「俺が掟だ」独断流GSランキング

1998年2月2日更新

今回は行送りに細工をしないで普通にしてみました。読みにくいかな。色合いも一新して、なんだかさわやかなページのようです。

最近、大規模な捜索隊を使って錯綜している我が部屋を探索した結果、「日本ロック紀GS編」を無事発見することに成功しました。ライトニン・ホプキンスを再発見した時のサミュエル・チャーターズに匹敵する喜びを感じましたね(ほんとか)。これでようやく記憶+類推モードから脱却できそうです。

オーケーベイベー!!

・・・さてさて、ちゃんとやりましょうか。

1 「Mustang Sally」 The Voltage

2 「電話でいいから」 The Outcast

3 「Walkin' The Dog」 The Dynamaites

4 「バン・バン・バン」 The Spiders

5 「青空のある限り」 The Carnabeats

6 「午前3時のハプニング」 The Golden Cups

7 「チュッ!チュッ!チュッ!」 The Carnabeats

8 「朝から晩まで」 The Sommers

9 「真珠の涙」 The Spiders

10 「Security」 Zoo Nee Voo

次点 「Let's Go Rangers」 The Rangers

ついにボルテイジがトップです。こんなマイナーGSではありますが、R&Bのカヴァーのみという画期的なアルバム(シングルではない)でデビューを飾っており、非常に野心的なグループでした。売れませんでしたが。売れなかったのが悔やまれる快心の出来なんですが、会社が弱かったからか、キャッチーでなかったのがいけなかったのか、その実力とは関係なくB級GSと捉えられがちですね。私はこれほどまでにストイックなバンドが存在していた日本GSシーンの奥深さ(本当か?)に瞠目しました。「Mustang Sally」は、ウイルソン・ピケット・オリジナルで、タフなボーカルが聴ける傑作です。

アウトキャストはその知名度の低さとは裏腹に注目すべき録音が(全録音の少なさの割に)たくさんあります。しかし、決して1位になってはいけないバンド、それがアウトキャストなのでした。「電話でいいから」は素っ頓狂なボーカルの「お〜く〜れぇ〜えぇ〜え〜」という語尾や英語の発音の怪しさに若干脱力も感じますが、タイガースの先輩バンドはガレージ・パンクであったという日本のGSの知られざる一面を伺い知れる佳曲です。あ、当然ですが歌詞は聴いてはいけません。(^^;)

ダイナマイツのR&Bカヴァーには外れがないですね。「Walkin' The Dog」だけでなく、「My Girl」などでも貫禄たっぷりです。といってもほとんど録音が残っていないんですが、このバンドなら外しようがないです。リズムパートの二人がこのバンドの解散後、音楽から引退したようなのは惜しいです。ドラムの野村光朗は、派手な技はともかくとしてリズムの正確さと音の良さでは天下一品だと思います。イージービーツのスノーウィー・フリートとは少しタイプが違うけれども、バンドを盛り上げるドラマーという点では共通してますね(スノーウィーはリズムの正確さがいまいちだけれども、エモーショナルに盛り上げるために欠かせない存在だったと思います)。グルーヴィーないいドラマーだったと思います。ベースの吉田博も極めてシュアーで、ルイズルイス加部とは全くタイプが違うけれども、私の好きなベーシストです。リズム隊がしっかりしているのが、私のダイナマイツびいきの理由かもしれません。あと、このバンドは「The Last Train To Clarksville」のような流行り曲を突然にやらされても、下手なバンドより圧倒的によく出来てしまう基礎体力の高さが特筆すべき点です。アルバム1枚分しか録音は残っていないけれども、ロックバンドとしての実力では多分GS中でもトップクラスです。他にライバルはゴールデン・カップス、スパイダースなどですね。ズーニーブーはうまいけれど独自の魅力に乏しい感じがあります。本当はこの曲も1位でいいかなと思います。より日陰者のボルテイジにトップを譲って3位です。

スパイダースは、なぜこの有名曲が?という向きもあるかもしれません。でも、単純によく出来た曲だと思うんですよ。安易だけれど決して単に歌謡曲的な曲ではないし。ギターやベースのサウンドが、当時のスパイダースに独特のタフな響きを持っています。このランキングは「私がレコードをセットして聴く気になるかどうか」というのが重要な基準です。スパイダースにはもっといい曲があるにせよ、この曲も大したもんです。スパイダースの他のヒット狙いの曲とは違って、かまやつひろしが後にも取り上げるだけのものがありますね。彼は、やはり自作の「真珠の涙」を多分スパイダース以後ステージでやったことないんじゃないかと思いますけど、こちらはたびたび取り上げられています。

