≪万国人形大博覧会:(2)≫幕の内



さぁ、これからしばらくの時間、みなさんにはこの人形の館に留まり、その妖しの園の住人(すみびと)達との ひとときをお楽しみいただこう。

その前ににひとつだけ、教えておく事がある。みなさんがこれから出会う数々の[人形]達は、上辺だけでしか物事を捉える事が出来ない者には、伝えるべき意思もなく、その唇は何も語る事はない、、、と。見逃してはならない、、ききのがしてはならない、、、[人形]達の慟哭の声ときらめく涙を・・・・


ようこそ[万国人形大博覧会]へ
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「縲後%繧薙↑繝舌う繝医′縺ァ縺阪縺ェ繧薙※縲・・・・?」
(注:文字バケではありません)

「ううっふうっ・・・うんふうっぅっっ・・・・」

【 縲ゅ縺ヲ縺ィ縲、、繧阪繧搾、、?、、螳夂捩・縺悟・譚・縺溘縺吶 】

鼓動は激しくなる一方だった・・・周囲でいったい何を喋っているのか聞き取ることもできなかったし、そんなことに感心を持つつもりもない、その特種プラスティックでコーティングされた[ドールスキン]の皮膚にくるまれた少年は[人形]になりきろうとしていた。

その[人形]は、誰に何を伝えるべき意思もなく、その唇は何も語る事はない。そう もしも、それを観る側が、そこから読み取るべき魂の叫びを聞き逃してしまえば、どれもこれも一個の[人形]として存在するのみなのである。

カツ〜ン コツ〜ン カツ〜ン コツ〜ン カツ〜ン

男性の物ではない、ヒールパンプス独特の靴音がテント内に響いて闇に溶け込ませながら近づいてくる、、、誰?

「 ご機嫌はいかがかしら?そのエッチっぽいランジェリーとっても 良くお似合いよ。明日、カレシが迎えに来る前に、仕上げてあげなくちゃいけないわよね。、」

「・・・・・・・・・・」

「一度、脚の縄を解くけど、大人しくしているのよ。良いわね?」

シュラッシュルララララ、、バサッ、、シュシュシュシュシュ、、、
シュラシュラシュルルルッ、、シャシャシャシャシャ、、

声の主は少年をこんな目に合わせた、あの女社長だった。彼女は鮮やかな手さばきで自分が結んだ縄目を解くと何事もないように、[人形]の下半身を戒めていた拘束を解くと、縄を解かれた開放感と共に下半身に流れ込んで来た「シビレ」にフラフラしている[人形]を無理矢理 立たせた。

やる事はエゲツないが、彼女のロープワークは秀逸だった。
【縛る】のは慣れさえすれば、それなりに誰でも出来る。だが、安全確実に解くとなると話はいささか変わってくる。まして複数の縄を使って縛っていた場合には、絡みつこうとする縄を下手に引っ張って”被虐体”の皮膚に摩擦火傷を起こさずに、いかにスムーズに縄を操って解くか、、そこが解放時の配慮なのだが・・・プレイが終わった時、そこまで縄使いを考える自称【Sのご主人様】は残念ながら、あまりにも少ない。

SMの[S]はサービス係りのサドの[S]、、SMの[M]は満足マゾの[M]と、通の間で言われているのは冗談でもシャレでもないのだ。

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、、そう言えば 同じ事を言ったら、<アンタ、馬鹿じゃないの?SMってサドマゾの事よ>と鼻から煙草の煙を吹きながら言っていた 知性のカケラもない「女王屋」は今頃どこで何をしている事か・・・あの接客態度の最悪な西の方のSM:SHOPはあっさりと倒産したし・・・愛隣地区かそこらの木賃宿で商売でも・・・
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そうやって仁王立ちに立たされた[人形]の両足をふたたび そのままの姿勢で、
左右別々にパイプ椅子に足首、ふくらはぎ、ひざ下としっかり縛りつけてから、女社長は、、、活字にするには、いささかはばかられる様な事を始めたではないか。それも満面に笑みをたたえて・・・


むはっもしゃ、じゅらしゅら

何を思ったのか、仁王立ちの[人形]の下半身にしゃがみ込んだ女社長は[人形]が身に着けていたパンティを途中まで下げると、なんと丸出しになった[人形]
のヴィーナスラインのクレバスに手を差し入れて まさぐりだしたではないか?、はて?そんなイミテーションを弄んでどうしようと言うのだ?、、、

