誰だ、誰だ、だれだああ!
簡単に言うけれど、意外と難しいんですよ、この質問の答え。

何しろ、1972年に「科学忍者隊ガッチャマン」が放映されてから、英語だけでも3バージョン(OAV入れたら4バージョン)吹き替え版が作られていますから。(他にフランス語、ポルトガル語、北京語、ハングルなどにも吹きかえられていますし。)

とりあえずここでは、テレビ放映された英語吹き替え版の

Battle of the Planets
G-Force: Guardians of Space
Eagle Riders
について、コメントさせて頂きます。
Battle of the Planets: 英語を話す国際人、科学忍者隊 
 
Battle of the Planets という名前は、お聞きになったことがあるのでは?1978年、アメリカで放送されたガッチャマンの吹き替え版です。制作者はSandy Frank Productions.

当時のStar Wars(1976年制作)の大成功に便乗したのかどうかは知りませんが、Sandy Frank は原作に少々SF調のタッチを加えました。

Spectra という宇宙の果ての、滅びそうな星が、The Luminous One (=輝ける者、神のような存在で、原作の総裁Xに相当)とZoltar (原作のベルク・カッツエに相当)の指揮のもと、惑星そのものの存在をかけて侵略戦争を続けている。それを阻もうとするのが、脳に特殊装置を埋め込まれ(おいおい)、ずば抜けた能力を持つ5人の孤児G-Force(科学忍者隊)。

彼らはChief Anderson (南部博士。ちなみに原作のアンダーソン長官はPresident Kaneという名前になっています)の指示を仰ぎ、"Transmute!"という掛け声とともに翼をまとった正義の味方に変身し、今日もSpectraと闘う。

タイトル(Battle =戦い、Planets =惑星)からも想像されるかもしれませんが、戦いはほとんど地球以外の星で行なわれたという設定です。

予算を惜しまず、当時のアメリカで活躍していた第一線の声優さんをつかって、ガッチャマンを世に伝えた、すばらしい作品です。

と言いたいところですけども...

アメリカの当時の放送規定、特に子供番組に関する規定は厳しくって、過剰な暴力とか悪い言葉とか(「くそっ」とか言ってはいけないんですよ、ジョー)、性描写とか(半陰陽のミュータントなんかが番組に登場してはダメなんですよ、カッツエ様)はいれてはいけないことになっていました。

そこで(まあ、「くそっ」は吹替えでどうにでもなるとして)、制作者はジョーがギャラクターのその他大勢緑軍団を殴るシーンとか、何々研究所のなんとか博士が爆発に巻込まれちゃうシーンとかは全部カットしました。

(あと、カッツエが実は男であり女でもあるという話とか、ジョーが幼なじみのアラン神父と決闘をする話しとか、ジョーが死んじゃう話しなどは最初から吹きかえられませんでした。Battle of the Planets では、G-2号はかなりつまらない人間になってしまっています ^^;;。まあ、そこらへんの細かい話しは後ほど。)

となると、当然、30分の時間枠には足りなくなっちゃいますよね。このため、自家製のアニメーションをつなぎとして加えています。

まず、Ready Room という部屋で、チームが出動の前に待機しているという設定で、Princess (ジュン)がエレキギター、Keyop (甚平)がドラムを演奏している、Mark (健)とJason (ジョー)が卓球をしている、そしてTiny (竜)がハンバーガを食べているという場面を織込んでいました。

他に加えられた自家製アニメーションは、7-Zark-7という、スターウォーズのロボットR2D2の欠陥品みたいなロボットが、犬ロボットの1-Rover-1とともに、Center Neptune(原作ガッチャマンにおける三日月珊瑚礁基地に対応)からG-Force (科学忍者隊)に情報伝達をしているという設定で登場させ、7-Zark-7をナーレーターとして使いました。

