本日はお日がらもよく。「能なしワニ」シリーズを一気御紹介致します。
そうです、あのクローンで無頭児を作成する、って信じたら駄目よ。
日本人作家による、かる〜いタイプのSFです。
軽い割に冊数あっていけねえなあ(笑)
強く友人が押してくれた作品なので、最近一気読みしました。
冊数分だけのドラマを期待して読んじゃった私には、少々物足りない話でしたが。
まあ、強く勧められるだけの魅力も何処かにあるのだろう、という事で、
ここでも御紹介しておきます。
同じく日本人作家、という事で、ファンタジーだしハヤカワでもないしだけど、
読んだからには書くかな。「西の善き魔女」も載せておきます。
南から来た拳銃使い 《能なしワニ 1》 |
中井紀夫 |
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裏切り砦の拳銃無頼 《能なしワニ 2》 | |
恋の拳銃無宿 《能なしワニ 3》 | |
ワニよ銃をとれ 《能なしワニ 4》 | |
続・ワニよ銃をとれ 《能なしワニ 5》 | |
荒野のトカゲ・ライダーズ 《能なしワニ 6》 | |
遥かなる大渓谷 《能なしワニ 7》 | |
西の善き魔女(1) セラフィールドの少女 |
荻原規子 Noriko Ogiwara |
西の善き魔女(2) 秘密の花園 |
南から来た拳銃使い 《能なしワニ 1》 |
中井紀夫 昭和62年発行 |
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あらすじ。 惑星、ナインガック。 この名は、この惑星を発見した無人宇宙探査機のコンピュータの、 最初の地球への通信が、どうしたことか 「ナインガック! 私は居住惑星を発見した」 という意味不明のかけ声と共に入ってきた事に由来している。 面白い事に、人類はこの星の大陸の東海岸から開拓を始め、 それを拠点として西へ、西へと開拓を進めた。いや、進めている所である。 そう、宇宙旅行から、果てはアンドロイドまで作る技術が人類にはあるというのに、 何故かここに暮らす人々は機械をあまり使わず、 西部劇さながらの生活を自然として営んでいるのだ。ウエスタンハットをかぶり、 鉛弾と火薬の銃を腰につるす。馬の代わりにトカゲにまたがり、 牧場や鉱山やバーで生計をたてる。無法者が徘徊し、保安官や騎馬隊が活躍する。 更にはアメリカ・インディアンに似た風俗を持つ原住民族(異星人) まで居る始末。 それだけではない。この惑星に産まれた人類はどうした事か、 必ず何か一つの限定された「超能力」を持っていたのだ。 広範囲のテレパシーの者もいれば、ピンクの象の幻影を投影できるだけの者まで、 その幅も程度も様々ではあるのだが。 だが、希に能力の現れない者も産まれる。そうした少数派「能なし」 の一人である風来坊「ワニ」が、ある日、街にやってきた。 あれ? これもつまり「ジョジョの奇妙な冒険」と同系列な感じかな (スタンド、だね)。でも、あんまり謎解きな要素はない。 |
裏切り砦の拳銃無頼 《能なしワニ 2》 |
中井紀夫 昭和62年発行 |
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あらすじ。 今日も二人で旅を続ける、能なしのワニとクサフリ。二人は、 一人だけでは能なしだが、 二人そろえば強力無比な放火能力を使う事ができるという、 珍しいタイプの能力者なのだ。 駅馬車強盗でもするか、というワニを説きふせて、 騎馬隊へと入隊する事になった二人。だが、所詮は無法者の事、 部隊内部でも、そして原住民との戦闘でも、目茶苦茶の嵐が吹き荒れる。 しかも、村での不可解な連続殺人事件、少尉の挙動不審、 測った様に攻めてくる原住民。全ては繋がっているらしい…… 脇役であるにも関らず、これからの物語の解説役として、 そしてその性格の面白さからして、外せないのはクサフリです。 昔、可愛い娘を持っていたのだが、 この娘がアンドロイド会社に目をつけられた。 誘拐同然に連れていかれ、 容姿がそっくりのセクサロイドが大量に作られて大陸中にばらまかれた。 娘は無事に傷一つなく帰ってきたものの、憤死。 そしてクサフリは、大陸をさまよう様になった訳です…… 「自分の娘」を狩る狩人として。 って書くと結構シリアスですね。でも、その文回しはごっついギャグです。 俺はギャグとみました。一部、人間心理に鋭く突きいってる気もしますが。 で、その彼、半ば悟りを開いちゃって、 原住民と行動を共にする様になるんですね〜。 |
恋の拳銃無宿 《能なしワニ 3》 |
中井紀夫 昭和62年発行 |
