1)地域都市成長目標
(Regional Urban Growth Goals and Objectives=RUGGOs)
:
州法による土地利用目標の義務づけを受けて、地域都市成長目標が1991年に議会によって制定されました。これは、メトロが地域計画プログラムを定める政策の枠組みと、地区毎の計画との調整プロセスを定めた記述です。
2)メトロ憲章(Metro Charter):
1992年に住民投票で承認されたメトロ憲章は、メトロの最重要任務を地域の土地利用計画と定め、将来ビジョン(後述)と、それを実現するための総合計画であるフレームワーク・プラン(後述)を採択することを義務づけています。一般に、自治体は現在の問題や日々の運営(法執行、消防、道路清掃と整備など)に専念しなければなりませんが、メトロは将来の地域ニーズを予測し、それを受けて計画を立てることを義務づけられたのです。
3)2040成長構想(2040 Growth Concept):
望ましい50年後の地域将来像を検討する基礎資料として、地域2040レポートがピーター・カルソープ事務所の協力により1994年5月に作成されました。この中でメトロは以下の4つの代案を地理情報システムを用いてシミュレーションし、幅広く住民ヒアリングを行いました。
- 参考:現在のまま何もしない
- A案:都市成長境界線を大きく拡大する
- B案:都市成長境界線を全く拡大せず、既存の都市部の密度を上げる
- C案:都市成長境界線を拡大せず、境界線外の衛星都市に成長を振り分ける
住民は地域の拡大路線(参考、A案)を否定し、既存の都市部の密度を上げる方向(B案)を明確に支持しました。職員はB案に技術的検討を加え、都市成長境界線の拡大を最小限に抑えた推奨案として2040成長構想を作成しました。これは始めて「物理的な」計画の概要を定めたもので、議会によって1994年12月に採択されました。
4)将来ビジョン(Future Vision):
憲章で策定が義務づけられた将来ビジョンは、1995年6月15日に議会で採択されました。内容は2040成長構想を発展させたもので、2040年を想定した土地利用や交通などを含む構想図が初めて示されました。
5)都市成長管理実施計画(Urban Growth Management Functional Plan):
州法に基づいて1996年11月に議会で制定された都市成長管理実施計画は、将来ビジョンを実現させる総合計画の見直し方法(もしも実現が不可能な場合にはその理由)の提示を各自治体に義務づけています。
6)都市化保留地域(Urban Reserve)の指定:
1997年3月に、州法に基づいて都市化保留地域が指定されました。
(都市化保留地域の地図)
7)フレームワーク・プラン(Framework Plan):
目標年次を2017年とし、メトロおよび自治体が将来ビジョンを実現する方法を明示する総合計画であり、1997年12月31日までに策定することが憲章で義務づけられています。そして、1997年12月11日に議会制定されました。この制定によって、既存の計画文書は全て統合され置き換えられます。特筆すべきは、自治体が満たさねばならない実行基準が定められていることです。これは、都市成長管理実施計画の実行を予測、達成基準、そして評価し、予測どおりに進んでいない場合には再評価を行う方法を規定しています。財政的フィージビリティも重視されています。