この7-Zark-7、ロボットのくせにアメリカの労働基準法が適応されるようで、たまにコーヒーブレークならぬオイル交換休憩(おいおい)をとっていました。

あと、Spectra (原作のギャラクター)メカ登場の場面のあと、必ず7-Zark-7が「僕が早期避難勧告を出したから、幸い死傷者はいなかったけれどね」とか、「ロボット操縦戦闘機(原作によく登場する国連軍戦闘機は、ロボットに操縦されているという設定になってしまったらしい...おいおい)の攻撃はあまり効果がなかったみたいだね」とか

人が死ななかったこと

を一生懸命アピールしていました。(やっぱり放送規定のせい?)

先ほども書いたように、Jasonは死なず、Zoltarは真性半陰陽ではなく、シーリーズには明らかな結末はありませんでした。(個別の話も、原作に対応した順に放送されていたわけではないようです。)

Battle of the Planets はかなりの人気を治めました(かどうかは知らないが、少なくとも綾子の友達はみんな観ていました。)何しろ、当時のアメリカのテレビアニメは、(ディズニーアニメの質は確かに高いけれど、テレビじゃありませんので)登場人物はかわいくない、内容はやたらと子供じみていて、説経くさい。Battle of the Planets は革命的でした。

情報局からおまけ情報:Carolyn Kaufmann様のHPにBattle of the Planets のオープニングテーマがwavファイルになっています(Battle of the Planetsの欄の、一番上のリンクです。zipファイルなので、ダウンロードした後、解凍されなければなりません。)。この音を聞くときの私の心のときめきは、きっと皆様が

「だれだ!だれだ!だれだ!」

という歌声が聞こえてくるときのときめきと同じなのでしょうね(^-^)

G-Force, Guardians of Space: またまた生まれ変わる
 
ところがこのSandy Frank、10年後に放送の権利をTurner という会社に譲っちゃっているんです。Turner Entertainment は、時とともにすこし甘くなった放送規制にあわせて、原作のガッチャマンのノーカット吹替えにかなり近いG-Force: Guardians of Space という番組を、ケーブルテレビの自社チャンネルで1986年に放送しました。

G-Forceは原作により近い(戦いの舞台は地球だった、7-Zark-7 のような不思議な自家製アニメーションの付け足しがなかった)ということもあり、一部のファンの間ではかなり支持されているようですが、やはりBattle of the Planets 同様、ジョーの死やベルク・カッツエが半陰陽のミュータントであるという話しはカットされ、はっきりとした結末はありませんでした。

G-Force は、Battle of the Planets ほど手間と暇と愛情(とお金)を注ぎ込まれていないというのがファンの一般的な見解のようです。声優さんはBattle of the Planets と比較すると、見劣り(聴き劣り?)してしまうとのこと。また、映像の権利は買い取ったものの、音楽の権利を買わなかったので、オリジナルのBGMを付け加えています。(このオリジナルBGMも、あまり評判が良くないみたいです。)

でもこの吹替えでもっとも許し難いのは、登場人物の名前でしょう。まあ、Aggie (ジュン)やGalactor (ベルク・カッツエ。ちなみに、悪の組識の名前は"Galactor's organization"、つまり「Galactorの組識」。そのまんまやー-_-;)やComputor (総裁X)という名前は許されるとして、Ace Goodheart (健。"Good" =「良い」、 "Heart" = 「心」) ですよ。Dirk Daring (ジョー。Daring = 「勇気ある、危険をはらんだ」)ですよ。Pee-wee (甚平。Pee-wee = ちび)ですよ。Hooty (竜。Hoot = 梟の鳴き声の擬声語)ですよ。Dr. Brighthead (南部博士。Bright =明るい head = 頭) ですよ。(おやじの禿頭じゃあないんだからさあ -_-+)(登場人物の細かい紹介は後ほど。)

このG-Force、欧米でたまに再放送されています。海外旅行の際に見られるかもしれませんね。

情報局からおまけ情報:こちらのオープニングテーマも、Carolyn Kaufmann様の音楽ページの"G-Force"の欄にあります。個人的にはBattle of the Planetsのオープニングの方がかっこいいと思うのですが、皆様はどう思われますか?
 

