Tran-DS
The Side Story of Tolled Armor Tran-D
Chapter 4: Ragnus Heavy Industries
part6

すーっという寝息を立てながらフィリスは暖かい日差しの下で寝ていた。
目の下には熊ができており、いかに寝不足であるかを示した。
こっくり、こっくりと頭が動き、いかにも気持ちよそさうな昼寝であった。

「フィ、・・・さん、フィリスさん」

だれかが彼女をゆさぶりながらおこそうとする。

「うん?」

目をこすりながら開けるとそこにはアーリーの顔があった。

「あ、アーリーさん?!」

一気に目が覚め、フィリスはずかしそうに顔を真っ赤にしながら顔を背けた。

「こんなところで寝てていいんですか?」

「え、あ、あの?!」

慌てるフィリスを見て小さく笑うと、アーリーは彼女を落ちかせようと彼女の頭に手をおいた。
フィリスの鼓動が早くなり、さらに赤くなる。
でも別に驚きもせず、彼の手の感触を受け入れた。

「ご、ごめんなさい」

「あやまることはありませんよ」

と言うとアーリーは再び小さく笑った。
心を落ちかせるとフィリスは寝ていた机から立ち上がろうとするが足がぐらついてしまう。
倒れそうなとこをアーリーが彼女の肩を抱く。
模擬戦が終わったばかりだからのか、彼の体から発せられている熱が服を通して伝わってくる。
汗の匂いも鼻に付くがいやな匂いではなかった。
むしろ心地がいいものである。

「すみません」

フィリスがそういうと二人は離れた。
二人が向き直すと、アーリーの顔には何か聞きたげそうな表情をしていた。

「あの、何か?」

手を前に組んでフィリスはまだ少し恥ずかしそうにアーリー尋ねた。
それにアーリーは一つ大きく深呼吸をし表情を少しきつくした。

「俺、いや、みんなから隠れて三人で何をしているんですか?」

単刀直入の質問にフィリスはすぐに答えは出せなかった。

「・・・・・・いえません」

言いたかった、自分たちが何をやっているのか教えたかった・・・でも言えないこれだけは。
そう思いながらフィリスの拳に力が入る。

「フィリスさんもそういうんですか」

いかにも腹が立っていることが声を通じているかフィリスにわかった。

「俺が答えてあげようか?」

別の男の声がする。

二人が見上げるとそこに何かのファイルを持ったリックがドアに立っていた。
部屋に入るとその手にしていた物をアーリーに渡す。
それを見たアーリーの目は丸くなった。
そこにあったものは数枚の設計図と写真であった。
一枚の写真にはルーン・デ・フォルチュンと書いてある。
その顔はのっぺらぼうである。
それしかわからない。
設計図にはTran-DS Secondと書いており、Tran-DSのいろいろなバリエーションがかかれている。
しかしこれもそれだけでくわしい事を書かれている書類はなかった。

「この通り、俺達に隠れて新型のトランディーの開発が進められていたわけだ。それも・・・」

ばん!!!リックが言いおわらせる前にアーリーは腹立だしくその資料を床に投げつけた。
拳に力がこもり、爪が血を出すほど手の平に食い込む。
目は髪に隠されており、どんな顔をアーリーがしているのかわからない。

「俺はなんのためにここにいるんだ?」

フィリスは何も言わずにアーリーを見ることしかできなかった。

「俺はなんのためにTran-Dに乗っていたんです?あんな負けかたをするためなんかじゃない!」

トランゼス・・・の発表会に現れたキラードールにアーリーは無様とも言えるほどに負けたのである。
一機でキラードール倒せると言われたTran-Dはその敵を目の前にして大破されたのである。
しかしすぐにTran-Dを修理し、その能力を上げるための作業が始まると思っていたが、その様子はなかった。
Tran-Dは破壊されたままの姿で倉庫に入れらていた。
彼はというと毎日、シュミレーターとTran-Dの量産型であるトランゼスで模擬戦を行っていた。
これでは話が違うということで彼は腹立っていたのである。
彼にしてみればもう用済みと言われたようであった。
そして一番身近の人がこそこそと彼に内緒、いや、重工のみんなに内緒で新型を作っている。
それも彼のためではないものをだ。
リックも同じく腹が立っていた。
まるでチェスで使われる一番弱い駒みたいに扱われていることが好きではなかった。
みんなを導いて行くはずのチームリーダーのフィリスも何も言わずにこの新型にかかわっている。
面白くないのは当たり前である。

