1997年9月15日(月曜日)勤労感謝の日

10数年前、会社に入社したとき、私のTOEICの得点は270点だった。たぶん、誰も信じないと思う。鉛筆を転がして回答した場合の正解率に限りなく近いからだ。普通の人ならこの得点は取れない(ふふふっ)。もちろん、白紙で出したわけじゃないですよ。ちゃんと回答しての得点ですよっ(自慢してどうする)。

というわけで、当時の、「英語は難しい〜」という話をします。

そのころ、初めて海外出張することになった。ある団体が企業を対象に企画したツアーで、参加したのは10社の企業からそれぞれ1人づつ、計10人。米国ジョージア州アトランタで催された春のCOMDEX(こういう名前のコンピュータ・ショーです)の見学だった。

参加者の中では、1人だけ海外2回目の人がいたが、残り9人は海外は初めてだった。私ももちろん初めてで、それまでは、飛行機にも乗ったことがなかった。

ホテルの近くのステーキ屋さんに、みんなで夕食に出かけた。10人がわりと大きな丸いテーブルに案内されると、おおがらな黒人の青年が我々のテーブル担当のウェイターさんだった。

彼は10人の注文を順番に聞いていったわけだが、英語をほとんど喋れない10人を相手にしても、とても親切で、1つ1つの注文にかなりの時間がかかっても、終始にこやかだった。汗をぬぐいながらも、ニコニコ応対してくれた。

全員が注文し終わると、彼は「...........」と、何か言った。我々10人は理解できない。「ぷりーず、すぴーく、あげいん」というと、彼は「サラバ」がどうしたこうした、と言う。10人は、ザワザワと隣同士で、「サラバってなに???」と話し合ったが誰もしらない。

「もあー、すろーりー」…とゆっくり喋ってくれるよう頼んだあと、10人は目を皿のようにして彼に注目。彼の額には汗がたらり.... そこで彼は、、、「さらっ、ばぁ」。

おいおい、サラバって何だ。全くわからんぞ。そんな言葉、聞いたこともない。まさか、「さようなら」と言っているわけでもあるまい。

我々は、さらに「もあ、もあ、すろーりー」 と言って、10人で真剣に彼の「くちびる」の動きに注目。これをクリアしないとステーキは食べられないのだ。

彼「さらっ、、、、ばぁ」
彼「さらっ、、、、、、、、、ばぁ」
彼「さらっ、、、、、、、、、、、、、、ばぁ」

ゆっくり喋ってね、と頼むごとに、「さら」と「ばぁ」の間隔はどんどん開いていくのだが、何のことか相変わらずわからない。

ついに彼は、何かを指差しながら「さらっばぁ」と言った。言葉だけでは通じない判断したのだろう。

そして我々が見たものは、、、、、、、、「サラダ・バー」だった。つまり、彼は「サラダは、サラダバーから自由にとってね」と言いたかったのだ。

もちろん、実話です。

 

1997年9月14日(日曜日)

昨日は、土曜日だったのでA社から翻訳の仕事が来た。昨日、今日と翻訳したが、今回はあまり悩むところはなかった。

今回の翻訳の1文を例に、私が翻訳するときの思考の様子を紹介します。

コピーユーティリティの説明の中の一文:
This utility uses multithreaded asynchronous I/O, making it faster than simply dragging folders.

直訳すると、「このユーティリティは、単にフォルダをドラッグするよりそれを速くする、マルチスレッドされた非同期I/Oを使用する。」かな?

