Tran-DS
The Side Story of Tolled Armor Tran-D
Chapter 5: The Beginning of the End
Part 2

バシ!!火花が飛ばしながら小型の作業ロボットが材質を溶接する。
この一体だけではなく五つぐらいの同型のロボットが機体のあちこちで作業をしている。
彼らには休みに必要はなく、Willに送られて来る命令に従い彼らは人形を形にしていく。
その作業を片手に電子パッドを持ち視察するかのように歩き回る女性がいた。
長いサラサラとした銀髪は火花が飛ぶ度にあやしい色に輝く。
深い青したその瞳に表情はなく、作業の進みをくまなく観察している。
クレーンが動き出し装甲が運ばれ、位置に着くと装甲が降ろされ、それを固定するためラディットがその小さな機械の腕を動かし出す。
作業が始まってからさらに二週間が経過していた。
粒子操作を行う機械で出来たものは人間の骸骨みたいであり、肉と言える機械はなかった。
二週間の間にそれは部品などを創造していった。
普通なら二ヶ月かかる作業はこの装置はTAとなる部品を2、3分で作った。
それをまた組み込むのにまた一週間をかかる作業を、またラディットみたいな作業ロボットが夜でも止まらず作業していった。
フェナの目の前にある機体は皮が人間と同じく、人間の筋肉の役割を持つ機械があらわになっている。
頭部もまだ装甲が取り付けられておらず、醜い。

「Calamite、ちょっと右腕を動かして」

命令を受理するとCalamiteは腕を動かした。
その瞬間おおきな音を立てながら作業をしていたロボットが転倒する。

-Oops!-

「こら!いきなり動いちゃだめだって言ったでしょう!」

-Sorry-

笑い声を上げながらCalamiteはあやまった。

-人格の設定に凝りすぎたかな-

頭を掻きながらフェナはちょっとCalamiteに感情プログラムを組んだことを後悔した。
感情プログラムといっても大したものではなかったが、Calamiteに遊び心が付いたらしい。
ため息をしながら、フェナはCalamiteに細かい間接、ジョイントのテストをする動きを命令した。
手首が回り、大きな指が細かに動く。
二、三回指が閉じたり、開いたり、ピアノを引いているかのような動きをした。
はい、そこまでとフェナがいうとCalamiteは腕を気をつけておろした。
左腕で同じことをする最中、Tran-DSZの頭部が少し動き、フェナの方へ動く。

-Are you really going to let me fly?-

本当に飛ばしてくれるのか?というCalamiteが聞いてくる。
どこでそんな願望ができたのか、フェナには不明ではあったがCalamiteは飛びたいらしい。
TAとは普通飛ぶものではないが、どうやらそのつもりはラグナスにはあったようだ。
Tran-Dとトランゼスのことを調べ直していたミアが見つけたデータからそんなものがあった。
正確にはある機体テールバインダーとスラスターをつけた機体、Z-Arkのものである。
これもまたTran-Dと同じくE-tronのテスト機とされたもので、バード・アルバテルという凄腕のバウンティーハンターのものであった。
赤く塗装されていたその機体はフェナの好みのものであった。
その赤に魅力を感じたのか、Tran-DSZも前者のTran-DとTran-DSと違い赤と黒に塗装することになった。
Tran-DSZの作業が始まった時点でCalamiteがいいだし、データが見つけたことで別の形それをすることにフェナは決めた。
その試しに、少々改造したレイピアと真沙緒のトランゼスSで試験を行っている。
結果はそうでも悪くはなく、もう少し様子をみてから制作を始めることになった。
そしてもう一つ、あることが行われることになった。
大破されたTran-Dに少し改造を加え、アーリーに与えることになった。
しかしこれはほかの人には内緒に行われているもので、真沙緒、フィリスそして当人のアーリーも知らない。
何故そうしたのか、フェナ自信もわからかった。
しかしなぜか、彼の子どもみたいな所が放って置けない。
彼の驚く顔をみるのを楽しみにフェナは内密にそれをおこなっており、もう少しで終わる。

「ええ、もちろんよ。私もそうしたいから。甘えんぼ坊やのものが出来たらそれに取り掛かるからもうちょっとまって」

ちぇ、とCalamiteはいうと頭部を元の場所に戻した。
二人の困った弟持っている姉かのようにフェナはまた頭をかいた。
ため息をもう一度するとフェナは自分が持っているパッドに目を戻した。
進行が75%とWillのロゴとTran-DSZのシルエットの側に表示されている。
その時、フェナは痛みを感じ始めた。
痛みは下腹部から来ているようだ。

「・・・・!」

目をつぶり我慢をするが、痛みは強くなっていく。
手で腹を押さえるが、おさまらない。

「く」

カシャンという音共にパッドが床に落ちる。
そして、何かぬるっとしたものが下着に感じる。
なんだろうと思いフェナは手を当ててみた。
手にはネタネタとした血が大量に付いている。
流れが止まらず、血はやがてフェナの足を伝い、ぽたぽたと床に滴る。

