柏木奈々緒の診療カルテ(2)
柏木心療内科クリニック。医師、柏木奈々緒。
「どうかしら?婚約者の女體に包れた ご感想は?」
「は、、はい、、なんだかとっても不思議な気分で、、、、まだ信じられません。」
「そう、すぐに慣れるわよ。そうだ、ちょっと こちらに来てくれるかしら。
はい それじゃあ そこの椅子にかけて。」
「はい、、、」
「ちょっと。。。痛いか、、も、、我慢するのよっ!せっ!」
クプッ コキッ ゴリリリッ
「え゛っ けっけほほほっ ゴホッ な、、何を・・・え?」
「男がこれぐらいでギャーギャー言わない!その女體(からだ)と顔で、男の声じゃ、なんにもならないでしょ。声帯に 少しマッサージしてあげたのよ。それなら 少なくとも よほど親しい人手なかったらバレる心配だけはないわ、、、さてと、、」
僕は一瞬、Dr柏木に首を絞められたのかと思った。それほど彼女の指は僕の喉元に食い込んだんだ。でも 彼女の指が離れて ようやく咳き込みながら僕が発した抗議の声は 僕自身でも びっくりした・・・まさに女性の声そのものだったんですから。
さてと・・・そう言いかけた Dr柏木の言葉を補足するように 脇から看護婦が 何かを差し出しながら尋ねた。
「先生、これは どうしますか?少し早いんですが、今夜の様子ですと 念の為に?」
「そうね、念の為にセットするだけは しておきましょうか。」
「あら?もうこんな時間なのね。それじゃ そろそろね。国島くん、、じゃなかった。今は・・・香山みどり さんだったわね。」
「それじゃ 下着がこれだから 外出途中で来ちゃったコトにすればいいか。それじゃ国島さん 立って、そこの机に両手をついて、お尻をこっちに突き出すようにして ちょうだい。 」
「こ、こうでしょうか?あの いったい何を?」
「いちいちうるさい!ダッチワイフは 黙って 言われる通りにしていれば
良いんです!」
バサッ
「きゃっ!いやっ!」
「ふふん 口じゃなんだかんだ言いながら すっかりその気じゃないの。今どきね、こんな風にスカートを捲りあげられたからって 女子高生だって そんな声あげないわよ。ほら!その手をどけるのよ。」
「、、、、」
「返事はどうしたの!返事は?不満があるなら 今すぐ 素っ裸にして 外に放り出してあげるわよ。」
「 、、ご めんな、、、さい、、、」
「なによベソなんかかいてるの、、、こりゃ本物ね。それじゃ もっとヒィヒィ泣かせてあげましょうね。その前にぎゃあぎゃあ騒がれても 面倒だから・・・ほら口を大きく開けなさい。看護婦さん、それとってくれるかしら。」
「はいドクター」
「ふむむんん・・・・はふんんんん・・・・」
「ほら、出来上がりっと、もうお喋りの時間はおしまいよ。」
彼女は 看護婦から手渡たされた 穴開きボールのついた嵌口具を僕の口に あっという間に嵌めてしまったんです。僕の口にむりやボールを噛ませると、ボールの両側から伸びた細いベルトの両端を頭の後ろでロックして 微笑んでいるなんて・・・・。
「むむんんっっっ・・・・・」
「なかなかチャーミングじゃないの、、、あら、もうそんなに興奮してるの?お口の中がよだれでいっぱいよ。カヤマさん」
「むむむんんっっ・・」
私の顔を 自ふんの方に引き寄せたDr柏木の瞳がキラキラと輝いている。閉じたくても閉じることの出来ない僕の口からは、滝のように 唾液がこぼれ落ちてしまう。
「あら、お行儀の悪いお口だこと。せっかく用意してあげたスカートやパンストが、びしょびしょじゃないの。そんな染みまで作っちゃって。両手は自由にしてあるんですから そんな いやらしい猿轡 自分で外してしまいなさい 。」
ズルッ ズルルルッ シュサッ
「ふうん ふむんん うむんんっっっ・・・」
「ふ・ふ・ふ。看護婦さんも見てあげてよ。こんな変態めったにお目にかかれないわ。婚約者の女性に変装させられて 女性の見ている前で そんな猿轡を嵌めてもらって 外しもせずに 興奮してるだなんて これが男だなんて信じられないわ。」
「ふふふふ、ほその猿轡が嫌なら自分で外しなさいな。」
