第2章 実際にN88BASICを使ってみよう


 序章でBASICにはさまざまな種類が存在することを述べました。そのひとつひとつをあげていったらきりがないですから、比較的オーソドックスなタイプのN88BASICを例に使い方を説明していきたいと思います。

 まず、BASICには2つの命令の実行形態があります。1つめはダイレクトモードといい、指示した命令を即座に実行するモードです。それに対してあらかじめ入力しておいた処理手順を一気に解釈、実行させるモードをプログラムモードといいます。



● 2.1 ダイレクトモードでBASICを使う

 ダイレクトモードでは、コンピュータと対話しているかのように、命令は即座に実行されます。では命令の仕方から解説していきましょう。

  1. CLS文
    CLS(CLear Screen)は、画面上に表示されている文字を全て消す命令です。
    まず、キーボードから「C」「L」「S」と入力しましょう。入力した文字が画面上に表示されますが、何も起こりません。なぜなら、まだ命令が伝わっていないからです。コンピュータに命令を伝えるためには[ENTER]キーを押さなければなりません
    では、早速[ENTER]キーを押してみましょう。画面が消去されて左上に「Ok」と表示され、その次の行にカーソルが移動していますね。
    BASICでは命令の実行が終わると、「Ok」を表示して次の命令を待ちます。これをプロンプトといいます。
    BASICに関しては、命令に大文字・小文字の区別はありません。CLS命令に関していえば、cLSでもcLsでもclsでもかまいません。しかし、命令の綴りを間違えると、BASICはSyntax Errorと表示します。これは命令が正しくないので実行できないよという意味です。
  2. PRINT文
    PRINTはその後に続く式、または文字列を表示せよという命令です。
     PRINT 12
      「12」と表示します。
     PRINT 12.3
      「12.3」と表示します。
     PRINT 12,3
      「12」と「3」を表示します。
     PRINT 12;3
      「12」と「3」を表示します。
     PRINT "Hello, World!"
     PRINT "もちろん、日本語も使えます。"
      ダブルクオーテーションでくくった文字列を表示します。
      ダブルクオーテーションで囲んだ文字はたとえ、数字や式でも文字列とみなされます。
     PRINT 1+2
      数式も表示させられます。
     PRINT A+C
      変数を使って計算して表示します。
    そのほか、いろいろと試してみるとよいでしょう。

  3. INPUT文
    INPUTは、キーボードから入力を待てという命令文です。
     INPUT K
      変数Kに入れる数値の入力を求めます。
     INPUT K$
      文字列変数K$に入れる文字列の入力を求めます。
     INPUT "いくらですか";K
      画面に「いくらですか?」と表示し、変数Kに入れる数値の入力を求めます。
  4. 演算子の優先順位
    演算子というのは計算に用いる記号のことです。
    BASICでは計算するときに次の順番で計算処理されます。
    順位演算子意味
    1( )かっこ
    2^べき乗
    3*, /かけ算、わり算
    4\
    5MOD余り
    6+, -足し算、引き算


  5. 変数
    変数というのは数値・文字列を入れておくための「箱」です。この「箱」には区別するための名前を付けなければいけません。名前は2文字までの英数字を使ってつけます。ただし、先頭は英文字でなければいけません。またBASICの命令と同じ名前を付けてはいけません。
    文字列を入れるための変数には、変数名の直後に「$」を付けて区別します。この「$」を型宣言文字といいます。「$」がついていない変数は数値をいれるための変数だとみなされます。
    変数に数値や文字列を入れる(代入する)には、(変数名)=(代入する数値・文字列)と書きます。
    たとえば、変数Jに400を代入するには、

     J=400

    変数K$に文字列Alphaを代入するには

     K$="Alpha"

