1998年4月の日記風ひとりごと...

 

弦楽アンサンブル初共演の巻  歯科での出会い  二人のRichard  マタイ受難曲をめぐる青春の思い出?  道路の渋滞と自己組織現象  二人のChris  制服女子校生と官能検査  つくばの音楽家  受難週  お勧めの歯医者さん

  1998年3月の日記風ひとりごと  アメリカ旅日記Jan-98  岡崎旅日記3/9-11/98

 

4/30(木) 裸のつきあい

 最近、時間があるときは、スポーツクラブに寄って、運動したり、サウナとお風呂に入っています。広いお風呂は、ストレス解消の必需品。今夜はサウナの中で、二人の白人が、聞き慣れない言葉で会話を交わしていました。恐る恐る英語で話しかけてみると、おもしろかった、この人たち。何とと、フィンランド語でした。サウナの国ですねっていったら、喜んでました。Sibeliusの音楽を想像すると、何となくあこがれてしまいますね。このスポーツクラブ、実は巨大なホームセンターと同じ会社が経営してるんですが、このフィンランド人は、ホームセンターの会社で、ヨーロッパとの輸入取引の仕事をしてるんだそうです。彼によれば、今のサウナは実はドイツ風で、本家本元とは違うんだとか。でもこのスポーツクラブにもあと1カ月くらいで、新しいフィンランド風のサウナが導入されるんだそうです(彼が輸入したとか)。楽しみ楽しみ。楽しい裸のつきあいでした。

 

4/29(みどりの日)

 朝、マタイ受難曲のアリアの2回目のリハーサル。弦楽器の人たちが、イメージを掴むためにCDを聴きたいとおっしゃるので、今度演奏する#64-65について、手許にあったCDを聴き比べてみる。一番自分の感性にぴったり来たのは、ショルティガーディナーの演奏でした。ショルティは、ロ短調ミサ、メサイアと、メリハリのきいた本当に素晴らしい演奏を聴かせてくれます。

 弦楽アンサンブルの方々が、指揮者がいないとうまく合わないとおっしゃるので、本当に「歌い振り」をしなければならなくなりそう。Schreierは実演でも「歌い振り」をしたんでしょうか?ちょっと格好悪いですが、折角の機会なので、全力を尽くそうと思います。人に説明しようとすると、必然的に自分でも歌詞と真剣に立ち向かうことになり、理解が深まります。それと同時に、何とも言えないバッハに対する親しみ、尊敬の気持ちが芽生えて来ました。音が溢れていて、どんどん自分の前を通り過ぎていく現代では、ともすると、音楽に立ち向かい対話することを忘れてしまいがちですね。教会で練習していたので、S牧師が偶然通りかかりました。S先生はこの曲をご存じだったようで、「自分が墓となってイエスを迎え入れるというインスピレーションは本当に素晴らしい」とおっしゃっていました。イメージを少しでも具体的にしようと、バッハの「信仰告白」に思いをめぐらせています。

 その後東京の某有名ホテルに行って、長年の友人の結婚式に出席。チャペルでの結婚式だったので、賛美歌を大声で歌う。みんなから振り向かれてしまう...^^;;でも、折角歌うのだから、アルバイトの女性だけに歌わせておくのではなく、みんなで声を合わせるべきと思います。教会でもいつもしっかり声を出しています。披露宴では、新婦のお母さまが二期会のソプラノ(日大芸術学部の先生)とかで、同僚の方が、Mozartのアレルヤを歌われました。コロラトウーラがうまかった。メサイアとかバッハで少し鍛えられたけど、不器用な私は、メリスマはあんまり得意じゃありません。

 

4/27(月)

 つくば国際音楽祭の最大の楽しみは、演奏家を囲むinformalなパーティー。世話役を務めてこられた野菜の水耕栽培の研究家、千葉大学園芸学部助教授のS先生から連絡をいただき、今年の秋から冬にかけて在外研究で不在なので、パーティーの企画と通訳をやってほしいと頼まれてしまいました。今年は財政難で規模縮小になりそうだった音楽祭ですが、何とか7公演を実現させ、毎回パーティーをやろうとスタッフの方々は意気込んでおられます。東京から来ても絶対損はないですよ、皆さん。詳細は、イベントのお知らせに載せていきます。

 

