http://www.cnn.com/TRANSCRIPTS/0209/09/lt.16.html
CNNライブ・トゥデイ
スコット・リッター氏のインタビュー
放送日時:2002年9月9日 13:20(東部時間)
訳:勝見貴弘 2002年9月12日訳
・・・途中から導入・・・
スコット・リッター氏(元UNSCOM査察官):
. . .イラクの干渉についてもそうだが、もっと大切なのは、いま我々が話している事。そう、アメリカの干渉について話すことだ。事実を正確に把握しておこうではないか。イラク政府は昨日、真実こそが彼らの武器であると言明した。自分について嘘や俗説が広められているときに、何もしないで座視していられるわけがない。
最近広められた嘘や俗説の中に、イラクが9-11事件のハイジャック犯たちと何らかの関わりを持っていて、ハイジャック犯らはサルマン公園の軍事キャンプで訓練されていたというのがあった。私はイラク政府に対し、軍事キャンプをメディアに公開するよう勧めた。そして彼らは実際にそうした。我々はメディアを実際に現場に連れて行き、
そこが人質の救出訓練を行うキャンプ場であることを見せた。あの場所は、イラク政府やイラク軍部隊によって過去10年以上にも渡って占拠されてきた場所だ。このことで、9-11事件のハイジャック犯たちが同施設で特別な訓練を受けたなどという俗説が覆ることを期待する。
フィリップス :
スコット、君はイラク攻撃については合衆国がレトリックばかりで事実を挙げていないと言うが、合衆国大統領が、サダム・フセインが大量破壊兵器を隠し持っておりそれを使おうとしていると言っているのだよ。君は一般市民となった筈だが、君は合衆国大統領やそのスタッフよりも確かな情報を持っていると主張するのか?
リッター:
私はただ、私にはもっと事実を挙げ、納得の行く分析でその根拠を挙げることができると言ってるだけだ。騙されてはいけない。合衆国大統領は嘘をついて戦争を始めようとしたのはこれが初めてじゃないんだ。ベトナムのときに、トンキン湾決議によってどれだけ深く巻き込まれることになってしまったか、思い出してみてくれ。私はいま、まったく同じことが起きているんだと思う。
ブッシュ大統領に確固たる理由があるなら、現政権にイラクに対して宣戦布告するだけの確固たる理由があるのなら、そろそろその理由をはっきり示すべきだ。戦争のレトリックはもうたくさんだ。米軍兵士が戦争に狩り出されるのを見るのはもうたくさんだ。イラクに関することでアメリカが言うことに何の根拠もないという理由で、
世界がアメリカのスタンスを否定するのを見るのはもうたくさんだ。イラクの兵器開発は懸念している。私はずっとそれを懸念してきたからこそ、イラクは国連の査察団の入国を無条件で許し、干渉のないアクセスを与えるべきだと進言してきた。
海兵隊をイラクに派遣することばかりではなく、兵器査察官たちをどのようにしてイラクに戻すかについての話し合いを始めてほしいものだ。
フィリップス :
スコット、つまり君はサダム・フセインが言うことを信じると?
リッター:
すまないが、あたかも私がそう言ったように言うのはやめてくれないかな。
フィリップス :
質問を訊ねてるだけ。ただ質問を訊ねてるだけだよ。
リッター:
私は自分の経験を信じる。君は私に質問をしていただけだと言ったね。ならばこれが私の答えだ。私は私自身を信じる。自分が経験したことを、私は信じる。自分がこの目でたことを、私は信じる。現時点で、私はイラクにおける自分の10年以上の実施経験をもってしても、ブッシュ政権がイラクについて語る事の根拠となる情報をピンポイントできない。
だから、政府が主張するように新しい情報があるのなら、それをテーブルの上に出して、アメリカ国民に示してほしい。推測的なレトリックをばら撒いている場合ではないはずだ。死ぬかもしれない米軍兵士を戦争に差し出すというのだ。根拠となる事実がなければそれを支持できる筈もない。
フィリップス:
しかし、サダムがこれらの兵器をクルド人に対して使用したという厳然とした事実もあるんだよ。これは、誰もが見たことじゃないか、スコット。
リッター:
ああ、確かにそれらの兵器は使われたが、それは1988年のことだろうに。
フィリップス:
つまり、いまではもう存在しないと?