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あらすじ。 クサフリと別れて街に来たワニ。サーカスで拳銃使いとして、職にありつく。 ここに居たおてんば娘もまた、能なしだった。 いつしか、二人は恋人になっていた。 だが、平和もつかの間。ここにも事件の影が伸びる…… 人の命なんてコイン一枚分くらい。 それを判って旅しているワニや世間が描かれている、とも思えます。 作者の力不足で、人間に重みや厚みがねえぞおって気もします。 まあギャグマンガならぬギャグ小説にそんなの望んじゃダメかな。 |
ワニよ銃をとれ 《能なしワニ 4》 |
中井紀夫 昭和63年発行 |
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あらすじ。 ワニは今回、金山の街へと現れた。 腰には銃が無い。能なしが頼って生きて行くただ一つの手段が、 あれ程誇りとしていた銃が、無い。自ら封印をしていたのだ。 つらい恋の記憶、だった。 だが、持ち前の性格は直らない。街を牛耳る大物ギャング、 カルロスと噛み会う話になってしまった。相手の能力はものすごい念動力だ。 一体どうなる…… 一方、クサフリさんも健在です。 呑気に原住民の呪術師のもとで修行にはげんでいたりします。これで、 ほんの少し、「この世界のなりたちの謎」みたいな所にも迫ってきましたね。 ワニ、クサフリと共に居ると、 その放火能力を極端に強くしてしまうというブースター人間、 娼婦マリエも元気です。<居るんですよ、そういうキャラが。 あっちこっちでサービスシーン(笑)やってくれてます。 これらキーとなる人間が、集いそうな予感…… |
続・ワニよ銃をとれ 《能なしワニ 5》 |
中井紀夫 昭和63年発行 |
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あらすじ。 カルロスとの戦いのひぶたは切って落とされた。 やがて集い来るクサフリ、マリエ。そして、知恵を結集し、 犠牲を産み出しながらも、ついにカルロスを追い詰めた! 「世界のバランスが崩れかけている。」カルロスもまたそれに関って、 狂い出していた歯車のひとつ。クサフリはそう語ります。 そして、それは、以下続巻。 |
荒野のトカゲ・ライダーズ 《能なしワニ 6》 |
中井紀夫 1989年発行 |
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あらすじ。 カルロスの死体は谷底に落ちた。 それで全てが終わったと思われていた。だが、違う。 それは始まりだったのだ。 やがてその死体から、黒い闇がわき始め、静かに谷を覆い始める。 そして、世界各地で異変が始まった。 今まで能なしだった人間が、突然に万能の能力を持つ。そして、狂う。 狂った人間は徒党を組み、無秩序な襲撃を繰りかえして村々を焼く。 従来、それ程敵対的でもなかった原住民達が、これもまた同じ様に、狂う。 パーサーカーとなって、人類を滅ぼせと、 ただそれだけを繰り返しつぶやきながら斧を振るう。 谷へと降りてカルロスの死体を燃やしても闇は消えず混乱は収まらず、 むしろ困難を倍加した。 謎を解く鍵を求めて、一行は大渓谷を目指す。 ついに、謎解き編に突入です。 変人が沢山あふれかえっただけともいいますけど。 そして、「あるべきでない場所」を敏感に察知する人間の感覚、 というキーワードを元に、ヒントがあちらこちらに散らばります。 |
遥かなる大渓谷 《能なしワニ 7》 |
中井紀夫 1989年発行 |
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あらすじ。 一行の、大渓谷を目指す旅は続く。世界はカウントダウンを始め、 タイムリミットが近づく。 狂いの度を増して行く原住民、襲い来る数々の難関。 一度ははぐれたマリエも、ロボットを連れて合流し、 謎の全ては大渓谷へと集約して行く。 腰に銃を釣り下げて、全ての決着をつけるため、そして世界を救うため、 ワニが赴く。 ん。特に言う事はねえっす。 ただ、そんなオチで落とすかア! と抗議の声を。 いやだから、ギャグ小説にあんまり深くを求めちゃいけないんだけどさあ。 なんにせよ、これで完結です。どっとはらい。 かる〜く読もうね、かる〜く。 |
西の善き魔女(1) セラフィールドの少女 |
荻原規子 Noriko Ogiwara 中央公論社 C.NOVELS 1997年発行 |
