平成3年に就航した室蘭と大畑を結ぶカーフェリーは、本州と道央を結ぶ最短の自動車ルートとして注目を浴びました。多くのトラックや車が町を通るようになり、直接の経済効果以上に、町民の心に活気を呼び込みました。しかし、気象条件が悪く欠航が多かったために、事業の安定を望む運送業者は次第に利用しなくなり、同航路は運休に追い込まれてしまいました。使われていない旧フェリー港のもの寂しい光景から、町民の心理的落ち込みが偲ばれます。
イカを中心とした漁業が盛んな大畑の港には、多くの漁船が停泊しています。「漁り火」の季節には、津軽海峡に幻想的な風景が広がるそうです。
港の一角に魚市場がありますが、私の訪問は週末だったために、ひっそりと静まりかえっていました。大畑町の水揚げの85%はイカに占められていますが、その水揚げ量は1978年より減少しており、今後の水産業の維持・活性化が課題になっています。
イカを中心とした水産品を加工して出荷する水産工場団地は、町の中心部からやや外れた森の一角を切り開いたところにあります。町の経済の中枢を担っていたこの団地では、数年前に有力業者の連鎖倒産が発生し、今日では少数の中小業者が入居しているだけです。経済環境は非常に厳しいですが、町経済の活性化のために、水産関連産業の復興に向けた様々な努力が続けられています。
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