Tran-DS: The Side Story of Tran-D
Tran-DS
The Side Story of Tolled Armor Tran-D
Chapter 5: The Beginning of the End
Part 1
二機のレイピアが青い空の中を飛行している。
高起動用にに翼は昔のF-19みたいに前に位置されている。
そしてその機体の下には長い砲身が取り付けられている。
物干し竿を思わせるそれは、レイピアの機体そのものの1.5倍の長さだ。
「こちら1701番機これより物干し・・・いえ!クングニルの発射体制に入ります」
『こちら、ハインライン、了解』
「やべーやべー」
1701番機は少々冷や汗を掻きながら通信を切った。
なにかの神伝にでて来る英雄オーディーンが使っていた槍の由来で名づけられた最新の武器を、
彼は正式な通信でパイロットの間で使われる相性を言うところであったからである。
そんなことをすれば怒鳴られるのは目に見えていたからであった。
『ばーーか』
女性の声が通信機から聞こえて来る。
反論をできず彼はただコントロールステッキを握る手に力を入れる。
「け!」
というと彼はレイピアを高速用に翼を後方に移動させ、一気に推力を上げ高度を急激的に下げていった。
『ちょっと!まちなさいよ!』
もう一機のパイロットも後方に翼を向けさせ、彼を追いはじめる。
推力を全開にし、1701のパイロットは地上に向けてさらに加速する。
Warning you are approaching ground zero at critical velocity
Reduce Speed and Pull up.
コンピューターが警報をならし彼に忠告をするが、彼はそれを無視し地上にまっすぐ向かって落ちていく。
いや、落ちているのではない、加速して向かっているのである。
地上から100mの行動に達すると彼は翼を前方に向かせフラップを開くと当時にアフターバーナーをかける。
そして操縦ステッキをいっぱいに引き、ヴェクターノゼルを上に向かせる。
その反動で、長い物干し竿とバランスが整えられ機体は水平になり始める。
地上が10mまでに迫った地点で機体は水平を保つことに成功し、1701はアフターバーナーをかけたまま翼を後方へと向かせ、目標地点へと向かう。
「すごい」
彼を追って来た女性パイロットがつぶやいた。
自分にはできない芸当である。
もし真似をしようとしたら自分は機体を水平に戻す前に地上と衝突するであろう。
いや、その前にあの速度で後方から前方のポジションへ翼を変形するときに生じる機体への負担をうまくバランス出来ず、機体が崩壊するおそれがある。
宇宙と違い大気圏内で前方に翼が向けられると不安定な状態が乗じる。
一つ間違えれば機体は制御不能になり翼がもぎ取られる恐れがある。
それを彼は簡単に克服し、物干し竿のために起きる機体アンバランスを安定したのである。
それも音速の近い速度で地上から100mもない高度からだ。
簡単に出来るものではない。
「ま、それが好きになった理由でもあるけど・・・・」
そういいながら彼女も機体を水平にも戻し初める。
加速しながらゆっくりと高度を下げながら彼に追いつく。
地面ぎりぎり飛ぶ二機は砂漠にある砂浜をよけながら、指定されたターゲットへ向かって行く。
やがて白い物が見え、そこには的が付いている。
白の丸の中心に黒い丸が描かれており、それが二つ立っている。
「最初に当てたほうが、ビールをおごる!」
「いいわよ」
という通信を交わしながら二機は同時に物干し竿の照準を的にあわせた。
そしてロックが確認されると二人は引き金をひいた。
小さな振動と共に細長い砲から青白い光が放たれ、的に向かっていく。
その様子はまさしくクングニルと言う名にふさわしい槍であった。
そして二本とも正確に的の真を貫いた。
光はそのまま伸び、自然に消える、演習用だからだ。
「ふふ、私の勝ちね・・・・」
「ちぇ」
コントロールステッキを手前へ引き二機は再び上昇する。
翼は通常位置に戻され、エンジンもクルージング速度に入れられる。
さすがにエネルギーを食う兵器で一度使うと二度目は使えない代物である。
一撃必中の武器とも言える。
しかし、出力の調整も出来るので、使い方はパイロットの好みによる。
「こちら1701番機テスト終了、帰還します」
『こちら、ハインライン、了解です。トランゼスの射出がおわるまで上空で待機してください』
「了解」
通信を終わらせると彼はちょっと頭を彼の機体の右後ろに飛んでいる機体に向けた。
