光降る街の隅で
Dancing with the Evil King




怖いくらいの暗闇であった。
闇に属する彼にさえ、飲み込まれてしまうような恐怖を与える闇だ。
瞳を閉じているのか、それともあけているのかさえわからない。
深い深い闇の中、彼の足音だけが響いていた。
どうして、この闇の中、恐怖を押し殺してまで前に進むのかは、彼にもわからない。
けれど、前へ進むことだけが、彼にとって許されたことであった。
深い闇に慣れるにしたがって、恐怖は次第に薄れていく。
彼は、ふと足を止め、後方を振り返った。
――後方であろう方角を振り返った。
光が見えた。
ただ、闇しか存在しなかったその場所に、確かに光が見えた。
一瞬、彼は光に向かって走り出したい衝動に駆られた。
けれど、それはたったの一瞬のことで、彼は肩を落とし、かぶりを振る。
あれは幻なのだ。
自分に言い聞かせるように、彼はそっと呟く。
本物であるはずがないのだ。
ここは、自分の心の中……光が残っているはずがないのだから。
呟くと胸がひどく痛んだ。
真実が、こんなに辛いものだとは思っていなかった。
何も考えずにいたあのころは、幸せすぎて、思い出は低く、そして深く彼を傷付ける。
だけど、その痛みが、とても大切に思えて、彼は自分の胸に、そっと手をやった。
これは本当に解放なのだろうか?
彼は、再び歩みを進める。
胸の奥底に存在する疑問に、彼は静かに頭を振った。
罰なのだ、と彼は思った。
何の――と考える気力は、とっくの昔に無くしていたが、ただ漠然と罰なのだと思った。

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