クリープの退職日記
〜私はこ〜やって会社を辞めました(笑)〜




〜第2章 田舎編(笑)〜

1999年2月中旬

皆さんは、Uターン・Iターン・ビーイングという雑誌をご存知でだろうか?
簡単に言うと、生まれ故郷の町で働きたい人や、田舎で生活をしたい人の為の地方転職情報雑誌で、
退職を胸の内に秘めていた私は、その雑誌を見て思った。
「田舎で働くのも悪くないな・・・・・・・」


但し、ここで言う田舎とは生まれ故郷の田舎ではなく、まったく関係の無い田舎の事を指し、
しかも、過疎化が進んだようなド田舎の村で働きながら、のんびりと暮らす。
最新の情報はインターネットで手に入るし(>そんな田舎にプロバイダーがあるかは疑問だが)、
暇もパソコンがあれば潰せるだろう。
もともと田舎で(>そんなド田舎ではないが)暮らしていたのだから、それほど戸惑う事もないだろう。
う〜ん、良いね。自然に囲まれてのんびりと暮らす。これが生活(くらし)ってもんだろ!
すっかり、田舎暮らしをするつもり(笑)の私は、池袋で開催されていたUターン・Iターンフェアに
行ってみる事にした。


事前にいくつか会社をピックアップしておいて、会場に足を運んだ。
会場に入る前に、パンフレット・アンケート用紙・簡易履歴書?を貰った。
簡易履歴書?には、名前・住所・現職業・転職理由等を記入する欄があり、事前にこれに記入しておけば、
各ブースを回る時に、自己紹介する手間が省けるという便利な代物(ってほどの物でも無いが)だ。

会場内に足を踏み入れると、色々な企業のブースがあり中々の盛況ぶりだった。
中にはノートパソコンを持参して、一生懸命プレゼンしながら本番さながらの面接をしている人もいた。
パンフレットには”就職面談ではありません”と書いてあるが、みんな必死に自分を売り込んでいる様子を
目の当たりにして、かるーい気持ちで訪れたのをちょっと後悔した。

会場をうろうろ回り、ある会社のブースに入ってみた。
私の地元の隣県にある会社で、職業内容が機械オペレータだった。
機械オペレータとはいえ、操作するのはパートやアルバイトの人で実質的には作業管理者の募集だった。
色々と話をしているうちに、私の住んでいた地元の話題が出た。
まだ若いが部長を務めている担当の人が、
「あ、あそこにお住まいでしたか!私、**大学に行ってて、あそこにも行った事があるんですよ。」
と言った。

不思議なもので、何か共通点が見出されると親近感が湧いてくる。
相手の方も次々と私の住んでいた地元の話題を話してくる。
和やかな雰因気のまま、話は終わった。
部長 「もしもクリープさんが転職する気であれば、一度本社の方を見学にいらっしゃって下さい。
     どんな仕事をしているかを見て頂いてからの方が良いと思いますし。」
部長さんがこうやって薦めてくれると言う事は、少しは好感を持って貰えたのかも知れない!!
まぁ、単なる社交辞令だと思うが、少なくとも第一印象で採用したくないような”変な奴”とは思われては
いないだろう。
会場の閉会時間が迫ってきていたので、お礼を述べてその場を辞した。

会場を後にして、下りのエスカレータに向かう途中
 「クリープさん!クリープさん!」
と後ろから声をかけられた。
振り返ると、さっきの会社の部長さんが近づいて来た。
私   「あ、どうされたんですか?」
部長 「今から**県に帰らなきゃいけないんで、池袋駅から東京駅に行くんですよ。
     で、クリープさんの後ろ姿が見えたもので。」
私   「大変ですね(^^;)。」
他愛の無い会話を交わしながら、池袋駅に向かった。
部長 「さっきも言いましたけど、もし興味がおありだったら、先ほどの東京事務所の**にでも連絡して下さい。」
私   「ありがとうございます。」
そう言って、池袋駅で別れた。

部長さんも感じ良さそうな人だったし、会社訪問してみようなかぁ。
そう思ったとき、別の考えがフッと頭に浮かんだ。

自分は、今の会社を辞めて、一体、何がしたいんだろう!

人が会社を辞めるには、色々と理由があると思う。
対人関係であったり、仕事が自分に合わない、給料が少ない、別の夢がある・・・・etc。
自分の会社を辞めたいという気持ちは、一体どれに当てはまるんだろう?
少なくとも、今の仕事が自分に合わないというのは該当するかも知れない。
そもそも、人にとやかく指示して仕事をやっていく人間では無いのだ。
どっちかというと、自分一人で全部する方が楽だし、その方が自分には向いていると思う。

今の職場でそのまま働けば、数年立てば同期入社の奴らよりも給料も上になるし(査定がすごく良い部署)
何よりも、うちの会社の重要部門である。
筆頭係長は課長へ、課長は部長へと他部門に転勤する時にランクが上がる。

しかし、そんなものは望んではいない。
出世するよりも、平社員でも良いから優秀なエンジニアを目指したかった。
っていうか、うちの管理職って大変そうだし(笑)。

何がしたくて会社を辞めるのか?または、どう言った理由で会社を辞めるのか?
世間には、自分の数十倍も苦労して仕事している人がいるだろうし、会社を辞めたいというのは、
ただの子供じみたワガママでは無いのだろうか?

RPGゲームをセーブせずに電源OFFしてしまったような気がした。
つまり、振り出しに戻ったという事だ。



続く


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