    と入力します。
    変数に代入された数値・文字列はその変数に再び代入されるまで覚えています

  6. マルチステートメント
    BASICでは、命令を「:」で区切ることで、複数の命令を一度に実行させることができます。
    たとえば、

     CLS:A$="こんにちは":PRINT A$

    などという風に書くことが出来ます。一行に複数の命令が置けるので「マルチステートメント」といいます。

  7. 関数
    関数というのは、与えられたある値(引数といいます)に対して、特定の計算をし、その計算結果を返すものです。
    BASICには組み込み関数という、比較的よく使われる計算用の関数が用意されています。たとえば、三角関数の正弦を求める、SIN(X)や、平方根を求める、SQR(X)などがあります。
    すなわち、36の平方根を求めて表示するには次のように入力します。

     PRINT SQR(36)

    また、変数Bに−48の絶対値を求めて代入するには次のようにします。

     B=ABS(-48)


● 2.2 プログラムモードでBASICを使う
  1. プログラムって何?
    BASICの命令を組み合わせて、実行する順番を指定したものがプログラムです。プログラムモードでは実行するプログラムを指定したうえで「実行をはじめろ」という命令を与えてやることにより仕事をさせます。
    命令を実行する順番は行番号で指定します。普通はこの行番号の小さい行から順に実行していきます。
  2. 簡単なプログラムの例
    簡単なプログラムの例として、変数Aに25を代入し、変数Aの値を画面上に表示するプログラムを示します。

     10 A=25
     20 PRINT A
     30 END

  3. プログラムの入力手順
    上のプログラムを入力するには、次の手順で行います。

    1. NEW命令を実行する。
      以前に入力されているプログラムを消去するため、NEW命令を実行します。つまり、

       NEW[ENTER]

    2. 上の3行を入力します。ただし1行ごとに[ENTER]を押さなければいけません。

  4. プログラムの表示・実行
    入力されたプログラムを表示するには、LIST命令を使います。
    LIST命令を実行して、上の3行と同じ様に表示されているか確認しましょう。

    さて、では実行してみましょうか。プログラムの実行開始を指示するのは、RUN命令です。
  5. プログラムの構成
    上のプログラムは3つの行から構成されています。それぞれ10, 20, 30と行番号が与えられています。行番号の右側に命令がおかれています。行番号は65535までの正の整数であれば、どんな値でも結構ですが、ふつう、後で行を付け加えたりするときの便利のために、10から10間隔でつけます。

    また、行番号30にある、END命令は省略することができます
  6. 九九を表示するプログラム
    では、九九を表示するプログラムを作ってみましょう。

     10 FOR I=1 TO 9
     20 FOR J=1 TO 9
     30 PRINT I*J;" ";
     40 NEXT
     50 PRINT
     60 NEXT

    行番号10の「FOR I=1 TO 9」と行番号60の「NEXT」では、この間にある行番号20, 30, 40, 50を、変数Iの値を1, 2, 3, …, 9と変えながら、繰り返し実行します。変数Iの値が9を越えると繰り返しをやめて、次の行に進みます。
    行番号20と行番号40の「FOR J=1 TO 9」「NEXT」も同じです。
    行番号30では、I×Jの結果と、空白文字を1文字、並べて表示します。
    行番号50では、何も表示しませんが、改行だけします。

    さあ、入力して実行してみて下さい。もし、入力がまちがっていると、実行時にSyntax Error in XXと表示されます。XX行に間違いがありますという意味です。
    LIST命令で入力したプログラムを表示し、間違いをなおして下さい。すなわち、間違っている部分を書き換えて、[ENTER]を押して下さい。
  7. プログラムの保存・呼出し
    せっかく作ったプログラムも、保存しなければ電源を消すとともに消えてしまいます。前章で用意したフロッピーディスクを使って保存しましょう。

    入力したプログラムを保存するには、SAVE命令を使います。
    たとえば、

     SAVE "KUKU"

    ならばプログラムにKUKUという名前を付けて保存します。

    保存したプログラムを呼び出すのは、LOAD命令です。

     LOAD "KUKU"

    ならば、KUKUという名前のプログラムを呼出します。

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