ビブニュ プリョリョ、、もさっ

「・・・・・!・・・・ふふうううう、、くしゆゅゆゆゆぅぅむん」

[人形]の上半身が崩れるように一瞬揺れたが、その動きはあまりにも散漫で何の役にもたたない。そのドールスキンの持つ女體のヴィーナスのクレバスから女社長がまさぐり出したのは、まぎれもない少年の若々しい分身だった。

「良かったわぁ!、、ここが こんなに興奮してるって事は喜んでくれてる何よりの証拠よね。それじゃわたしも遠慮しなくてすむわね。君には今から「赤ちゃん」になってもらわないといけないのよ。」

赤ちゃん?・・・どうやって?少年は今度は乳幼児にされてしまうと言うのか?
だが、、どうやって?

「髪の毛もそうだけど、自毛なんかよりもウイッグの方が面倒がなくてベストなのよ。こっちも似たようなものなの。それにドールスキンの中だと不衛生にも なりやすいし、一旦 樹脂が硬化を始めちゃったら、ドールスキンを脱ぐ時一緒に、、、
、、、ベリベリって、、、あれって 凄く痛いのよう。」

ベリベリ?、、そりゃたしかに痛いだろ、、、だが、まさか、、え!?

カラッカランカラッカランカランカラン
プップシューーーーー

彼女は小さなバッグからスプレーを出すと、それを[人形]の股間から顔を出した、、、少年の分身の根元からその周りにスプレーし始めた。その部分はたちまちにして真っ白な泡まみれになっていく。女社長が手にしたそのスプレーには「シェービングスプレー」と記載されているが・・・

シャリリリッゾリリッ、、ボテッ、、シャリシャリシャリショリショリ、ホタッ、
シャ、チョリチョリチョリ、、ポテポトッッ、、シャリリリシャシャシャシャリゾリリ

器用なものだ・・・もう こうなったら感心するしかない。。。読者もさぞや呆れている事だろう、、なんでわざわざ[ DOLLER 系]を謳うノンフィクションで剃毛シーンが出て来るんだ?と、、、、まぁ諦めていただくしかない、何しろもう書き始めてしまってんだから・・・。

改めて観察してみると男性の「ぽこちん」と「たまたま」と言うのは 生命の神秘を実に素直に表してはいないか?、、、「ぽこ」と「たま」の裏側に一直線に走る縫い取り線は、かつて精子と卵子が融合した時の結合の証だとも、受精後の括合線だとも言われる、、、女社長の手は、そんな生物学上の神秘をも あからさまにして、その周囲を守っていた「純毛」をすべて剃り去ってしまった。


「ほうら、つるつるよ〜。昔の女郎さん達は、剃った毛先はチクチクしてお客が嫌がるって理由で貝殻の背中同士で擦りあわせて取ったらしいけど、、あはははっ可愛い「赤ちゃん」の出来上がりよ。」


仁王立ちの姿勢はそのまま、「赤ちゃん」になった少年は女社長のなすがままにされているしかなかった。少年は内心、自分の顔がドールフェイススキンに覆われている事に感謝していた。なぜなら「赤ちゃん」にされた少年の分身はそんな風にされてもなお、血管を浮き上がらせて天を仰いでいたのだから。。。そんな[人形少年]を楽しそうに眺めていた彼女は、少し考えてから そこに膝まづいて[人形]の股間に顔を埋めた。

ピチョ、はむっ、、、ビチャ、ヌポッハポッ、おふあぁ、ヌププッフ、、
ミチュはむっううぅ、ポフッムプッハプポジュフッ、、、、エフッオフッ
ヌフッオフッ

あらんかぎりの淫靡を込めた鼻濁音と呼吸音が 少年を含んだ女社長の口から、テントの床に流れ出すとすぐに[人形]は、そのBGMに合せて踊るように、上半身をゆらゆらと仰け反らせた。後ろ手に縛り上げられた手首の先で、真っ赤なマニュキュアに彩られた[人形]の白い指が 上半身に調子を合せるかのように ゆらゆらと蠢いている。

あぶっ、うんぐっ、んぐんぐんぐんぐっおっふふううう、、はぁはぁはぁ

鼻からの単調な呼吸音のくりかえしがあってすぐ、女社長の白い喉が何かを飲み干す為の蠕動運動の音に変わる、、、、

ややあって[人形]の股間から離れた女社長は、やや腫れぼったくなってテラテラと輝く唇を舌先で ちろっと拭うと開封された[人形]の股間でビッショリに濡れて その先端から糸をひいて透明なヨダレを滴らせて寝静まる 「赤ちゃん」を女體のポケットにしまってから、下着を元どおりに戻してやった。

