花形は言葉を失って、藤真は右手の自由を失った。

      二人は、完璧なものなどこの世の中に存在しないのだという事実を改めて認識する。誰もが、無様に潰れた粘土なのだということを認識する。

      醜く潰れた粘土細工の人間たち。日々は平坦に白黒の無声映画のようにして過ぎる。


      しかし言葉よりも大切なものを、藤真は知ったような気がした。

      そしてそれを知った時から初めて、二人は再び完璧であろうと努力することが出来るのである。






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