1997年11月12日更新
こんなコーナーをつくる気は当初はまったくなかったのですが、
日本語メニューが寂しいこともあり
適当にでっちあげました。
まさにタイトル通り、
私が勝手に決めるGSランキングです。
今後気分次第で不定期に更新される予定です。
もちろん忙しい人は
わざわざ見るほどのものではありません。
さて、なぜGSか。
GSの曲には優れたものもある一方で、
一般的に知られているのは
タイガースなど本当にどうでもいいものばかりです。
カップスには「HEY JOE」があったのに、
なんでNHKのナツメロ番組でデイブ平尾は
「長い髪の少女」を歌わねばならんのか。
コンピレーション盤はどれも(カルトGSシリーズ以外)
毒気のないゴミで埋め尽くされています。
そこで、ここでは「俺が掟だ」
という男気溢れるコンセプトでGSを論じてみようというわけです。
ニフティサーブFROCKL mes18
通称クラ部屋でも時折話題になってますが、
GSこそが日本のロックの夜明けであったし、
ジャポネスク・サイケデリアの始祖でもあったわけです。
60年代半ばに世界中に吹き荒れたビートの嵐の
日本版がGSだったにも関わらず、
今日、そういう観点から評価する人は大変少ないです。
60'sに興味のある人でもGSは避ける。だってカッコわるいんだもん。
・・・(; ;)。いくぜおりゃー。
1 「Hey Joe」 The Golden Cups
2 「メラメラ」 The Spiders
3 「すてきなサンディ」 The Carnabeats
4 「Inside Looking Out」 The Spiders
5 「Hold On, I'm Coming」 The Voltage
6 「はなしたくない」 The Youngers
7 「Everything's Alright」 The Outcast
8 「トンネル天国」 The Dymnamites
9 「Over,Under,Sideways,Down」 The Beavers
10 「ブラインド・バード」 The Mops
次点 「ゲルピンロック」 The Mustang
ゴールデン・カップス「Hey Joe」。
第1位はこれで決まりでしょう。
この「Hey Joe」
は有名なジミ・ヘンドリックス
のヴァージョンとは異なりアップテンポです。
ルイズルイス加部(加部正義:
ジョニー・ルイス&チャー、ピンククラウド、
ウォッカコリンズなど)
のベースの大活躍です。
ぶっきらぼうにひたすら突っ走るベースで曲を引っ張り、
間奏では一転歪んだ
ベースのフィードバックを聴かせるなど、
もはや独壇場です。
徹夜するときなど、
この曲をエンドレスで流すととんでもないです。
スパイダースだけ2曲となりましたが、
実際はこの他にもまだまだたくさんいい曲があります
(エレクトリックおばあちゃんではありません)
。ほとんど再発されていませんが、
日本のGSの中にあってスパイダースこそもっと
正当な評価を受けるべきロックバンドでしょう。
解散後のマチャアキや井上順らの活躍が目立っていて、
ともするとスパイダース時代は軽視されがちですが、
スパイダースを聴くと、
マチャアキがかつていかに素晴らしいボーカリストだったかがわかります。彼は
今ではテレビ番組で料理なんかつくってますが。
そのヴォーカルが聴けるのが
「Inside Looking Out」。
アニマルズ、グランド・ファンク・レイルロードなどで知られる有名曲ですね。
もう1曲の「メラメラ」
はかまやつひろしのリードヴォーカルです。
こちらはベースのブーストされたスパイダースのサウンドがたまらんです。
カーナビーツは定番としては
「好きさ好きさ好きさ」
「恋をしようよジェニー」のどちらかでしょうが、
個人的にはこの「すてきなサンディ」を推します。
学校の鐘のSEから一転してファズギターが突っ込んで
くるあたりでもう参っちゃいますね。
しかし、こういうのはガレージパンクなんて
好きでもなんでもない人には
ぴんとこない可能性大ですね。
ともかく、カーナビーツの数少ない自作曲の中では
出色の出来だと思います。
ボルテイジの「Hold On, I'm Coming」は、
オリジナルはソウルデュオ、
サム&デイブの曲です。
ボルテイジは、
デビューアルバムの曲をR&Bのカヴァーで固めたのですが、
それを全てバンドのみで録音してます。
つまり、
弦楽器や管楽器が入ってません。
バックバンドのない状態で勝負しています。
やはり圧倒的なファズギターとオルガンが
サウンドの核となって、
音の薄さをハンディだと感じさせない熱演です。
ヤンガーズは、
バンド名からして既に英語かどうかあやしいですが、
後期GSとしては非常によく出来たバンドサウンドが聴けます。
「はなしたくない」は、
同じシングルA面の「マイラブ・マイラブ」
同様に自作曲であることを忘れてはなりません。
音的には、
特にドラムの演奏力がこのバンドには重要な役割を果たしているようです。
ベースはかっこいいフレーズを
やっているものの技術的にはいまいちかもしれません。
このバンドもめぼしいヒットが出なくて、
スポイルされてしまうんですけどね。
もうひとつ、バンド名があやしいグループでアウトキャストです。
海外にはThe Outcastsというバンドがあるわけで、
なぜ単数形なのかは永遠に謎です。
