html> Tran-DS: The Side Story of Tran-D
Tran-DS
The Side Story of Tolled Armor Tran-D
Chapter 6: The End and a New Beginning
Part 32


バリバリバリという音がし、Tran-DSzと「ルーン・デ・フォルチュン」の大剣とソードが再びぶつかり合った。
そこに真沙緒のTran-ZSSが生き残った片腕でプラズマソードを構え振り下ろす。
アーリーをプラズマソードでしかける。
しかし、二人の攻撃は止められた。

「な!」

「く!」

二人のプラズマソードは「ルーン・デ・フォルチュン」の肘から生えていた刃だった。
ソニックブレードという。
四機がそのように組み合ったのは一瞬。
同時に三機が離れ、距離を取る。
息を一回吸いこむ時間もなし、Tran-DSzがしかける。
再び攻撃がさえぎられる。
しかし、今度は押しもどすことはしない。
「ルーン・デ・フォルチュン」が押してくる反動を利用し、フェナはTran-DSzの倒させる。
そこに、フィオがすぐに次のパターンを入力する。
Tran-DSzの体がTVSの小さな動きで回転する。
そこで、再びフェナがパターンを入力した。
Tran-DSzが足を出し「ルーン・デ・フォルチュン」の顔に蹴りを叩きこんだ。
その動きを再び利用し、Tran-DSzはRune De Fortunの背中をもう一本の足で蹴る。
そして着陸と同時に再び剣で攻撃する。
一瞬もたれついたと思われたと見えた、「ルーン・デ・フォルチュン」であったがしっかりとその攻撃を受けとめる。

『ふふふ、なかなかやりますね』

フェナとフィオはなにも言わないが、それに答えるようにTran-DSzの目が一度黄緑に光る。

『ほほう?その機体は私の影響を受けていないんですねぇ?』

「それがどうかしたの!?」

フェナはそこでいったん離れた。
離れたところで、真沙緒のTran-ZSSが襲う。
再び止められるソード。
稲妻が走るなか、真沙緒のTran-ZSSの赤いセンサーが睨みつける。
しかし、片腕の機体。
両手の時とは力が半減し、押す力が少ない。
それに腕がないほうの脇腹ががら空きになり、そこにステファンが容赦なく付き入れた。
肩腕でTran-ZSSのソードを持ち、もう一本の手を真沙緒のTran-ZSSの脇腹に当てる。

「!!!!」

ゾクっと悪寒が走り、真沙緒は引いた。
間一髪。
「ルーン・デ・フォルチュン」から放たれた光がTran−ZSSがいた場所を突き抜けた。
その先で拡散し、光の粒子として消えた。
その光のまぶしさの一瞬を利用して真沙緒は回りこみしかける。
だが、これも止められた。
同じことをされてはたまらないと再び離れようとするが、それを見逃す、ステファンではない。
Tran-ZSSが逃げる方向に「ルーン・デ・フォルチュン」の手をかざし、発砲した。

「く!」

迫っている光に真沙緒は拡散するまえに横になんとかよけた。
そこにアーリーがその突き出た腕を切り落とそうとプラズマソードを振り下ろす。
しかし、振り下ろした瞬間あるはずの腕は消え、Tran-Dはもたれつき、地面に倒れた。

「しまった!」

『ふふふ、まずは一人!』

「「やらせない!」」

Tran-Dをくじ刺しにしようとする「ルーン・デ・フォルチュン」にTran-DSzが体当たりをくらわした。
吹き飛ばされる「ルーン・デ・フォルチュン」。

「アーリー、大丈夫?」

「はい、すみません!」

立ちあがるTran-D。
その視線はしっかりと「ルーン・デ・フォルチュン」に向けられていた。

『すばらしい。実にすばらしいですよ…。くくくく』

「「「「・・・・」」」」

四人はなにも言わない。
ただ、そこに立つ「ルーン・デ・フォルチュン」を睨み付けた。

『本当にもったいないです。 これほどすばらしい材料を消さなければならないとは…』

「材料?」

『そうですよ・・・我々の復活のための材料ですよ…』

どういうこと?と四人は同時に思った。
材料?復活のための?
何故材料が必要となるのか?