「な・・・」

痛みがなぜかさらに大きくなりフェナはそこに膝付いた。
着ていた白いスカートが赤く染まっていく。
痛みが止まらず、両手で腹を押さえる。

「な、なんなの、こんな時に・・・・」

その時

「フェナさんどうしたんですか?」

仕事を終え、手伝いに来たミアがフェナの姿をみて大急ぎで側に駆け寄ってきた。

「な、何この血?!・・・・・フェナさん?!」

「・・・・・・・」

フェナは答える事が出来ず、歯を食いしばって我慢しているだけである。 「ラディット!ちょっとフェナさんを医療室まで運ぶから手伝って!」

「はい」

ミアに命令されたラディットは作業を止め近づいて来た。

「私はいいから作業を続けなさい!!」

苦しそうな声を上げ、フェナはラディットに作業を再開するよう命令をした。

「そうはいきません」

フェナの言うこと無視し、ラディットはフェナの側にきた。

「いいから・・・!」

強がってはいるが、フェナには少々我慢できないものであった。

「どうしたの?」

いつものようにデータディスクをもってきた真沙緒が入ってきた。

「あの、フェナさんが・・・」

ミアが困った顔で真沙緒に助けをこう。

「うん?フェナどうしたの?」

駆け足で真沙緒はフェナのそばにより、彼女の額に手を当てた。
熱はないようだ。
フェナのスカートが赤くなっていることを見ると、真沙緒の顔は少し明るくなる。
そしていきなり手をスカートの中に突っ込む。

「ま、真沙緒さん?!」

顔を赤くし、ミアは背く。
手を取りだし手に付いた血を見て、真沙緒はくすっと笑う。

「何、勘違いしてるのミア?・・それにしてもねー」

ふふふと真沙緒は笑うとラディットにフェナをねんのために医療室へ運ぶことを命令した。

「あ、あの!」

ミアは思い切り心配しているようだ。

「大丈夫よ」

「で、でも」

「いいから貴方は作業を続けて」

「な、なんなんですか?」

「うん?わからない?」

「え?」

落ち着いた真沙緒の顔を見てからミアはフェナをもう一度みた。
苦しそうにフェナ下腹部を手で押さえている。
何がフェナに起こっているのかミアはすぐにわかった。

「あ!・・・・そっか・・・」

「そういうこと・・一応鎮痛剤をもらいに連れていくからちょっと頼むわね」

「はーい」

じゃ、というと苦しむフェナを抱えたラディットを追って真沙緒は退室した。
それを見守りながらミアは自分の時はそうは痛みは感じたかなと思った。 顔が少し赤くなる。
フェナさんは痛むほうなのかな・・と付け加えるとミアは自分のもう一つの仕事を始めた。



「く!この!!」

掛け声を共にグレナディアのトランゼスがプラズマソードでもう一機のトランゼスの仕掛けた。
ぶつかり合うソードの間に稲妻が走り、粒子が飛ぶ。
いったん離れ、ハードポイントに装備されている砲を撃つがかんたんに交わされる。
そして次の瞬間右から攻撃の警報がなり、機体を急いで回転させ、攻撃の対応をする。

「なんてすばやい機体なの!!」

舌打ちをしながら再び離れ、動きながら背中のバックパックのレールガンを発砲するがこれもかんたんに避けられる。
相手してるトランゼスには高起動ようの追加スラスターとブースターのパーツが装備されていた。
ちょこまかと動くそれに当てるのは難しいが、そのため相手も接近戦しかできない。

「なかなかしぶといですね、グレナディアさん!!」

グレナディアの相手をしているチャック・ローガンが挑発するかのようにいう。

「おとなしくやられて、今夜いっぱいおごってくださいよ!」

だれが、あんたなんかに!といいながらグレナディアは推力を全力にして突っ込む。
しかしまたいとも簡単に避けられるとその反撃が襲ってくる。
それを避け、グレナディアは機体にジャンプをさせ、ロックが確認される前に手動で腕の動きのパターンを入力しながら引きがねを引いた。
トランゼスの右手にあるレーザーガトリング砲は火を吹きながら弾丸の雨をローガンの機体に降らせる。
同時に背中のレールガンと肩の砲を撃つ。
その模擬戦の製造がハインラインのブリッジのメインスクリーンに投影されている。
ブリッジだけではなく、その戦闘に釘付けになっている者が多かった。
もちろん歓声があがると同時にどっちが勝つことに賭けが行われてる。