英語では、make it xxx という言い方をよくするが、そのまま訳すと日本語としては違和感があるような気がする。翻訳学校とか翻訳の通信教育など受講したことがないので、定石がどういうのか、よく知らないのだが、私は「xxx」を主語にすることが多い。

つまり、後半は「単にフォルダをドラッグするよりも、それがより速くなる」というわけだ。

前半の「multithreaded asynchronous I/O」というのはどう訳したらいいだろう。multithreadedは、「マルチスレッド化された」、「マルチスレッドで動作する」、「マルチスレッドで行われる」、「マルチスレッドに分割された」、、、ぐらいだろうか。asynchronousは「非同期」以外にはないだろう。「This utility uses ...」とあるが、「このユーティリティが、マルチスレッド... 非同期... I/O...を使用する」とするとおかしい。「ユーティリティがなんとかI/Oを使用する... 」とか言うだろうか。

で、やっぱり主語を変えよう。I/Oが主語がいいかな。「このユーティリティでは、I/Oはマルチスレッドに分割されて実行され、非同期で行われる」ぐらいかな? でも、「されて実行され」「行われる」というのが、何となくしつこくていやだ。というわけで、「このユーティリティでは、I/Oはマルチスレッドで、なおかつ非同期で行われる」。

しかしこれでは、「このユーティリティでは」の「で」と、「I/Oはマルチスレッドで」の「で」が、「で。で。」と頭に響いていやなのでまたちょっと変えよう。

「このユーティリティのI/Oは、マルチスレッドで、なおかつ非同期に行われる」

もしかすると「I/Oは、マルチスレッドで」というのはわかりにくいだろうか?「マルチスレッドに分割され」としたほうがいいだろうか? というわけで再度考え直し、

「このユーティリティのI/Oは、マルチスレッドに分割され、なおかつ非同期に行われる」

とした。後半とくっつけて、

「このユーティリティのI/Oは、マルチスレッドで、なおかつ非同期に行われるので、単にファイルをドラッグするよりもそれがより速くなる」

後半の「それ」は何?、と考えてみると、コピーツールなので「コピー」のことだろう。日本語では、英語のように「それ」とか「あれ」とか「彼」とか「彼女」とかを多用しないと思う。それと「ファイルをドラッグするよりも速い」というのはちょっと変だ。原文も確かに「ドラッグするよりも速い」と書いているように思うのだが、「コピーが速い」と言っているはずなので、「ドラッグするよりコピーが速い」というのは何のことかさっぱり分からない。たぶん、「普通にOS標準のツール(エクスプローラとか)を使ってドラッグ-アンド-ドロップでコピーする」のよりも「このユーティリティのコピーを使った方が速い」と言いたいのだろうと想像する。

というわけで、言葉もちょっと変えて最終的には、

「このユーティリティのI/Oは、マルチスレッドに分割され、なおかつ非同期に実行されるので、単にファイルをドラッグ・アンド・ドロップでコピーするよりも高速である」

ということにした。

だいたい私はこういう思考で訳している。でも、それでいいのかどうかは、かなり疑問。やはり翻訳学校とか通信教育とかで基礎を学ぶべきか、と悩む今日このごろ。

 

1997年9月13日(土曜日)

コンピュータ英語講座のサイバー翻訳教室を主催されているプロの翻訳者の加藤さんに、私の質問に答えていただいた上に、このホームページも見ていただけたようでとてもうれしい。「文章を書くのがお上手ですね」というコメントまでいただけたので、ちょっとハッピーな気分。ちなみに私の場合ハッピー気分からどん底気分まで、外界の状況によってかなり短絡的に変化する。

サイバー翻訳教室の中にあるなんでも相談室では、いろいろな質問に答えていただけるのでとても勉強になる。他のかたの質問とその回答を読むのも私にとっては勉強になる。アルクの「'98 稼げる 実務翻訳ガイド」でも、紹介されている有名なページだ。

ところで、加藤さんが主催されている上記のホームページではなかったかも知れないが、どこかに、「コンピュータ関係の翻訳はバブルな状態だ。だから今は翻訳の初心者にも十分に仕事が回ってくる」という旨のことが投稿されていた。それを見て私は「なるほど」と妙に感心してしまった。

