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All people be HAYAKAWA'N

<<一億総ハヤカワ化計画18>>

その差は「S」一つ
: Presented by IPPO :

 「EXPENDABLE」。
 使い捨て、という意味です。消耗品、という意味です。
 そう、兵隊、です。
 そういうタイトルのSFがあるのです。
 そして。
 「EXPENDABLES」。
 そういう名前のSFも、また、あるのです。
 やはり、使い捨て、で、消耗品、で、兵隊、です。

 ……この二作品。違いは「S」一文字。
 この一文字の中に、果たしてどれだけの差が含まれているのか!?(笑)
 ちょっとその目で確認したくなったりしませんか?
 私はなりました。
 という事で今回は「エクスペンダブル(ズ)特集」です(笑)


プラネットハザード(上・下)
−惑星探査員帰還せず−
ジェイムズ・アラン・ガードナー
EXPENDABLE James Alan Gardner
クレイトスの巨大生物
《コンラッド消耗部隊》
リチャード・エイヴァリー
THE DEATHWORMS OF KARATOS
[THE EXPENDABLES]
Richard Avery
タンタロスの輪
《コンラッド消耗部隊》
リチャード・エイヴァリー
THE RINGS OF TANTALUS
[THE EXPENDABLES]
Richard Avery
ゼロスの戦争ゲーム
《コンラッド消耗部隊》
リチャード・エイヴァリー
THE WAR GAMES OF ZELOS
[THE EXPENDABLES]
Richard Avery
アルゴスの有毒世界
《コンラッド消耗部隊》
リチャード・エイヴァリー
THE VENOM OF ARGUS
THE EXPENDABLES]
Richard Avery
地球から来た傭兵たち ジェリー・パーネル
JANISSARIES Jerry Pournelle
地球から来た傭兵たち2
トラン攻防戦
ジェリー・パーネル&ローランド・グリーン
Janissaries
Clan and Crown
Jerry Pournelle & Roland Green
地球から来た傭兵たち3
勝利の嵐(上・下)
ジェリー・パーネル&ローランド・グリーン
Janissaries III
Storms of Victory
Jerry Pournelle & Roland Green

 近刊されました早川文庫SFの方より御紹介しましょう。


プラネットハザード(上・下)
−惑星探査員帰還せず−
ジェイムズ・アラン・ガードナー   [TITLE]
  [TITLE]
EXPENDABLE James Alan Gardner
一九九九年発行 1997
ISBN4-15-011261-4 ISBN4-15-011260-6

 「それがいわゆる”消耗品扱い”の意味するところよ」

 表紙に惚れて買ってしまった本の一つです。
 なんというか、これは! と思えるSFテイストな感触があったんですね、 俺的に。
 邦題は「プラネット・ハザード」。そう、 どうやらバイオハザードもの。確かに上巻表紙絵のお姉さんは 特殊な気密服を着用している様だし、その手には細菌ポッドか?  と思える様な金属筒を捧げている。期待は高まる。
 と思いつつ見ると副題は「惑星探査員帰還せず」。 あう? なんだかちょっと違和感。いやまて、惑星単位で細菌漏洩でもしたのか、 ドキドキ! それなら話がでかくて面白そうだぞ!
 と思って今度は原題を見れば、そのままずばり「EXPENDABLE」。使い捨て。
 う? なんだ、ハザードじゃないのか?
 だがしかし下巻表紙絵のお姉さんを見れば、 これはなんだか撃ち合いとかしてそうだし、そうかきっとこれは ゾンビと戦っているのだろうとか思いハザードへの期待を煽る。
 うむうむと思いつつ後書きをチェック、あれ?
 これはひょっとして、兵隊さんものなのか? 「使い捨て部隊」という?
 バイオハザードじゃないの?
 ないの?
 ……
 ありませんでした(笑)

 こーいうだまし方をして本を売るのは感心しませんね、早川書房。(笑)
 おおげさに煽るのはいい、構わない。だが、 嘘というか歪曲というかがあるのはなんだかなあ。この邦題のつけ方は、 明らかに私と同じ様なミスを犯させて買い手をつのっているように邪推する。

