[NEXT] : [TOP] : [UP] ::: [SF] : [HOB] : [PROF] : [TOOL] ::: [LINK] ::: [BBS]

Kangeki Kansou Link : IPPO's part 1999.04-06

観劇感想りんく

一歩支部
SF副題は 「金色の階段の彼方」 <いや、なんとなく
1999年1〜3月   1999年7〜9月

 1999年4月から6月までの芝居感想。

 最近は小さな芝居小屋に足を運ぶのが趣味の一つになりました。 遠くまで行く気力はないので、まあ、関西圏にとどまりますが。 感想、のせときます。
 で、実はこれが 「 観劇感想りんく」 という巨大かつ遠大なるネットワーク企画に参加もしていたり。
 このページはタコですけど、この企画はいいですよお、 興味のある方はぜひ他も参照/参加してください。
 こんなタコだけみて判断してはいけません。
 そこんとこ、よろしく。

 この頃は、やはりKKLの面々とよく遊んでいました。
 それ以外の人達とも、面識が広がりつつあるのが面白い所でしょうか。
 色即肯空、空即肯色。<漢字あってるのかな


観劇感想リンク:私のおしながき
1999年 4〜6月・8本
四月になれば彼女は 桃源郷+劇団Su族 ☆☆☆
0度 打打 ☆☆
半神 野田地図 ☆☆☆
総理保科仙吉 劇団衛星 ☆☆☆☆
超贋作サロメ冒涜版 劇団衛星 ☆☆
黒いチューリップ ファントマ ☆☆☆
花見の駅で、二月に PM/飛ぶ教室 ☆☆☆
バクスター氏の実験 ジャブジャブサーキット ☆☆☆
観劇感想リンク:事務局
事務局 規約と書式解説 運営掲示版 演目総目次 そして全てを統べる 和田本部


桃源郷+劇団Su族 #(忘)
『四月になれば彼女は』
期間 1999年5月29日(土)〜5月30日(日) 会場 甲南女子大学8号舘AV室
観劇日 5/30(日)M 座席 椅子一列目中央 客席 半分 チケット カンパ円
  ベタ甘家族愛(笑)

 言ってしまえば、まだまだ演ってる側の人に素人くささが抜けきっていないでしょう。
 場所が学校ですから、そーいう気になっただけかもしれませんが。
 天井の高いスペースでしたから、そういう意味でも寒さ、満ち足りなさがあって、 まあ、場が悪かったといえば悪かったという事でしょうか。

 シナリオの方は、それをカバーしてまあ好みだったです。ベタ甘の家族愛もの(笑)
 演る側が熱を入れてやってくれてますので、自然、「しらける」とは逆方向、 「感情移入」の側へと傾きました。下手に「うまく」やってくれなかった分同調出来たかな?  この手の話、私は、ついつい冷笑する方で観てしまうのですが。

 あらすじ。
 一つの家族。
 父が死んでから、すぐにアメリカに仕事へと渡ってしまった母。
 残された小学生の姉妹二人は、叔母さんの家で育てられる。
 できるだけ早く帰る、今年には帰る、と便りが来続けて、15年。
 15年は長かった。
 そして、長煩いをしていた叔父さんが死んで10日。 全てが手遅れになって、姉妹が側に居て欲しい時居なくて、 叔母が支えて居て欲しい時にいなくて、全てが手遅れになった今になって、 彼女は帰ってくる、と言う。
 そしてもう一つの家族。
 父一人、息子一人で暮らす家に、一年前に離婚した母が、 子をひきとりたいと現れる。そう、ここにも母と子の関係があった。 父は会社で問題を起こし、マスコミを避けて子は、 上述の家族の下へ身を寄せる。
 主人公は、姉妹。もう一つの「母と子」の過程にたずさわり、 自分達の「母と子」の関係に、決着を、つける。

 「おかえりなさい、おかあさん。」
 これが、このシナリオの「キー」になっています。
 でも、この手のお涙頂戴もので行くのなら、私は、 最後のシメはもう一つの言葉でやって欲しかったかな。
 言い忘れた、言えなかった言葉に変えて。
 「いってらっしゃい、おかあさん」と。