そうか、それで翻訳初心者の私にも仕事がくるわけだ。そうだバブルだバブルなのだぁ.........ぁ、あ、 ということはいつか崩壊するわけね。

今年の私の収入はどれぐらいだろう。たぶん、今のペースだと、大卒で会社に入った新人さんの年収よりも多くなると思う。これで翻訳専業だったら、新人ではない私の生活はかなり苦しいが、サラリーマンの副業としては十分すぎる収入だ。わりと儲かるもんだ、と思っていたときに発見したのが、そのバブルの投稿。そうだ、バブルだバブルだったのだ。つまり、今は若手サラリーマンと同じぐらいの年収でも、バブルが崩壊すると中学生の「おこずかい」程度の年収に急激ダウンすることもあるわけね。

バブルということがわかったので、「無駄遣いをしない。お金は将来の資金に!!」と一応決意した。だから、それもあって今年はエアコンも買わなかったわけだ。

でも、今がバブルなのは私にとってはラッキー。バブルのうちに仕事をもらって、そのあいだにできるだけ勉強して実力をつけよう。今年翻訳を始めて今までに2000ページちかくは翻訳したが、もし、お金をもらっての仕事でなければこんなに翻訳したはずがない。勉強だと思って自発的に2000ページも翻訳するというのは、意思の弱い私にはあり得ない話しだ。

 

1997年9月12日(金曜日)

昨日の続き...

お世話になっているB社のテクニカルライターのかたに(だいぶ前のことだが)ある本を教えていただいた。「日本語の作文技術」という本。著者は本多勝一という人。テクニカルライターのあいだではバイブルとして読まれている本だとおっしゃっていた。私もさっそく買って読んでみたのだが、これが非常に興味深くておもしろい。なにがおもしろいかというと、読みやすい明快な文章はどのような文章か、ということを非常に論理的に説明しているところがおもしろい。おもしろいというよりも、この論理は私にとっては驚きに近い。この著者は独自の論理に基づいて法則を打ち出し、その法則に則ってどのような文章が良いかを恐ろしいほど論理的に解説している。一般的にはアルゴリズムが明確であればソフトウェアで実現できるが、本多勝一氏の理論を用いれば、優れた日本語の文章を作成するソフトを開発できるのではないか、とか真剣にわたしは考えている。

会社の人で、雑誌とかにわりと記事を書いている人(翻訳じゃないよ)に、「こんな面白い本があるんですよ〜」と自慢げに教えてあげようと思ったら、「それって、だれでも知ってる本じゃないの?。本多勝一を今まで知らなかったの?」と言われてしまった。そ、そ、そうか。この著者はそんなに有名な人だったのか。

ところでこの本、紹介のところに

「ちゃんとした日本語を書こうと思ったら、まず、勉強に本多勝一氏の『日本語の作文技術』を読め。これが私の持論である。 …全巻通読しなくてもいい。第一章から第四章まで読めば、それだけで確実に、文章はよくなる。この本はそういうスゴイ本なのだ。」(多田道太郎氏「解説」)

と書いてあった。まさにそのとおり。私の文章もよくなったと思う。もちろん以前と比べて相対的にだけど。ま、少しづつ良くなればいいや。

 

1997年9月11日(木曜日)

私の訳が世の中に出た(かなりおおげざ)。といってもニュース記事だからちょっとだけね。どのぐらい修正が入っているか毎週とても気になる。翻訳を始めたころは、たとえば10個の文章があったとすると、8個ぐらいは修正されていた。かなり違う訳になっていることもあり、こんなんで翻訳料をもらっているとは申し訳ない...と思っていた。

8〜9カ月ぐらいたった最近では、修正される比率はかなり下がってきたと思う(でも、まだまだだ)。数ページの記事で修正の全くないこともあるし、全体で見ると10パーセントぐらいだろうか。訳が間違っているとかではなく(でも誤訳もたまにあって怒られます)、言葉のごろが悪そうなところ、同じ文体が連続して出てきたところ、読みにくいと判断されたところ、などが修正の対象になる。あとは、チェッカーの人や編集者の人のそのときの気分もあるかも知れない。

