「ひと匙の幸せって?」 おすすめ度 ★★★★★
オードリー作品では「ティファニーで朝食を」と同じくらいお気に入りの作品です。マンシーニ&ドーネンの世界がロマンティックで小粋なムードを醸し出し浸れます。過去と現在の描写が織り成すシーンを南仏の美しい風景を舞台にロードムーヴィーで巧みに見せ、アルバート・フィニー、オードリー・ヘップバーンの2人を囲む脇役の面々も個性溢れていて“パスポート(人生って意味も含む?)”を効果的に演出しているのにも脱帽しました。2人を見ていると、幸せの匙かげんってなんだろう?と、映画の中にもぐりこんでいきそうになり、見れば見るほど、味わい深い作品です。オープニングの影絵のようなタイトルロールも素敵です!!
「まるでミュージカル映画のような味わい」 おすすめ度 ★★★★★
「ローマの休日」のオードリーを初めて観た時には、世の中にこんなに美しく可憐な女性がいるのかと衝撃を受けました。
映画の冒頭シーンは電話をしている彼女のドアップシーン、あの人がこの人になったかのショックは大きかった。目の周りの皺がすごくて、キツメのアイラインが侘びしさを漂わせていました。
この時の彼女はまだ40才になっていないはず。上手く年を重ねるのには失敗してしまったようです。人気女優の旬は短いですね。
映画はミュージカルの名手だったスタンリー・ドーネン監督の才気溢れる演出が冴え渡っています。
夫婦が昔初めて訪れた地に自動車旅行に行くと、若かりし頃の2人がヒッチハイクしているところとすれ違ったりetc.現在と過去が巧みに入れ替わるシーンの連続に魅せられ酔わされてしまいました。
誰も歌い出したりはしないけど、上出来のミュージカル映画のような味わいを感じます。
オードリーのファッションにも注目、彼女のジーンズ姿や水着姿が見られるのもこの作品だけではないかしら。赤いセーターと細身のジーンズ・スクール水着のような水着、エレガントに着こなしていました。
彼女の旦那様役を演じたアルバート・フィニー、当時はオードリーとのロマンスの噂もあったようです。彼はオードリーを「世界一セクシーな女性」と絶賛していたようです。
ちょい役で駆け出しの頃のジャクリーン・ビセットが出てくるのも注目です。きらめく美貌とデンジャラス・カーブのボディ、一瞬オードリーを忘れて彼女に目が釘付けになってしまいました。
この映画が製作されたのは1967年ですが、今観ても古さを感じさせない新しい映画です。倦怠期を迎えた夫婦の姿を描いても、ちっとも生活感漂わないのはオードリーの持ち味のお陰かな。
嫉妬したり、泣きべそかいたり・・・そんなお茶目な演技も楽しめます。大好きな作品です。
「60年代の香りたっぷりの、夫婦映画の傑作」 おすすめ度 ★★★★★
スタンリー・ドーネン、ヘンリー・マンシー二、そしてオードリーときたら、それだけでウキウキしてきます。そして、その期待を裏切らない珠玉作がこれで大好きな映画の1つです。このトリオの前作「シャレード」は、お洒落度たっぷりの極上のサスペンスですが、こちらはそんなスタイリッシュさを失わずも、加えてオードリー作品の中では稀な、現実的な作品でもあります。倦怠期の夫婦の日常的ドラマを過去・現在・交差させる手法を保ちながら、しみじみと私達に「愛」について見せてくれます。その心地良い事!出会いの頃の憂い、新婚のウキウキ、たわいもない言い合い、倦怠期の浮気〜そして、今一度のやり直し。
そして、オードリーの共演男優はいつもは彼女とは年齢の離れた年上男優が多かったのですが、今作共演は、まだまだ若い新進のアルバート・フィニーがオードリーとまったくもって対等の雰囲気でカップルを演じます。時にオードリーに冷たく当たったりもしますが、それをけなげに、タフに受け止める彼女が新境地の演技をみせて素晴らしい。60年代のあの少しばかりサイケな香りが漂う映像に、切なくて愛すべき音楽はやはりマンシー二です。エンド・マークが出てもいつまでも余韻に浸りたい夫婦の物語です。是非、ご覧になってみてください。
「歓喜DVD化」 おすすめ度 ★★★★★
アメリカ版DVDを手に入れたほど大好きな作品。スタンリー・ドーネン監督のお洒落でスマートでせつなく温かいストーリーに、ヘンリー・マンシーニの美しい音楽。何度見ても涙なしではいられません。そして歳月を重ねると違った味わいがあるであろう素晴らしい作品です。学生時代のオードリーは少し苦しいですが彼女のキュートな魅力は存分に発揮され、アルバート・フィニーも文句なしです。
「夫婦の危機! 「アイズ ワイド シャット 」と同じ原作者だよ」 おすすめ度 ★★★★★
ヘップバーンの作品の中で個人的には、ベスト3に入る映画です。「パリの恋人」「シャレード」に続く、スタンリー・ドーネン監督との主演作。とにかく洒落てるし、テンポがいい。セリフもすごく気が利いてる。この映画、日本語字幕で翻訳する人には、つらい映画です。英語の少し分かる人なら、何度か見た後に、英字幕で見ることをお勧めします。ほとんど英語版向田邦子の世界です。原作はあのアイズワイドシャットと同じ原作者です。夫婦の危機という同じ題材を取り上げながら、こんなにも違う映画できるところがおもしろい。
概要 夫婦仲が冷めきっていたマークとジョアナは、ふたりだけの旅に出る。その道中、出会い、新婚時代など、12年間の生活を回想していき、夫婦のきずなを再認識することになる。 現在と過去のエピソードを交錯させながら、一組の夫婦のリアルな愛の軌跡をつづっていく本作。赤の他人が共に暮らしていく結婚は、新婚時代に仲がよくとも、やがてふたりの間に溝はできる。それを埋めていくのが愛情なのだ。相手の欠点も受け入れざるをえないのが結婚生活であると描いた本作は、決して甘くロマンティックな映画ではないけれど、離婚の危機に直面した中年夫婦の現実を、時折ユーモアを交えながらグイグイと見せていくスタンリー・ドーネン監督の手腕は見事。また饒舌で自己中心的なマークという男に深みを持たせたアルバート・フィニーの名演&オードリー・ヘップバーンの華やかな魅力が光る。オードリーとドーネン監督は『シャレード』に続くコンビ作だが、作品の印象はまったく異なり、味わい深い愛のドラマになっている。(斎藤 香)
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