 星。星は、う〜ん。身内だからボロクソに言うていいか。

評者:一歩  評価:☆☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩 iwamomo 支部長 はるお BASIL




打打 #最終
『0度』
期間 1999年忘月忘日(忘)〜6月30日(日) 会場 扇町ミュージアムスクエア
観劇日 6/29(土)S 座席 桟敷二列目中央 客席 満席 チケット 3500円
  迫真の演技で内面を切る。

 でも僕好みではなかった、と。(爆)

 とりあえずあらすじ。
 一面の砂漠。その世界でその女性はふと気がつく。ここは何処? 町はどっち?
 一人の男が喋りかけてきている。
「あそこには昔塔が、高い塔があった」
 やがて喋っている背後に現れる人足達。
 心を深く切り突き刺す言葉のやりとり。
 風が来る、と言いながら彼らは消える。
 場面転換。
 会社の中で書類を拾う彼女。周囲に同僚が集い始める。
 社会の壁に先を塞がれた先輩OL、不況に首になった課長、 厳しい事を言う母親。
 心を突き刺す私的社会的風刺と暗喩の言葉。
 暗転。
 洞窟の中に兵士らが居る。それは、先ほどの人足達でもある。
 塔の下には黒い穴が空き、 そしてそこから吹く風が世界を砂に変えていったと判る。
 黒い穴は、そこに埋まっていた銀色の球体を掘り出した時に開いた。
 様々な意味と主張を含んだ心を切り刻む言葉のやりとり。
 暗転。
 通信でしか会話した事のない人との、外での待ち合わせ。
 ネット上では女性名を使っていた男、と判る。
 心の隙間に捻り込まれる言葉。
 暗転。
 今はさびれた下町。そう、さびれた、下町。
 夢破れた人達が、昔は子供であり、若者であり、優しい親であった人達が、 夢破れ疲れて過ごす町。
 町の人は喋りかけてきていた男であり、人足であり、会社の人でもあった。
 彼女は気づく。自身の故郷だと。懐かしい顔の年経た顔に再び出会ったのだと。
 だが、それは彼女の内面が、記憶が作ったものだった。
 思い出す銀色の球体。
 それは皆で夢を書いて埋めたタイムカプセル。
 それは開けない。開きたくない。だって私は、夢を書かなかったのだもの。
 皆に嘘をついて、また明日と言いながら引っ越していったのだもの。

 色んなものを捨てた、忘れた、涙を流さなくなっていた彼女の今の本当。
 または、嘘。
 暗転。


 ……だあ!  なんで俺がこんな訳の判らん長ったらしいあらすじを書かにゃならんのだ!
 とまあ、それぐらい意味不明の作品。
 痛いんだけどね。あちこちグサグサ心にくるんだけどね。
 理屈が、理路がたってねえよ。ブチコミ過ぎだよ。 もう俺はつきあってらんねえよ、 いちいち台詞の裏読みするのなんてだるくてしてれねえよ。
 もっと判り易く簡潔にしゃべれ、そこのクソ。何が言いたい、結局。
 ケツいてえ。こんなの二時間もするな、ああケツいてえ、桟敷は失敗だったな。

 で、も。これでとても面白かったという人もいるのだから、世の中は判らない。


 笑いのほとんどない舞台でした。
 役者さんはね、うまいのね。結構。主役張ったわかぎえふさんなんぞ特に。
 「先輩OL」のキレかたとか間のとり方とかね。
 「地蔵」をした人はね、味が 「化石オートバイ」 の先生に、あの 「スパイ・マイ・フレンド」 でも先生してた人に、似てたね。
 人足さん達は呼吸一致が格好良かったし。
 ボケ老人してた人は捨て身の演技してたし。あれ、パンツはいてないよね、 モロ出しだよね。(<下品なところ見てて申し訳ないです)