そんな彼女の言葉は僕の中にあった嗜虐心に火を付けてしまったようです。手足を縛られていた方が どれだけ楽でしょう。僕には その猿轡を外す事など もはや考えも及びませんでした。
「むむううううっっっ!!うんんんむんんっっ!!」
激痛もなければ苦痛もない、、今 ここにあるのは恥辱、、そして降伏、、でも僕・・・本当にぼく? いいえ、、私と言いたい・・・だけど そう自分を呼んだ瞬間、僕は二度と戻る事が出来ない世界に飛び込んでしまうような そんな気がしていたんです。
その猿轡のおかげで 僕の口からひっきりなしに したたり落ちる唾液が、僕のそんな抵抗も押し流してしまいそう。
「さあ、女の子に仕上げてあげないとね。」
Dr柏木の手が僕の穿いているスカートに伸びてきました。彼女の手は 無情にも そのスカートを捲くりあげると パンティとパンティストッキングを膝のへんまでいっしょに降ろしてしまった。
「よしよし、こうして見ると この部分もまるっきり女ね。でも この中には あなたの分身がいるのよね」
「うむふううんん、、、うううんっっっんんん!!」
「ふふふふ、ここの中の男が 暴れたがっているようね。でも無駄なんだな・・・さぁ足を大きく開いて!出来たばかりの華芯を良く見せなさい。」
「しかし外見は完璧に女だけど 中味は ただの いやらしい変態男ね。私にはたんなる変態スケベとしか思えないわ」
「うんんっ・・・・ううーうーううんん・・・」
捲り上げられたスカートや膝っ小僧で丸まったパンティとパンティストッキングだけでなく すでに床まで濡れてしまっている。ストラップで口に ガッチリ固定されたボール猿轡からは、幾筋もの唾液が銀線となって吐き出されている・・・・
「うんんっ・・・・ううーうーううんん・・・」
「ふふっ、大好きな婚約者の女體(からだ)になって、たっぷりと楽しむと良いわ。わたしはこっちの女體を仕上げてあげますからね。はい、看護婦さん。これ持っていなさい。」
Dr柏木は そう言うと 看護婦に小さなリモコンボックスを手渡しました。
「む?むんんっっっ?」
「そのボタンを押しなさい。スイッチになっているわ。」
看護婦は 彼女に言われるままに そのリモコンのスイッチを入れた。すると軽いモーター音がしてきた。え?いったい どこから?
「うむむんんーんーっっ!!」
僕は ボール猿轡を嵌められた顔を のけぞらして呻いた。
ストッキングに包まれた僕のふくらはぎの筋肉が 突然の愉悦に痙攣をおこしか
けて ピクピクひきつっている。
「いい鳴き声だわ。自分でも そう思わない?」
「うーうーっうーうーっ!!」
そう、モーター音は僕の女體の奥からしている・・・・
(こ、これって・・・)
「ふふふふ、わかったかしら?それ特製バイブなのよね、ほら、このリモコンのボタンをこうしてやると・・・・」
「むむんっっっ・・・・っっむむむっっ・・・」
突然 モーター音が大きくなり、僕の口からは止めようとしても止まらない呻き声があふれた。ストッキングにつつまれた僕の脚が僕の意思とは無関係のようにヒクヒクとうごめく。
僕は 自由な両手で、香山みどりの飽満なバストを持った自分の胸を抱きしめ、髪を振り乱して イヤイヤのような動作をするしかなかった。
眼の縁に部屋の片隅の鏡にうつる自分の姿が見えた。汗に濡れた額にはりついた乱れた前髪と 猿轡を噛み締めて悶える香山みどりの表情は恍惚として 神秘的ですらあった。
「ふぐんぐっふううぅぅ」
もう僕の意識のコントロールなど効かない、、、僕は身も心も 香山みどりの女體に乗り移られていました。そんな僕の全身は 得体の知れない細かい震えに襲われて、次の瞬間、私の意識は暗闇の中へと落ちていったんです。
僕が目を覚ました時、僕の格好は 変わっていた。赤い唇の似合う派手なメイクにロングヘア、ベージュの革のブレザーに、マイタードカラーのワンピースを着こなしてブラックのパンティストッキングを穿いた長い脚の 香山みどり・・・その横に静かにたたずんでいたのは、、、、僕!