私の感想をいうと、そのときに修正されているものの、80パーセントは「なるほど、こっちのほうが読みやすい。勉強になるなぁ」というもので、あと20パーセントは「うーん、私の文章とあまり変わらない気がする」という感じだ。後者の20パーセントは私の勉強不足でもっと修練をつめば、修正した人の気持ちが判るようになるのかもしれない。

ところで、修正された文章は、毎回必ず、なぜ修正されたのか、なぜこちらのほうが優れた文章なのか、どういう論理で文章が修正されているのか、を分析するようにしている。パターンを見つけようとしているわけだ。

なぜ、分析が必要だと思うようになったかについては、また明日書きます。

 

1997年9月10日(水曜日)

きょうはショックなことがあった。(訳漏れじゃないよ :-))
9月から「Macintosh WIRE」の定期講読を始めたのだが、そのCD-ROMが今日届いた。よしよし、と思いながら、自宅のPCにCD-ROMを入れて読もうとすると、な、な、なんとCD-ROMが読めない。も、も、もしかして、MacのCD-ROMとPC(属に言うAT互換機)のCD-ROMはフォーマットが違うのだろうか。あ〜ショック。Macintosh WIREは、年間1万2千円で、毎日の電子メールでのニュースと1ヶ月に1度CD-ROMが送られてくることになっている。う〜ん。1万2千円を捨てたようなものか〜、とも思ったが毎日メールは送られてくるのでいいことにしよう。明日会社にCD-ROMを持っていってMacを探して読んでみよう... でも、Macなんかあったかなぁ..........

ところで、電子メールで配送されてくるニュースは、「PC-WEEK WIRE(有料)」、「Macintosh WIRE(有料)」、「Internet WIRE(いまのところ無料)」を定期講読(毎日配信される)している。PC-WEEKは、タブロイド版も定期講読(有料)している。「日経Javaレビュー」も無料の時期は購読していたが、最近有料化されたので、どうしようか迷っている。

電子メールは以上のようなところだが、雑誌もいろいろ読んでいる。会社と自宅で、1ヶ月に10種類〜20種類ぐらいのコンピュータ雑誌を読んでいると思う(月によって、忙しさによって違う)。もちろん、英語の雑誌も読んでいる。

コンピュータの世界は日々刻々と新しい言葉や新しい技術が出てくるので、翻訳者としても新しい言葉を刻々と覚えていく必要があると思う。そうでないと、日記にも書いた「プレートセッターとはなんだ〜」、「イメージセッターとはなんだ〜」と叫ばないといけなくなる。叫ぶ回数が多いと非常に効率が悪い。一流の翻訳者は、知らない分野でもそれなりに訳すことができる、とか何かに書いてあったが、翻訳初心者の私にはとうてい無理。知っている内容でないと訳せない。だから知らないことは、内容を理解した上でないと訳せない。

雑誌に関してだが、私の場合は半分以上は趣味でコンピュータ雑誌を読んでいる。まぁ、そういう人は置いといて、どういう雑誌がよいかというと、私のお勧めは、「PC-WEEKタブロイド版」「Super ASCII」の2誌。

まず、「PC-WEEK」は週刊で発行されるので記事が新鮮。コンピュータの技術を深く突っ込んだ記事はないが、広く浅く網羅されている。PC-WEEKに出てくる言葉や内容がほとんど理解できれば、コンピュータ業界では一応「物知り」として通用すると思う。ただし、翻訳の場合、一分野を深く掘り下げて訳すことも多い(マニュアルとか)と思うのでそういうのには不向き。技術の深い内容は書いてない。

「Super ASCII」は、技術的に深い特集が多く、これを毎月読んでいるとほんとうに勉強になる。記事自体も良く書けていると思う。私は1ヶ月に10誌〜20誌ぐらいは読むが、技術的な内容を知るには「Super ASCII」が最もお勧め。PC-WEEKとSuper ASCIIが難なく理解できれば、コンピュータに関する知識としては一応十分だと思う。