『もったいないですよ。本当に…。しかしですね…』

そこで、フェナの脳裏にあのおびただしいカプセルの光景が横切った。
アレだけの大きさのものだ。
あの部屋がそこだけではないはず。
それに、倒したキラードールから引っ張り出した情報によるとあそこに居住区があった。
そしてフェリスがステファンに言った言葉。
「目的」
まさか、そんな。
そこで、問題が生じる。
何故、彼は自分を…。
それを考えていたら、フェナはある結論に達した。

「くくくく!!あははははは!!!!」

「フェナ?」

いきなりフェナが笑い出した。
フィオはちょっと気味悪そうにフェナを見た。

「復活?我々の?よくいうわ」

『なんですと?』

「こんな男に降りまわされていたと思うと、自分がなさけなくて泣きたくなるわ」

その言葉と共にTran-DSzが動いた。
大剣を構え、「ルーン・デ・フォルチュン」に襲いかかった。
再び鍔つりあいが始まると思われたが、Tran-DSzはそうしない。
ただ、次々と一撃一撃を繰り出す。
「ルーン・デ・フォルチュン」はそれを簡単に流すが、次々とくる打撃に押されていく。

「自分の義務を忘れ、己の欲望におぼれた男が…!あなたこそ消されるべき存在なのよ!」

『貴様ぁ!なにをいうか!』

その言葉と共に、今度はステファンからしかけてくる。
真沙緒とアーリーは話しについていけず、ただ、たたずんでいた。
それから、行われた激しい剣の攻防戦だった。
どちらかが、剣を振り下ろせば、相手がそれを受け流し、または受け止めてからしかける。
鉄と粒子がぶつかり合う音とそれによって生じる閃光が夜の砂漠を照らす。
その攻防戦に真沙緒とアーリーは入りこめなかった。

『欲望におぼれた?私がですか?』

「自分の胸に手をあてて、自分に聞いてみなさい!」

ステファンの攻撃を受け流し、フェナが仕掛ける。

『くくくく!そうですよ、わたしはあなたがほしかった。しかし、わたしは決して欲望におぼれたわけではない!』

「なにが!!」

『私の義務は人間を排除し、そこで我々の文明を復活させることである!』

「・・・・」

『それを達成するために、利用できるものは利用するだけです。優れたものがそれを使えばいい。それが人間でもあってもです』

「・・・・」

『利用できるものを使い、それを「楽しむ」ことのどこが欲望におぼれたというんですか?』

「く・・・」

一理ある。
人間も同じことをしてきたのだから。
利用できるものを使う。
力でねじ付させる。
それが同じ人間であっても。
それを人間の歴史が証明していた。
実際自分も同じことをしている。

『その機体だって、私達の技術を使っているわけじゃないですか!』

ガキ!再び二機の押し合いが始まる。
フェナの中でいやな気持ちが広がっていく。
これは無意味な戦いだけなのか?
私情に流された戦い。
自分にされたことに対して復讐の戦いなのだろうか?
それだったらあまりにも悲しすぎる。
いままでの傾向をみるとそうなるのではないか?
母親を殺され、自分は汚された。
復讐心がいままで自分を突き進ませていたのだろうか?
フェナの心の乱れを感じたのが、フィオが重ねている手に力を入れた。
ちがうでしょう?というように。

「だったら、何故私達が戦う必要があるの?こんなことして生まれるものってなにもないじゃない!」

『その通りですよ!あなた達低脳なサルは私達の家畜になって我々の繁栄を手助ければいいのです!抵抗するからいけないのです!抵抗するものは消すしかありません!』

「あなたって人は!!」

もうどうしようもなかった。
攻撃をすれば、身を守るために反撃をするのが生き物の道理。
話し合いが出来れば、こんな意味のない戦いをしなくてもいいのに。
しかし、相手には話しをする気もない。
ただ、力で相手をねじ伏させ、自分の欲望の達成のために使う。
それはまるで、数世紀前、まだ人間が地球を離れることが出来なかったころと同じである。
戦争を繰り返し、己の欲望を達成をするために生きた時代。
今もそうかもしれない。
でも…。

『ふふふ、「人」?サルと一緒にしないでください。私はあなた達を超えた存在ですよ。さあ、家畜は家畜らしく主人にしたがってください』

「いわせておけばぁああ!」

そう叫び飛びこんできたのは真沙緒だった。

「真沙緒さん!だめ!!」

フィオは叫んだ。
フェナは彼女を止めようと、Tran-DSzの頭部のバルカン砲を「ルーン・デ・フォルチュン」に向けて乱射させた。

『うおおおお!』

目くらましになったのかTran-DSzは引く。
真沙緒のTran-ZSSを止めようと動くが、すでに遅い。
真紅のセンサーが光らせたTran-DSSがプラズマソードを振り上げ「ルーン・デ・フォルチュン」を襲う。
その時だった。
Tran-DSzの攻撃でたじろいだと見えた「ルーン・デ・フォルチュン」は体制を整え、フェイスキャノンを開いた。
光が集中し、次の瞬間放たれた。
その光が正確にTran-ZSSの胴を捕らえ、突きぬけた。

