5月2日、貴重なオフの日なので、カフェや本屋でゆっくりする。 夕方、今日から泊めてもらうMの家へ(→高いホテルは出張の時だけ)。アメリカの郊外型アパートメントが懐かしい。やっぱり広い。 今日は、Mは大学の卒業式だったので、彼の両親が青森県から来ポートランド中であり、私も招かれて、夕食を御一緒させていただくことに。ステーキ屋さんでワインを楽しみつつ、お父さんの武勇伝を聞く。青年会議所のリーダーとして姉妹都市締結に向けて奔走し、アメリカで悪戦苦闘した当時の話は非常に面白かった。こういうエネルギーのある人がまちを変えていくのは昔も今も変わらない。
3日、自分向けのヒアリングの第一段はFCAの元ボスのJ。「よ〜、元気そうだな!」偉くても気さくなままなのが嬉しい。示唆に富む話も聞けて充実。いつか恩返しに日本へ招待してあげたいものだ。 空いた時間に馴染みの鞄屋さんへ寄って、カジュアルなブリーフケースを買う。老舗のおじさん達も相変わらずのんびり働いていた。さらに、よく通った中華料理屋さんへ寄ると「いつもの焼そばですか?」と覚えられていて、これまた嬉しい。 さて、午後はメトロへ。元ボスMの机は相変わらず滅茶苦茶に散らかっている。彼のオフィスで世間話の後にいろいろ質問していると、次から次へ元同僚が割り込んで来る。「ついに戻ってきたのか?」「日本はどう?」「後で席に立ち寄ってね」などと、ヒアリングが進まず嬉しい悲鳴。おかげで交通局のTとの話は当初予定の半分の30分に凝縮されてしまう。
メトロ所内を回ってあちこちで立ち話をした後、メトロ向かいのカフェで親友C、Sとおしゃべり。皆、いろいろ人生に変化があったよう。お互い、頑張ろう。 その時に出たこぼれ話し。「太一と同じ肩書きの奴(Loaned Executive)がこの間までうちの局にいたんだけどさ、これがひどかったんだ。始めは皆、太一みたいな奴かと楽しみにしていたんだけど、蓋を開ければ正反対。50代で連邦林野庁の人なんだけど、仕事しないし、大声で私用電話しまくるし、皆につまらない説教するし、威張るし、もう悪い官僚の見本みたいな奴。皆で任期切れを待てずに追い出しちゃったよ。」そういう人間がいるのはどこの国も同じか?苦笑。 それから、コンピュータ・コンサルと打合せをした後、疲れたので郊外の日本食屋で夕食。Mの家に戻るとばたんきゅー。
4日、今日は大物のインタビューが目白押しでハードな一日である。 まずは州政府のポートランドオフィスへ。土地保全管理局のJさんは、まちづくりの大ベテランだが、典型的な「穏やかな」オレゴン人。「この間、日本の人とも一緒にインドにいったんだよ」など、嬉しそうに雑談してくれた。でも質問にはきちんと答えてくれたし、さらに若い技術屋さんも紹介してくれた。感謝。 大慌てで次の打合せ場所である郊外のカフェへ車を飛ばす。待っていたのは、元クラカマス郡議会議長のJさん。柔らかい物腰のおばさんだが、眼光の鋭さは百戦錬磨の政治家である。こういう人が、私のような者にも時間を割いてくれた上に、通り一遍では無く舞台裏の政治的動きまで語ってくれたことに感動してしまう。 ランチを取り、州オフィスに立ち寄った後、今日のクライマックスである地域のリーダー、ポートランド市のC議員に会う。つい最近改修されたばかりの役所は歴史的で立派な建築。笑顔でオフィスに通してくれたCは、「あー、君か。メトロからFCAへJと一緒にいったんだよね。元気そうだね」と私の顔を覚えていてくれた。メトロ時代に何度か打合せしたことはあったが、まさか覚えているとは思わなかっただけに嬉しい。ばりばりの若手エリート政治家でも親しみやすいのは素晴らしいこと。質問をしていても「それだけ勉強していれば、政治的な答えよりも本当の答えが欲しいだろ(笑)」などと言いながら、ポンポンと面白い話が出てくる。話術の上手さはさすが政治家。官僚より数段上である。「来年のポートランドでのまちづくり会議には呼ぶからな」と嬉しい別れの御挨拶まで付いた。
夕方にはぐったり。偉い人との打合せはやっぱり緊張するのか疲労度が大きい。 でも、出張で一緒だったMさんが再びポートランドに戻ってきたので、一緒にメトロの住民公聴会を傍聴。自転車推進団体がプラカードを掲げる中で、議員も職員も住民も整然と議事を進めていく。中座して、郊外で行われていた別のオープンハウスにも立ち会う。思ったよりも参加者が多くて、Mさんを案内した手前ほっとしてしまう(この日は約40人。後で聞いたところ、翌日のものには5人しか来なかったそう…)。久し振りに「機能している」まちづくり協議に立ち会えて心が洗われた感じ。ポートランドと日本では「話し合い」の形がこうも違うかと思うと、今の仕事を何とかしたい衝動にかられてしまう。
夜、宿を提供してくれているMと話し込む。大学を卒業して次のステップを楽しみにしている彼が少し羨ましい。
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