4/26(日) 弦楽アンサンブル初共演の巻

 マタイ受難曲のレチタティーヴォとアリア(新バッハ全集の64, 65番)、弦楽アンサンブルとの初顔合わせがありました。リーダーのヴァイオリニストのO先生が本番の日に御都合が悪くなってしまい、今回は、violin 3, viola 2, cello 1, organ 1という編成。時間がないなりに歌の準備はしていったのですが、練習を始めて気がついた。指揮者がいない!弦楽アンサンブルの人たちは、誰も曲のことを知らない。急遽私が弾き振りならぬ、歌い振りをする羽目に。合唱や吹奏楽の指揮は学生時代にかなりやりましたが、弦楽器が入ったオーケストラを指揮するのなんて、大学の学園祭の指揮者コンクール以来だもんなあ。Peter SchreierのCDでは、彼本人がEvangelistを歌いながら指揮してるんだし〜と思っても、こっちはバッハの素人ですから...。phrasing, articulationをちゃんと決めなくちゃいけない。冷や汗の連続でした。礒山雅先生の「マタイ受難曲」を一夜漬けで勉強した受け売りばかり...^^;;。レチタチーヴォは、創世記の3章や、ノアの洪水の場面である8章に基づいているのか〜、など感心することしきり。Ich will Jesum selbst begrabenの、"selbst begraben"とは、「自らを墓としてイエスを葬る」という意味なんだそうです。(これであっているのでしょうか^^;;、なかなか難しい。)想像力を働かせて、曲のイメージをもっと明確に作っていきたいです。この曲のこと、何でも思いついたこと、メールお待ちしています。それでも何回か合わせると、一回ごとに少しずつ音楽ができてくるのは、うれしいですねえ。時間を見つけて、CDの聴き比べもしてみなくては。

 

4/25(土) 歯科での出会い

 今、夜の11時過ぎ。高速バスの中で愛機のPowerBookをたたいています。今晩は、年に二回のパーティーに出て来ました。雑多な人々が集まってくるホームパーティーの参加者の唯一の共通点は、同じ歯医者さんの患者であること。でも参加者は不思議と、研究者と芸術家がほとんどです。研究者関係の大物は、半導体物理学者で超伝導研究の権威、東大名誉教授の真隅泰三先生、天文学者で太陽の研究の権威、明星大学学長で東大名誉教授の日江井栄二郎先生、口腔外科で著名な、堀準一先生など。今日は真隅先生が電気通信事始めの物理学史に関する講演をされました。今世紀初頭、電信の発明は、イタリア人でイギリスで活躍したマルコーニと、ドイツ人のブラウンによって行われ、二人が同時にノーベル賞を受賞しました。この二人の物理学者の性格は、対照的で、このような二人がいたからこそ、電気通信が創始されたのだそうです。マルコーニは、明るいpragmaticな性格で、どんどん実用化に突き進んだ。ブラウンは、地味で着実な学者肌の人で、他にもブラウン管の発明など、ノーベル賞を3つくらい取れるだけの業績を残したが、あまり注目されなかった。真隅先生のお話では、この二人の性格や研究スタイルは、イタリアオペラと、ブラームスの交響曲に例えられるとか。そして真隅先生のお話の結論は、自然科学は、理性だけの世界と思われているが、理性と感性のバランスが取れてこそ、良い研究ができる、おそらくは音楽も同様だろうとのこと。感性と理性を具体的にどのように組み合わせるか、本当に大事な問題ですねえ。

 美術の専門家では、芸大で彫金を教えておられる、演歌大好きの宮田先生、同じく芸大のデザイン科の三上先生など。音楽家では、芸大楽理科助教授で音楽教育が御専門の佐野先生。東京都交響楽団のVorspielerで、ヴァイオリニストの田中雅子さん。都響のコンサートに行かれたら、コンサートマスターのすぐ後ろで弾いている長身の美人ヴァイオリニストに御注目を。それが彼女です。今晩は、もうすぐ4才になられる息子さんと一緒。二期会オペラのプリマドンナの西森由美さん。10年近く前でしょうか、Debussyのペレアスとメリザンドのタイトルロールを佐藤しのぶさんとダブルキャストで歌われた公演が印象に残っています。その時は知る由もありませんでしたが、その後何度かお会いする度に、楽しくお話しさせていただいています。プリマドンナにしては小柄な方ですが、謙虚でおしとやか。今晩は、生後2カ月の愛息、晃太君を連れて来られました。