 ボケ老人扱ってるのって、基本的に嫌い。身に積まされる所大きすぎで。 ちゃかすな、というか、答え出しとけ半端に扱うな、というか。

 含蓄の量も圧倒的。圧倒的だから消化不良。よって俺にはクソ。
 ええっとね、あの「まぼろしの町の再現」あたりを軸に整理して、 あと全部とっぱらうかほんのサブ景色にまで格落しして、んで、 結末をもっと曖昧にせず、なんらかの答をもっとしっかり用意してくれれば、 絶賛したかも。
 役者さんらがすっげえ奮闘してたので星3つと行きたいが、 それ以上に話の傾向が俺好みでないので、厳しく見て。

評者:一歩  評価:☆☆
観劇感想リンク 一歩




野田地図 #6
半神
期間 1999年5月7日(金)〜5月16日(日) 会場 近鉄劇場
観劇日 5/16(日)M 座席 中列目下手 客席 満席 チケット 7500円
  6割はクソ。4割の中身が超充実。

[hansin]
 実はアンコールに一番感動したり(笑)
 千秋楽だったためなのでしょうね、何度も拍手で役者をひっぱりだして。 芝居にではなく、その行為に思わず心踊らせ、一緒になって最後には スタンディングオベイション、っていいましたか? 皆で立って拍手したです。

 さて。肝心の本編。
 原作漫画を好きな人は、あんまり観ない方がいいです。
 いや、人によるでしょうけど、私はそうでした。
 私は原作を、「アルジャーノンに花束を」 と同じ心の琴線の上で評価しています。
 だから、短篇としての切れ味というか、なんというか、 観念的で謎な言葉を羅列されると、それだけで幻滅に想いが流れるのです。
 原作を書き、今回また芝居の脚本にも絡んだらしい 萩尾望都さんの世界を舞台に再現している、という意味では、 ある程度の成功をしていました。「メッシュ」や、あるいは「花瓶」の 物語で萩尾さんが描いていた、あるいは「ポーの一族」で触れていた、 あの独特の危うい精神世界が確立されています、 野田さんの味と絶妙のブレンドみせながら。
 でも、それって「半神」という物語には、邪魔にしかならんかったと思うです。
 「螺旋」もテーマとして主要に絡んでいました、最初と最後は 「霧笛」の言葉で締めてくれました。
 そこがだから逆に不満なんですね。
 私は「半神」が観たかった。「萩尾ワールド」を観たいのではなかった。
 このすれ違いは大きいです。
 外れるよりはましといえばマシだけど。

 一人の(もしくは、二人の)少女の感情の一連の流れ。
 割り切れない思い、割り切った行ない、隠されていた激情。
 これだけでよかった。これをさらりとやって欲しかった。
 下手にコネクリまわして二時間もの舞台に引き延ばさんでよかった。 無駄。余計。

 特にギャグ類、寒い。いらん。邪魔。特に野田さんのやってた役。 お前出るな。観念の中の象徴的存在として、まあ化け物は存在を許そう。 でもやたらめたらにしゃべるな。しゃしゃり出るな。目障りだ貴様ら。
 だいたい稽古場の現実を混ぜたのってなんか意味があったんか。

 ただし。
 そんな冗長度の高い二時間の中、一瞬見せる瞬間風景が、台詞が、 表情が、鋭い。すごい。
 その1シークエンスの動きが滑らか。 (いや、動きはすごく訓練されてました、皆。)
 見事そのシーンで私の望んだあの「半神」の世界を魅せる。
 そうや。それだけやってればええねん。
 主演二人も美人だし。うまいし。


 でかい舞台。劇団の稽古場を模している。中央には回り舞台、 これは私は 「ここからは遠い国」 で見た品物。 入場すると既に舞台では役者さんが動いている。これは 「トバスアタマ」 で見た品物。
 劇団員が半神を稽古する現実と舞台上の半神の世界が混じり合いながら 話は展開する。
 知能は高く容姿の醜いシュラ、 頭はからっぽだが天使の微笑みを魅せるマリア。 二人はシャム双生児であり、心臓を共有する繋がれた姉妹だった。
 シュラはマリアの世話をみる役回りとなり、時にこの妹をうとみ、にくみ、 そして愛する。外の世界を知らない、多くの拘束を受ける、 ただ妹が自身に繋がっているが故に。
 シュラは「一人」にあこがれる。孤独に。