このグループあたりが、
きっちりヒットを出してスタイルを固めていたら、
今頃日本のロックがどうなっていたかわかりません。
現実にはアウトキャストは鳴かず飛ばずで、
曲ごとにスタイルもころころ変わるというていたらくで、
日本のGSの主導権を握ったのは後発グ
ループのタイガース、
そしてストリングスばりばりのブルーコメッツだったのでした。
1966-67年において、
アウトキャストがどんな演奏をしていたかと
想像すると、
彼らがその実力を発揮出来なかったのが残念です。
中心メンバーの水谷公生は、
後にアダムスを結成するもやはり不発、
その後は
売れっ子スタジオミュージシャンという
日陰の道を歩んだのでした。
アウトキャストの地味・器用貧乏という特性が遺憾なく発揮された迷曲
「えんぴつが一本」を聴くと、
なぜこれを録音しなくてはならなかったのか理解に苦しみます。
「Everything's Alright」
「Long Tall Sally」
の素晴らしい演奏を出来たバンドがこんなことをしていたから、
GSはまともに再評価をされないのかもしれません。
ダイナマイツは、
その実力の一部でも発揮できた録音は本当に数えるほどです。
いや、どうでもいい録音ですら彼らの力量を推し量るには
十分な出来なんだけれど、
やっぱりこの「トンネル天国」
くらいの曲を量産して欲しかったですね。
この曲は彼らのデビューシングルで、
そこそこヒットしたにも関わらず、
この後どんどん歌謡曲化されていってしまうのでした。
彼らの録音はCD1枚でコンプリートという状態で、
アウトキャストより悲惨ですね。
なお、メンバーの山口富士夫は
後に幾つかのインディーズ・バンドで活躍します。
ビーバーズのアルバム
「Viva! Beavers」においても顕著ですが、
世界のビート・ムーブメントの中でもGS特有な
(だろうと思う)点として、
サウンドと不釣り合いなまでに
歌詞が恥ずかしいことが挙げられます。
イントロの格好良さと
歌が始まった瞬間の激しい落差が、
これまで何人を死に至らしめた事か。
「Over Under Sideways Down」
はヤードバーズの曲のカヴァーですが、
オリジナルよりパンクな仕上がりです。
ビーバーズに関してはサイケというより、
パンクという方がしっくりきます。
ビーバーズの魅力は延々と鳴っているファズギターです。
その情熱的な響きに魅入られてしまうとアウトです。
モップスもそういう点では似ているかも。
ビーバーズの方がラジカルですが。
ビーバーズっていう名前は、
かわいい動物の名前をつけるようにという
レコード会社の戦略だったようですが、
それがファズギターばりばりではまずいだろって。
あ、リズムセクションも強いですね、
ビーバーズは。
「Viva! Beavers」収録の「君なき世界」は、
最近、元カーナビーツのアイ高野がライブでリメイクしてやってました。
オリジナルはよく出来た曲ながらも
いまひとつ盛り上がりに欠けるものだったのが、
より熱っぽく直されていました。
なお作者の醐樹弦(五次元?)とは、
かまやつひろしの変名です。
最後、
モップスのブラインド・バードはモップス
GS期の曲の中にあって
再発が見送られている曲です。
この曲には歌詞の中に「めくら」
という言葉が出てくること、
そして、それが否定的な意味で使われていることから、
レコード会社の方で再発を自粛したものと思われます。
しかし、演奏としてはこれは悪い曲ではないし、
昔はこういう歌詞もあったんだよっていうことを
きちんと断ればよかったのではないかと思います。
差別用語を徹底的に封殺したからって差別が
なくなるわけではなくて、
差別とはどういうものかという点をきっちり押さえたところから、
差別をなくそうという議論が始まるわけでしょう。
ビクターエンターテイメントは残念ながらそういうチャンスを逃し、
同時にモップスの一番いい作品を
封印してしまいました。
レコードには「『Blind Bird(ブラインドバード)』は今回収録されておりません。
ご了承下さい。」とありますが、
私は了承できません。あしからず。
と、まあ、
ひとしきり怒った所で、次点のムスタングです。
怒りも一発で冷めるような超C級の歌詞に、
脱力ものの口でやるSEと、最高です。
しかもイカモノらしくないしゃきっとした
チャック・ベリー・スタイルのロックンロールが
痛快です。
ここもまたバンド名がなぜか単数形のムスタング。シングル
1枚のみしか残っていない全く謎のグループですが、
GS海賊版「Banzai Freak Beat」
に収録された理由がよくわかる快作ですね。
これで終わりか。ふう。
正直言って、
GSのアルバムを通して聴いた後に
海外ガレージパンクのコンピレーションとか
聴いたりすると、
ほっとしたりもするんです。
だから、とてもアルバム単位では推せないんだけど、
1曲1曲を取り出したら大したものです。
どうやって地雷を避けて良品を求めるか、
そしてどうやって強烈な歌詞に慣れるか、
この2点がGSを聴く時の最重要ポイントでしょう。
最後になりましたが、上記の内、
4、9、10以外はCDで聴くことができます。
次回更新はいつになるかわかりません。
更新するときは、
今度は脱力系も混ぜてみようかと思います。
必殺のスケルトンズ「星の王子さま」などですね。
それでは。
棚橋勝敏(イージーファン)