「なんてやつらだ」

フォルスリングはその戦闘をみてそう言わずにいられなかった。
ほかのブリッジのクルーの目もスクリーンに釘付けであった。
岬少尉は拳を強く締め、だれかに応援をしてるかのように小さくがんばれ、がんばれとつぶやいている。
そんな彼女をみて、自分の拳に力がこもっていることにフォルスリングは気が付いた。
それも無理ない、こんな熱い戦いをみたのはフェナと真沙緒がやりあった以来である。
模擬戦は幾度も見てきたが、こんなものではなかった。
お互い離れた場所から撃ちあい格闘戦を避けた戦いが多かった。
それはハイ・ランスが格闘戦を重視した機体ではなかったせいかもしれない。
しかしこのトランゼスという機体は違った。
遠距離と格闘戦を実にバランスよく設計されている。
パターンの反応もすばやく、学習能力を搭載しているE-tronも機体のパイロットの癖をおぼえ、実によく機体のバランスを整えている。

-ENIAC社が恐れるのは当たり前かな-

Tran-Dの回りに起こった事件のことも彼は知っている。
ENIACがかかわっていることは軍の調べでも分かっていた。
しかし大きすぎるその組織にやすやすと手を出せない。
どうしたものかと彼は友人のことをおもった。
ばき!というナックルショットが命中する音共に彼は現実に戻された。
スクリーンにはグレナディアの機体がローガンの機体にきれいにナックルショットを食らわしたところが出ている。
船中に歓声があがるが、戦いはまだ終わっていなかった。
プラズマソードがぶつかり合う光と銃器の発砲に発生される光がまだ続いた。
しかし流れは完璧にグレナディアのになったのは明らかであった。
ローガンの対応が鈍くなっていく。
どうやらさっきのナックルショットが精神的にダメージを食らわしたようである。
そして戦いはとうとう終末を迎えた。
再びジャンプしたグレナディアのトランゼスは銃を撃ちながら降下してきた。
それをこまめによけ着地の時に攻撃しようとローガンはプラズマソード構える。
しかしその時グレナディアは彼が予測していなかったことをする。
まずは自分がもっていた銃を投げた。
それをローガンはかんたんに両断する。
銃が爆発するなかグレナディアは次にプラズマソードを投げた。
爆発で視界を奪われたローガンがそれに気が付いた時にはすでにおそくプラズマソードは彼の機体の左肩に装備されている追加ブースターを貫き。
それが爆発し、バランスを崩したローガンの機体をみてグレナディアは重いバックパックを解除し、推力を全開にいれる。

「しまった!」

とローガンが叫ぶと同時にグレナディアは空中からナックルショット仕掛けた。
はげしくぶつかり合う金属の音共に動きはとまった。
煙が消えるとそこには胸を直撃され、胸に大きな窪みがあるトランゼスとその上に着地したトランゼスがあった。

「ま、ま、まったく、殺す気かよ」

グレナディアの攻撃をくらいちびりそうな声でローガンはいう。

「さあて、どうでしょうね」

苦笑をしながらグレナディアが答える。

『そこまで!』

現実に再び戻されたフォルスリングがまだ続けそうな二人を止める。
と同時に歓声が船中に響く。
賭けに負けたものとそれに勝ったもののである。
はあ、と一息全員が落ち着くとフォルスリングは二機に帰還させた。

「また、おれのおごりっすか?」

財布がさびしいかのようにローガンは泣き言をいう。

「うん?今日は君ががんばった勲章としてわたしがおごってあげるよ」

「ええ?!いいんすか?」

うれしそうにローガンは答えた。

「いけないかい?」

「い、いえそんなことは」

「じゃ、そういうことで」

『き、貴様ら!!そんな時間はないぞ!!!』

整備長が回線に割り込んでくる。

『あれほど無茶するなっていっていたろうが!!二人にはその自分の手で機体の修理をしてもらうからな!!』

そんなーー!と叫ぶローガンの声と聞き入れない整備長の声を聞きながら薫はくすくすと笑いながら、自分の機体の修理を喜んでする真沙緒のことを思い出していた。

『恋人のことでも思い出しているのかい?』

なんでもお見通しであるかのような顔をしてグレナディアは薫の顔をみてちゃかした。

「え、あ、あの!違います!」

『え?薫ちゃんに恋人いるの?』

ローガンは驚いた声とともに薫に聞いてきた。

『ああ、実は・・・』

「グ、グレナディアさん!!帰還の際、第二デッキを使用してください!」

グレナディアの言葉を遮るように薫は顔を真っ赤にしながら司令を送った。

『ははは、はいはい』

いっちゃだめ!という薫の心がわかっているかのようにグレナディアは了解する。
薫を狙っていたのかローガンはショックを受けたみたいな顔をしながら、ハインラインに帰還するのであった。
その夜、ローガンは自棄酒で部屋に担がれて自室に連れ帰られたのはいうまでもなかろう。

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