カーナビーツの「青空のある限り」。えっ?ワイルドワンズじゃないの?と反射的に思ってしまうような人は、多分このページを読んでいないと思いますが、ワイルドワンズの有名曲のカヴァーです。健康的なオリジナルと違ってダークな屈折感のあるカーナビーツらしい好演です。もしかしたら私は臼井啓吉のヴォーカルが好みなんだろうか。

ゴールデンカップスは、私が挙げると全部ルイズルイス加部を中心に選曲してしまうので本当に申し訳ない気もしますが、今回は「午前3時のハプニング」、セカンドアルバムからの選曲です。なんとルイズルイス加部の作詞作曲&ヴォーカルという珍しい曲で、彼らしい面白い作品です。それでもやはり「Hey Joe」で聴ける爆裂プレイには及ばないんですけどね。あの曲の間奏部のフィードバック・ノイズなど、普通はギターでやるところをベースでやっている所(しかもそれが当たっている)など、まさにリードベースというべき存在です。彼は後にリードギターのエディ藩脱退後、リードギターに転向するんですが、聴いてみると彼のキャラクターが反映されていて、ベースの時と全く同じ印象を受けます。こういうプレイヤーは珍しいでしょう。他に彼のプレイでは、「I Got My Mojo Workin'」「銀色のグラス」のベースがいいです。

カーナビーツの2曲目「チュッ!チュッ!チュッ!」は、なんだか変な曲です。「いやん!」というアイ高野による謎の叫びも入っていて、どちらかというとちょっと「勘違い」気味の曲想かと思うのですが、後半のブラス&ファズギターが入ってきてから様相は一変します。ここでは珍しく越川、喜多村のふたりともがファズのかかったギターで、リフをベースの岡にまかせてギターを弾き倒してます。恐らく左チャンネルが越川、右チャンネルが喜多村でしょう。したがって、ここでは最後は喜多村のファズギターで終わるという構成ですね。ややもたり気味のブラスは演出過剰になりかねないですが、このツインギターのパワーでうまくバランスがとれて、そういう臭さを感じさせません。ベースの岡は安定感には若干欠ける感があるものの、カーナビーツの「間」の感覚に貢献度大です。目立つのはやっぱりスピーカーの軋むような越川のギターですけどね。

サマーズについては、どう見てもB級GSというべきなんだけれども、なぜか聴きたくなる不思議なバンドです。スルメ系というのかな。地方出身のバンドだからかもしれないけれど、素朴な感覚が自然にロックになっているのがこのバンドの美点だと思います。普通は青春歌謡とかになりがちなんですけど、このバンドはいいですね。

スパイダースをもう1曲、「真珠の涙」。バリバリの歌謡曲ですが、そういった曲としてよく出来ています。バンドとしてのスパイダースのよさを存分に生かした歌謡曲ということでお気に入りの曲です。今レコード店に並んでいるスパイダースのベスト盤だと、この次が「エレクトリックおばあちゃん」なので、ついついリピートしてしまったりもするのでした。

ズーニーブーは巧すぎて、逆に個性が中途半端で聴く気を失わせるような所がなきにしもあらずですが、うーん、やっぱり巧いです。このソウルの名曲「Security」も彼らの手にかかればこの通りという具合に見事ですね。特にヴォーカルのなりきり具合はGSの中でも随一でしょう。あまり聴かないから10位。

次点は、恐るべしレンジャーズ。彼らには「赤く赤くハートが」という史上最強の曲があるらしいですが、私はまだ未聴です。最強ビブラート唱法が胸を掻きむしる一方で、当時としては(GSに限らず、ガレージバンドとしては)やけに上手なリードギターが謎のバンドです。ギターソロのフレーズからみてもエレキ・インスト・バンドから転身してきたような感覚ですね。ロックと当時の日本に在来のポップ音楽とのミクスチュアなんですね、これは。彼らもヒットはなく、カルトGSという位置に収まっています。CDで聴くと、このバンドは飛ばすかどうか迷うんですが、結局聴いてしまいます。

棚橋勝敏(イージーファン)

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