていると、エディターのひとりが、「お前、ベストは尽くしたのか?」と聞いてきた。「はい」と答えると、「それならそれでいいよ」。とにかくこの国では、まずベストを尽くす。それでだめなら、またその時考えればいい。そう考えると気楽にやれる気もするのだが、やっぱり英語での取材は辛い。今は、この仕事に慣れる日がくるんだろうかと途方に暮れるのみだが、まあ、とりあえずベストは尽くそう。


1月24日 新学期

ついに新学期が始まった。このセメスターは、Reporting, Quantitative Research, International Journalismの3つの授業を取ることにした。Reportingのクラスでは、Missouri School of Journalismが発行している、Columbia Missourianというローカル紙の記者として働くことになる。当初、Taste beat (beatとは取材範囲のこと。よって、Taste beatとは食に関する取材)を希望したのだが、サツ回りと司法記者が合わさった、Criminal Justice beatに配属された。おいおい、と思ったが、とりあえずチャレンジしてみるかと考え、しばらくこのbeatに留まることにした。しかし、やはり無理だった。私の担当は裁判所になったのだが、そこでの仕事というのが、裁判やヒアリングに出席して、内容を理解しメモを取って、検察官や弁護士にインタビューするというものだった。これは、並みの英語力では絶対無理。しかも相手が検察官等だから、質問も厳選されたものでなくてはいけないといわれ、あきらめた。

で、コースコーディネーターを尋ね、beatを変更したい旨告げると、「やはりだめか。君があのbeatに配属されたのは、ちょっとした手違いなんだ」とのこと。そうなら早くそう言ってくれよ!!焦ったぜまったく。というわけで、大学を取材する、Education beatのエディターと今日話したが、月曜日に改めて話をすることになり、いまだに担当が決まらず。うーん、前途多難を思わせるスタートだ。まあ、beatが決まらないおかげでこの週末はゆっくりできるので、ラッキーと思うことにする。

話は変わるが、今週は、1998年のノーベル平和賞受賞者、John HumeがSchoolに来て、「紛争解決におけるメディアの役割」というパネルディスカッションを行った。彼は、北アイルランド和平に貢献したということでノーベル賞を受賞した人なので、私にとっては聞き逃せないディスカッションであった。興味深かったのは、司会者が、北アイルランドのひとつの都市名を「ロンドンデリー」と呼び、Humeは「デリー」と呼んでいたことだった。アイルランド問題に詳しい方は分かると思うが、「ロンドンデリー」はイギリス人が呼ぶ際の呼称で、アイルランド人は「デリー」と呼ぶ。次の日の、International Journalismの授業で、教授がそのことを指摘し、彼いわく、Humeはすごく拒絶反応を示していたらしい。司会者もSchool of Journalismの教員のひとりであったので、それくらいのことは認識しておくべきだと思うのだが。

さて、前回も書いたが、Columbia寒すぎだからほんとに。一昨日は、ついにマイナス20度を記録。まじで外出する気が起こらないね。といいつつ、今週は、今日から連続3日間パーティーがあるので、寒さにも負けず参加するつもりだ。何といっても、この週末が、心から寛げる最後の週末だから。

最後に今年のモットー。笑顔で、元気に、人に優しく。今までもこれを実践してきたつもりだが、昨年は悲しい出来事のため、それを失ってしまっていた。笑顔で、元気に、人に優しく生きていれば、そのうちいい事も起こるでしょう。


1月19日 再出発

3日前に日本から戻ってきた。久しぶりの日本は、食べ物がおいしくて、友達たちも温かかったので、心からアメリカに戻ってくるのが嫌だった(笑)。

今日、このセメスターに取る一番の難関のreportingクラスのオリエンテーションがあり、来週の火曜日からいよいよ新学期が始まる。昨年の後半は色々なことがあって、よれよれになってしまったが、年も変わったので、ジャーナリストになるという自分の夢を再認識して、気持ちを新たに勉強に取り組みたい。