「きゃあああああ!!」

半分にされたTran-ZSSがそこで終わるわけがなく、下半身が爆発する。
Tran-ZSSの上半身がその反動で上空へ飛ばされた。

「真沙緒さん!!」

アーリーが真沙緒を追い討ちから庇うためジャンプする。
そしてその行為に答えるようにフェイスキャノンのもう一発がTran-Dの胸に直撃する。

「うわああああ!」

Tran-Dは胸を真っ黒にし、砂漠の中に突っ伏した。
警報が狂ったようになる真沙緒は自分が落ちていることになんとか気が付く。
体中がいたく、足が動かない。
髪と血がこげるいやな匂いが煙と混じり、コクピット充満する。
このまま、Tran-ZSSの上半身が落ちる。
叩きつけられたら生身の自分が無事ですむわけがない。
真沙緒はぶれるモニターに表示されている高度の数値を睨みながら、震える手をなんとか脱出レバーに当てた。
次の瞬間、Tran-ZSSの頭部が飛び、続いて真沙緒の体が夜の空に飛ばされた。
すべて、数秒で起きた出来事だった。

『ふふふ、逃しませんよ』

そういうステファンの言葉と共に、「ルーン・デ・フォルチュン」のフェイスキャノンが真沙緒を狙い撃ちにしようとする。
しかし、そこにバギィーという乾いた音が響いた。
ばきばきばきという鉄がひしゃまがる音がなり、Tran-DSzの拳が深くフェイスキャノンにめり込む。
真沙緒への狙い撃ちは止められた。
だが、それがフェイスキャノンの発射と止めたわけではなかった。
強力なエネルギー放出され、Tran-DSzの腕が捕らえられる。
爆発するTran-DSzの右腕。
その衝撃がコクピットを襲う。
そして当然のごとく、フィオの体がフェナの体に押しつけられた。
びきといういやな音がフェナには聞こえた。

「うぐ!!!」

フェナの顔が苦痛に覆われる。

「フェナ!!」

フィオもその感触をたしかに感じた。
そしてそれが自分のわがままのせいだとも分かる。

「ごめ…!」

「相手から目を離さない!!」

誤ろうとするフィオをフェナは叱咤する。
いま、そんなことを気にしている場合ではない。
それに、この体制は自分が承諾したことである。
いまさら、どうこう言えることではなかった。
フィオはうなづき、再びコントロールを握る手に力を入れた。

「く〜ん」

シルフィードが心配そうな声をする。
それにフェナは大丈夫と答える。
「ルーン・デ・フォルチュン」は動かない。
こちらと同じく、かなり揺らされたのであろう。

『がが・・・・フェナさん!!』

「アーリー、大丈夫?」

『なんとか動きますが、ガガ・・・こ・・・ガガガ…以上は…』

「わかっているわ。真沙緒を確保して引きなさい」

『は、はい、すみません』

これで1対1の勝負だ。
暗闇と砂漠の地面の熱がなんとかTran-Dの動きを隠してくれるだろう。
さきほど頭部を殴ったことで、「ルーン・デ・フォルチュン」のセンサーは逝かれているはず。
フェナはいつでも動けるようにと左手で大剣構えた。
ブ〜ンと鈍い音がし、青緑の光が周囲を照らした。
そして、その先に顔を粉砕された 「ルーン・デ・フォルチュン」も同じように立っていた。
言葉はない。
もう必要無いとも言える。