 徹夜に徹夜を重ねた眠い頭では、結構後半きつかったです、起きてるの。 そんな芝居を組み立てた時点で敗けですな。って、 なんかヤツアタリ気味の感想だなあ(笑)

評者:一歩  評価:☆☆☆
観劇感想リンク 一歩 iwamomo 由信 はるお




劇団衛星 #4月公演
『総理保科仙吉』
期間 1999年4月28日(水)〜4月29日(木) 会場 シアターポシェット
観劇日 4/29(木)M 座席 桟敷席二列目下手 客席 超満席立見 チケット 当日券1500円
  あの衛星がかえってきた。はじけろ、元気馬鹿!(笑)

 今回は二つ同時上演。
 「サロメ」の方はいまいち、「保科」の方は満足だけど進歩がない。
 とかって思ってたら。

 今回上演の二つは、いずれも以前に行なった再演、再々演。
 という事を、後から知ったのでした。

 それでは進歩がないと怒るのは筋違いと言うもの。
 改めて思い起こすと、成る程、劇団衛星の「血筋」が、 今までの系譜が判る様な芝居でした。

 で、保科。
 私は 「脳天気番長出馬する」 で劇団衛星のファンになった人なので、 「サロメ」よりはこちらの方が好みに合いました。
 ゲロを吐く小ネタ。
 力一杯でかつ判り易くも大量な四字熟語を活用した長台詞、 充分に迫力はあるんだけど、 実は冷静に発言を論理展開すると勢い以外の成分はなかったりする、 あの台詞。
 時に男らしさを感じさせる、あの「格好良さ」の演出。
 いやはや、よかったです。

 唯一不満があるとしたら、人物造形がまだ薄いかもしれない、という点です。 はじけた性格の奴らが沢山出てくる訳ですが、 何故に彼らがそういう行動に至ったか、性格に形成されたか、 そんな必然があってこそのドラマです。その部分、一応は付けられているのですが、 むしろ勢いに任せてやってしまっているだけな感触があります。
 再演にこんな文句を言っても始まりませんが、次回には、 是非緻密で説得力ある裏付けつきの人物造形、 そこから必然に現れてくる馬鹿、あるいは真剣さを演出して欲しいものです。

 あらすじ。
 時は未来。地球を目指して巨大イン石が落下を始めていた。
 そんな時だというのに、世界はいまだ分裂時代のままである。
 核の誤爆でほとんど消し飛んだアメリカ。 その生き残りが持てる武力でもって日本を攻めてくる。
 時の総理は保科仙吉、男気に溢れた男の中の男馬鹿。 元野球のパフォーマンス審査員という訳の判らない経歴の持ち主である。
 その脇を固める大臣らも様々な異色の人物共。
 昇龍会という若手政治組合を束ねる者、 現役野球選手を兼ねる者、雪山遭難を総理に助けられた者、 どこか総理を気に入れず、野に下りながらも連立政権の一翼を担う者。
 奇想天外五里霧中の総理の舵取りで、果たしてアメリカとの戦争は、 そしてイン石の衝突は避けられるのか!?

 舞台の面白い所としては、薄紙を貼ったゲートが秀逸。
 アメリカウルトラ横断クイズの、○×泥中飛び込みゲート、あれみたいなのね。
 場面場面で、これを切り割き突き破って総理保科が飛び込み登場。
 いやあ、気持ちのいい場面転換になります。
 他、スポット一つで狭い舞台を鮮やかに切り分けていたのがよかったですね。

 日変わりゲストでは、 「脳天気番長」で番長の通訳をしていた人が、やはり「通訳」として出ていました。 あの人通訳ハマリ訳だねえ(笑)

 他、役者さんで思った所と言えば、このメイン5人の男前っぷり。
 野球選手をしていた人に関しては、 鬚を剃った顔を見てみないと判らないけど、おそらく二枚目。
 いやあ、ええわ。