ところで、今Columbiaは猛烈に寒い。おとといの夜は、マイナス16度くらいだった。私は新潟の山奥出身ではあるが、雪には慣れているものの、これほど低い気温の中で生活したことがないのでかなり辛い。外がこれほど寒いと、外出する気がまったく起こらない。それでも友達に誘われれば外出するものの、自分の気持ちに正直に行動したら、一切外出せずに過ごしてしまいそうだ。飲んだくれてその辺で倒れたら、マジで凍死してしまうので注意しなくては。

昨年は車なしで過ごしたが、さすがにかなり不便な生活だったので、車を購入すべく現在物色中だ。できれば、1300ccくらいの小型車が欲しいのだが、そんな車は存在しない。北アイルランドでは結構小型車を見かけたが、アメリカにはないようだ。やっぱりアメリカ人はでかいものが好きなんだな。できれば来週には車を購入して、生活の文明化を図りたい。

まあ、色々不安もあるが、焦らず、マイペースでこのセメスターも乗り切りたい。


12月19日 気持ちは日本へ

final papersをすべて終え、今は読書に明け暮れている。仲のいい友達たちがみんな帰省してしまったので、夜遊ぶ相手がいなくて寂しいが、読書にはうってつけだ。今は、The New York Timesのオーナーである、Ochs-Sulzberger一族の本を読んでいる。同紙の発展の歴史はすごく興味深い。

さて、23日にSt. Louisを発って、24日、クリスマスイブに、いよいよ日本に帰国する。今は、すし、刺身、ラーメンなど、日本の食べ物のことを考えて、とても幸せな気分に浸っている。特に、大好物の、永福町大勝軒のラーメンを一日も早く食べたい。しかし、クリスマスイブに日本に着いても、まったく予定がないので、その夜は、一人都内のホテルに宿泊することになる。うーん、寂しい…。なんでこんな日程を選んだんだろう?お時間のある寂しい同胞の方、僕はavailableですので、お誘いを。でも、次の日からは友達に会う約束があるので、少しは楽しくなるだろう。

日本への帰国を考えると、すごく幸せな気分になるが、来学期の勉強のことを考えると、めちゃめちゃブルーになる。なんといっても、reportingのクラスが辛い。このsemesterにこのクラスをとったアメリカ人の友達たちは、一様に「辛い」という。「お前らが辛いなら、俺はどうなる?」と、不安は隠せないが、まあ、来semesterに苦しめばいいんだから、しばらくそのことは忘れておくことにしよう。

ところで、帰国といえばおみやげだが、現在銀行の残高が100ドルしかなくて、とてもおみやげは買えそうにない。というのも、為替レートがいいときに、円をドルに変えようと考えていたのだが、結局ここまで変えそこなって、今にいたっている。今はかなり円高なので、この機会を逃さないようにしないと。私的には、劇的な円高を望んでいるのだが、こればっかりは誰にも分からないことなので、まあ、今日あたり、少し変えておくのが無難だろう。たのむよ、日本経済!!

というわけで、帰国直前、かなり興奮気味のMichがお伝えしました。


12月12日 終了

今日でこのセメスターのすべてのクラスが終了した。Final papersはほとんど提出し終えて、来週の水曜日に最後のひとつを提出すれば、すべて終わる。その残りのひとつも、半分以上は仕上げてあるので、かなり余裕がある。ここしばらく落ち込んでいたが、最近ようやく回復しつつある。一時はまったく食欲がなく、体重もかなり減ったが、最近は食欲も出てきて、とりあえずは、万全の体調で帰国できそうだ。この週末は、最後のpaperを進めつつ、色々パーティーに顔を出して気晴らししたい。

思えば長いような短いような、とにかくハードなセメスターだった。ただ、色々な知識が確実に身についていることは確かだと思う。かなりのリーディングをこなしたので、色々な本にまたがって出てくるテーマがある。そうしたものを、出てくる都度読みこなしていたので、自然に身についた。今まで点だったものが線でつながった気がする。

