匿名リメイラーの中にはWebページからメールを送信できるものもありますが、その基本的な利用方法はMUA(メールユーザーエージェント: いわゆるユーザが使うメールプログラム)からリメイラーに対してどうリメイルするかを指示するコマンドを含むメールを送ることです。 ちなみにこれに対して sendmail や qmail など、「メールサーバー」などと良く言われているものは、MTA(メールトランスファーエージェント)と呼ばれています。最終的な配送先を指定すること自体はもちろん必須であり、これなしではリメイラーを利用する意味もありません。 次の「リメイラーの種類について」で述べるように、現存するリメイラーには幾つかの種類があり、その種類また設置/運用者の意図により、その他各種リメイラーへのコマンド(指示)を行うことが可能です。 これらは匿名性を高め、プライバシー維持を更に効果的にするために付加されたもので、これらを適時利用することが望まれます。(もちろん最終的な判断は利用する本人、あなた自身次第です)
このページではそうしたオプションのうち有効なもののいくつかについて解説し、その使用法について説明します。
まず、現存するリメイラーには幾つかの種類があり、種類によってその利用法も、そして匿名化効果、安全性などもそれぞれで異なります。anon.penet.fi 閉鎖以降、同リメイラーと同じレベルで、つまり非常に容易に利用できるリメイラーは、少数の商用匿名リメイラーを除きなくなりました。 ここではそうした商用サービスについては触れません。
さて、大別すると現存する非商用匿名リメイラーには次のような種類(タイプ)があります:
なお、リメイラー関連ページや Shoot the Pigeon! 内でも触れているニムサーバー(nym server)は、リメイラーではなく「トレース不可能な匿名メールアカウント」サービスで、このページではとりあげません。
- Type-I リメイラー (cypherpunk)
- Type-II リメイラー (mixmaster)
- AS-Node リメイラー (AS-Node)
- Middleman リメイラー (middleman)
Type-I リメイラー
もっとも多く一般的な匿名リメイラーです。 リメイラー自体の設置・運用も比較的容易であり、多くはUNIXホスト上で稼動していますが、 Type-I リメイラーとほぼ互換性を保つ Winsock リメイラーを利用することで、PC、Macintosh、OS/2その他のプラットフォーム上でも運用することが可能です。 また、専用線などによる常時接続である必要もなく、PPPダイヤルアップあるいはUUCP接続での運用もできます。(もともとインターネットメールはTCPコネクションを必要としない)Type-II リメイラー
Type-I リメイラー登場以後、更に高い匿名化効果、メール送信者のアイデンティティ解析の難易度を上げるために考案され実装されたのが Type-II リメイラー、俗にいう Mixmaster リメイラーです。Type-I リメイラーでは、リメイラー自身でのメッセージの暗号化機能は持たず、外部プログラム、ほとんどはPGPを利用してメッセージの暗号化を行います。 一方 Type-II/Mixmaster では独自の暗号化ルーチンを使用し、メール本文そしてリメイラーに対して最終的にメールをどこへ配送するかなどのコマンド(オプション)をも暗号化します。
AS-Node リメイラー
上記の2ついずれとも違う設計/実装がなされた匿名リメイラーであり、どちらかというとリメイラーというよりもニムサーバーに近いシステムです。 ニムサーバーと違うのは、メール自体は AS-Node ホスト上でスプールされ、その受信メールを読み出しを指示するコマンドメールを送ります。 PGPを併用して内容を保護します。 私が知る限り現在までに実装されて稼動しているサイトはドイツ国内にあるひとつだけです。Middleman リメイラー
通常リメイラーは自分自身が次の宛先/最終配送先までメールを配送しますが、 Middleman タイプリメイラーでは自身がこれを行わず、他のリメイラー(多くは他の Type-I リメイラー)に転送し、そこから実際のリメイリングを行います。 よって、 Middleman リメイラーでは、メール送信者/利用者がチェーンを指定することは事実上できません。
ここでは Type-I リメイラーのオプションの代表的かつ有効なオプションのいくつかを取り上げ、それらについて解説します。 前述したように、各リメイラーによって使用できるオプションは異なるので、事前の確認とテストを必ず行ってください。
- ## − header pasting
- 任意のヘッダーを追加し、それらのヘッダーが付加された状態で最終配送先に届けられるように指示します。
例)
##
X-URL: Shoot the Pigeon! <http://www.oocities.org/Tokyo/9769/> (X-URL: Shoot the Pigeon! <http://www.oocities.org/Tokyo/9769/> を追加)- Cutmarks: − 指定文字列以降をカット
- 任意の文字列を指定し、行頭にその文字列がある行以降無視して最終配送先には送らないようにします。 通常は -- などを指定し、普段メール送信時に自動的に挿入しているシグネチャなどをカットするのに利用します。 また、リメイラー経由送信メールの元メールを保存しておきたいユーザーの場合、この文字列で始まる行以降にメモを書いておく、といった利用法も考えられます。(が、お勧めはできません)
例)
Cutmarks: --
This line will be remailed
--
coconut21@oocities.com <-- この行は最終配送先には届きません- Latent-Time: − 遅延時間指定
- インターネット上でのユーザー特定、トラッキング(追跡)には、IPアドレスはもちろん、常時接続ではないPPPダイヤルがポピュラーな昨今では、接続していた日時もユーザートラッキング/特定のための時系列データ/証拠として有効な手段となり得ます。 当然これは経由サイトがアクセスログ等を記録保存していることが前提となりますが、例えばISPが当局などからユーザ追跡するよう迫られた場合、あるいはISPや第三者がログなどを利用してあるユーザを特定しようとする場合、これらはほとんど必須といってよい材料のひとつとなります。
このオプションはこれに対して実装されたリメイラーの対抗策で、リメイリングを即座に行わず指定時間が経過するまで待つ、指定時間までのランダム分数が経過するまで待つことで、メール送信ユーザ(リメイラー利用者)がネットに接続していた時間外に実際のリメイリングを行うようにするものです。
上記2つのオプションと比較すると、可能な限り(どうせリメイラーを使うなら...)このオプションは必ず使用したほうがよいと思われるもののひとつであり、個人的にも使用をお勧めします。
例)
Latent-Time: +00:30 リメイリングを30分遅延させるLatent-Time: +01:00r リメイリングを最大1時間内でランダムに遅延させる
Latent-Time: 23:00 リメイリングを 23:00時まで遅延(リメイラーホスト上での時間であることに注意)
これらのオプションを使用することで、単にリメイラーを利用した場合と比べ更に高い匿名性やプライバシーの保護が可能となります。 個人的にはPGPサポートのリメイラーだけを利用し、契約ISPその他に対しても注意を払う(ISPなどの管理者が意図すれば、平文で送られるメールはリメイラー宛であろうとなんだろうと読める)ことを強くお勧めします。
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