「はあ」
とため息をすると彼は財布がさびしくなることを覚悟した。
○
三機ほどのトランゼスが射出される。
Tran-Dの量産型として開発されたトランゼス。
その凡用性を生かすために色々なバリエーションは生まれる。
物干し竿の次にその性能を試させられるのはそのバリエーション、つまり、オプションパーツを追加した物であった。
「トランゼス一号機発射体制に入ってください、残りの二機は予定通りの行動をおねがいします」
『はいはい、かわいい薫ちゃんのためになんでもやりますよ』
かわいいと始めて男性に言われた薫の顔はすぐに赤くなり、その様子もモニターではっきりと見える。
「おお、おお、赤くなって、かわいいねぇ」
『あ、あの・・・・』
『ローガン少尉、無駄口をさっさといかんか!!』
うろたえる薫のかわりに整備長の顔が薫の顔のウインドーの上に現れる。
「へいへい・・・・ったく・・傭兵の俺が軍の言うことを聞かせようとするのが悪いんだよ」
『なにかいったか』
「いえいえ、なんでも、ではチャールズ・ローガン、トランゼス3番機いくぜ!!」
その掛け声でローガンはスラストを全開に入れた。
それに応じ、彼が乗っている足が太いトランゼスがその足に搭載されているホバリング機能と肩についている追加スラスターを利用し高速で、射撃場へとむかった。
彼に付いていく形で大き目のバックパック、二基の大型レールガンを装備したトランゼスも動き出す。
『お!グレナディアさん、元気?』
彼の挨拶に何も言わず、グレナディアはただ自分の任務に集中した。
ラグナスのテストパイロットとして雇われ、彼女はハインラインに一時期的に配属された。
階級は与えられてはいなかったが、大事な客として扱われている。
彼女にしてみればいい話しであってすぐにこの配属を承知した。
しかしあの真沙緒という娘とやりあったほうが彼女にとって何倍か面白い。
張り詰めた空気が薄いハインラインで三週間ほどいて彼女は正直少々退屈しているのである。
二機のトランゼスの姿が見えなくなるのを確認すると、もう一機のトランゼスのパイロット、スティーブ・ベルガーいくつかのスイッチをひねった。
それにより、彼の300ミリの巨砲を二基搭載したトランゼスの安全装置が開放され、巨砲の銃身が発射体制の入る。
その二基が発射されるときに起きる反動を押さえる二本の足がそのバックパックから伸び、地上に固定される。
長距離後方支援型のそれには数々のセンサーを装備されており、その一つの大きなものは衛星とのリンクを完了する。
同時に射撃場となっているところの状況がリアルタイムで彼のモニターに表示され、発射の計算が開始された。
風とか距離の修正をすると的へのロックが確認される。
『ターゲット確認、発射します』
『こちらハインライン、いつでもどうぞ』
『了解』
ターゲットへの最終確認を済ませると、彼は引き金を引いた。
トランゼスは少しかがみ、巨大な振動と爆風と共に砲弾が発射される。
その反動を押さえるための装置もショックを吸収し、トランゼスが倒れるのを防ぐ。
「お!いってるいってる」
ローガンはトランゼス一番機から撃たれた砲弾を確認する。
そして数秒その砲弾は指定された的に直撃する。
煙が消えた後には二つのクレーターの姿が衛星を通して映し出された。
それを見るブリッジのクルーはあっけに取られた。
「やっぱり、何度みてもすごいな」
戦術担当のキエフ中尉がそっという。
正確さに、威力はさすがに恐ろしいものであった。
しかし実戦で使われた場合、どんな功績を出すかは不明である。
なにせ、今破壊したのは動かないもので、戦闘では敵は動くのだから。
「ベルガー大尉、次の発射まで後二分ほどお待ち下さい」
前もって設定された模擬戦の作戦を確認するように薫は指示をだした。
『了解、次のターゲットへの指定をする』
彼の通信が終わるとトランゼスが動き照準をあわせるところがブリッジから見える。
『こちらトランゼス二番機。予定地域へ到達。これより模擬戦を開始します』
「ハインライン、了解・・・・・・お二人とも機体を壊さないように」
『ふふ、了解』
グレナディアはそういっているが、二機ともまともな状態で帰ってこないことは薫はよく分かっていた。
真沙緒との模擬戦を観戦していた彼女はそれを手にとるように良く分かる。
そして、まるで二機とのファイトのゴングかのようにベルガー機はもう一発その巨砲を打った。
あとで整備員が泣いたのは、いうまでもなかろう。
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