 長野オリンピックの音楽でも活躍された、作曲家で千葉大学助教授の山本純ノ介さん。直純氏のご長男。オーケストラの大曲から、NHKの子供番組の作曲、音楽療法の先生とコンビを組んでrelaxationのための音楽のCD制作など、各方面に大活躍の方ですが、興味の範囲が広く、自然科学の話にもとても関心を持たれています。今晩は植物のコミュニケーションの話で盛り上がりました。純ノ介さんは、この会のために3曲もすてきな歌を書いて下さっています。今晩は西森さんが早めに退席されたので、私がソロを歌えとのご指名で、本当なら冷や汗ものでしたが、そこはお酒の勢いで...^^;;。ちなみに作詞は、通産省の現職女性キャリア官僚のIさん。金の亡者のようなキャリア官僚がマスコミで槍玉に挙げられていますが、こんなにのびのびしたすてきな詩を書かれるキャリア官僚もおられるんです。純ノ介さんは6/27に東京芸術劇場で、すべて自作のオーケストラと合唱の作品を揃えた大音楽会をなさるとか。合唱団に加わりませんかと誘われましたが、スケジュールがあうといいなあ。

 古楽のチェンバロ奏者で、鈴木雅明先生の愛弟子の辰巳美納子さん。オランダのアムステルダムに留学され、帰国後は多くのオーケストラと共演されるなど大活躍中。小柄でとてもチャーミングな楽しい方ですが、お酒は強い!アルメニアのコニャックを一緒にいただきました。この方とお話ししていて特に感心するのは、御自分の楽器に並々ならぬ愛情を注いでおられること。心底チェンバロを、特に御自分の楽器を愛していらっしゃる。他にもいろいろな方がいらっしゃいましたが、それぞれの分野で立派なお仕事をしておられる方々と出会うと、我が身を振り返り、頑張らなくちゃと思います。

 

4/22(水) 二人のRichard

 二人のChrisの話に続いて、今日はRichardさんの話。Richardといえば、誰を思い浮かべますか?作曲家ならワーグナーシュトラウス。指揮者なら、ムーティシャイー(イタリア語はRiccardo)。ウィーン・フォルクスオーパーなどで大活躍のポーランドのテノール、リシャート・カルチコフスキーさんとは、ソプラノの歌姫メラニー・ホリデーと共演のコンサートがノバホールであったとき、パーティーでずいぶんいろいろお話しして楽しかったことを思い出します。「君はBelliniの歌曲を勉強しなさい」と言われたのに、未だにほとんど手つかずで残念...。

 さて、実は今朝、次のような宣伝メールがカリフォルニアから送られてきました。 

 This Saturday (April 25) from 2 to 4 p.m., tenor Richard Leech, maestro Richard Bonynge and photographer ML Hart will spend two hours meeting, greeting and signing, giving you the chance to get to know these artists. Bring or buy your favorite CD for an autograph, and while you're there, be sure to pick up a copy of photographer ML Hart's new book, "The Art of Making Opera." Capturing two seasons of San Diego Opera in intimate photographs, the book includes a foreword written by Maestro Bonynge and prominently features both him and Mr. Leech, whose photo appears on the cover. We hope to see you there!

 1997年1月5日に、同じような催しがあり、San Diegoでテノールのリチャード・リーチと、指揮者のリチャード・ボニングのお二人といろいろお話しした思い出がよみがえって来ました。リチャード・リーチは、アメリカが生んだテノールのスターとして大人気でした。小沢征爾指揮のオペラ(Butterflyだったかな?)の日本ツアーの思い出なども話して下さいました。オペラのCDもいろいろありますが、印象に残っている録音は、マゼール指揮ウィーンフィルのマーラーの8番の交響曲のテノールソロです。リチャード・ボニングは、オーストラリア出身の名匠。オペラ、バレエ指揮者として有名で、大ソプラノ歌手、サザーランドの御主人です。サザーランドさんは、もう引退されて、スイスで悠々自適の日々とか。マエストロ・ボニングは、最近レハールのオペレッタの新録音をテラークレーベルから次々と出しています。私もLeharは大好きで、上に述べたリシャート・カルチコフスキーさんの当たり役でもある「メリー・ウィドウ」のダニロ・ダニロヴィッチ伯爵の登場の歌「マキシムの歌」は、しばしば歌う持ち歌です。ボニング先生とLehar談義を楽しませていただいたことを、ついこの間のように思い出します。

