<出でよ 人形遣い>(動き出した歯車)
byFukusuke2

「それから、、これはペナルティだよ。君はこの私の命令に逆らったのだからね。
さぁ口を大きく開けるんだ。由希!」

{!!?、、あ、ああっぐ、こふうっ?}

「知っていたよ。君が「由希」と言う名前で自分を呼んでいた事はね、だが、私は知らないフリをしていた。君はどう思っているかは知らないが、当時の私は 別に君に期待なんかしていなかったのだからね、、、、」

(嘘ばっかり・・・・)牧瀬少年、、いや もう「由希」と呼ぶ事にしよう。今、由希は二世の手から ペナルティのボールギャグを装着されながら、自分自身をこっそり「由希」を呼ぶようになった事を思い出していた。それは あの日の放課後、「牧瀬少年」が文化祭の準備の為に、1人、体育館の隅にある体操部の部室にいた時の事だった・・・・・
(柏木奈々緒カルテNo 107 雪村 和人(2)より抜粋)

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>ナナオ
>「雪村 くん、悪いけどアナタには失望したわ。アナタには牧瀬由希みたいな人は
>高嶺の花どころか、同じ空間で過ごす資格すらありません!そして リックにも二
>度と指一本触れてはいけない!そんな粗末なペニスを見せびらかしてないで、すぐ>にリックの側からはなれなさい!」

>ユキムラ
>「・・・・先生、、、、そんな、、」

牧瀬少年は、ざわついている用具置き場が気になり、何気無くのぞきこんで驚いた。

「え?、、、どうして従姉妹の牧瀬 由希が2人もいるのさ?、それに、あの女性、、誰なんだよ、、演劇部の奴等、どんな劇をやるつもりなんだ・・・・」

>ナナオ
>「お黙りなさい!アナタは最初、牧瀬由希さん本人に告白出来ないので、リックに
>相談した、、、リック!キミはあの治療の事を ユキムラくんにしゃべってしまっ
>たらしいわね。」

>リック
>「はふっ!あふふふ、、、」

>ナナオ
>「仕方ないわ。それを責めているんじゃないの。言ってしまった事は仕方ないし
>ね。ユキムラくんは中味がリックなら恥ずかしくないし、プロポーズの練習した
>いって、、、真剣にそう言ったの。そして自分自身も一度で良いから、好きにな
>った女性に変身してみたいって言うから、協力してあげたのよ。」


「雪村って、、生徒会の?え?、、、リックって あのバイリンガルの転校生?、
、、」

クラスも学年も違うが どちらも、ある意味この学校の有名人、、「牧瀬少年」はユキムラもリックも顔は知ってはいたが、、でも、、、

>ユキムラ
>「、、、そ、、それには 感謝して、、あの、、」

>ナナオ
>「うるさいっ!ユキムラくん、嘘もいい加減になさい!アナタは最初から牧瀬由希>さんへのプロポーズなんか諦めていたのよ!そしてリックの話を聞いて、自分の心>の中に長い事隠して置いた「ある嗜好」に目覚めた!」

>ユキムラ
>「・・・・・・」

>リック
>「ふくうっ、、」

>ナナオ
>「誤解しないで聞いて!。その嗜好、例えば<女装>でも<緊縛>や<猿轡>あ
>るいは<フェチ>でも{ジェンダー}でも良い、メンタルがどうしたも多いに結
>構でしょう。私はそんな嗜好を尊重しています。・・・・

>・・・・・だけどユキムラ君!君のした行為は 真剣にキミの事を考えてくれてい
>るリックを裏切ったんです。キミは「高嶺の花」の牧瀬由希さんの名前を利用して>リックを自分の物にしたかっただけ!・・・・何か言うことは?」

>ユキムラ
>「・・・・・ありません・・・・」

>ナナオ
>「リック、足だけ解いてあげるから車まで、その恰好で ついてらっしゃい。元は
>と言えばキミがペラペラお喋りしたのが原因なんですからね。その猿轡もステキ
>よ。」

>ナナオ
>「それじゃユキムラくん、私達は帰るけど、その扉の影に隠れているエキストラ
>さん達への説明は自分でしてね、みんなキミが本気で、牧瀬由希さんにプロポーズ>するんだと思ったから、ありもしない野球部の壮行会をデッチあげてくれたのよ。
>まぁ 一番キミに期待していたのは、この子だけどね。」

>ナナオ
>「ごめんね、由希さん・・・さぁリック、クリニックに戻るわよ。解ってるわね・・・・」

>ユキムラ
>「え!ええええええええええ!!!!」

>牧瀬 由希
>「・・・・・・・・」

>たったたたたたたた

「牧瀬少年」は部室の中で、廊下を駆け去る足音を聞きながら呆然としていた。少し間をおいて「牧瀬少年」が廊下を見た時、そこには 寄添う女性にスクールコートを羽織らされては いたが、上半身を縛られ猿轡を嵌められて夕闇に消えつつある「従姉妹」の姿があったのだ、、、、だが その従姉妹は「本物の牧瀬由希」ではなく、転校生のリックの変装した姿だと言う・・・・まさか?!