逆にいうと、これ以外の雑誌は、しょ〜もないのが多すぎる。具体名を上げるのは気が引けるのでやめておくが、よくぞまぁ、こんな雑誌を出すなぁ、それでも売れてるんだろうか... だれが買っているの? と首を傾げながら読んでいる。もちろん、このような雑誌は私は買ってない。会社でたくさん買っているので、それを資料室で読んでいるだけ。しょ〜もない、と言っても、他の雑誌とは違った内容を書いていたり、たま〜に面白い記事があるのでそれを探しているだけだ。わざわざ買って読む気はしない。

でも上の2誌以外にも「Hello PC」「Mobile PC」「Netnavi」あたりは許せる(たまに買う)。あと数誌はたまに買ってもよい(実際にも買っている)と思う雑誌もあるが名前を思い出せないので、またの機会に。

ちなみに、上記の電子メールのニュース、雑誌は、ソフトバンク社のものが多いけど、決して私はソフトバンクの回し者ではありません。Webでは「PC Watch」を愛読してます。 > インプレスな方々。

 

1997年9月9日(火曜日)

### このホームページのある「oocities.com」のサーバが結構落ちます。
### エラーメッセージに、「もう、そのホームページはないよ」という旨の
### メッセージが英語で出ますが、そんなことはありませんので、また、
### アクセスしてください。 お手数おかけして申しわけありません。

昨日の話の続きだが、「Pretty good!」は、仕事関係で知り合いの日本人の人が使っているのを見てかっこいいと思った。その人は、高校生ぐらいの時からアメリカにいるらしい。その人が食事にさそってくれて2人で晩御飯を食べに行った。わりと良いレストランで、ウェイトレスさんも上品な感じだった。そこで、

ウェイトレスさん 「How are you tonight?」
知り合いの人 「Pretty good!」

という会話があった。私はそれまで、「Fine.」とか「Good」とかしか言ったことがなかったのでカルチャーショックを感じたわけだ。それまで「Pretty」というのは「かわいい」という意味しか知らなかった(はずかしながら)。しかも、その人の発音は(私が聞くと)ネイティブと同じなので、よけいにかっこ良く聞こえた。

それ以来、「Pretty good.」と言うようにしている。レストランに行くと結構高い確率で「How are you?」と聞いてくれるので、答えやすい。こっちは、じ〜っと構えてるわけね。

というわけで、私といっしょにレストランに行った人には、この「構えている」緊張感が伝わっていることでしょう。

 

1998年9月8日(月曜日)

通信教育が採点されて返ってきた。100点満点で80点だ。(いままでに2回提出しているのだが)前回もぴったり80点だった。う〜ん、これはどういうことだろう。通信教育会社が想定しているのは、きっと、毎月少しづつ成績が上がっていきますよ〜、ということだと思うんだけど、この2回は全く変化なし。わりとまじめにやってるんだけどなぁ。まぁ、2カ月ぐらいで上達するわけもないな(と納得する私)。

それと、新しい教材が送られてきた。あ〜どうしよう。どんどんたまるなぁ、と思って今日はまじめに通信教育をやった。実は、このあいだ日記に書いて以来、ぜんぜんやってなかったんですよ。

というわけで、今日は通信教育に取り組みました。「TOEICマラソン」なのでリスニングとリーディングに別れてるんだけど、リスニングにこんなのがあった。

「Excuse me, but are you Mr. XXX by any chance?」

これは、「ひょっとしてXXXさんですか?」という意味なのだけど、「by any chance」が「ひょっとして」ということらしい。初めて知った(<- これ多いなぁ)。でもなんかかっこいい言い方だなぁ...

