「とっても楽しい」 おすすめ度 ★★★★☆
昼下がりの情事ですから今ならもっと過激なシーンもあるはずです。でも時代があそこまでしか見せなかったのでしょうね。でもそれがあの楽しさをかもし出していると思います。オードリーと情事、あまり結びつかないでしょう。しかも、相手はクーパーで名うてのプレイボーイという設定です。この作品の面白さは若い娘が言葉巧みに男を振り回すところ。情報源が家であるところも面白いし、楽団の皆さんも楽しい。オードリーのかわいらしさはもちろん、話の面白さも楽しめます。
「オードリー主演ワイルダー作品2です。」 おすすめ度 ★★★★★
この作品でクーパーが演じているプレイボーイ役は、本当はケーリー・グラントにやらせたかったとワイルダーは語っています。確かにそのほうがお似合いだったかもとも思いますが、しかし、クーパーでももちろん最高に楽しい作品であることに変りはありません。ワイルダー作品独特の、おしゃれでユーモラスで、ほのかにペーソスのある味わいは言葉で言い尽くせないほど魅力的です。またオードリーも、ラストシーンの繊細で切ない、なんともいとおしげなあの表情などは、「ローマの休日」の時よりも着実に演技力が向上しているのではないでしょうか。オスカー受賞時のスピーチで「これから勉強します。」と言っていたその勉強の成果でしょうか。個人的にはシュバリエも含めた主役陣とワイルダーの大ファンなので、文句の付けようのない素晴らしい作品です。(DVDに英語字幕が付いていないのは残念ですが。)
「アンクレットの秘密」 おすすめ度 ★★★★☆
今では何でもないけれど、原題のlove in the afternoonに「昼下がりの情事」という邦題を50年代に付けた人は、かなり大胆でセンスがあります。ヘップバーンの映画でなければ、一歩間違えると当時では成人映画の題名すれすれだからです。監督のビリー・ワイルダーは、「お熱いのがお好き」などに代表されるように、この映画でもエロティックな題材をいやらしさを出すことなく暗喩した表現で、実にスマートにおもしろおかしく描く天才です。つまり「分かる人には分かる」ように表現してるんです。もちろんそれが分からなくても十分に誰もが楽しめるように作られているわけで、そのあたりが今の映画監督には足りない「職人芸」ではないかと思います。耳年増でいたずら好きの少女のようなヘップバーンがチェロケースの名札についていたチェーンをアンクレットに見立てて、足首につけ、ゲーリー・クーパーを翻弄するシーンは傑作。アンクレットは今ではかなり一般的にもつける人も多いですが、元々はかなり特別な女性しかつけなかったのでないでしょうか?それは足首を強調するアクセサリーであり、そこには意味深なものがあります。試しにankleを辞書で引いてみて下さい。こういう映画は、きっと色々経験したり、年齢を重ねるほど、その面白さが分かるので、DVDで持っていて損はないかも・・・?
概要 アリアーヌは、探偵である父の調査書を盗み見て、フラナガンというハンサムな男性に憧れを抱く。彼女は、素性を隠してフラナガンに接近。彼が愛人の夫に殺されそうになるところを助け、そのことをきっかけに憧れが本気の恋に発展。フラナガンもチャーミングなアリアーヌを忘れられなくなる。 パリを舞台にしたオードリー・ヘップバーンとゲーリー・クーパー共演作。好奇心旺盛なアリアーヌを演じるオードリーは可憐な魅力を振りまき、その魅力を惜しみなく発揮している。憧れの人と恋に落ちても、自分の正体を知られたくないアリアーヌと彼女のことを知りたいフラナガンの恋の駆け引きもスリリングで見応え十分。テンポよくイキな演出はビリー・ワイルダー。1957年のモノクロ映画だが、いつ観ても色あせないスイートなラブストーリーだ。(斎藤 香)
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