柏木奈々緒の診療カルテ(5)氏名なきカルテ
福助二世



人間の心の奥底には 本人が自覚しているかどうかは別にして必ずや
「願望」「野望」「欲望」がある。例えそれが どんな邪悪な内容であろうが
人間とは所詮、この3つ全てを ぎゅうぎゅうに詰め込まれた袋に過ぎない
のかも知れない。


今、クリニックの診察室にいる どこか清楚で濡れた瞳をキラキラと輝かせる
可愛いらしい顔をした少女、、、だが、そんな印象には不似合いな、どこか
「暗黒面」を持っているように感じたのは、作者だけであろうか・・・・
いや、こんな先入観は彼女に失敬であった。

カツコツカツコツカツコツカツコツ
カシャン、、、

ハイヒールの踵がCF張りの床を刻む音が響いてすぐ、その部屋のドアが開いた。

「お待たせしたわね、ごめんなさい。スタッフに交代で代休を取ってもらっている
もので、それで? 電話での話だけど、この間の事がショックで精神的障害が?」

「はい、、別に、、私自身が何をどうされた訳ではないって事は 、、、、でも、、」

「良いのよ。突然 自分そっくりの人間があんな破廉恥な、しかもクラスメイトの男の子だったなんて、発狂しなかっただけでもみつけものだと思うわ。」

「ありがとうございます、、、それで、、、」

「すぐに治療に入りましょう。そこでスカートとブラウスを脱いで、隣の部屋に来てくれるかしら。あちらに診療着を用意しておきますからね。」 

「はい、せんせい、、、」

診察依頼をしてきたのは あの女子高生だった、彼女は女医の指示に素直に下着だけになると 隣の部屋にきて戦慄した。

「きゃっ!そ、、それは・・」

「安心してちょうだい。何もこれで貴女を縛ろうって訳じゃないのよ。この間、貴女が見たのは これと同じ物だったわよね。」

女医は、そう言いながらテーブルの上に並べていた「猿轡」と「縄」を少女に見せながら先日の異常な体験について話しだした、これは分析治療の一環と言う事で、最初は少女も驚いていたが、その説明に納得したのか 大人しく、女医の話を聞きだしていた。

だが女医は見逃さなかった・・・・縛られないと知った少女の眼に浮かんだ失望の色を・・・そんな事は素振りも見せずに女医は少女に言う。

「この部屋にいる間は この診療着に着替えてもらおうかしら。済んだらその椅子にかけていて。」

少女は、言われるままに用意されていた診療着・・・それは彼女が身に着けた事もないセクシーな紫のブラジャー付きコルセットとお揃いのパンティ、そしてバックシームの入ったストッキングとピンヒールブーツだった。・・・少女は素直にそれに着替えると、伝染しないよう注意しながら、ストッキングに脚を通してからコルセットの下端に吊り下がったガーターベルトに留めた。最後にピンヒールブーツは、そのヒールの高さに不安になったのか、女医が指で示した背もたれ付きの肱掛椅子に腰掛けてから 履いてサイドジッパーをあげた。

幼さが残る顔立ちに一瞬アンバランスにも感じる娼婦スタイルの少女・・・女医は
少女の横に立つと、真っ白な指で そっと少女の顔をなぜてから 指先を少女の喉から胸、おへそ、、さらに内股へとなぜていった。

少女は それに抵抗するでもなく、ただくすぐったそうに身をよじる。次第に少女の目がとろんとしていくのが解った。彼女はそのセクシーな下着につつまれた全身を小刻みに震わせているようだ。

女医もそれを確かめると 心底 楽しそうに、そして執拗に指を動かしながら。

「思った通りね・・あなたには塗淫魔の血が流れているわ。このままでは とんでもない事になってしまう・・・手後れにならないように 今のうちに確実に治療してしまいましょう。」

女医は真っ白な少女の胸の膨らみの輪郭を縁取るように、指でなぞりながら、次第にその胸をもみしだき始めていた。やがて お腹から太股へと女医の指先が這い回ると少女は下着の上からでも解るほど、陰部を黒く湿らせ始め、その腰が動き始めた。少女の はだけた胸と上半身は上気して赤く染まり、乳首はピンと尖った。

明るい筈の室内照明が、淫靡な興奮に似合う 薄暗く光量に減殺されたことなど、今の少女には気がつかなかったかも知れない。海の底に設えたような部屋の椅子に腰掛ける少女は、床に投げ出された縄の束の音に我に帰った。