前にアメリカにしばらくいたときに、かっこいい言い方というのをちょっと研究していた(注:研究といっても、もちろんたいしたことじゃないですよ)。アメリカ人の知人といっしょにいるといろいろ勉強になる。そこで、かっこいいと思った言葉が2つあった。

  1. You, too!
  2. Pretty good!

の2つだ。意味はわざわざ書かなくてもいいと思うが、「あなたもね!」と「とってもいいよ!」という意味。使っているのを見てかっこいいと思った。1. は、ガソリンスタンドで知人が使ったのを見て、なるほど、と思った。ガソリンスタンドとかでお金を払うと、「Have a nice evening!」と言われたりするよね。そこで、「You, too!」と返事するわけだ。私は、それまではいつも「サンキュー」としか言ってなかったので、よ〜し、「You, too!」を使うぞ〜、と決意した。

だが、決意してもなかなか使えるわけじゃない。そもそも日本人はタイミング良く、「サンキュー」とか「イクスキューズミー」とかさえ言えない。そして私にとって「You, too!」のハードルは高かった。言おう言おうと思っていても、なかなか相手が「Have a nice ....」というフレーズを言ってくれない。さすがに、相手が全然違うことを言っているのに対して「You, too!」と言うわけにもいかない.... さらに、こちらも「You, too!」と言う意気込みがないとき、忘れた頃に、「Have a nice ...」と言われて、「う、う、う、サンキュー」と詰まってしまうのだ。あ〜、だめだ。結局、「You, too!」が成功したのは数回しかない。

そう言えば、アメリカに住んでいる知人から聞いた面白い話。 その知人は日本人で、奥さんは中国人。この夫婦はグリーンカードを取ってアメリカに住んでいる。その知人(日本人)が、実家(日本)に帰ったときのこと。奥さんは中国人なので日本語は話せない。でも、もちろん、英語は話せる。

その知人のお父さんは、長年、英語の教師をしていたそうだ。定年で退職されていたそうだが、その知人の奥さん(つまり息子の嫁)と英語で話すのを楽しみにしていたらしい。そして、対面してまずは、あいさつ。お父さんは、「How are you?」と聞いた。そのときお父さんは、当然相手(息子の嫁)は「Fine, thank you, and you?」と答えると確信していた。ところが、奥さんは「Good!」としか答えなかった。その後、お父さんは言葉を失い、長い沈黙が続いたらしい。

これを聞いて、「そうだよな〜。あるよね〜。」と思った。予想外のことを言われて沈黙することは私にもよくある。

しかし、「How are you?」の返事で「... and you?」というのは英語の教科書には載ってるけど、いちども言われたことないなぁ.....

今日は長くなったので、「2. Pretty good」の話はまた今度。

 

1997年9月7日(日曜日)

「four-up」とか「eight-up」を真剣に調べた。Webで検索すれば結構いろいろ分かる。結局、例えば印刷するときに1枚の紙を4つに区切って印刷するようなことを意味していることが分かった。つまり2丁がけみたいな印刷のことね。わりと一般的に使われるようでアメリカのWebサイトではたくさん使われていた。もちろん、プレートセッターとかイメージセッターというのがどういうものかも分かった。

昨日は1時間に2ページぐらいのペースかなぁ、と書いたけど、結局調べることがあると、時間がかかる。「four-up」だけでも1時間以上は調べた。そういえば、前にISDN関連の翻訳をしたときも2冊ぐらいISDNの本を読んだ。私の家にはISDNをかなり前から引いているので、ISDN自体の基礎知識はある、と思っていたんだけど、訳しはじめてみると、「これではいかん」と思った。電話屋さんには電話屋さんの言い方があるからね。というわけで翻訳をしていると勉強になることが多いのです。

そうそう、一般家庭に引かれているのは2B+DのBRIで(SMAPの中居くんが宣伝してるやつね)、Dチャネルが何に使われているか今一つ理解できてなかったんだけど、この翻訳のおかげで理解できました。

ところで、今日は暑い。私の部屋にはエアコンがないのですよ。暑くて暑くて。暑いと翻訳はできないぞ、エアコンを買おう..... と思っていたんだけど、今年はたまに涼しい日もあったりして、「あ、これぐらいならいいか」とか思っているうちに9月になってしまった。ま、来年かなエアコンは。今は「うちわ」でパタパタあおぎながらこの文章を書いているわけです。あ、ビールも飲んでます。

今日はA社からの翻訳も終わり、メールで納品した。結果はどうだろう。メールの「送信」ボタンを押すときは祈るような気持だね、毎回。

 