「ぼくはフィリスさんにも取ってそんなものだったのですか?!」

アーリーの声がどんどん高まっていき、フィリスは一歩後ろへと下がる。
本気で起こってる彼を見るのがこれが初めてである。

「そんな・・・・・」

「Tran-Dは僕の機体ではなかったんですか?ぼくはTran-Dの能力を引き出すためにここに来たはずではなかったんですか?」

その一言でフェリスの心のなかで何かがはじけた。

「一番信用していた、あなたとおれの妹のはずだったミアも黙ってこそこそと何かしてるし。それもTran-Dの能力を上まる機体を僕のためにではなく、死んだはずのフェナ中尉の・・・・!!」

それを言った時、彼は後悔した。
言ってはいけない一言である、しかしそれに気付いた時にはすでに遅かった。
パン!!!という音が次の瞬間部屋に響いた。
不意とつかれたことと、思いがけない力で頬を叩かれたアーリー派手に床に倒れる。
自分の顔を打った人物に大きな目をしながらアーリーは見た。
「・・・・っ」

アーリーの顔を平手打した右手の拳を左手で押さえながらフィリスは小さく震えていた。
熱い物が目にたまり始めていた。

「フィ・・・」

「うぬぼれないでください・・・・」

半泣きそうな声でフィリスは髪で目を隠しながらいう。
顔は床に向けられ、肩が震えている。

「貴方はあの時以来、なにかしましたか?自分で何かをしようとしましたか?!」

今度はフィリスの声が高まっていく。
泣き出すところを我慢しようとしていることが伝わってくる。

「グレナディアさん、ミアちゃんは何か力になろうとしてがんばっているのに・・・貴方は、アーリーさんは・・・まるでけんかに負けた子どもみたいに・・・いじけて何も・・」

顔を上げ、フィリスはアーリーを見る。
涙だ流れ初めていた。

「なにもしようとしないじゃないですか!!模擬戦ではむちゃくちゃに動いて機体を壊して、それを機体のせいにして・・・・・自分の考えを提供しようとしない」

「・・・・・・・」

「この前に事件で怒っているのは貴方だけではないのです・・・・私なんか・・・」

何かしたくても何もできなかったのにといいたかったが言葉が出ない。

「前にも言ったはずです、機体の能力に頼る人間は我が社には必要ないと。Tran-Dは「貴方」だけの機体ではありません。そしてこれ」

床に落ちている写真をフィリス広い上げた。

「これは・・・・・・・どうやって手に入れたかはしりませんが、これは支社長の命令上でやっていることです。あなたは何も知ろうとしなかった。まるで情報が向こうから来ると思っている。そんな・・・・」

最後の一言、これは言いたくなかった・・・・しかし言わずにはいられなかった・・・彼の目を覚ますために。
裏目に出る可能性もあったが、フィリスは・・・・・

「そんな、人は我が社には必要ありません。気にいらなければ辞めても結構です」

その一言は目をつぶりながらフィリスは言った、彼の表情が見たくなかったら。

「それでは、私これから用事があるので・・」

もちろん嘘である。
口を押せえながら、フィリスは頭を軽く下げると部屋を出た。
彼女が全力で走りさる音が廊下に響いた。
ヒューとリックは口笛を上げた。

「まるで別人だな、強くなったもんだ、お嬢さんも」

そういいながら、今言われた事を信じられない顔でほうけてるアーリーをリックが見る。

「俺達の負けだな・・・」

まるで聞こえてないかのようにアーリーはただ床に座り込んだままであった。



人影が光が少ない通路を歩いていた。
足音はゆっくりである。
時々足は止まり、ため息をする音がした。
やがてその人はある扉につくと足を止め、扉を軽く叩いた。
すぐに扉が開きミアが現れる。

「あ、真沙緒さんこんばんは!」

「こんばんは」

笑顔を交換をして真沙緒は格納庫みたいな所に入った。

『真沙緒ねえちゃーーん!!』

叫びながらフィオが猛スピードで駆け寄っていく。
ぼふっと!いう音がする。

「あらあら、タックルはまだまだねフィオ」

『へへへ』

フィオを抱き上げながら真沙緒は何かをチェックしているフェナへと近づいた。

「はい、これ、今日の分ね」

「ありがとう」

とフェナは真沙緒が差し出したデータディスクを手に取った。

「フィリス・・・さん、Willにすぐにこれを解析しはじめて」

「はい・・・」

なにかしら少し暗い顔でフィリスはディスクをとり、ターミナルに入れてキーボードを叩きはじめた。

「彼女どうかしたの?」

真沙緒が聞いてくる。
さあ?と言うとフェナは目の前にある大きなもののチェックを進める。

『アーリーさんと言う人とけんかしたんだって』

「ふうん、あの人ね」

なにか考え込むように真沙緒はフィリスをみると今度はミアに視線を向ける。
ミアはいつも通り明るくに作業をしている。
そばにラディットという彼女に付き添っているロボットがサポートに入っている。
くーんという声をあげ、シルフィードが真沙緒に近づき、真沙緒は片手で彼の頭を簡単になでた。
しかしそれをフィオを抱えながらというのは困難のわざなのでまず先にフィオを降ろした。