 そして、ひくラスト。
 更に男前ぶりをあげてくれた様に思ったのでした。
 ああいうある種のシリアスを持った終り、好きですよ、私。

評者:一歩  評価:☆☆☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩 いあはーと iwamomo 由信 はるお BASIL




劇団衛星 #4月公演
『超贋作サロメ冒涜版』
期間 1999年4月28日(水)〜4月29日(木) 会場 シアターポシェット
観劇日 4/29(木)M 座席 桟敷席二列目下手 客席 超満席立見 チケット 当日券1500円
  衛星のルーツを探る。小技は冴えるが基本的にガチャ。

 今回は二つ同時上演。
 「サロメ」の方はいまいち、「保科」の方は満足だけど進歩がない。
 とかって思ってたら。

 今回上演の二つは、いずれも以前に行なった再演、再々演。
 という事を、後から知ったのでした。

 それでは進歩がないと怒るのは筋違いと言うもの。
 改めて思い起こすと、成る程、劇団衛星の「血筋」が、 今までの系譜が判る様な芝居でした。

 で、サロメ。
 聖書系の物語を下敷きとしているのですが、さて、 これを軽やかに料理できたかというと、出来ていない気がします。 私は原典を知らないので、余計なのでしょうが。
 私が知るこの物語といえば、漫画「妖女伝説」星野之宣、で読んだ品です。 (確かあれがそう。サロメとヨハネだったかだけど。) 揺れる心とか、聖と欲とか、 かけひきとかがスリルだったり深遠だったりする物語なのでしょうが、 なんだかよく判らないパロディになってしまったって所でしょうね。
 哲学、といってもいいし、ポリシー、といってもいい。
 それを抜いてしまったらそれはそのままの物語であり得ない、みたいな。

 あらすじ。
 女に目のないエロデ王は、 最近王女の連れ子であるサロメにまで色目を使い出した。 サロメも判ったもので、適当にあしらって遊んでいる。
 そんな彼女を弾劾するのは、 城の地下に幽閉されている予言者ヨナカーンである。 いや、彼女だけでなく、あらゆる堕落を弾劾するのだが。
 ただれた王国の中にあって、 ただ一人まっすぐに彼女を見つめ攻めるヨナカーンに、 サロメは気が気でない。あるいは怒りに燃え、あるいは惹かれてしまう。
 やがてそんな迷いの中、王に踊りを乞われたサロメは、 踊る変わりにヨナカーンの首を求め、望みのものを得る。
 イエス・キリストに導かれた群衆の攻めてくる中、 サロメはヨナカーンの首を抱え、その唇にキスをするのであった。

 というのが原作(?)。ところが衛星版では。
 エロデ王は百歩神拳の使い手の、 スケベはスケベだけど同時に短気な暴力馬鹿でもあるし、 王女と一緒になって馬鹿ちょんラブラブもしてるし。 エロデは脳たりん系のぼんやり娘になってるし、 ヨナカーンも一見原作通りに見えて実はインテリ系たわけになってるし、 だいたい眼鏡をかけてるし。
 登場人物が全員アッパラパーである。 一瞬武当派的に真剣になる時があるぐらいかな。

 原作で通っていたテーマ、というか背骨、が、 スコンと抜けてしまっているのでした。
 そこが抜けちゃったら、 幾らギャグが楽しくても「面白い」物語にならないと思うなー。

 テーマ性を外しても、うまくないと思う。ギャグの間合的な部分、 それからギャグ自身も、かなり寒い感触のものが多かったと思う。 キャラクタの回し方からして、 いわば「喝」を入れる系の人物で強力なのが居なかった事が痛かったか。 全員ボケ倒し、というか。意味不明だけど勢いだけで乗り切るというか。

 あと、ひっかかったのが、チャック・O・ディーン。 その挙動、台詞回し、その全てが岡嶋さん(番長)とかぶって見えたり。 それに、ちょっと台詞や動きのキレが弱かったかな。
 他に気のいった役者と言えば、王女役の人である。 エロデ王との絡みでいきなりラブラブになってしまうあたり、 うまいと思った。それまで置き物だったみたいなのが、いきなり可愛く (まあブリッコといえばそうなんだけどね(笑))なりますからねえ。
 他では。血を吐く、とか、冷静に小さな突っ込みやボケを入れる、 などの定番小ネタが懐かしく使われています。っていうか、 そのあたりが発祥の地だったんですねえ。