牧瀬少年は自分の心の中から沸き上がる得体のしれないものの正体が解らずに
頭を抱えた。それは幼い頃からの従姉妹に対する思慕であり、焦りと、苛立ち、、だが、いくら禁じられた思慕とは言ってもそれはまだ理解できる。

しかし、解らないのが、、妬み、嫉妬の感情まで その中にないまぜになっていた事だった。、、、それは少年自身が忘れ去ろうとして自分の心の奥深くに封殺しようとしていた欲望、、、「自ら「由希」になり、ああされたい」、、、その封殺した筈の「牧瀬少年」の欲望は突然 ナナオ達による予期せぬ「変装劇」を目撃してしまった事で、日常世界にさらけ出されたのだ。

「何をしたらいいのか?」、、それが判らずにいた結果、「牧瀬少年」の従姉妹への思慕は若さに任せた「自慰行為」に妥協せざるを得なかった・・・予期せぬ「変装劇」は、そんな「牧瀬少年」幼い自慰性行為の残滓まであばいてしまったのである。

ここで すでに複線は張られていたのであった。
そして時間は、今、に戻る。
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その「牧瀬少年」は今、二世にとっても初の事である、血反吐を吐くような徹底的な英才教育を受ながらも、これまでとは 比較しようのない充足感を感じ取っていた。


二世は「牧瀬少年」が密かに自らを「由希」を名乗る事でしか「癒し」の手段がなかった事を看破したのか・・・と言うと事は二世は「牧瀬少年」と牧瀬由希との接点をどう利用しようとしているのだろう?「牧瀬少年」は、二世からどのような指令を受けるのであろうか。

おっと話に夢中になっている間に、2人を乗せた車がどこかに出かけて行くようだ。


「ふふふふ、どうした由希?、、久しぶりのドライブなんだぞ。もっと機嫌よくしたらどうだ?」

{・・・・・・・・・・・・・}

「くふふふふ、そんな状態では無理もないか?どうだ、そんなボールギャクを嵌められてのドライブは? もっとも、そのドールスキンマスクの下に隠れているから通行人には解らないのが残念だろう。」

「こ、こふふふううぅぅ、はしゅうぅぅ」

「なんならそのボールギャグを取ってやるから、「可憐な美少女[由希]」は「妖魔のマネキン人形」になってドライブ中でございます。・・・・とでも大声で叫んでみるか?」

「まあ、そのタイプのドールスキンは、普段、俺が使う「別人」になるためのMaskではないから、そんなオモチャみたいなボール猿轡など必要はないんだがな。その「目」も「口」も最低限 動かなければ意味がないが、「人間の自由を奪う」目的であれば、今、由希に着せている そのハーフマネキンのTYPEで充分だとは思わないかね。・・・もっと苦しいのがお好みなら、その上から猿轡を嵌めてやっても良いんだぞ、、、ただし窒息を覚悟の上ならば、、だがな。」


どんなに二世が話し掛けようと、由希は返事ひとつせずに無言で前方を見ていた。
表情なき人間、、、否、、呼吸する人形、、、異様な事に由希のその可憐な表情には何の感情もなく、輝く瞳はさっきから瞬き一つしていない。まさに「固定された表情」はそれが可憐であり魅力的であるだけに、なおいっそう妖霧を立ち昇らせていた。

「お前の幼い性愛はこれからの仕事の妨げにはなってもプラスにはならん。表情を固定している その分、感度だけは増幅してあるからな、、それ、、、自分で確かめるがいいさ。」

「つつつ・・・ついっ!

「はうう・・・」

二世は車を走らせながら 由希の内太股を指でなぞった・・・・ただそれだけの事で、由希は自身も気がつかなかった弱点を二世の目の前であっけなく暴露しながら、スキントールの皮膚が千切れるのではないかと思われる程、のけぞっていた。

「おいおい、興奮するのも結構だが隣で信号待ちしている観光バスの連中がみんなで見ているぞ。そんなに見せびらかしたいのかね。」

「つ、くっふうぅぅぅぅぅぅ」

その声は口いっぱいに嵌められたボールギャグの為に途絶され、マシュマロの様にやわらかい由希の頬に食い込むようにして結ばれたボールギャグのベルトは頭の後で締め上げられている為、由希はマスクの下で誤魔化しながら口の中のボールを吐き出す事はできない。

「っっっっ!!」

それは怒りの叫びでも抵抗でもなかった。小さい呻き声に込められたなにかはすぐに車内に広がり、二世にも伝わって来た。

由希の身体はブラックのエナメルコートの下で手首と上半身に食い込むのお陰で、びくともしない。某特殊部隊仕込みの その巧妙な緊縛拘束術は由希の手首や上半身の要所要所にガッチリと食い込み、車が揺れる度に厳しくめりこむ。それはまるで、由希の真っ白で柔らかな皮膚を食い破り、肉を引き千切るような苦痛となって由希の全身に走った。縄尻をとらえて解こうとしても、そんな事は百も承知の二世は、後手に縛った由希の指を握らせ、拳骨にさせた上から一つにまとめてガムテープを巻いて指を使えないようにしていた。
 