さて、Columbiaは先週、めちゃめちゃ寒かった。最低気温が氷点下7度の日があったりして、とくかく外出したくなかった。今週は比較的穏やかだが、真冬には、氷点下20度なんていう日があるらしいので、気候との闘いも厳しい。

今学期は苦しいことばかりで、あまり楽しい思い出はない。来学期も、reportingのコースをとることを考えると、大差ないような気はするが、少しでも幸せと思える生活を送れるよう期待したい。


11月21日 ようやく…

休み前最後のpaperを提出し、最後のクラスも終え、私は既にthanksgivingの休暇に入った。といっても、多くのアメリカ人の友人は地元へ戻ってしまうし、取り立てて予定もないので、休養とfinal paperに費やすことになりそうだが。

アメリカに来て4ヶ月、ようやくアメリカ人の仲間たちに馴染んできた気がする。最初の頃からパーティーへはちょくちょく行っていたが、結局英語力の問題で、彼らの中に入っていくのは難しかった。ここへきて、英語力の向上と、何にでも積極的に参加するよう心がけたことによって、少しは生活が楽しくなってきた。先週末はthanksgivingのパーティーが友人の家であり、そこではたくさんの人と話すことができ、今までで一番楽しいパーティーになった。また、同じく週末に、アメリカンフットボールに誘われ、生まれて初めてプレーした。プロテクターとかをつけて本格的にやったわけではないが、かなりしんどかった。長い間日本で野球をやっていたおかげで、スローイングもキャッチも得意なので、初めてにしてはかなりうまくプレーできた。今週1週間、筋肉痛に悩まされはしたが、また是非やってみたい。

こんなふうに色々な活動に参加するようになった大きな理由は、親友と呼べるようなアメリカ人の友達ができたことだ。彼は、おじいさんが1940年代頃に台湾の米軍で仕事をしていた関係で、アジア人に興味を持っており、色々な活動に私を誘ってくれる。しかもめちゃめちゃいい奴なので、何かと助けてもらっている。やっぱり、友達の存在は大きい。勉強の方は、予想外に問題なくうまくいってはいるが、勉強だけの生活では寂しい。勉強にも社交にも、これからも積極的にチャレンジしたい。

あと、1ヶ月で日本に帰れる。あまり帰りたいと感じてはいなかったが、私生活で色々悩み事があり、ここ数週間落ち込んでいたので、帰国はいい気分転換になるだろう。私は古い人間なので、やはり年末年始は、実家で家族や親戚と酒を飲んで過ごすのが好きだ。両親ももう歳なので、未だに落ち着かない息子とはいえ歓迎してくれるだろう。

友達や両親のことを考えていると、やっぱり人生で大切なのは、仲間と家族だなとつくづく感じる。お金や社会的地位なんて、簡単になくなってしまうし、それらのために人生を費やすには値しないものだと私は思っているが、仲間や家族は違う。私は、何の取り柄もなく、失敗ばかりしている人間だけど、本当にいい家族と、すばらしい仲間に恵まれていると思っている。彼らは、私がどんな境遇にあっても、常に温かく接してきてくれた。彼らが今の私を作ってくれたんだ。今後の人生で、そんな彼らの恩義に報いることができるかどうかは分からない。ただ、無力な私ではあるが、もし少しでも彼らの役に立てることがあるのなら、どんなことでもするつもりだ。帰国を前に、今あらためてそんなことを考えている。