1997年9月6日(土曜日)

このホームページの感想をメールではじめてもらった。うれしいなぁ、どうもありがとうございます。できるだけ日記は書き続けますので、これからも読んでください。

ところで、今日は土曜日なのでA社から翻訳の仕事が来た。A社からは毎週土曜日に仕事をいただく。仕事といっても、多くても10ページ(1ページを日本語で400字として)ぐらいかな。でも、この仕事、結構難しい。A社からいただくのは、簡単に言うと英語の雑誌記事の和訳なのだが、雑誌記事の和訳は、コンピュータのマニュアルの翻訳に比べて難易度は高いと思う。マニュアルだと、翻訳のパターンを飲み込むと、機械的に訳すことができる部分も多い。結構、楽だ。考えるところもあるが割りと少ない。英文がちゃんとしていないマニュアルを訳す場合には悩むことも多くなるが、記事ほどじゃない。

この雑誌記事は英語の文章はちゃんとした文章なんだけど(と思うけど)、比喩とか凝った書き方が結構使われているので、訳すのに時間がかかってしまう。

私の仕事のペースはだいたい、

ぐらいだと思う。これって遅いほう??? なんせ翻訳者の知り合いもいないので速いのか遅いのか全く分からない。

ところで今日最高に悩んだ文章は:

XXXX also introduced its eight-up YYYY platesetter as well as the ZZZZ, a four-up model that can output 30 plates per hour at a top resolution of 3,000 dpi.

いったい「platesetter」とはなんだ〜、「eight-up」とはなんだ〜、「four-up」とはなんだ〜、と叫んでしまった。インターネットで調べて「platesetter」はその名も「プレートセッター」という印刷機の種類であることが分かった。では「four-up」とは何だろう。ランクが上がることをワンアップ(ワンナップ)とか言うよね。例えば勝負でツーアップとか。つまり、機種のランクが上という意味かな、とも一瞬思った。でもプレートセッターには4枚刷りとか8枚刷りとかの種類があるみたい... ということが分かり、「eight-up」は「8枚刷り」、「four-up」は「4枚刷り」ということにした。う〜ん、でもほんとかなぁ。

結局私の訳は:

『XXXXは,4枚刷りのプレートセッター「YYYY」と,8枚刷りのモデル「ZZZZ」も発表した。YYYYは,同製品の最高解像度である3,000dpiで1時間に30プレートの出力が可能だ。』

だ。こんなもんでしょうか?

 

1997年9月5日(金曜日)

予定通り請求書をつくった。それほど時間がかかるわけではなく、20分ぐらいかな(それほど、たくさん翻訳しているわけじゃないので)。間違えると信用にかかわるので計算は慎重にしている。翻訳でどれぐらい収入があるかは、日記のなかで書いていこうと思う。

Webで注文しておいた、アルクが出版している「'98 稼げる実務翻訳ガイド」が届いた。今回は、電子辞書とか、役に立つWebサーバとか、電子化傾向が進んでいるように思う。私も分からないことがあると、ほとんどはインターネットで調べている。新しい言葉が出てきてそれが何のことかイメージがわかないときに、インターネットは便利だ。検索エンジンで調べるとたいがいの言葉は発見できる。特にコンピュータ関係の翻訳者には、インターネットは必須なんでしょうね。

ところで、どこかの(忘れたけど)翻訳会社のWebページを見ていると、「弊社では『Computer』を『計算機』と訳すようなことは決してしません」と書いてあった。Computerは「コンピュータ」であって、「計算機」などという初心者的な訳はしない...という意味だろうと思った。計算機というと電卓のようなイメージがあるようだ。

でも、コンピュータの世界では、コンピュータのプロになるほど(さらにUNIXや汎用機などを使っていた人ほど)『計算機』という言葉を使う人が多い。コンピュータ・サイエンスの世界では『計算機』という言葉を使う人が多いように思う。この人たちには「自分たちは『計算機屋』であって『コンピュータ屋』ではない」という自負のようなものがあるのかもしれない。『コンピュータ屋』というといかにも軽いイメージが私にもある。大学にあるメインフレームやスーパーコンピュータを扱うところも「大型計算機センター」と呼ばれるところが多いんじゃないだろうか。