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最近あちこちの書評で見たので、面白いのかなと思って買ってみた。 結果は、まあ、十人並というのが私の感想。 なんでべタ褒めする人が居るのか判らない。って書いたらカドが立つかな。 まあ、書評と言うのはそういうものだ。 これを見て、私と読書波長が合うと自認する人は買い控え、 これで波長が合わないと判断した人は、私の書評を指標としなくなる。 そういうもんだよね。 個人的にこのC★NOVELSというのは、最近 「デルフィニア戦記」 で発掘してきた、新規開拓鉱脈である。で、このデルフィニアというのはまあ、 世界や設定はよくある系列のファンタジーなのだが、 人物に魅力があって私は喜んでいる。田中芳樹を読んでからこっち、 ふざけた口を叩き合う大人物、またそういう会話を書いた話というのが、 妙に好きになってしまっている。今回紹介のこの本も、 そういうベクトルでは、田中芳樹ほどでも、またデルフィニア戦記ほどでもないが、 少々魅力を認める本である。 あ、って今書いてて気がついた。俺、この本も、デルフィニアも、 両方NIFTYのFSFで知ったんだ。 あそこにはC★NOVELSを強烈にプッシュしている人がいる、 という事なのだろうか。まあ、問題なのは、 プッシュされた側の俺が今幸せか、 それとも迷惑に思ってるだけなのかによるのだが……どっちだろ。 もう少し読み込んでから判断しよう。 閑話休題。本題の本(ってなんかヘン(笑))に戻ろう。 私はてっきりタイトルと挿絵(なんだか眼鏡に黒装束の少女? とかが居る) から、「魔法修行もの」と思ってたら、違った。 「王族血筋落し種もの」だった(眼鏡に黒装束は男子学生でした)。 あらすじ。 舞台は辺境の天文台から始まる。その天文台の偏屈学者の一人娘が、 実は王族の血筋と判って右往左往。その王族ってのは、 実は今継承問題でゴタゴタしてる真最中。 でもって親父の研究というのは実は禁止されていたもので、 秘密結社らしいハイエナ共がうろちょろうろちょろ、 当の親父は既に逃亡の後で、残されたのは主人公のその娘と、 親父に弟子入りしていたひねくれガキの二人組。 血筋やらなんやらに拘って、その地方の領主の若様も首を突っ込んできて、 さあ、ヒロイン達の明日はどっちだ。 でもって、背景には 「パーンの竜騎士」 と同じ重低音(設定)がビリビリと匂う中世世界系列モノ。 もうひと化け、してくれたら俺のツボにぴったんこだったんじゃあないかなあ ……って、こんな書き方じゃ判る人にしか判らないかな? うふふふふ。 |
西の善き魔女(2) 秘密の花園 |
荻原規子 Noriko Ogiwara 中央公論社 C.NOVELS 1997年発行 |
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一巻を買ったので、二巻も読んでます。 以後の続巻は、いつになるのか作者にも判らないそうです。 期待せずに待ちましょう。 あらすじ。 前回までのおさらいをすると。結局、慣れ親しんだ、 例え辺境でも厳しくても素朴な庶民の生活が一番、 と結論を出したヒロインだったが。 親父は海外に曇隠れ、 残った唯一の親父の弟子(幼なじみ)は天才だけど生活力はゼロ、 おまけに親父の残した研究成果(禁忌)を狙って秘密結社は襲ってくる、 しかも自分に王家の血が流れてるとなったら、この微妙な勢力の宮廷御時世、 どこでどう暗殺されたり利用されたりするのか判ったもんじゃない。 そこで、発想の転換。利用する前に利用してやる、とでもいうのだろうか。 現在女王候補になっている二人のうち、 この地方の領主が掲げている方のお姫様(っていとこになるのな) の側近となる事を宣言し、見事にその姫と姫の勢力の保護を勝ち得たのだ…… という所。 で、今回は、側近となるのなら、 いっちょう名門寄宿学校でばっちり教育を収めて来て貰いましょうかい、 という事で、山奥女学校物語になるのだ。 山奥女学校物語、とくれば、うぷぷ、当然、うぷぷぷぷぷ、あ、あの、ぷぷ、 そう! あの黄金パターンを見事しっかり踏んで踏んで踏み外してくれるのだ! 「おねえさま」「靴の中に画鋲が」「よくってよ」「わたくし達のソサエティに」 「わたくし、負けない!」ぶははははははははははは。 まあとにかく、あのノリね。嘘も入ってるけどさ。 だが、こことて宮廷から切り離されてはいない。むしろ、一番宮廷に近い。 暗躍するモノ達の影が、そこかしこから現れ始めるのだった。 という話。 とはいうものの、やっぱりシリアスには読めんなあ。挿絵のせいかなあ、 真剣に読めないのは? ままごとっぽく見えてしまうのであった。 |
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