少女の自我が乳夢から復活ときには、少女の両手は背中に回されて、高手小手に縛り上げられていた。恐怖の為か、あきらめか、少女は女医のなすがままにされているが魅力的な目が薄暗い部屋の中でキラキラと輝きだしてきた。

女医は上半身を縛り終えると、手際欲ピンヒールブーツの上から少女の足をアッという間に足首と膝頭まで縛って抵抗できないようにしてから、まだ小振りの少女のバストを露わにしてから爪先で乳首を摘み上げた。

「あっ、、い、、痛い、、、」

指で乳首をもてあそびながら、ピンクローターを取り出すと少女の二つの乳首に医療用テープで張りつけると、そこと乳首をいっしょに強く摘んだ。女医の てのひらに少女のまだ小さな胸のコリコリした感触が伝わっている事だろう。女医はその感触を楽しみながら、空いている方の指先で 少女の敏感になっている個所を あちこち突っついては、たまらずに甘い声を漏らす少女を眺めて楽しんでいる。

「うふんっっっ・・・あはんんっっ・・・むっ駄目ぇんん・・・・」

「あらあら これはマジメな治療なのになんなの?その不謹慎な声?どうしましょ。そんな不真面目な患者さんなんじゃ、今日の治療は終わりにしましょうか?」

「ご、、ごめんなさい、、、あっ、、いっ、、いっやぁ、、、」

女医は口ではそう言いながらも、ローターのボリュウムをOFFにしようとはしなかった。眉間に悦楽皺を寄せながらも、耐えようとする鳴咽を、だが少女は止めようもないんだ。

「仕方ないわねぇ、、それじゃ、貴女、こんなもので猿轡されてでも、治療を続けて欲しいのかしら?本当に?」

女医は白衣のポケットから、丸めた白い布を取り出すと、椅子に縛りつけられていてる少女の鼻先に突き付けた。それは女医の物なのだろうか?汚れたパンティだった。

そんな汚れた下着をどうするのか、それを想像して興奮したのか、少女の鳴咽は一段と大きな物になっていた。

「こんな汚れた布の猿轡が欲しいなんて重傷ね。やっぱり手後れなのかしら。」

女医はその布を少女の口の中に突っ込むと、丸い穴空きボールの着いたボールギャグをその上から嵌めた。それだけではない。さらにその上から豆絞りの手ぬぐいで覆った猿轡・・・その手ぬぐいの猿轡を何枚も重ねて少女に嵌めた。その口の中の詰め物から立ち上る、女體の匂いにむせっても、もう吐き出ないのだ。苦しそうにあえぐ少女に女医は容赦がなかった。

すでに少女は口一杯に汚れた下着とボールをくわえ込まされ、呼吸もやっとだろうに少女の瞳には恍惚が宿っていた。それはどうみても少女自身、その猿轡の感触を楽しんでいるようにしか見えない。 

女医はそんな少女の気持ちなど見抜いていたのだろう。次の猿轡は手拭いで少女の鼻の下を覆う「被せ猿轡」、その次は、別な 豆絞りで鼻の上まで覆ってしまう。猿轡が一枚増える度に、少女はまるで愛撫でもされたように良い声を出した。

少女が乳夢に遊ぶその間に、女医は少女の股間に股縄を掛けて痛々しいほど食い込ませてしまった。

女医は悶える少女を見下ろしながらニンマリと笑うと、少女の両足の縄をM字開脚に縛り直した。その不自由で恥ずかしい姿勢にも少女は何の抵抗もせず息苦しさも忘れて悶えている。


その時だった。

プルルルルルル。。プルルルルルルル、、プルルルルルルル
カチャ、、ピー
お電話、ありがとう、ごさい゛、、ます。
柏木クリニックは研修の為、○月、○日より3日間、
臨時休業とさせていただきます・・・FAXの方は・・・・・


「??!!!ううう・・・・むむんん・・・・???」

少女の顔の下半分を蔽う猿轡は、少女の首の後で厳しく縛られていて、その端正な少女の顔は子供が泣きべそをかいているような顔に無理やり歪められ、発言どころか呼吸すら大変なのだ。