・・・クロストーク・・・
リッター:
. . .は、サダムにこれらの兵器の保有を明確に禁じた。
フィリップス:
つまり、1回は使用したが、それがあまり効果がなかったのですべて破棄されたと言いたいわけだ。
リッター:
参ったな。頼むからちゃんと私の話を聞いてくれないかな。私は、1991から1998年の間はUNSCOMがイラク国内で活動し、クルド人に対して使われた兵器の生産工場はそのときに破壊されたと言っているのだ。もしイラクがそれらの兵器を現在も保有しているのだとしたら、1998年12月に査察団が引き揚げた後にこの工場を修復していなければならない。
ブッシュ政権がイラクが実際に化学兵器を再開発したことを証明しない限りは、1998年のミスは誰にも咎める事はできない。確かにあれはその事実自体をなくしてしまいたいほどの酷い過ちだった。しかし、1998年や1988年に遡ってイラクが当時それらの兵器を保有していたからといって、いまもそれらを保有しているに違いない主張することはできない。そんなことを理由にいま戦争に踏み込もうとしているわけではない筈だ。
フィリップス:
スコット、イラクへの旅費は誰が払ったんだ?
リッター:
旅費は自分で払った。請求書や口座をチェックしたいのならばご自由にどうぞ。
フィリップス:
君がオンエアのうちは何もチェックすることはできないね。だから君の言葉を信じるしかないようだ。
じゃあ、もう一つ君に質問がある。クリントン元大統領すら、『ラリー・キング・ライブ』に出演したときにオサマ・ビンラディンについて何ら対策を講じていなかったことを後悔していると言っていた。そして何が起きたか。
サダム・フセインについても、何もしないでいられるというのか?
リッター:
悪いが、私は1991年からサダム・フセインと戦っている。それから7年間もの間あの国で大量破壊兵器の廃棄に努めて来たんだ。サダム・フセインについては十分色々やってきたと思う。国際社会は、サダム・フセインの兵器を奪うべきだとした。そして私は、成人してからの大部分の人生をそのために費やしてきたんだ。
君は、サダム・フセインを権力の座から引き降ろさなかったことを後悔していないか私に問いたのかな。アメリカ以外でも、そんな権利のある国が存在するのだとしたらそれを許す国際法が何なのか見せてほしいもんだ。サダム・フセインがなぜ合衆国にとって脅威なのかを示す確固たる証拠があるのならば、私は勇んで再び奴と戦うよ。合衆国が脅威にさらされるのをただ黙って見過ごすつもりはない。
だが現時点では、サダム・フセインやその政権が合衆国が戦争するほどの脅威であることを示すような根拠は誰も示せていない。
フィリップス:
つまり、現在君はサダム・フセインはいかなる大量破壊兵器も保有しておらず、合衆国やその他の国々に対して大量破壊兵器を使うことはないと言い切るんだね。
リッター:
頼むから、あたかも私がそう言ったような物言いはやめてくれないかな。イラクにおける武装解除は未だ完了したとは言えない。1998年以降やり残してきたことがあるのも確かだと思う。だが、それを最後までやらせてくれなかった。だから私は抗議して、辞任した。
それ以来、私は査察官たちをイラクに引き戻すために奮闘してきた。委員会が定めた目標をすべて遂行することによって、イラクを武装解除するためだ。サダムをスパイしたり、不安定化させるためではない。イラク政府には査察団の受け入れを進言してきた。それによって、これを最後に国際社会にイラクの兵器開発プログラムの実態がすべて明らかにされるだろうと考えたからだ。
1998年に私はこう証言した。査察団がイラクを離れれば、イラクは半年の間に兵器開発を再開できる、と。それからもうすぐ4年も経つ。イラク国内で何が起きているのか、私にはわからない。誰も、イラク国内で何が起きているのかわからない。イラクが兵器開発を再開したという根拠となる事実が挙がらない限りは、戦争に突入するよりも、査察団のイラク受入れをどのように実現するかをよく考えたほうがいいと思う。
戦争を軽視すべきではない。私は軽視しない。私は、12年間に渡って海兵隊に所属した。私は後輩の海兵隊員たちの命も尊いと思っている。彼らの生命を危険に晒す前に、彼らを犠牲にする前に、せめてそれが価値ある目的のための危険であり、犠牲であることを示そうではないか。
フィリップス:
仮に査察団がイラク国内に受け入れられとして、君は本当にイラク国内で彼らが自由に動き回れると思うのか?
リッター:
それはイラク政府側の問題だ。国際社会は十分なほどに、イラクに無条件の査察団受入れと、干渉のないアクセスを与える必要性について忠告してきた。実際、これは私が先日イラク議会に向けたメッセージと同じである。昨夜はサブリ外相に。そして今朝は、ラマダン副大統領にに進言してきた。
国際社会の求める事になんら反することは言っていない。イラクには選択肢がない。それだけは明確にした。査察団を受け入れるか、破滅を選ぶかだ。後はイラク側の問題だ。査察団を受け入れるのなら、国際社会の意向に従うかどうかは、イラクが決める事だ。
フィリップス:
元UNSCOM査察官のスコット・リッター氏でした。ありがとうございました。
リッター:
ありがとう。