しかし、翻訳は分かりやすくあるべきで、そういう意味では『計算機』という言葉を使うとわかりにくくなるんでしょうね。

 

1997年9月4日(木曜日)

翻訳会社からメールが来た。どういう内容か(また訳漏れかっ)とちょっとドキドキしたが、そうじゃなかった。「このあいだの翻訳、お客さんがよかった、と言ってましたよ。」という内容だった。あ〜、そう言われるとうれしいなぁ。やりがいも出てくるなぁ。しあわせだなぁ。と今日は一日、幸せな気分だった。

ところで、今日はもう4日なので、そろそろ先月分の請求書を送らないと...。 翻訳会社のB社には毎月こちらから請求書を送っている。なぜか、と聞かれても困るのだが、B社が最初にそうして欲しいということだったので、そうすることになった。そもそも翻訳初心者の私は、よくわからないので「はいはい」としか言いようがないし。他の私が登録してもらっている翻訳会社からは、翻訳会社の方で計算して「X円ですよ〜。これで間違いないですね〜」という旨のメールをもらう。その後、自動的に銀行に振り込まれるというパターン。

9月1日に書いたプリンタ(エプソン PM-700C)は、この請求書を送るために必要なわけです。結局FAXで送るので、パソコンから直接FAXはできるんだけど、請求書に印鑑を押さないといけないのでプリンタが必要なのです(ビットマップを張り付けるという手もある)。

でも、請求書をつくるのは明日にしようっと。

 

1997年9月3日(水曜日)

ホームページ用にJavaでプログラムを書いた。字が流れるチッカーのような感じ。このチッカーで流している言葉は、10年ぐらい前から私が好きな言葉なんですよ。

ところで、Javaはオブジェクト指向言語なんだけど、実装上の汚さはありますね。仕様を決めた人の苦悩がうかがえます。やはり、オブジェクト指向と言えども仕様と実装を密に考えないとだめなのかなぁ。仕様の美しさと一貫性を追求した言語は実用的でない、というのが現実かもしれない、と今日はつくづく思いました。

 

1997年9月2日(火曜日)

ちょっと恥をさらすようだが、私の英語レベルを書いてみようと思う。このホームページの「きっかけ」のところにちらっとだけ、2年ほど海外(アメリカ)滞在経験がある、と書いたが、はっきり言って英語にはあまり自信なし。自分にしては英語も勉強できたつもりだが、翻訳者というレベルでみると、たぶん「その程度の英語じゃ話しにならん」程度だろう。

どの程度かというと、英語のテレビはよくわからない、というレベルなのですよ。もちろん、だいたい、おそらく何を言っているか、程度は理解できるけど、テレビを見て「あぁ、面白い」と思うレベルからはかなり遠い。ま、アクションものは比較的いいんだけどね。話の多い推理ものなんかは、ま〜ったく、さ〜っぱり、わかりませんっ。

たまたま、3年間ほど海外(アメリカ)に駐在していた友人と会って、テレビを見ながら話をしていると、彼もテレビはよくわからん、と言っていた。これを聞いて私もすっかり安心してしまった(安心していてどうする)。

そもそも一方的に喋り続けるテレビでは細かいところがさっぱり分からない。最近「セサミ・ストリート」を良く見ているが、この幼児向け番組も良く分からない。あぁ、幼児以下だ。

そういえば昔アメリカの知人宅に行ったとき小学生の子供に、「Let's play NINTENDO!」と言われて「???」状態だったことがあった。そうです、アメリカでは、ファミコンのことを「ニンテンドー」といいます。スーパーファミコンは「スーパーニンテンドー」ね(ちなみにアクセントは「テ」にあります)。あ、だれでも知ってるって??

 

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