 日本でも、演奏家とファンの自由な交流の場がもっとあればいいのにと思います。その点、つくば国際音楽祭のパーティーは貴重な機会で、会費500円の気楽で楽しい会です。今年は財政難でコンサートが大幅に減り、10/14-11/26に5回だけだそうですが、皆さんも是非いらっしゃって下さい。掲示板の常連、Kさんが大ファンの美人ヴァイオリニスト、諏訪内晶子さんがホルスト・シュタイン指揮で、ブラームスの協奏曲を弾くそうですよ。

4/21(火)

 4/15の一般公開のとき、TVカメラが入っていましたが、フジテレビの取材班だったそうで、そのうちニュースで流れるそうです。制服女子校生手取り足取り植物の組織培養を指導しているところは撮られてないと思うけどねえ...。 

 このページの読者でもある一橋大学のGさんが、国立音楽大学のI教授講義の実況中継のページを作られたとメールを下さいました。学生の皆さん、これは!と思う講義があったら、どんどんやるべきですよ。作る方は自分の勉強になるし、外には内容を知りたい人がたくさんいるはずですから。期待しています。

4/20(月) マタイ受難曲をめぐる青春の思い出?

 弦楽アンサンブルとの共演の件では、いろいろな方からメールをいただき、ありがとうございました。マタイ受難曲の最後のバスのアリア"Mache dich, mein Herze, rein"は人気がありますねえ。緊迫した雰囲気の中で、ホッとする名曲ですね。弦楽アンサンブルと一緒にソロを歌うなんて、滅多にないことなので、今回は昔から好きだったこの曲に初挑戦することにしました。この曲にまつわる秘密の思い出、初公開します。かなり昔の学生時代の話ですが、当時私が歌っていた合唱団の伴奏をしておられた美人ピアニスト国立音楽大学出身)が、「私この曲大好きなんですけど、私弾きますから歌いません?」と誘ってくれたことがありました。初見でしたが、もちろん必死に歌いましたよ!広い練習室に二人だけでしたから、ドキドキしながら!?誤解のないように付け加えれば、彼女と個人的な関係は全く何もありませんでしたよ。けど、誘えばよかったかな〜、なんちゃって。とにかく、人前で歌うのは初めてなんです、この曲。もっと渋くて深みのある声のバスの方が、あってるような気もするんですが...。

 古楽が御専門の音楽プロデューサーのEさんからいただいたアドバイスメールを御紹介します。「このあたりにくるともう既に心は開放されていて、受難曲の内容とは裏腹にこころは浄化されてゆくのですね。このへんの心のひろがりというか、余裕というか、暖かさを焦点に、聴き手を大きく包みこんで下さい。」Eさん、ありがとうございました。

4/19(日)

 最近野菜不足と思っていたら、東京は巣鴨で偶然青汁の店を発見。しかも開店記念セールで半額だった。ラッキー!心理的効果もあるんでしょうが、野菜不足が解消し、健康になったような気分に。

 今日いろいろなところで出会った人々。在日42年のアメリカ人牧師B先生。日本中いろいろなところに住んでいたので、各地の方言に精通しておられるのは驚き。経験に裏打ちされた話がおもしろかった。でもユーモア(駄洒落)のセンスはアメリカ流。「みんな早起きする州は?」答はOhio州だそうです。どうしてだかわかりますね?友人の作物学、植物栄養学の研究者で、国際農業研究センター主任研究官のOさん。インドやコロンビアでの研究生活が長かった方ですが、いつもさわやかで謙虚。人柄がにじみでています。大学のサークルの大先輩のUさんに久しぶりに再会。現在の職業は何と俳優!ちょうど大きな舞台が終わったところだそうですが、それでも持ち出しが多く、家庭教師で生計を立てておられるとか。最後に、聖心女子大学の英語の先生、Mさん(アメリカ人女性)と、音楽談義で盛り上がる。いろんな人との出会いに感謝の一日。