11月16日 上位校の力

現在の大学院へ入学する前は、自分は他の人に比べて、大学院のランキングに拘り過ぎる人間なのかなと思っていた。あるいは、日本人はその傾向が強いのかと。しかし、アメリカ人も他の国の人も、みんなランキングで大学院を選んでいる。ここでいうランキングとは、ゴーマンレポートやU.S. News & World Reportなどを指す。アメリカ人の友達に、何でこの大学院へ来たのか尋ねると、ほとんど全員が、「この大学院がNo. 1だから」と答える。そのNo. 1のよりどころとは、上記のようないわゆるランキングだ。多くの友人は、私と違って優秀なので、 U of Illinois, U of Texas, U of Maryland など、自分の地元の名門大学を蹴ってここに来ている。ColumbiaやNorthwesternなどの私立大学と比べて本当にNo. 1なのかどうかは分からないが、U of Missouri-Columbiaは最近のランキングによれば、No. 1Journalism Schoolだ。なんか自慢くさい話になってしまったが、ここでは、ランキング上位校にはそれだけメリットがあるということをお話したい。

例えば、キャンパスでは、来年夏のインターンシップのリクルーティングが現在盛んに行われている。全米ネットワーク、Time、The Washington Postなどの超有名メディアが連日説明に訪れている。このセメスター、reportingのクラスをとらなかった私は、bylineの記事が十分ないので有資格者ではないのだが、アメリカ人の友人は、積極的に活動している。これだけの有名メディアと面接の機会が持てるのは、やはりこの大学院が、それらのメディアを引っ張ってくる力があるからだ。インターンシップは、アメリカで就職を目指すなら、非常に重要なポイントになるので、みんな真剣だ。また、現在のThe New York Timesのmanaging editor(日本語では編集主幹?とにかく編集現場の最高意思決定者)は、Missouri School of Journalism出身だし、それ以外の有名メディアにも卒業生がたくさんいる。これらの事実は、将来メディアの世界で生きていくうえで、大きな財産となりうる。もっとも、私は大手メディア志望でも、アメリカで就職したいわけでもないので、このメリットを生かせるのか疑問だが。

留学を目指す皆さんは、出願が目前に迫っているが、こうした事実も考慮に入れたうえで、自分にとって最良と思える大学を選んでほしい。もちろん、いうまでもないかもしれないが、ランキングがすべてではないことも付け加えておく。

さて、話はかわるが、この冬休みに日本に帰国できることになった。当初は友達の家にお邪魔する予定だったが、それがキャンセルになったので、思いがけず日本に帰れる。刺身、すし、おでん、やきとり(って食べ物ばっかりだけど)などのことを考えると、今から楽しみでたまらない。クリスマスから1月13日まで滞在予定なので、これを読んでいる知り合いのみなさん、お時間があったら一緒に飲みましょう。ふだん日本語を話していないので、ちょっと不自由な日本語かもしれませんが。


11月8日 疲労

いやー、今週は本当にきつかった。プレゼンテイションが2つとエッセイが3つ。マジで死にそうだった。睡眠時間が、一日3、4時間という状態が続いていたので、かなり眠かったが、昨夜は久しぶりに友達とパブに出かけた。大量に飲んでぐっすり眠ったのだが、まだ疲れが取れない。今日もパーディーがあるのだが、明日友達と飲みに出るので、さすがに今日は休肝日にした。もう若くないので、3連チャンはちょっときつい。特に今週のようなハードな週のあとは。と書いているところに、友達から誘いの電話がかかってきた。昨日いっしょに深酒した友達だ。おいおい、おまえ元気だな。パワーありすぎだぞアメリカ人。って若いのか。うーむ、本当は行きたいけど、明日もあるので何とか我慢した。

今週アメリカは選挙ウィークだった。中間選挙が行われて、共和党は、下院での過半数を維持したうえに、上院でも過半数を制した。結果として、大統領府、上下両院を共和党が握るという異例の事態になった。11月7日付のNew York Timesによると、この共和党の勝利には、ブッシュ大統領の人気が大きく影響しているようだ。ブッシュ大統領は、選挙の最後五日間で、15州の17都市を応援に訪れるという強行日程をこなし、移動距離は10,000マイル(6,250キロ)にも及んだ。これが、棄権の可能性のあった有権者の掘り起こしにつながったと考えられている。アメリカ世論は、必ずしもイラクとの戦争を無条件に支持してはいないが、今後は議会運営が、以前よりは円滑に行われるであろうことを考えると、ブッシュペースで政策は進められていきそうだ。