だが!それでも少女は叫んでいた。

今の留守番電話のメッセージ、、このクリニックは臨時休業??!!
と、言う事は・・・・この先生は 柏木奈々緒って人じゃない・・・・・

「うっふっふっふふふふふふあっはははははは、、、なーんだ、これからがお楽しみだったのになぁ・・・まさか留守番電話のメッセージまでは気が回らなかったよ。」

突然、女医のチャーミングボイスが、別人のそれ男性の声に変わった。恐怖を感じとった少女はなんとかその場から逃れようとしたが無駄な事だった。彼女の両手は
上腕部分を背中に回されてぴったりと重ねられ、縄で幾重にも巻かれている。腕が自由に動かないように腕を胴体に縛り付けられ、その体の上を縦横十文字に梱包するように縄がかけられ最終的な縄尻は、少女の股間を通して背中でくくった手首につながっていた。
 
しかも、少女の脚はついさっき、あぐらをかいた姿勢で拘束されたばかりだった。


「ううう・・・・むむんん・・・・」

「心配しなくていいよ。でも君も好きだねえ・・この福助二世も危な騙される所だった。君、リックなんだろ。そして君が今日、このクリニックに来た目的も知ってるぜ。だってさっき 君からの電話に出たのは俺だったんだからな。、、君が心細い声で、ナナオ・・・ボク・・・好きな人が出来た・・・だって、青春って奴だな。ぷっぷはははは、、だから俺もちょっと お付合いしたって訳さ。」

「ううん・・・ふくうんんん・・・・うむむんん・・・・・」

「そんなに照れる事なんてないぜ、ただなぁ、今 君が変装している彼女、、、ええと、なんて名前だっけ・・・そうそう、牧瀬由希さんだったな、、君は彼女に恋したんだろ。ただね、今君が着ているのは【オモテ牧瀬】さんじゃない。彼女には姪がいる、、その姪は牧瀬由希くんとは非常によく似ているが、性格は、、、おっと ここから先はリック!君自身が確かめればいいさ。名前は たしか沙弥って言ったっけな。」

「じゃあね!!君 素質あるわよ。そのうちスカウトにうかがうかもね。」

「う、うむむんんんむぐんんんっっっ!!」

僕、縛られたままで放置されるなんて、いくらなんでも経験ないよ。猿轡の奥から思いきり呻いた・・・・無駄なのは解っていたけどね。
 
『あっいたたたっ、、痛い、、なんなのよ、このクリニックは?由希が入院したってケータイにメッセージが入ったから来てあげたのに、、これって』

誰かいる!僕はその声に必死になって もがいた。

『助けて!!、ここだよ、僕、、縛られてるんだ!!』

助けを呼んでも、口の中の詰め物は僕の唾液を吸って、僕の唇はもう裂けそう・・・こんな厳重な猿轡・・・・本当に呻き声しか漏れないんだ。しかも、ほんの少しも動くことさえ出来ない・・・こんな後手に縛られて あぐら縛りをされて

それじゃ俺は、この特種ボディスーツの化学公式を頂戴したんで失礼するよ。ああああ、あの姪 眼を覚ましちまったか・・・しまったな」

「ふむむむむむんっっ・・・うおうっぐんんっっ!!!・・・」

チャンス!僕は声のした方向に必死で叫んだ。それが かすかな喘ぎ声に濾過してしまう程、強烈な猿轡で、ただ吐息が漏れるだけだとしても僕は叫んだ。

「ちょっと あなた?」

「ふっ?、、、あふっふっぐう!!」
(やった!さぁどうする偽者のナナオ、君はもう逃げられないよ!)

「そんなに悶えなくたって良いわよ。そんな事より あなた、、どうして こんな所で私のプライベートな服、勝手に着てSMプレイなんかしているのよ。由希に変装して 私に変な薬を嗅がせて眠らせたの、あんたの仲間なの?」

「あら、ちょうど良かったわ。私達、ついさっき研修から戻ってきたら、こいつがクリニックを荒らしていたの、どうも「事務所荒らし」らしいわ。今 警察を呼んだから間もなくパトカーが来ると思うから、ちょっと こいつ見舞っていてくれないかしら?わたし、外でおまわりさん 誘導してきます。」

「あっ、あなたがカシワギ先生ですか。解りました。任しておいて下さい。」

「よろしくね、ああ、その泥棒の猿轡は絶対に とらないでね。舌を噛んで死のうとするみたいなの。このクリニックで血は見たくないのよ。それじゃ玄関にいるわね。」

偽のナナオは そう言って いつものナナオの顔で笑うと そのままクリニックを去っていった。


<つづく>
【前へ】  【続く】
【戻る】