「で、見せたい物ってなに?」

作業中のフェナに真沙緒が聞いた。
「すぐにわかる」

無愛想にフェナが答える。
相変わらずねと真沙緒はため息を吐くが、フィオが彼女の服を軽く引っ張るのを感じると方ひざに真沙緒がついた。
フィオは真沙緒の耳に口を当てなにかぼしょぼしょという。

「こら!フィオ!秘密だっていったでしょう?」

びくっとフィオはするが、フェナの顔には怒った表情ではなく、小さな笑みがあった。

「本当に?」

真沙緒は目を丸くし、フィオを見つめ返し、フェナに振り返った。

「もうそんなところまで?」

「わたしが、この二週間なにもしてなかったと思うの?」

真沙緒はやっぱり今聞かされてことを信じられなかった。

しかしフェナはが言うことも一理ある。
ここに付いて彼女は何もさせられなかった。
自分は毎日模擬戦をやり、そのデータの解析。
薫は、そのサポートをやっていたが、今日ハインラインと共に新しい任務のためここを離れた。
フェナは実はというとほっとらかされた感じであった。
その間、作業をしていたことになる。

「!!!、フェナ、まさか、あなた、この二週間寝ていない・・・?」

ありうることである。

「まさか・・・睡眠はとったわよ。フィオの相手をするとつかれるからね」

『ひどおおおい!!まともに相手してくれなかったくせにぃ!』

もちろん怒ってないフィオの反応にフェナは意地悪そうに笑う。
フィオもそれにつられて笑みを返す。

「これが始まったら、町にでもいこうか?」

『うん!』

フェナの提案にフィオは元気な返事を返す。
この二週間まともに相手はしてもらえなかったことに、フィオは不満を抱いていたが、今の一言でそれは吹き飛んだ様である。
また、フェナの感じが変わっていると真沙緒は気付いた。
今度は一日の内に。
イルヴィ−ヌにいた時の彼女が今いる。
それじゃ、この二週間のフェナはだれ?
という疑問が真沙緒の脳裏を横切る。

「ミア、そっちの準備は出来た?」

フェナはちょっと離れた場所で作業している、ミアに声をかける。
すでに呼び捨てになっているがミアは気にしていないようである。

「もう少しです・・・・ラディットどう?」

「あと5分程度準備完了です」

彼女のそばにいる小型ロボットが答える。
このラディットは、ミアがあるごみ捨て場で見つけた物で、それを彼女が直したのである。
その後彼は、ミアの兄、アーリーとミアといっしょに住み、彼らが住んでいたフォーレストという小型TA輸送機の家事から操縦までやってきた。
一言でいえば、万能AIだ。
壊れたラディットを直したことと、Tran-Dのモーションプログラムを組んだ事を見込んでフェナがミアにこのことに参加させたといっても過言ではないだろう。

「フィリスは?」

「は、はい、Willが真沙緒さんから今日もらったデータを解析しています。もう少しでおわります」

少し暗い声でフィリスが答える。
満足するかのようにフェナは小さく頷いた。

「あ、あのお兄ちゃんには?」

ミアが少々不安な声で聞いてくる。

「ちゃんと知らせてあるわよ。来るかどうかは彼の次第だけど・・・・ねフィリス?」

ええ、とちょっとさびしくフィリスは答える。
どうやら今日のあの事を気にしているらしい。
いくらなんでもひっぱたたくのはやりすぎと今後悔しているが、あの時は自分を止められなかった。
なさけない彼を見るのがいやだったからかもしれない。
そんな彼女をみるとフェナは作業を再開しながら一言いう。

「気にすることはないわよ。彼は甘えているんだから。まったく・・・昔と変わらないわね」

それに対し、ほかの人はぎょっとした顔をする。

「あ、あのそれは?」

フィリスが不安げな顔で聞いてくるが、フェナは何も言わない。
こういう事は時々あった。
アーリーの名前が出るとフェナはまるで昔から知っているかのようなことをいう。
しかしそれを追求しようとすると、まるで言わなかったような態度である。 その事がよくあるのでミアとフィリスはそれ以上の追求はたいていあきらめていた。
しかし気になることだってことは二人は内心思っていたのである。
その時、来客の合図がなった。
どうぞとフェナが言うと二人の男性が入ってくる。