「フィオ・・・いくわよ」

「うん」

二人はその言葉と共に同時にコントロールステッキとボールを力いっぱい押し倒した。
Tran-DSzのセンサーが光る。
それを合図にTran-DSzのスラスターが火を吹く。
それに応じて、「ルーン・デ・フォルチュン」も動く。
再度ぶつかり合う二機。
しかし、押し合いはない。
すぐに離れると二機はおたがいの隙をみつけようと動く。
そして、ここだと思うところを攻撃する。
刃がぶつかり合う光が周囲を照らす。
それを遠くからアーリーと真沙緒は黙ってみるしかなかった。
光が起こるたびTran-DSzの姿があると祈るしかできなった。
アーリーの手に血がにじんでいた。
爪がそこまで食いこんでいるのである。
自分非力さが悔しかった。
自分は結局なにをしたんだろうと。
真沙緒も体の痛みを我慢しながら、同じことを思っていた。
そして、遠くからこの戦いを眺めていた薫も、自室で酒におぼれているフォルスリングもそう思った。
この戦いの意味はいったいなんのだろうと。
フェナと関ったものたちは、ぶつかり合う光を見て全員そう思っているのかもしれない。
一体何回、二機がぶつかり合ったのかもうわからない。
そういうときだ、二機が動きを止めたのは。
暗かった空はゆっくりと蒼からオレンジ色になっていく。
そして、砂漠に立つ二機の間に丸い火の玉が現れた。
たたずむ、二機。
長い長い沈黙が周囲を支配した。
そして、太陽がその姿を半分見せたそのときだった。
二機が動いたのは。
Tran-DSzは大剣を大きく振りかぶり、突入していった。
正々堂々と最後の勝負に出たのか、それはあまりにも無茶であった。
「ルーン・デ・フォルチュン」はただ、腕を突き出した。
そしてその手の平から長い針が放出された。
見ていたものは同時に悲鳴を上げた。
針は音も立てずに、深くTran−DSzの胸に突き刺さった。
Tran-DSzはそれでもと、大剣を振り下ろした。
その剣先は「ルーン・デ・フォルチュン」の肩を切り落とす。
「ルーン・デ・フォルチュン」の肩とTran-DSzの胸が同時に爆発する。
剣をしっかりと握ったままTran-DSzは音を立てずに肩膝ついた。
そしてセンサーの光が消えた。

『ふはははははは!!!!』

ステファンの声が響く。

「そ、そんな…」

「フェナ、フィオ…」

その時エルファの時間が一瞬とまったのかもしれない。
針はTran-DSzの胸深く突きささっていた。
その先になにがあるのは…。

『くくくく!邪魔者はこれで消えました。もう私を止める者はいません!』

「なんで!なんでこうなるの!!!」

真沙緒は悲痛の声を上げた。

『そこのキラードール!おとなしく、投稿しろ!』

上でのうのうとこの戦い決着を見ていた艦隊が再び高度を降ろしてきた。
TAが着陸し、「ルーン・デ・フォルチュン」を囲む。

「あなたたちはー!」

「ま、真沙緒さん!だめですよ!」

止めようとするアーリーから逃れ、転がりこむようにTran-Dのコクピットに入った真沙緒は、艦隊へ向けてバルカン砲を放った。

「うわ!真沙緒さんやめてください!!!」

しかし、弾丸が当たるわけなかった。
やがて残量が消え、バルカンが沈黙した。
真沙緒はそれでもトリガーを引きつづける。
出ないと分かるのにどれぐらいかかったのか、真沙緒は泣き崩れた。

『くっくっく・・・私を捕らえるつもりですか?あははは!丁度いい、手間が省けるということですね。でもその前に…』

「ルーン・デ・フォルチュン」がTran-DSzに向き直り、大きくソードを振りかぶる。

『止めを刺さなくてはいけませんね』

振り下ろされるソード。
それはまさしく、Tran-DSzを一刀両断にしようとしていた。
だが、それはおこらなかった。

「Calamite・・・D Mode起動」

血まれになったフェナが涙を流しながら命令した。
その手は前と違い、フィオの手の上に重ねられていた。

-r, rog.....er-

「結局、私…」

剣が振り下ろされた瞬間。
Tran-DSzのセンサーに光が入った。
それも真紅の…。

『な、なに?!』

そこにいたものすべてが言葉を失った。
動かないはずのTran-DSzが立ちあがっていた。
胸に突き刺さっている針を取り、捨てる。
そして、その背中、宇宙からのRRのエネルギーをキャッチするだけのための翼を広げる。
それがまぶゆい光を放つ。
その光のせいなのか、赤と黒で塗装されていたTran-DSzはいつのまにか蒼と白、Tran-DSの色に戻っていた。
ばさっと広がる翼。
それにより散らばる光の粒子。
その姿はまるで・・・・まるで・・・。