「・・???」
すっきりとした鼻筋や、濡れた様な真っ赤なルージュを引いた唇・・・
だけど、ようやく それが鏡にうつった自分・・・達・・の姿だと解った時、僕は
あらたな驚きと興奮の中にいました。
僕、、いや僕の顔をした誰かは鏡の方を向いた 僕に見向きもしない。
鏡の中には 一人の女性が縛られていた。
まくりあがったワンピースのスカートの奥から、高価そうなランジェリーが見え隠れするその女性の全身は何重にも 縄が巻きつき、女性の腕は背中で一つに縛り上げられていた。なめらかな感触の黒いパンティストッキングを穿いた脚も 同様に縄で足首と膝を一つにまとめて縛られている。
彼女の両脚は椅子に腰掛けたままに、おりたたまれて縄で繋がれていて、自分の力では動く事すらできない。
その濡れたようなルージュを引いた薄い唇は、口の中になにかを詰め込まれてから
原色のスカーフをがっちりと噛まされているらしくただ 不明瞭な呻き声を立てるのがやっとらしい。
その容赦ない猿轡のために、子供が泣きべそをかいた様な顔を強いられている彼女は、噛ませ猿轡をされた唇のわずかなすき間から白い歯並びが見え、苦しげな吐息が漏れていた。
「眼が覚めたようね、それじゃ あとはフィアンセにお任せするわよ。国島さん、あなたは婚約者の事を知りたいと思っていたけれど、でも、それは彼女の方でも同じだったの。」
「!ふぐっ!・・・・・」
「私の言いたい事、、、わかるわよね・・・でも心配しなくてもいいのよ。だって彼女だって ほら!みどりさん 見せてさし上げなさいな、好きな人達の間で 、、ううん あなた達2人の間に秘密なんか 持つ必要はないんですもの。」
バリュ、ベリリリリっ
「ふうううっ!」
国島遊馬 が自分の顔を鷲掴みにすると いっきに手前に引っ張り「顔」だったものが引き剥がされた。でも そこからは一滴の血が流れ出ることもなかったんです。それどころか 国島遊馬の顔があった場所にあらわれたのは、なんとあの無表情の看護婦の「顔」だった。
ムギュ、ぶぁさぁっ
「むむむむむむむ!!!・・・・・・」
僕は 自分が失神しない事が不思議な程でした。なぜなら「顔」は一つではなかったんです。あの無表情な看護婦の顔がさっきとおなじように 引き剥がされると、その下から又 別な顔が現れました・・・・そう、、僕の良く知っている・・・僕がこの世の中で一番愛している・・・・婚約者 香山みどりの 顔が・・・・・
「遊馬さん、、、」
「ふくううぅぅ、、、、」
すべて 見られていた・・・・無表情な看護婦だとばかり思っていた女性が、実は
婚約者の香山みどり 本人だったなんて・・・僕は あまりの恥ずかしさに発狂しそうでした。でもDr柏木奈々緒は さっきとはうってかわった様な真摯な態度と
口調で
「カウンセリングでわかった事は、あなた達は幼い頃、それぞれの境遇の影響で異性を好きになる事は出来ても、愛し合うことにはトラウマが邪魔をして踏み込む事が出来なくなっていたんです。お2人とも、そうですね?」
「でも、これも2人の共通点でしたが、同性との愛の交感までは 出来ない・・・・それならば、これが一番最適な療法だと、私は思ったんです。香山さんは しばらく悩んだ末私の提案に賛成してくれた・・・・それで 国島さんには失礼でしたけど、このクリニックに来るように仕向けたんです。」
「さあ 香山さん、こっちに来てちょうだい。あなたは今から 国島遊馬になるんですから、そんな インスタントマスクではなく、今 貴女の婚約者が付けている本格的なマスクを装着しないとね。良いわね 国島・・・香山さんも?」
僕、、、いいえ わたしは とめどなく流れ落ちる涙の為に、Dr柏木の顔も、婚約者の顔も見えませんでした。ただ力強くわたしを抱きしめてくれる腕の温かさに甘えていました。
カルテNo 019 香山みどり
カルテNo 020 国島遊馬
処方完了
担当主治医:柏木奈々緒
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【続く】
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