クリチバのまちづくりの起源は洪水対策でした。降った雨をしばらく溜めるための調節池を建設することになった際に、単なる洪水対策から一歩踏み込んで、池を市民向けの公園(次写真のバリギ公園)の一部として整備したのです。
バリギ公園"Parque Barigui"は上の写真の調節池を中心とした、都心部の大公園です。ジョギングコース、サイクリングコース、多くの球技場、ボート乗り場、売店、遊園地など多目的な施設が整備されており、大勢の市民に日常的に利用されています。
クリチバの環境問題への取り組みはハード的な災害対策にとどまらず、資源の減量やリサイクル、環境教育の推進などソフト面が充実していることが特筆されます。その取り組みの中心となっているのが、写真の自由大学"Universidade Livre"です(大学というより研究所と呼んだ方がしっくりくるかもしれません)。ここには優秀な研究者が集まり研究を行なうと同時に、市民を招いての教育活動も頻繁に行なわれています。国連の環境サミットで賞が与えられたプログラムの多くは、この大学で作成および推進されたものです。
クリチバを回って驚かされるのは、あちこちにまちづくりに関する展示スペースが設置されており、大勢の市民に利用されていることです。写真のものは都心にある最大の展示施設ですが、入場料は勿論無料で、まちの歴史、交通計画、環境問題、住宅政策などが市民にわかりやすく解説されています。クリチバのまちづくりの成功は、行政のリーダーシップによるばかりではなく、市民の高い環境意識による部分が大きいのです。
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