私は以前から、アメリカ人有権者のバランス感覚というものを評価してきた。大統領を民主党に与えた際は、議会は共和党に。大統領が共和党の場合は、議会は民主党にと、うまくバランスをとってきていて、それが大統領の権力に対する一定の抑止力として機能していた。しかし、テロとの戦争が唱えられ、イラクとの戦争も間近か、というこの時期に、共和党に全権力機構を与えてしまったということに関しては、やはり911以降、アメリカ国民は、少し右側に軸足を移してきているのか、との印象を受ける。こうした状況を踏まえると、フランス、ロシア、中国などの国が、国連を通じてアメリカにプレッシャーを与える重要性がさらに高まったように思われる。わが日本はといえば、アメリカの露払い役を演じるしか能がないので、国連で重要な役割を果たすことはまったく期待できないが。

いずれにせよ、イラクへの新決議が安保理で採択され、あとはイラクの出方次第という状況になった現在、くれぐれも不必要にイラクを追い詰めて、危機的状況を招かないことが重要だ。一方で、イラクが相変わらず小手先のごまかしや、国連に対する不誠実を繰り返すようだと、アメリカの対イラク戦がますます正当化され、フセイン政権は全てを失うことになると同時に、罪のないイラク国民がまたしても被害をこうむることになろう。フセイン政権が勝手にこけるのは自由だが、イラク国民を巻き添えにすることはゆるされない。


10月25日 健康的(?)生活

Mid-term papersが返ってきて、結果は、いくつかケアレスミスがあったにもかかわらず、全てAまたはA-だった。犯してしまったミスはとても悔やまれるが、結果には十分満足している。特に、International News Media System。教授が、「君らの答案には非常に不満だ。Aが4人、Bが5人、Cが4人」といったので、もしCだったらすごく苦しい戦いになるな、と思っていたところにA-だったので、とにかく安心した。再度気を引き締めて、finalに臨みたい。

今日は授業がなかったので、本当に久しぶりに食料の買出しに出かけた。冷蔵庫の中はほとんど空だったもので。とんかつ用の豚と、クリームシチューの材料などが買えたので、週末は料理に励みたい。最近は、鮭を上手く活用する術を覚えて、食生活が一層充実してきている。一切れがかなり大きいので、食べきれないと、これまで敬遠していたが、ちょっとした工夫で日本風の味を楽しめる。大きな切り身を三つに切り分け、ひとつはムニエル、ひとつは塩をすりこんで塩鮭、もうひとつは、みりん、砂糖などを加えた味噌に漬け込み西京焼風に。これらはめちゃめちゃ美味しい、特に外国で食べるのは。

また、今日からカンフーを習い始めた。アメリカ人の友人二人が習っていて前から誘われていたのだが、mid-termも終了したし、また相当運動不足でもあるので、運動不足解消と気分転換のためやってみることにした。カンフーの動きは、老体にはかなり難しく感じられるが、結構おもしろい。週2、3回クラスがあるので、是非続けたい。

そんなわけで、北アイルランドでのパブ三昧の生活とはかなり違った、健康的な生活を送っている。来週からは、禁煙のためにhealth educatorと呼ばれる人に合い、薬を処方してもらう予定だ。しかしアメリカって、何でも薬で治そうとする。肩がこったと医師に話をしたら薬が処方され、禁煙したいと話したらまた薬。うーん、いいことなのか悪いことなのかよく分からないが、まあ後学のため経験しておこう。


10月18日 束の間の休息

ついにmid-term papersの提出完了!!昨夜は徹夜だったが、とにかく終えることができたので、週末は久しぶりにパブにでも出かけたい。とはいえ、11月頭に大きな提出物が集中しているので、ほんの束の間の休息だが。