Eagle Riders: ミイラ、じゃなかった、ゾンビのように、またまた復活
 
Haim Saban 氏率いるSaban Productions(欧米では日本の実写変身戦隊ものを輸入したことで有名)が、ガッチャマンII、ガッチャマンFの英語吹替えの権利をタツノコプロから買収し、1996年に両者をあわせたEagle Riders という番組の第1話が放送されました。

Ace, Dirk, Aggie, Pee-wee, Hooty という名前の権利は当然上記のTurner の著作権(買ったのはII とF の権利のみであって、Iの権利は買っていない)なので、新たに Hunter Harris (健)Joe Thax (ジョー)Kelly Jennar (ジュン)Mickey Dugan (甚平)Ollie Keawanii(竜)、 Dr. Thaddeus Keane (南部博士)という名前がつけられました。(おおっ!G-3, G-4 に姓がついたぞぉ!でもG-5の名前って、怪しげなハワイ人みたいで気の毒。)

設定としては、つかの間の平和を味わっていた地球に、Cybercon (総裁X)と謎の悪人Mallanox(ゲル・サドラ)率いる

アンドロイド集団(おいおい)

(またまた「人間が死んではいけない」という子供番組の放送規制-_-;)、Vorak (言うまでもなく、ギャラクター)が現れる。

2年ぶりに仲間と再開したJoe Thax はDr.Aikens(パンドラ博士)にサイボーグであるということを見破られたが、みんなに受け入れられ、再びEagle Ridersの一員として悪と闘う。Mallanox は実はCybercon によって成長を早められてしまったNancy Aikens で、Dr. Aikens の娘。

「ガッチャマン1」が実際に番組に出てこない割には、何となくEagle Riders の5人が以前にも"Eagle mode now!"の声とともに変身し、力をあわせて悪の組識Vorakと、その指導者 Lukan (ベルク・カッツエ)闘ったことがあるような印象を与えられる、ある意味では不思議なシーリーズです。

最後にMallanox はもとのNancy に戻り、お花畑で感動的な死のシーンが...

なかったんです。Cybercon はなんと、シリーズの途中でMallanox をHappy Boy(なんっつうネーミングじゃ-_-+)という、青い顔の、頬に傷のある男性に変えてします。そう、このバージョンではゲル・サドラとエゴボスラーは同一人物なんです。(おいおい)

こちらのシリーズもはっきりとした結末はありませんでした。

それでは、ここでまとめてみましょう。

 

原作 Battle of the Planets G-Force Eagle Riders
タツノコプロ Sandy Frank Productions Turner Productions Saban Productions
1972,1978,1980 1978 1986 1996
科学忍者隊 G-Force (同じく)G-Force Eagle Riders
Mark Ace Goodheart Hunter Harris
ジョー Jason Dirk Daring Joe Thax
ジュン Princess Agatha June 

(通称Aggie)

Kelly Jennar
甚平 Keyop Pee-wee Mickey Dugan
Tiny Hooty Ollie Keawanii
南部博士 Chief Anderson Dr. Brighthead Dr. Thaddeaus Keane
ギャラクター Spectra Galactor's organization Vorak
総裁X The Luminous One Computor Cybercon
ベルク・カッツエ Zoltar Galactor (いないけれど、会話などにLukanという名前で出てくる)
ゲル・サドラ

エゴボスラー

(当然いない) (当然いない) Mallanox,

Happy Boy

「バード・ゴー!」 Transmute! G-Force transform! Eagle mode now!

 

ちょっとごちゃごちゃしちゃいましたね。^^;

登場人物の細かい紹介は、「そのA」をご覧頂ければ、幸いです。


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