 衛星は好きなだけに星は厳しめ。

評者:一歩  評価:☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩 いあはーと iwamomo リン 支部長 由信 はるお BASIL




ファントマ  #11
『黒いチューリップ』
期間 1999年4月16日(金)〜4月20日(火) 会場 扇町ミュージアムスクエア
観劇日 4/17(土)S 座席 一列下寄 客席 ぼちぼち満席 チケット フリーパス0円
  定番大エンタテイメント。

 力の入り方、ノリに置いて成功です。地力を感じさせます。
 最近の観劇との比較では 「スパイ・マイ・フレンド」 を思い起こさせました。
 純粋に楽しむタイプのお話でしょう。

 逆を言うと、「アク」がありませんでした、これが私的には不満です。
 私的な感情のぶつけ合い、批判、捻り、ドロドロ、念、ぶつける思いのタケ。 料理の仕方を間違うと醜悪な臭いを巻き散らすだけになるが、 うまく料理すると小演劇スペースならではの迫力と輝きを見せるネタ。 そういうものを求めた場合には外れたでしょう。
 私が人から聞いた先入観で物言うのですが、「ファントマ」 というブランドには、ある種そういうものを求めてしまっていたのです、 おいらは。故に少々拍子抜けしました、星も次回への期待を込めて辛め、 一つ引きをしています。

 あらすじ。
 時はフランス革命前夜。腐敗する貴族階級から盗みを働きそれを シトワイヤン(市民)に還元する義族「黒いチューリップ」 が世間を騒がしていた。義族の正体は血筋に訳ありで ノートルダムの鐘に捨てられた一人の少女(表の顔は下級貴族)と、 その育ての親であるせむし男。
 「黒いチューリップ」を狩らんとするは、腹黒の女狐貴族、 女と金に狂う大司教、そして三銃士達。
 「ペンは剣よりも強し」と立ち上がったガリ勉君をキーに 両勢力がツバ競り合いをはじめ、時代は革命へと雪崩込んでいく。

 一般常識として皆さんが知っている通りの「黒いチューリップ」が、 本筋としてほぼ脱線なく描かれた、と思って間違いないでしょう。
 あいまあいまにさすがと思わせるギャグや小芝居が入ります。
 紙芝居とかお気に入りだったなあ。俺もキャンディー欲しかった(笑)

 役者さんにつける文句としては、ちょっと台詞が聞き取りにくかったかな。
 動きの鮮やかさ、みたいな部分で、チューリップと女狐貴族がお気に入り。 魅力あったと思う。(チューリップの人、「ベム」でベラやってた人かな?)
 下ネタギャグの入り方は少々顰蹙いってたかも。

 オープニングのプロジェクターも格好良かったなあ。
 あ、あれ、あれだけの幕の広さがあるんだから、 同時に三台くらいプロジェクター回して、それぞれの枠で 「今週のダイジェスト」みたいなの回してくれたら、より格好よかったかも。
 ……と、こういうのは演出に対する提案、に、なるのだろうか。

 テーマとしては、「全ての時代に生きたヒーローらに捧げる」 と、言う所でしょうか。
 終盤で僅かに描かれた「時代/社会への皮肉」みたいな所に更に クローズアップをかけて、登場人物ら (チューリップ、ガリ勉、司教、ダルタニヤン)にそれぞれの想いを 「行動で語らせる」風にして貰えれば、より私の好みだったでしょう。
 その分を今回はエンターテイメント、ギャグ、 そういう部分の強化に力入れた感触ですが。だから、笑いの方はいけたです。

評者:一歩  評価:☆☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩




PM/飛ぶ教室 #10
『花見の駅で、二月に』
期間 1999年4月9日(金)〜4月11日(日) 会場 扇町ミュージアムスクエア
観劇日 4/10(土)S 座席 2列目上手 客席 ほぼ満席 チケット フリーパス0円(当日3000円)
  人生の敗者が花見をする話。