その直後だった。

みっみみ、、もにゅ、もにゅ
むもっ、、もにゅうぅぅ、、きゅむむむむむうぅぅ

放心から覚めた[人形]を襲う 残酷なまでの緊縛は、わずかな身悶えにすら その”被虐体”に容赦なく苦痛を与え抵抗の意欲を削ぎおとそうとして、少年の全身を包み込む特種プラスティックの[ドールスキン]の上から、ぐいぐいと喰い込んで来た。

だが[人形]に封じ込められた少年は、そんな戒めからの苦痛の間からにじみ出る、不思議な感触に戸惑っていた。それまでのドールスキンの毛穴の一つ一つにまで沁み込むような皮膚呼吸すら遮断する、しっかりした気密性と弾力性を持って少年の肢体全身に張り付く圧着感自体も、たしかに初めての感触ではあったが、さっきから少年の肢体全身に伝わり始めた感触は、それまでとはまったく異質なものだった。

その異変は、ささやかな部分から始まった。

厳しい徹底した拘束は、たしかに[人形]の全身運動は規制しているにしても、それまでわずかな動かす事の出来た部分、、例えば指先、、などは、わずかだが動かす事は出来てたのに・・・つい 今さっきから その動きがだんだんと鈍くなり、やがて手首を堅く縛り上げている 縄を摘まみかけたところで ぴたりと動かなくなった。・・・それは[人形]が感じた最初の、、そして ほんの些細な変化だった。


みっみみギュシュ、、もにゅギギッ、もにゅ、、カキュ
むもっ、、もにゅうぅぅ、、きゅむむむむむうぅぅ
ミキッミシミシュン、、パキペキュン、、ピキッ

劣化?!それとも硬化か?、、、あたかも生きた人間のように ぬめらかで弾力と若々しい艶を持っていた[人形]の表皮は、結晶化でもして行くように 少年の皮膚を覆ったまま、肉質の表面光沢をエナメル琺瑯質の艶に変えながら[人形]の全身の【硬度】を増していった。

つい先程までは少年が呼吸する その度に軽く上下していた[人形]の腹部は、ついに、ぴくりと微動すらしなくなり、代わって[人形]の鼻のところに開口されている6mm程度の穴からの空気の擦過音が小刻みな ものになっていく。

「それが本当の【定着】、、、その窮屈さ をよく覚えておくのよ。「硬化」を解くには48時間そのまま待つか、剥離剤のスプレーを吹いて解凍するか、、その2つの方法しかないの。君は明日、その姿のままでお客様をお迎えするのよ。それじゃ
わたしは あの[出来損ないの人形]の様子を見たら帰りますからね。君はそこでゆっくりとおやすみなさい。」

カツッン コツ〜ン カツ〜ン コツ〜ン カツ〜ン

それだけ言うと、来た時と同じ靴音を響かせながら 離れていく女社長の方を眼だけで追う[人形]に 彼女は軽く手を振って応えた。

縄と拘束具で厳重に固定され、言葉の自由をも完全に封殺している猿轡に意思を伝える自由もなくなった上に、女體人形の皮膚に身体を占領され弱々しく呻く”少年”は、だが、朦朧とする意識の底で、思った。

、、、、これが自分が本当に[生きる]言うだことなんだ・・・・・・と。


だが その[人形]は、誰に何を伝えるべき意思もなく、その唇は何も語る事はない。そう もしも、それを観る側が、そこから読み取るべき魂の叫びを聞き逃してしまえば、どれもこれも一個の[人形]として存在するのみなのである。


【 乳 霧 の 淫 乱 鬼 】

そうクレジットされたタイトルプレートが付けられた事も知らずに、薄暗いテントの中で、静かに明日の開演を待つ[人形]は自分からは何も言わない。

だが それでも この[人形]にはまだ”明日”と言う希望があったのだ。女社長の姿は、あの女囚の[人形]のディスプレイベースの前にあった。

まるで自分の痛みの限界を思い知らせるかのような緊縛と吊責めは、相手が人間だったら、かなりハードで可愛そうだったが、その”被虐体”が[人形]とあっては過酷な痛みの限界に苦悶する姿は、ただの滑稽な見世物に過ぎない。


