リオ − カ強い闘志を秘めたアンチ・アイドル
大西洋岸の港町ラ・ロシェルで行われたフュスティヴァル「フランコフォリー」。7月17日リハーサル前のリオをグラン・テアトルの楽屋に訪ねた。驚いたことに、素顔でしかも部屋着姿。装ったり、繕ったりすることなく、ストレートに自らの思いを語ってくれた。インタヴューの受け答えの最中に見え隠れするヴァンダ(本名)。大スター、リオの実像はヴァンダとヴァンダッタの間で、揺れているようだった。
−前作と二ュー・アルバム「ヴァンダッタ〜リオの逆襲」の間が長く空いてますがなぜですか?
L私はしょっちゅうアルバムを作る人間じゃありません。少なくとも次のアルバムまで2年間は空けています。「ヴァンダッタ」は、これまで私が作ってきたものとば違うと判断したポリグラム社との契約解消を私にもたらしました。
−ピエ一ル&ジルのアルバム・ジャケット用の写真撮影は疲れましたか?
L私というより、彼らの方が疲れたでしょう。いつもセットを10日ぐらいかけて全部自分たちで作るんです。とてもよく練り上げられたセットで、大変な仕事ですよ。写真はとても楽というわけではありません。ピエール&ジルが作ってるのはイコン(聖画像)なんですよ。彼らはほんとにある主題に基づいた図像のために仕事をしています。余り自然でないポーズを撮らせるんですね、固まった感じの。ちょっと疲れますけど、長く続くことはありません。ピエール&ジルは私が持っている夢の部分、崇高な部分を引き出してくれようとするんですよ。
−ベストアルバムの原題は「ペスト・オヴ…」ですね。(注:ペストは疫病だが、フランスで可愛くて性質の悪い女の子をも意味する語)自分を”ペスト”と思う?
Lそう言われることがあるわ。徐々に進行する病気で、少しずつ触んでいって、あちこちに広がるのね。そう、私はペストよ。
−「バナナ・スプリット」をリメイクしているのはなぜ?
Lバナナは誰が食べてもおいしいでしょ。食べるのに年齢なんて関係ないわ。
−ヴァンダはあなたの本名ですね。ヴァンダッタと本名との間に何か関係がありますか?
Lええ。このアルバムは最もパーソナルで、ある意味では最も淫らなものです。実際、このアルバムタイトルのなかにはヴァンダがいます。私の根源的な性格を決定的に明るみに出してるんですから。それにヴァンダッタ(wandatta)は復讐(vengence)の意味だということを忘れないで下さい。このアルバムを出すのにいろいろと攻撃されましたからね。でも結局、こうして認められましたが。
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