 出てくる人物が全員ハンパ君です。ずるずると逃げの人生打ってきた、つうか。
 中でも主人公にいらつきます。背筋の伸ばし方(というか曲がり方) がどろんとしてるし、「え?」とか「は?」とか、今の若者言葉で言うし。 あの間合い、大嫌いなんですよ。って、俺もじじいになったかなあ(笑)
 で、そんな人物らであるという大前提にたった上で、 どんな芝居にするのか、というと、こんな芝居になったのか、と。 そのテクニックみたいな所に拍手。内容はカスだと思うけど。

 まあ、言えば。敗け犬君たちに一部自分がオーバーラップする(笑)んで、 私の評価は高いのかもしれません。逆を言えば不愉快な芝居でもあるでしょう。 身に覚えがあるに関わらず、ないに関わらず。
 しかしまあ駄目駄目な人生してるなあこいつら。

 あらすじ。
 初春。
 なーんとなくニューヨークに惚れて、なーんとなくニューヨークに行ってみて、 なーんとなく何年か暮らして、里心ついて日本に帰ってきた男達。
 廃線になったある駅で、大きな桜が隣にあるその駅で、彼らは同窓会、 の様なもの、を開く。彼らの仲間だった主人公が帰国してくる、 その出迎えパーティーでもあった。
 主人公は7年間、ニューヨークでメッセンジャーのバイトをしながら、 ただ日々を送っていた。父が死に、妹と母親だけが家をきりもりしてても帰らず、 その母が死んでも帰らず。そして、かつての恋人が、 彼の帰りをひたすらに待っていたらしい彼女が死んだ、この冬。
 帰って来た彼に仲間がそして妹が口々に言う。「彼女は来る」と。
 駅の向うでは狂い咲きの桜並木と菜の花。彼女のたむけだ、と彼らは言う……

 舞台はその、とある駅の待ち合い室。
 客席の中をくの字型にまぎって、役者さんが出入りする道が用意されています。
 これが、なかなか気持ちよかったですね。すぐそばで人を見れて。

 役者としてはうまい人が揃っていたと思います。 特にトラックの運ちゃんが個人的にニジュウマル。知人の運ちゃんが、 やっぱりああなんですよ。持ってる空気がね。職業病的なっていうか。 目茶なホラ吹いて、いつでも元気で。

 話の組たて。前半で解説をしながら「彼女」の登場を匂わせ、 実在と非実在の垣根を混乱の上でかき消してしまってから 後半パートに流れさせるくだりとか、うまいなあと私の思った部分です。

 緊迫感、というのでしょうか、はなかったですね。
 合間にあくびをしたり背筋を伸ばしたりが出来た。 というかしてないと座っていれなかった。これは大きくマイナス。

評者:一歩  評価:☆☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩 BASIL




ジャブジャブサーキット  #31
『バクスター氏の実験』
期間 1999年4月10日(土)〜4月11日(日) 会場 AI・HALL
観劇日 4/10(土)M 座席 正面最前列中央 客席 ほぼ満席 チケット 当日清算券2200円
  壁のない空間に描かれた家族愛。

 広い空間。中央にリング、じゃなくて舞台で、四方を囲む形で椅子。高い天井。
 吹き抜けた形の、良く言えば奥行きのある、悪く言えばスカスカの舞台でした。
 それも含めて、「狙って」いたのでしょうが、 芝居の方も同じ感触。会話や動きの間のとり方に、 一拍「隙間」のある感触を受けました。涼しい風が吹き抜ける様な。  それが1時間、2時間と積み重なって、なんとも言えない詩感の後味を残す。 静かな、涼やかな。
 それはそれでいいのですが、この内容なら、 私は詩感よりも笑いを重視して欲しかったですねえ。
 ボケと突っ込みが絶妙の間で「はずさ」れるのを見てるとイライラしてくる。 っていうか、ねえ(笑)。そこですかさず突っ込んでたら笑いがとれるのに、 何故にワンテンポおくねん! と。