「おい!出来損ないっ!眠てるんじゃないよ!明日になったらカレシが迎えに来るってよ、、、起きるんだよ!そらよっ!」

ギシッ、、ギシシュン、、、ギシシュン、、ギシシュン、、
{・・・・・・・・・・}
キシシュッッ、、ギシュッッ、、ギシュッッ、、、

「ふん、、そうやって ぶらさがってれば良いんだから、怠け者のお前にはピッタリじゃないか。本物の[女囚人形]よりは安物だけどね。明日になったら お前の方がマシかどうか精々カレシの前で名演技を見せてやるんだね。」

ギシシュン、、、ギシシュン、、ギシシュン、、
、、、キシシュッッ、、ギシュッッ、、ギシュッッ、、、


カツコツカツコツカツコツカツコツ

「おや?支度出来たみたいね。ああ、いい気味だったわ。、、チーフ?こんな馬鹿オンナに変身したご気分はどうかしら?」


女社長は、その靴音のする方に声をかけた。そこには 行きずりの男を誘うように胸が大きく開いたブラウスとレザーのスカートを穿いて膝の上までのロングブーツを履いた娼婦がふてくされた表情のまま、こちらにやって来るのはチーフではなく、あの馬鹿オンナではないか!


【サイテーだね、、よりによってこんなクズに変身しなくちゃならないなんて・・・俺、こんな事するぐらいなら、真夏の商店街で 豚かなんかのヌイグルミ着てチラシばらまいてた方がマシだよ・・・】


「そんなに怒らないでよ。元はと言えばチーフが悪いんでしょう。でも、これで明日になってカレシが迎えに来た時に心配しなくっても良いし、チャンとカレシとお手手を繋いで帰ってくれたら良いんだもん。」

【はいはい、全部オレが悪いのさ、、オイっ、出来損ない!その時、お前はそこから、ゆっくり見送ってあげるといいさ。カレシとオレが仲良く帰るところをな。】


ピーチパラソルを内側から見たような、所々にパッチワークのような補修の痕跡があるテントの天井をバックにして 梁から吊下げられてゆらゆらと揺れる[女囚人形]に向って怒鳴るように言ったチーフを咎めもせずに にやにやと含み笑い
する女社長、、、もはやその[女囚人形]に明日はなかった。


この[人形]について読者諸君は、すでにその中味を看破されていると思うので、
種明かしはしないでおこう。

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すでに数時間と言うよりも半日以上もこんな状態を強いられている[人形]は、本来の拘束に使用する「綿ロープ」ではなく「荒縄」で拘束されているのだ。

相手が[人形]だから、なにという事はないが、多少きつめに縛っても、勝手に伸びて緩みやすい それだけに肉体に負担のない「綿ロープ」を使用せずに「荒縄」を使用した長時間の吊責めと緊縛は、それだけで容赦ない責め苦となる。

しかして緊縛力を緩めない荒縄の戒めは、容赦なく[人形]を襲い続ける。繰り返し忠告するが、これは本格的な縛りを通りして 悲痛なまでの被虐性を満足させたい強いM性と折り合いがつかなければ”被虐体”にとったら拷問でしかない。

恐らく生身の人間であったら3時間を過ぎた頃には、うっ血によって筋肉をコントロールする神経は少しずつ溶け始め 慌てて そこで解いたとしても肢体のいずれかに障害が起きる可能性はかなり大きい。だが[人形]がその姿勢で吊責めされてから すでに半日以上が過ぎている事は、すでにお話したと思う。


その[人形]にとって、こんな責めは産れて初めてのことであろう、沸き上がる恐怖心に、猿轡の奥であげつづける悲鳴による涎と、襲い来る激痛に流し続けた涙で、ドールスキンのフェイスマスクの下の女の顔は、恐らくグシャグシャになって息も絶え絶えなのではないか。耳を澄ましたら、その[人形]の鼻孔から漏れる荒い息が聞こえてくるような気がする。

棒ヤスリのような鋭さで全身に食い込んだ荒縄で丈夫な筈のドールスキンにも限界が来たのか、その[女囚人形]の下半身は吹き出た汗だけではないだろう、琥珀色の液体にグッショリと濡れて、足袋に包まれた足先から滴り落ち、その下に水溜りを作っていた。

イベントテントの屋根が薄っすらと明るくなって来たようだ・・
【万国人形大博覧会】あと数時間 程で開幕となる。


2≪万国人形大博覧会(2)≫
<完>
【前へ】  【続く】 
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