4/17(金)道路の渋滞と自己組織現象

 仕事をした後、夕方に東京で所用があり、今高速バスの中でこれを書いています。予想外の高速道路の渋滞に、弱り切っているところ。車がずいぶん流れたかと思うと、しばらく完全にストップしてしまうことの繰り返し。ずっとのろのろ運転になるならわかりやすいですが、なぜかoscillationが起こります。味噌汁のお椀の中に一定の模様ができるのも、化学反応や生体内でリズムが生じるのも類似のメカニズムと考えられます。フィードバック制御がある開放系では、平衡に達することなく、ある種の動的な秩序が形成されることがあります。このような現象は、自己組織化(self-organization)と呼ばれ、この基礎理論を作ったIlya Prigogineは、ノーベル賞を受けました。大学1年生の時、こうした理論に触れ、これぞ生命の神秘を解く鍵かと感激し学園祭で研究発表したことがありますが、実際の生物とのギャップは未だに埋まりません。結局僕は生物の世界にどっぷり浸かる道に入ったわけです。非線形非平衡ダイナミックスの題材は身近なところにたくさん転がっています。境界領域に進んでいけるのはいつのことでしょうか。

4/16(木) 二人のChris

 Chrisという愛称は、男性も女性にも可能です。日本人でいえば、薫さんは男性にも女性にもいるように。女性なら、Christineが代表的でしょう。Andrew Lloyd Webber作曲のミュージカル「オペラ座の怪人」のヒロインの、オペラ歌手の卵がChristine。Phantomが、繰り返し「Christine!」と不気味に叫ぶ、名場面があります。(ついでですが、Phantomの有名なアリア「Music of the Night」は、実は僕の持ち歌で、アメリカでは何度か歌ったんですが、日本ではあまりメジャーじゃないですねえ。どこかにカラオケありませんか?)そうえいば、NHKの幼児英語番組「英語であそぼ」のおねえさんも4月から変わって、Chrisになりましたね。英語も日本語もペラペラな魔女役です。

 一方、男性のChrisはChristopher。イギリス人に多い名前です。3/24にアメリカから私のところを訪ねて来られた大教授もChristopher先生で、みんなChrisと読んでいます。先日、もうすぐ出版されると彼が得意げに話していた論文がついに出版され、一読したところ。ううむ、俺も頑張らないと...。

 もう一人のChrisは、指揮者のChristopher Hogwood。私のメサイアの楽譜には、Chris Hogwoodとサインが入っています(音楽ノート参照)。昨日FAX用紙が切れたので、石丸電気に買いに行ったら、ついCD売場に寄ってしまい、セールで4900円で売っていた、Hogwood指揮のBeethovenの交響曲全集を買ってしまいました。夜、寝ながら3番(「英雄」)を聴いてみましたが、新しい創意工夫に満ちた予想以上の名演奏で、衝動買いにしてはお買い得だったかな?

4/15(水) 制服女子校生と官能検査

 職場の一般公開で、植物の分子細胞生物学やバイオテクノロジーの解説をしました。制服姿の女子高校生、中学生もたくさん来ました。ほとんど紺色のブレザーで、セーラー服は一人も見かけませんでしたよ、I教授!トマトの組織培養を体験してもらうコーナーでは、「超、楽しいじゃん」とか言いながら喜んで実験をしていた人が多かったのはよかった。巷では若者の理科離れとか言われているからねえ。別に私の専門分野はトマトでも組織培養でもありませんが、生き物との触れ合いは、生命の神秘を感じるよい機会です。今後はできる範囲で、教育、啓蒙活動にも協力し、力を入れていければと思います。

 その後、食品総合研究所の知人を訪ねたところ、そこでも一般公開をやっていました。「官能検査」ってご存じですか?要は、味などのアンケート調査のことです。友人の統計学者が現在、官能検査の方法の研究をしており、リンゴジュースの味比べの調査に協力してきました。いや、驚きましたよ、リンゴジュースって、本当にいろんな種類があるんだねえ。中には全然口に合わないのもありましたよ。お土産にもリンゴジュースをもらって帰って来ました。

 つくばの研究機関の中で、日本自動車研究所と、高エネルギー物理学研究機構(高エネ研)は、別の日に公開されます。この二つは、お勧めですよ!自動車研では、衝撃的な衝突実験が見られます。高エネ研では、世界最大級の素粒子、原子核物理学実験用の加速器を案内してもらうのですが、余りにも広いので、お客さんは貸し切りバスで構内を回ります。

 200番目のお客様は、最近掲示板を賑やかにして下さっている、こめえじさんでした。御連絡ありがとうございました。筋金入りのワグネリアンであるこめえじさんが音楽のホームページを開いて下さるよう、皆さん期待しましょう!(と、プレッシャーをかける...)