 話自身も、「バクスター氏の実験」というタイトルからは遠く外れた物語でした。 こんなタイトルなのなら、きちんとマッドサイエンティストして欲しかったなあ、 アットホーム物語ではなく。
 そしてマッドらしさというのは、雰囲気として与えられてて、 答がないままに終るのも不満でした。

 あらすじ。
 植物と会話できると主張したバクスター博士。その弟子達は、 それぞれにマッドな道を歩いていた。
 毎年夏、この森の別荘には、 そんなマッド博士一人、娘さんN人、それから変なお手伝いさん二人が現れて、 怪しげな実験をしている。
 そこを訪ねてくる一人の少年、隣の別荘に来ている父親と娘、 ライバルを自称する別のマッド博士、郵便屋さん。
 ドタバタして見えて、同時に静かな夏が過ぎる。

 登場人物としては、ライバル博士がお気に入り。
 郵便屋さんって、役として不要じゃなかったかな。それを言うなら分裂娘もか。
 笑いをとる為の舞台なのなら居ていいけど、 あれだけ静かな間を欲しがったという事は、狙いが別にいっていたのだろうし。
 少年役をしてたキリリとした感じの美人のねえちゃんは、 よくコマーシャルに出てる(例:クレアラシル)人だとか。知らんかったなあ。

 おっとっと、お手伝い二人の最後の白装束はなんなのだ、とか。 あの二人は実は植物人間で、冬は活動できずに冬眠せねばならないとか、 そういう設定があるならあるなりに見せて欲しいですね、謎のままにせず。

 なかなかに実験的で面白い舞台装置と演出でしたし、 それが狙ってたものも出たでしょうが、 でもそれらはこのシナリオには不要やったんちゃうん。が総括。
 まあ、引き込まれてどうこうという芝居ではなかったですね。

評者:一歩  評価:☆☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩 iwamomo 由信 はるお





評者:一歩 の思う所



 その観劇姿勢など。

 芝居を観だしたのは、ひとえに 和田さん (又の名は制御盤さん)に誘われたから。
 必ず5割、いや、無理でも3割は、冷静に、シニカルに、理性的に舞台を観よう、 っていうか、誰が笑ってやるものかという姿勢を保とうというのが一応方針。
 感想はけなし専門。

 プラス評価は
1)ギャグ
2)オチ(結末がきちんとついてる)
3)エンターテイメント(シリアス含む)
 マイナス評価は
1)ピンボケ(判りやすく)
2)眠気(静か過ぎず)

 笑わしてくれて、かつ、後味がすっきりしてれば最高ってわけ。

 強度の眼鏡着用による眼労と、 不節制な生活によるバイオリズム崩壊の為、始終アクビをしています。
 が、これは劇がつまらないとかとは全くの無関係ですので、 大口開けている馬鹿を見ても皆様怒らないで下さい。


 観たの一覧は こちら になりますね。



 ☆の数についてなど。

 一応、五段階評価。

☆☆☆☆☆ 理想!(絶対出ない(笑))
☆☆☆☆ 完璧おもろい! 〜 並よりマシ
☆☆☆ 並 〜 一点買い
☆☆ 意欲は買う

 そのうち「☆」マーク以外を導入しようか、とも考えている。
 例えば「☆+」「☆−」(0.25点加減点)とか。
 例えば「☆★」(0.5点加点)とか。
 どうしようかなあ。



 芝居の法則
「10観て1アタリなら満足しろ」
「舞台装置がすごいと話は駄目」
「最前列は舞台全体を把握できない」
「ナマモノだから痛みや外れが激しい、そして当たりも」
「開幕にはこなれてない舞台が透ける」
「千秋楽は役者さんが声を潰している」






 おまけ。

 芝居小屋マップ
 でも実は 本部 にも こういうの がある。


1999年1〜3月   1999年7〜9月
[COUNTER]
[NEXT] : [TOP] : [UP] ::: [SF] : [HOB] : [PROF] : [TOOL] ::: [LINK] ::: [BBS]

something tell me.
reviewer's :
[mailto:ippo_x@oocities.com] : [BBS]
KKL master's : [PAGE] : [BBS]