グラフティの部屋
みなさんもこれまで様々な、毀誉褒貶の評価を耳にされてきたことでしょう。
このソフトは果たして是なのか非なのか。現時点では、筆者はまだ答えが出せません。そこで、個人的な体験談
を交えて、「センチメンタルグラフティ」とは一体なんだったのかを検証したいと思います。
このソフトの存在を知ったのは、1996年秋のことだった。
ゲーム誌において、声優を若手のオーディションと一般公募によって決定する旨の記事が掲載されていた。
この時私はときメモジャンキーだった上、それまでの恋愛ゲームにろくなものがなかったことも手伝って、
なぜこれがここまで大々的に告知されるのか、これがなぜそれほどの大作なのか正直言ってわかりかねた。
掲載されたイラストを見ても、キャラ紹介を見ても、それほどピンと来なかった。それから約一年、
このソフトのことは歯牙にもかけず、騒ぎも対岸の火事として静観していた。翌年夏頃、
ゲーム批評にギャルゲー特集が掲載され、騒ぎがどうやらただことではないと気づき、ゲーセンに行って試しに
プライズゲームをやってみる。いくつかとるが、私は顔と名前の区別がつかなかった。この際だから言ってしまうが、
最初イラストを見たとき、みんな同じ顔にしか見えなかった。(同じ事を言っている人は結構多いようだ)
当時はまだまだ「フレンズ」(同窓会)の絵の方がいいと思っていた。
このころ、サターンやギャルゲーの雑誌は少しずつ掲載スペースを増やしてゆくが、肝心のゲームの全貌は
まだまだ見えず、海のものとも山のものともつかない有様であった。また、G'Sマガジンに掲載された「セ
ンチ通信」も何度か読んだが、あまりにも歯が浮いてしまいそうな文章だったため、一度も最後までは読め
なかった。大倉氏が、札幌に取材に行ったとき、沢渡ほのかを見たような気がしたと連載で書いていたこと
もあったが、気に留めなかった。
夏が終わり、涼しくなってきた頃私もセンチに一口乗ってみようと決意した。
「もののけ姫は期待はずれだったな」とか、「エヴァが完結してちょっとさびしいから、ガンダムでもみようかな」
などと心に開いた穴をどうやって埋めようかと考えていたせいか、「どうせゲームは駄目に決まってるからそれまでのイベントと
して、グッズ集めをしよう」ときメモへの投資が、一体何のためなのかわからなくなって来たという理由
もあったのだが。
こうして収集作業が始まり、ミニクロスや、シングルCD、ガチャ王、キーホルダー、フィギュアなどをゲットする。
だが、どんなゲームなのか、どんなキャラなのかわからなかったせいか、市販品までは手を出さなかった。
雑誌でも盛り上がってきたようで、雑誌に様々な記事や意見などが載る。だが、ゲームはどうでもよかったので、
気に留めることはなかった。
冬、始めて市販のCDを買い始めるも、なんだかくさい話だなと思い、ゲームに
ますます期待できなくなる。同じ頃、小説も読むが、私はどうもこういう文章が好きになれないので、途中で挫折。ゲームの発売直前、「想い出たちとの十二ヶ月」を買うがやっぱり歯が浮いてしまう。 最後まで読めない。
晶と千恵が表紙の雑誌(名前は失念)とG'sマガジンも一緒に買う。ゲームが出たら終わりだから、最後の投資をしようと 思ったのだ。グッズを出している会社もゲーセンもそう思ったらしく、人形の発売が早まったり、ゲーセンの景品がとりやすく なっていたりしていた。ところでこういう商売は今に始まったわけではないことはみなさんもご存じだと思う。ドラクエやFFも設定資料集やCDを発売前に出していたし、体験版を同梱してソフトの売り上げ を伸ばすということをしている。
こういう「前夜祭商法」は、「スターウォーズ」や「バットマン」を発しているのではないかと思うのだが、日本では、 大作ゲームの商慣行と化した感がある。
発売を翌週に控えた金曜日。当然のごとく雑誌の評価は悪い。
こんなことだろうと思った。 集めたグッズもゲームがでれば、がらくたになるだろう。ゲームもどうせつまらないだろうから、 安くなれば菩提を弔ってやろう。と、予測していた結末とそれほど変わらないことに一抹の寂寥を覚えると同時に、 「もう宴は終わったんだ」と自分に言い聞かせるのだった。こうして運命の時、ソフトの発売日を迎える。ヤール王は お強いお方 無敗の王と いわれるお方
だが乙女の心は鋼より固く その光は名剣に勝る
王よ王よ 嘆きの声をおききなされ 白い月夜に銀の剣
赤い花がそなえられ 栄光の道は開いたか 鳥さえ歌わぬこの大地に
2/26事件の蹶起に参加したある青年将校は、こう発言したと言われている。
国民よ軍部を信用するな