4/14(火) つくばの音楽家

 つくばには音楽の専門教育研究機関がなくて残念と書きましたが、音楽家は何人か住んでおられます。芸大出身でドイツに留学されたバリトン鈴木優先生もその一人。最近水戸芸術館で、今年の「茨城の名歌手」に選ばれ、今度水戸芸術館でシューベルトのリートのコンサートを開かれます。おめでとうございます。

 余談ですが水戸芸術館は、毎年水戸市が予算の1%を計上し、館長は吉田秀和氏、音楽監督は畑中良輔氏、室内管弦楽団の音楽監督は小沢征爾氏という豪華メンバーで運営されています。建物の設計は、つくばのノバホールと同じ磯崎新氏(バルセロナオリンピックスタジアムや、ロサンジェルス現代美術館の設計者として世界的に著名な建築家)です。つくばからだと、水戸に行くのも東京に行くのもほぼ同じ距離なので、それほど行く機会はありませんが、東京の方もノバホールと並んで、お勧めですよ!

 バリトンの鈴木先生の奥様は、実は私の友人で放射線生物学者のTさん。そのため鈴木先生は、東京とつくばを頻繁に往復されています。私はアメリカで、バスバリトンのPhilip Larson先生(カリフォルニア大学教授)に何度かレッスンしていただいたことがありますが、帰国後は多忙で声楽のレッスンに行く時間がなかなか取れませんでした。昨年夏に鈴木先生を訪ねて一度レッスンしていただいたことがあったので、今回の急なコンサートの話について、相談にのっていただくことにしました。弦楽アンサンブルの伴奏で歌えるなんてことは滅多にないのだから、忙しくても頑張って絶対やった方がよいと励まして下さいました。バッハとヘンデルのスタイルの違いについて、声楽家の立場から教えていただき、なるほどと納得してしまいました。

 湿気が多い気候は苦手です。強風で桜も散ってしまいましたので、桜のリアルタイム画像へのリンクもおしまい。掲示板は、このページを読んで下さっている方々が少しずつ登場し、急に少しは賑やかになりましたので、もう少し続けてみようかと思います。どうぞお引き立ての程を!

4/13(月)

 このページを読んで下さっているKさんとお会いしたら、「字が小さくて読みにくい。I教授の家を見習いなさい」と提案して下さいました。少し試行錯誤してみることにします。

 4/5にちょっと書きましたが、結局弦楽アンサンブル(プロ、アマ混成)の伴奏で、ソロの宗教曲を2曲程度歌ってほしいと依頼されました。今週中には曲を決めて、本番は5/10(日)の午後という急な話です。バッハのマタイ受難曲やヘンデルのメサイアなら楽譜が手に入りやすいとのことですが、必ずしもそれにとらわれてはいません。私の声はハイバリトンなので、なかなかよい曲を思いつきません。よい曲の候補、聴衆の立場から聴きたい曲などいろいろ教えていただければ大変幸いです。

4/12(日)

 つくばの街のおもしろいところの一つは、ありとあらゆる分野の専門家が集まっているので、思わぬ人と出会う機会があることです。筑波大は体育学の研究でも日本で有数らしく、スポーツ選手たちが、コーチ学や運動生理学を勉強しています。今日は、シンクロナイズドスイミング専攻の大学院生の方と会いました。ちなみに私の隣の家にお住まいの方は、コンピューターグラフィックスで非常に有名な先生。ところが、つくばには音楽の専門教育研究機関が一つもありません。全く惜しいことです。

 ゲストブックを兼ねて、後のことは何も考えずに掲示板を試験的に始めましたが、これからどうしたらよいのやら...御意見をお寄せいただければ幸いです。

4/11(土)

 最近全国展開しているチェーン店のレストランで、値段の割にはおいしいというところが多いと思いませんか?目につくところでは、天丼のT社、イタリア料理のS社、中華料理のB社、また回転寿司屋の中にもそこそこまともな店もありますし...。もちろん最高の味を求めるべくもありませんが、よく研究してコストダウンをしている。でもいわゆるファミリーレストランは、さらに研究が行き届きすぎていて、かえって嫌みに感じる...。