7月から、ただがむしゃらに突っ走ってきたが、ようやく少しスピードを落として、周囲を見渡せるようになったという感じだ。文字通り辺りの景色を見ると、すっかり晩秋のたたずまいだ。キャンパスは本当に自然が美しい。今日、学校からの帰り道、木漏れ日の中、紅葉し始めた木々や、リスたちの戯れなどを観察してみた。東京での生活ではコンクリートで固められた環境で、かごの中の鳥のようだったが、ここは本当に開放感がある。小さい頃、新潟の田舎で自然に溶け込んで、自然の中で生きていた記憶がよみがえる。春は山筍を採って筍汁を楽しみ、夏はカブトムシ取りや釣りに出かけ、秋は栗拾い、冬はスキーなどなど。あの頃は自然と共生していたよな、とつくづく感じる。こんな風に自然を感じるなんてことは、20年くらい忘れていたような気がする。北アイルランドも自然は素晴らしかったが、やはり天候が不安定なせいで十分楽しめなかった。ミズーリは本当に晴れの日が多いので、気持ちよく緑が目に飛び込んでくる。この大自然の創造主に感謝。

ところで、このキャンパスは、以上にリスが多い。といっても、周りにうじゃうじゃリスがいるとは想像しないでほしい。それはちょっと怖い。舗道を歩いていると、何匹ものリスに出会うという程度だ。彼らがまた走る走る、木に登る登るという感じで、その躍動感がかわいさと相まって、何か安らぎを与えてくれる。

日本は今、北朝鮮から帰国した皆さんが話題になっているようだが、そうした、平和への歩みは歓迎したい。もちろんその背景にある複雑な政治的問題、人間模様などは一朝一夕には解決できない事柄を含んでおり、単純ではないだろう。しかし、この大自然や、野をかけるリスたちに象徴される美しい地球の大切さを心にとめ、それを壊さぬようにして、次の世代へ手渡すことが、今を生きる地球人としての我々の使命だろう。単純な平和主義だけでは、この複雑な国際社会が抱える問題を解決できないことは分かる。ただ、今中東で起こっていること、そしてアメリカで起こっていることを美しい自然と合わせ見たとき、やはり今平和を考えずにはいられない。


10月11日 日本

最近すっかり冷え込んできた。先週の前半までのしばらくの間、夏に戻ったかのような陽気が続いていたが、今は、朝晩はかなり寒い。冬は相当厳しいと聞いているので、ちょっと憂鬱だ。北アイルランドみたいに雨ばかり降っているようだと辛いが、晴れてさえいれば、気分は
いいので低い気温も何とか我慢できると思うが。

今まで全く日本に帰りたいと感じたことはなかったが、先日図書館で朝日新聞を読んでいた
ら、何でか分からないが、急に日本が懐かしくなった。おそらく、テレビ欄を見て、日本の番組
もたまには見たいと感じたのだと思う。こちらでは、ニュースとスポーツ以外は、全然テレビ
番組を見ていないので。ドラマや映画などは、時間がないのと、やはり完全には英語が理解
できないのとで、めったに見ない。Survivorは、家にいる時は必ず見ている。

勉強の方は、来週が前半の山場だ。木曜日提出のpaperが3つある…。幸い、最近は少し要領がつかめてきたので、向かうべき方向性が理解でき、少ない時間でまずまずのものが書けるようになってきた。だからそれほど心配していない。英語力も、speakingに関してはまだまだだが、listening、writing、readingは間違いなく進歩している。Readingに関しては、やはりもっと語彙力を高めないと、この先の段階へは進めないと実感する。歳が歳なもので、なかなか単語が暗記できずいやになるが、まあそれはしようがない。速読力を伸ばして、The New York Timesをもっと読みたい。今のレベルでは、国際面と論説くらいしか読む余裕がないので。