『そ、その姿は…。まさか。まさか、まさか、まさかぁあああ!!!』

しかける 「ルーン・デ・フォルチュン」。
しかし、Tran-DSzは動かない。
変りに翼がTran-DSzを覆った。
跳ね返される「ルーン・デ・フォルチュン」。

『デ・・・デ・・・・』

なにがいいたいのか、ステファンは言葉を失った。
その顔には驚愕の顔しかない。

「なんなの?一体…」

「さ、さあ…。でもあれってまるで…」

真沙緒とアーリーの口からその先の言葉が出ない。
いや、口にしてはいけないような気がする。

『くくくく!ひゃあああははははは!!あなたは!あなたは!!あけてしまったのですね!禁断の箱を!!!ひゃはは!!!』

答えはない。
Tran-DSzはただ、「ルーン・デ・フォルチュン」に向かって歩んだ。
翼が一歩一歩の振動で光の粉を撒き散らす。

『その力は私が頂くことにしましょう!!私にこそ相応しい!』

そういって無謀にもしかけるステファン。
腕を振り下ろす「ルーン・デ・フォルチュン」の腕を掴み、それをもぎとる。
後ろへ押され、腕を失ったことに驚くような仕草をする「ルーン・デ・フォルチュン」。
その顔面にTran−DSzの拳が叩きこまれる。
そして、ひょいと大剣を拾うとTran-DSzはそれを振り落とす。
剣先が「ルーン・デ・フォルチュン」の肩口に深く食い込んだ。
なんとか反撃しようと「ルーン・デ・フォルチュン」は頭部と起こし、フェイスキャノンを出す。
だが、エネルギーを貯める時間も与えられず、Tran-DSzがその首を掴んだ。
そしてゆっくりとつぶしていく。
ブチンというような音で首が飛んだ。

『うおおお!何故です!何故受け入れてくれないのです!あなたは!!!大いなるあなたが何故!』

もうなにをいっているのか、ステファンは自分でもわからなかった。
答えを出すよりTran-DSzは剣を目も写らぬ速さで斬撃を繰り返す。
その一撃一撃が「ルーン・デ・フォルチュン」を綺麗に切り裂いていく。

『ぐあ!何故だ!何故私が!私は我々の理想の貯めに尽くしてきた!その先にいるはずのあなたが何故!何故私を否定する!』

攻撃が終わったとき、残っていたのはステファンだけであった。
それも空中に浮いたままで。
彼はそのまま地面に向かって落ちる。

『なぜなんだぁああああ!!』

その悲鳴はまるで、地獄へ落ちることについて悲痛に神に聞く、罪人のものに聞こえた。
どすんと鈍い音がし、その上に切り裂かれた「ルーン・デ・フォルチュン」の破片が降り注いだ。
すべてが止まると、Tran-DSzはその場を離れ始めた。
 
「フェナ!」

真沙緒が通信機に叫びこんでいた。
しかし、答えはない。
とその場を離れようとする、Tran-DSzを取り押さえようとTAが動きだした。

『フェナ・フェアランス!おとなしく…!』

その通信は終わらなかった。
なぜなら、Tran-DSzが翼を大きく、羽ばたかせたからである。
巻き散らされる光の粒子。
それに触れたものの電子系統が一斉に死んだ。
戦艦は空中にいることができず、石のように砂漠の上にはでに砂埃立てた。
TAはまるで、殺虫剤を使われた虫のようにばたばたと倒れる。

「フェナ答えて!!」

『真沙緒…』

音声のみの通信がつなげられる。

「フェナ!」

『いままでありがとう…』

「え?」

『また会おうね』

「ちょ、ちょっと!」

『ばいばい…』

その言葉と共に、通信が切れた。
そして、Tran-DSzは空を見上げた。
RRがゆっくりと降りてくる。
ドンキングアームがTran-DSzを受け入れる準備をする。
Tran-DSzの翼は織畳められ消えた。
その後ジャンプしてRRとドッキングしたTran-DSzはしばらくそこでホバリングしたままいた。
いくらかして、向きを変えると、RRからなにかが射出される。

「まさか…!フェナどこに!?」

RRが射出したものはその数秒後、光だした。
そこに蒼い渦巻きが現れた。
ゲートだ。
まるで、その場に竜巻が起こったかのように周囲のものがゲートの中へ吸いこまれていく。
その中へとTran-DSzとRRが入る。
そして、また数秒後、ゲートは光と共に消えた…。

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