4/10(金)

 久しぶりに快晴。府中の東京農工大学、八王子の東京薬科大学を訪問しましたが、春のよき日に歩いていてとても気持ちが良かったです。研究分野の全く異なる初対面のM先生を恐る恐る訪問したところ、とても親切にして下さり、意外な接点が見つかり、予想以上の収穫でした。この出会いを今後生かせればいいなあ。夜遅くに某氏と密会!?といっても年上の男性です...。

4/9(木)

 音楽ノートに書いた鈴木雅明先生の指揮による、good Fridayのバッハのヨハネ受難曲のコンサート、I先生から誘われて、楽しみにしてたのですが、全席売り切れであることがわかり、残念〜!コンサートのチケット争奪戦は苦手です。

4/8(水)

 昨日、職場の一般公開のことを書いたら、さきほど解説役を仰せつかってしまい、4/15の午後1時から2時まで一般向けに、植物の分子生物学やバイオテクノロジーの解説をすることになりました。お暇でしたら、つくばの見学ツアーをお楽しみ下さい。

4/7(火)

 表紙に桜のリアルタイム映像のサイトを紹介しました。今日、郵便局に用事があって近くまで行ったところ、花見客が多かったです。多くは老人ホームの方で、このような方に楽しんでいただけるのは素晴らしいことですね。キングスガーデンという、知人が勤めている老人や障害者のホームの方と偶然お目にかかり、お話しできて、すがすがしい気分になりました。近くの研究所内には菜の花畑もあります。4/15が一般公開の日だったと思います。この日に来られると、おもしろい催し物がたくさんありますよ。今年は菜の花畑に警察の音楽隊が来るんだったかな?近くには、ちょっとした博物館もできました。昨年はペルーのフジモリ大統領も見学に来られたそうです。

 花の話題にちなんで、このページをご愛読いただいている画家の友人が教えてくれた、誕生花のサイトをリンクしました。

4/6(月) 

 111番の方、御連絡ありがとうございました。プレゼントは何がよろしいでしょうか?昨日は半分冗談でレーザー顕微鏡写真なんて書きましたが、なかなかきれいですよ。美人女性(!)にサイン入りで差し上げたこともあります。(顕微鏡会社の方ですが...)

 最近バイオアートなるものがあるようですが、確かに顕微鏡を覗いていると自然の美しさにはっとすることがときどきあります。顕微鏡といっても、最近はコンピュータや測定技術が急速に進歩したおかげで、微細な構造を観察するだけではなく、機能を「見る」ことができるようになりつつあります。私もバイオデザイン計画というプロジェクト研究の中で、「バイオイメージング」に関する研究を担当することになっています。

4/5(日) 受難週

 昨日表紙に、カウンター100番目の方、御連絡下さいと書き添えたのに、自分で100番を取ってしまいました。すみません。10万番を御自分でお取りになった先生もおられましたね。では111番の方、お便り下さい?御希望でしたら、Plant Physiology誌の特別号の表紙を飾った、葉の気孔の細胞のレーザー顕微鏡写真をさしあげます??(笑)

 今日から教会では受難週です。今日の礼拝の音楽は、ほとんどバッハのマタイ受難曲から取られていました。今日の礼拝の音楽はずいぶん手ごたえがある奥深いものだったという実感があり、言い古されたことですが、バッハの音楽のすばらしさを改めて実感してしまいました。5/10に音楽祭があるのだそうで、何かソロで歌いませんかと誘われました。趣味でチェロを弾く電子技術総合研究所のUさんが、弦楽アンサンブルで伴奏しましょうかなんて、魅力的なことをおっしゃいます。本当に実現すれば素晴らしいですけど。メンバーにはプロのヴァイオリニストのO先生もいらっしゃることですし。ハイバリトンの私は、渋いバスの曲も、高く華やかなトップテナーの曲も似合わないので、何が自分にあったレパートリーなのだろうといつも迷います。マタイ受難曲の楽譜を取り出してきて、75番(旧バッハ全集の番号)のBassのアリアをちょっと歌ってみました。長いマタイ受難曲の中でも一番最後に近い、"Mache dich, mein Herze, rein..."という有名な独唱曲です。すごくいい曲なんだけど、自分に合うかなあ?これは!という、ハイバリトンのレパートリーをご存じの方、是非御教示下さい。