留学志望の方へ。私の経験から、皆さんへの
アドバイス(といえるほどのものではありません
が)のページ
を新設しますので、そちらもちょっとのぞいてください。

10月5日 机の魔力

Mid-term paper提出の時期になり、ますます忙しくなってきた。何より、readingが辛い。1日に100
ページくらいの文献を読まなくてはならず、もうグロッキー状態だ。加えて、ローカル紙1紙と
The New York Timesを購読しているので、1日中何か読んでいるといった毎日だ。Nativeなら
容易に斜め読みして要点をつかめるのだろうが、そんなレベルには程遠いので、恐ろしく
時間を浪費している気がする。まあ、量をこなして慣れていくしかないんだろう。幸い、今まで
提出したレポートは、かなり高得点をもらえているので、苦しみながらも何とか踏ん張ってい
る。mid-termでそこそこの点数が稼げれば、このセメスターは乗り切れそうだ。

ところで、先週、少し奮発して、立派な机とすごく座り心地のいい革製の椅子を購入した。
そのおかげで、以前より勉強に集中できるようになった。机と椅子がこれほど勉強に大きな
影響を与えるとは、この歳まで知らなかった。この調子でmid-termを乗り切って、少しくつろぎたいところだ。

勉強で忙しいにもかかわらず、今、major league baseballのプレーオフ真っ盛りなのでそれも見てしまっている…。やばい…、でも見たいという
ジレンマに悩まされている。先日初めて、私の大好きなRandy Johnsonのピッチングを生で見たが、残念ながら地元St. Louisに打ち込まれてしまった。第2戦もSchillingで落としたので、Arizonaは相当苦しくなった。
もう一度Johnsonのピッチングが見たいのだが、難しいようだ。

今、夜中の1時半だが、もう少し勉強しないと…。ここ1週間はのんびりできそうにない。結果
はどうあれ、とりあえず努力、努力。


9月16日 秋…かな

Columbiaは、最近かなり涼しくなってきて、すっかり秋の装いだ。もっとも、日中は相変わらず
日差しが強いが。

秋の訪れとともに、私の日々の生活も少し落ち着いてきた。一応は無難に課題をこなしてい
るし、教授たちにも色々相談できるようになってきた。また、授業についても、当初はかなり
不安を感じていたが、今は、じっくりと取り組め、興味を持って勉強できている。今後は、
mid-term paperなどがあるので少し忙しくなるが、まあ、何とかなるだろう。

先週は、911からちょうど1年経過したので、全米で記念の式典があり、メディアも911一色で、
アメリカ人の愛国心の高まりを感じた。テロは決して許されないことだし、テロリストに対して
は、断固とした態度で臨むべきだという原則には賛成だが、ブッシュ政権が、高まった愛国心
をイラク攻撃へと直結させようとしているようで、少し不安だ。アメリカ国内にもイラク攻撃へ
の慎重論はあるが、過半数の国民はイラク攻撃を支持している。アメリカ国内世論と他の
同盟国、例えば日本など、の国内世論には大分温度差があるようだ。ブッシュ大統領は先週
の国連総会で、国連のイラクに対する新たな決議案の必要性を強調したが、アメリカによる
単独攻撃の可能性は否定していない。難しい局面ではあるが、アメリカのunilateralismを抑
えるための、国連および同盟国の調整力に期待したい。もっとも、ブッシュ政権の態度からは、
既に結論が出ていて、あとは形式を整えるため、という姿勢が見え見えだが。いずれにして
も、アフガニスタンで起こったような、多くの一般国民が犠牲者になる、という事態は、是が
非でも避ける方策を探らなければならない。

アメリカのイラク攻撃に関する話題は、授業でもしばしば取り上げられていて、中東やヨーロ
ッパの留学生からは、アメリカの態度に対して、厳しい批判も浴びせられている。授業および
個人的関心の両面において、今後も目が離せない。

今は、自分が勉強したいと思うことがあれば大いに勉強できる環境にあるので、この機会を
逃さず、色々学びたいと思う。国際情勢に関しては毎日チェックしているし、David Halberstam,
James Reston, Walter Lippmannなど、アメリカの代表的なジャーナリストについても個人的に勉強している。
秋の夜長を好きな勉強に当てられる。なんとも贅沢な生活だ。