二世特性のボールギャグも曲者だった。その特種ウレタンフォームの特性を生かした猿轡は 由希の口にスポっとおさまると、口中の唾液などの水分を吸収して、まるで由希の口中のサイズにあわせて作ったかのようにぴったりと膨張していった。

二世はそんな由希を横目に見ながら、二世は車の速度をあげて首都高速に入った。

「んんうんんっっっ・・・」

その涙はフェイスマスクに隠されて我々には見えない。そしてその涙の意味は当人にしか解らない。由希の瞳から流れ出た涙は汗と涙と入り交じってマスクの中を何本もの銀線となってしたたっていた。

(もう、何を言い訳することも 誰に取り繕う事もない。私はこうされかったのだから、ずっとずっと、子供の頃からずっと・・・・・・私はこうされかったし、私は従姉妹になりたかった・・・・・・)

着痩せして見える、服の上からは大きくは見えない従姉妹の胸やヒップは、だけど一目、牧瀬 由希の薄着の姿を見た男性を虜にしてしまう、そんな従姉妹の魅力的なプロポーションが自分のものになって、、、拘束されている、、、「牧瀬少年」の全身を覆う従姉妹、、牧瀬由希としての女體を刻印されたドールスキンを身に着けた「牧瀬少年」のそれが本心だった。そう断言するのはいささか早計であろうか。

眼に見える、、、手に触れる、、、確かめる事の出来る従姉妹のディテールすべてを刻印されコピーされた、そのドールスキンのフェイスマスクとボディスーツの中に封じ込められた「牧瀬少年」の精神(こころ)は、すでに二世の見えない糸に操られているのか。


「うえっ、くふっ、おふっ」

?喉仏を刺激されたのか、思わず鳴咽する由希

「そろそろのようね、心配しなくても良いのよ。二次整形が始まってるだけなんだから、今、由希ちゃんの口に嵌めてあげている、それね、時間がたつと唾液の水分と体温で
大きくなってペニスギャグみたいになるの。そんな大きなの、好きかしら?」

「それね、しばらく嵌めたままにしておくと顎が開きっぱなしになってヨダレがダラダラ
流れ出して、どうしようもなくなるのよ。でも吐き出せないしね、困ったわね・・・うふふふ」

「ううん、ふっくう、、、、」

「何?そんなに嬉しいの?よかったわ。そんなに喜んでもらって。ふふふ、次はどうしてほしい?」

「うっうん、、」

「これからアナタは「本物の牧瀬 由希」になるのよ。それがアナタの夢だったんでしょ。これからはずっと堂々とよ。どう?ステキだと思わない?あらあら、そんなに興奮しなくても・・・・・」

「うむん、ふうむうう、」

二世は苦痛でもがいて無意識にシートから滑り落ちた由希の身体を引き起こして、シートに腰掛け直しながら、さらに続けた。

「そう、、そんなに嬉しいの・・・・」

「ふうん、、あっくうぅぅぅぅぅ、はあぁぁ、うっ」

フェイスマスクから漏れる鳴咽はだんだんと大きなものになり、深かった呼吸音も小刻みで短いものに変わっていく。エナメル生地の艶が生々しく光の濁流となって、その妖しいコスチュームを身に着ける由希の女體としてのシルエットを際立たせながら流れ落ちた。

いかに知性と美の所有者のみが身に着ける資格があるとは言うものの、それは、けして真夏の昼間、身に着けるようなコスチュームではない、漆黒のビザールファッションは、いからエアコンの効いた車内とは行っても、車窓から容赦なく射し込む真夏の直射日光の為に、かなりの温度になって由希の全身にまとわり着いてくる。

でも、いかに苦しかろうと辛かろうと、身悶える事も、叫ぶ事も禁じられて、ただ静かに耐えるしかなかった。由希の全身はそのコスチュームとドールスキンの皮膚の下で吹き出した汗にぐっしょりと濡れていた。

「ふっ・・・うぅっっ、、、」

「由希!そんな事で この魔界のオペを所望するつもりか?これから生まれ変わりたいのなら、そんなものじゃないんだぞ・・・」

由希は なかば意識を失いながら、二世が何かを喋っていると感じた。由希には、それを聞き取る気力はすでになくなっていたし、感心も持てなかった。だが暑さと疲労で朦朧となる意識の底で、由希は思った、、、、ここまでされなくては自由には なれない・・
・・でも、自由すら知らずに、死ぬよりは良い・・・その為には「良心」なぞドブに捨ててしまってもかまわない・・・・と。

間もなく由希は、悪魔相手に「魂の大安売り」をしていた事、、そして悪魔より一足も二足も速く、妖魔に魂を売り渡していた事を知る事になる。すでに歯車はゴウゴウと音を立てて高速で回っていたのだ。

≪出でよ 人形遣い≫<動き出した歯車>
<完>
【前へ】  【続く】
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