 それほど大きくないつくばの街で、数百人の人たちが、神や人生のことを学び語るために毎週集まるというのは考えてみればすごいことです。今日は、筑波大学の社会工学系長(学部長に相当する)の0先生といろいろお話しできて幸いでした。信じがたいほど豊富な読書量と、論理的で深い思索にいつも圧倒されます。O先生は7月から1年間、アメリカに教えに行かれてしまうので、それまでの間にいろいろお話ししなくては。親しくしていた物理化学者のKさんは東大に御栄転、精神保健学者のKさんは大分に...新年度にはどんな新たな出会いがあるでしょうか。

4/4(土) お勧めの歯医者さん

 かかりつけの歯科に定期検診に行きました。何年か前、僕が東京からつくばに移る直前、歯科に通い詰めて徹底的に治療しました。この歯医者さん、さっぱりとしていながら人情味のある豪快な人柄の女性の先生ですが、すごく腕がいいです。それに一度徹底的に治した後は、虫歯予防にとても力を入れています。できれば1カ月に1度来なさいと言われます。そこまではなかなかできませんが、予定が合ったときは必ず出かけて、初期の虫歯がないかどうかをチェックし、歯石除去などの手入れをしていただきます。このH先生の患者さんには、研究者や音楽家や芸術家を中心におもしろい方がたくさんおられ、歯科で知り合った友だちもたくさんいます。前東京交響楽団主席チェロ奏者のYさんご一家もその一人です。虫歯の治療に困っていた友人にこの歯医者さんを紹介してあげたら、通い詰めて徹底的に治療できたそうで喜んでいました。ホームページにいろいろ書いてあるけど(笑)。

 帰りに歯科から近い上野動物園に寄ったら、花見客でごった返していましたが、なかなかおもしろい動物が見られました。トラとゴリラの森の新しい展示は、有名なサンディエゴ動物園によく似ていますが、トラはサンディエゴよりずっとよく見えます!意外におもしろかったのは鷲、鷹などの猛禽類。アメリカの郵便局のシンボルマークにもなっているeagleの姿をこれほど間近で見たのは初めてじゃないかなあ。

4/3(金)

 MIT(ボストンにあるマサチューセッツ工科大学)の知人がメールで知らせてくれたのですが、4/1のMITのホームページがこれに変わったそうです。いかにもアメリカ人らしいユーモアですので、覗いてみて下さい。ミッキーマウスがかわいいですよ!

4/2(木)

 今日は、某大手家電メーカーの、情報技術総合研究所マルチメディアネットワーク部長なる方が、部下二人を連れて、わざわざ鎌倉から私を訪ねて来られました。私はパソコンもエレクトロニクスも全く素人ですが、何やら植物に興味があるとのことで...。私は基礎研究をやってきた人間で、企業の研究開発部門の方々との付き合いはありませんでしたが、全く付き合ったことがない分野の人たちとの出会いは、よい経験でした。

 スポーツクラブに体験入会してしまいました。数年前と比べて、格段に安くなりましたね。以前が高すぎたのですが。今晩は、エアロビクスのステップのクラスに出ました!運動するととにかく血行が良くなって結構仕事をしていても気分がいいです。私は、本場(?)アメリカで生まれて初めてエアロビクスを体験しましたが、日本でやるのは全く初めて。基本的にアメリカのスタイルをそのまま導入しているようですが、日本語と英語が混ざっているのがおもしろい。over the top!(topのoにアクセントがあって、他の音はあまり聞こえない)がオーバーザーートップウーーーになるんですね。エアロビクスは指揮者の基礎トレーニングとしていいんじゃないでしょうか。リズム感がすごくよくないとできない。私が踊る姿、恥ずかしくて見せられないです...。

4/1(水)

 年度が改まり、職場の同じ部屋に新しいメンバーが2人加わられました。ここの桜はこのあたりでは有名で、直線2 kmにも渡る桜並木は、誠に壮観です。桜だけが目的で毎年やってこられ、迷惑駐車と酒酔い運転を繰り返す地元の方がたくさんいます。今夜あたりから、運転は要注意ですね。

 

今月の日記風ひとりごと

 

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