「どうも」

と片手を上げ、アーリーが挨拶をする。

「おお!美女がばかりがそろって何をやっているのかな?」

とリックが挨拶代わりにいう。
それを無視するかのようにミアとフィリスは作業を続けた。
しかとされたことに気が付いた彼は少々情けなく見える。

「呼ばなきゃ、来ないのねアーリー」

突き刺すような一言をフェナは彼に返した。
それに対してアーリーはむっとするが、その通りである。
彼の視線は真沙緒に向けられる。
頭をちょっと下げ、真沙緒は彼の視線に答える。

-今日で三回目か・・・-

というのは、彼女がアーリーに模擬戦で倒した回数のことである。
ここから来て三回ほど真沙緒はアーリーを相手にしてきたが、どの時でも彼は彼女に勝ったことはない。
すきだらけ・・・・としか言いようがなかった。

「で、なんですか?」

不機嫌にアーリーが聞いてくる。

「もう少しでわかるわよ。その前にやることがあるでしょう?」

何を?と聞くほどアーリーは馬鹿ではなかった。
そして、彼はフィリスの場所に行った。
何を話しているかはわからなかったが、頭を下げるアーリーを見ながらほかの人はなんとなくわかった。
やがてくすくすと笑う二人の声が聞こえてくる。
お早い仲直りですことと思いながら、フェナは作業を続けた。

『ねえ、まだぁ?』

退屈なのか、フィオがあくびをしながらいう。

「うん、もうちょっとね」

といいながら、視線をミアとフィリスに向ける。
ミアはそれに気づき、頷いた、どうやら彼女の分は終ったらしい。
フィリスも終わったことを知らせ、フェナは自分の分をすばやく終わらせるようにする。
そして、フィオとシルフィードが走る回ってる間にそれも完了する。

「Will, Calamite、貴方たちはいいの?」

-Ready when you are-
-Lets Rock-

同時に「二人は」準備完了の事を教える。

「じゃ、みなさんはあそこに集まってください」

フェナの指差すところには小さな制御室みたいなものがある。
言われるとおりに全員そこにあつまり、最後にフェナなにかを確認するため、20mほどある「装置」の周りを点検する。

『なんなのあれ?』

と不思議そうにフィオは真沙緒に聞く。
わからないと言うように真沙緒は左右に首を振った。
唯一知っていそうなフィリスも無言フェナを見ているだけである。
やがて、フェナも制御室に入りドアを閉める。
重そうなもので、なにかが入らないように頑丈に出来ているようである。 制御室の作りもそうである。
壁はやけに厚く、窓も何重になにかからの防御されている。

「Will, Calamite、やるわよ」

-Roger-

その一言を合図に、フェナは手に持っていたものをそこのコンピューターにつなげ、いくつかのキーを押した。
そして

Inititaing Materialization Sequence
All personal please enter a designated Safety Area.

女性のコンピューターの声がする。
なにかがおころうとしている、と皆にわかった。
次の瞬間、フェナが点検をしていた機械、正確にはある程度離れた 二枚の大きな鉄の板みたいなものが輝きだした。

Creating Containment Field.
Checking Field Integrity

そのことばにつれ、薄い膜が板の間に現れ、板の間の空間を固定する。

Saturating Designated Area.

次の言葉で霧みたいな物がその空間に現れた。

Saturation Confirmed.

動きがしばらく止まる。
次にフェナが色々とキーを押し、Will と Calamiteに色々命令する。 そして・・・・・

Design Download Complete.
Initiating Main Frame Materialization.

その一言に連れ、空間内は眩しく光りはじめた。
そしてその中で何かが組まれていく。

「な、なにが起こっているの?」

ほかのみんなも同じ質問を抱いていた。
彼らの目の前で、霧見たいだった床に見る見る内になにかが作られていく。

「粒子操作・・・」

と言ったのは真沙緒であった。
まさしく、彼らの前で空間内に粒子が操られ、ある物を作り出していく。
そして先ほど霧みたいな物は鉄分の粒子である。

「こ、これは、TAのメーンフレーム??」

驚きの声をあげながら、ミアは出来上がっていく形を認識した。

「で、でもこの技術地球でも・・・・・」

続けることはできなかった・・・それは真沙緒がその答えをしっていたからである。
地球の技術ではない・・・・

「そう、地球ではまだ使われてはいない。私の母が生み出した物・・・」

フェナはその光景から目を離さずいう。

「作られているのはなんなんですか?」

愚問であるそれをアーリーが聞く。
そんな彼に怪しい笑みを見せながらフェナはいう。

「決まってるじゃない・・Tran-DSの後継機、Tran-DSZよ」


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