9月6日 自信と不安

第2週目が終了。まだ生き残っている、とりあえず。

クラスでは、思った以上に発言できているし、予習さえしていけば何とかなる授業が多いの
で、少し安心している。特に、International News Media Systemという、国際メディアと、そのメディアが報道するニュースを学ぶクラスでは、北アイル
ランドで学んだことと、真面目にやっている予習のおかげで、かなりクラスに貢献できている(と思う)。特に、19世紀のジャーナリズムについて意見を述べたときは、北アイルランドでの私のスーパーバイザーのコメントを適切に引用でき、教授から、「Terrific!!」と言われた。また、今日、教授と会って、mid-term reportとfinal projectの内容を見てもらった時も、ほとんど問題がなく、自分の思った方向で進められること
になった。まあ、少しは自信が持てるようになってきた、この授業に関しては。

ただ、あとのMass Communication SeminarとPhilosophy of Journalismはなかなか大変だ。前者は、今やっている内容が、ものすごくtheoreticalで、
かなり難しい。アメリカ人の友達ですら、よく理解できなかったと言っていた。後者は、とにか
く、大量に読んで大量に書くといった感じで、毎週1冊本を読み、2週間に一度、本のテーマ
に関して自分の意見を述べたエッセイを提出しなくてはならない。来週は、おのおの、プレ
ゼンテーションがひとつと、提出しなくてはならないエッセイがひとつあるので気が抜けない。

そんな、かなり忙しい毎日を送っているが、以外に落ち着いて生活できている。ちゃんと読み
たい本を読む時間も取っているし、夕食も自炊を楽しめている。少しは自分の生活のペース
がつかめてきたようだ。忙しさのため、本当に親友と呼べるような友達はできないが(何人か
できつつあるが)、キャンパスで友達と立ち話をすることもしばしばだ。

今週ある人から、とても印象に残るメッセージをいただいたので、抜粋させていただく。

ミヒャエル・エンデの『モモ』より。モモの友達、道路掃除夫ベッポじいさんの話。

「なあ、モモ」
「とっても長い道路を受けもつことがよくあるんだ。おっそろしく長くて、これじゃとてもやりきれ
ない、こう思ってしまう。」
「そこでせかせかと働きだす。どんどんスピードをあげてゆく。ときどき目をあげて見るんだが、
いつ見てものこりの道路はちっともへっていない。だからもっとすごいいきおいで働きまくる。
心配でたまらないんだ。そしてしまいには息が切れて、動けなくなってしまう。こういうやりか
たはいかんのだ。」
「いちどに道路ぜんぶのことを考えていかん、わかるかな?つぎの一歩のことだけ、つぎの
ひと呼吸のことだけ、つぎのひとはきのことだけを考えるんだ。いつもただつぎのことだけを
な。」
「するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな、たのしければ、仕事がうまくはかどる。
こういうふうにやらにゃぁだめなんだ。」
「ひょっと気がついたときには、一歩一歩すすんできた道路がぜんぶ終わっとる。どうやって
やりとげたかは、じぶんでもわからん。」
「これがだいじなんだ。」

まさに、今の私のためにあるような文章だと感じた。確かに、あまり遠くを見過ぎると不安に
なる。だから、まずは眼前にあることに集中することからやってみる。これは、簡単なようでい
てなかなかできない。つい、「来週はエッセイ提出だから」とか、「プロジェクトの準備をしなく
ては」とか、勝手にプレッシャーを感じてパニックってしまうことがある。ベストさえ尽くせば、
少しくらい失敗したっていい、最近はそう思うようにしている。「うまくできなかったらどうしよう」
「合格点がもらえなかったら…」と不安になった時には、「so what?」と自分に言い聞かせる。失敗…不可…So what?そんなに大袈裟に考えることはない。人生まだまだ長いんだから。
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