 「だまされた」との思いがあるせいか、 いまいち読後もすっきりしませんでした(笑)
 いや、かなりよく出来ているとは思います。唐突な書き出し方、 一人称的に、非常に短い章だて(章?)での書き方。 ぐいぐいと引き込まれる味がそこにはあります。
 で、も。
 肝心の中身の方がねえ、いまいち。先を予想させない展開はいいのですが、 予想の裏切り方が逆を行っている。なんていうか、 大きい風呂敷を期待した時に限って小さい風呂敷を見せられて裏切られる、 とか、次は海かそれとも山かと思ってたら全く違うベクトル、 例えば黄色じゃなくて赤色でしたあみたいなベクトルで裏切られたりとか。
 押しが弱い、ノリが悪い。
 そういう風に表現できると思うのです。
 冒険をしながらの一少女(というには成人だが)の内面成長物語、 みたいな分類が出来ると思うのですが、の割に冒険はすっきりしない、 成長も成長したというよりは開きなおっただけで進歩がない。
 これはある意味舞台だてに問題があるのかもしれません。
 という所であらすじにバトンタッチ。


 あらすじ。
 銀河連合は存在した。そこでは「知的生命体」とは「他者を傷つけない者」 と定義されている。犯罪者や気の荒い奴は例え遺伝子がどうだろうと豚なのだ。
 宇宙航行が可能になった人類は、この連合から一方的に接触を受け、 その「宇宙のおきて」……他人を傷つけない、を遵守する事を望まれた。
 彼らのオーバーテクノロジーは神の域に達している、 高位には精神生命体なども居るらしく、嘘は通じないし、 殺人者が宇宙へ出るとそれだけで何故か即死=裁きを受ける。 手段は全く不明だが、彼らは「宇宙のおきて」 を強制できるだけの力を持っているのだ。
 「おきて」を別にすれば、連合の存在は嬉しい事のみだった、いや、 おきてだっていわば常識であり、これにより地球は戦争のない時代 (戦争を行なえばその時点で「人権」を人類は失う)、 そして技術提供を受けて他恒星惑星植民の時代へと突入した、そんな時代。
 新惑星の探査は危険極まりない行為であり、探査員は”消耗品” だった。あまりにも激しい死亡率。それは軍の指揮にも関わる程のものだった。
 解決方法は。
 ”死んでも気にされない”人員を探査にあてがう事。
 その任にあてられるのは生来姿態に問題のある人間と法規で定められたのだ。
 主人公のヒロインには、産まれつき顔に赤いアザがあった。
 その他は全く正常だった。知能も。体格も。
 そう、そういう人員が求められていたのだ。 わずかな整形手術を行なえば直るアザ。だが、それが彼女の道を決定づけていた、 そう、産まれたその時から。教育から。禁止はされていないが、 整形手術などで”普通”になるのは、やんわりと世間が阻んでいた。 ”使い捨て”れる容姿の人間の供給が必要だったのだ。
 そして彼女は今回、今まで誰も帰還した事がない惑星へと降ろされた。
 ”政治的”な意図から。はじめから”使い捨て”を意図して。
 そしてその惑星は一見地球にそっくりだった、似過ぎている程に……

 そして同名の、今度は創元の作品。


クレイトスの巨大生物
《コンラッド消耗部隊》
リチャード・エイヴァリー
THE DEATHWORMS OF KARATOS
[THE EXPENDABLES]
Richard Avery
1980年初版 1974
創元推理文庫SF ISBN4-488-66201-???

 「俺達は使い棄てられる人間だ」

 こちらの表紙は、特にどうというものではありませんでした。
 巨大な蛇みたいなのが、並んだ6コも7コもある赤くて小さな目を光らせる。 そして、それにむかい、私の目線からは背中を向けているロボット。
 こう、じわっと、ボディブロウの様に効いてくる絵ではあります。
 「こいつは、俺の好みっぽいSFだぞ」と(笑)

 実際、読んでみてまずまずの味だった訳です。
 この手の物語というのは私は好きですね、定番で。定番故に新味がない、 とも苦言できますが。 一冊の厚みが薄いのでちと物足りないってのもありますがそこはまあ冊数で カバー(シリーズ物)。

 これに一番近いのは、そうだな、 「宇宙の傭兵たち」 でしょうか。ああいう味が近いです。今度はもっと小人数で、 各キャラがたっていますけど。(脇役が居ない?)

 こちらの話もやはり惑星探査。 でも、オーバーテクノロジーを持つエイリアンがサポートなんて事はなく、 むしろ王道なラインを行く訳です。


 あらすじ。
 地球は人口過密にあえいでいた。そんな金があるなら餓死者を救え、 と第三世界から大声があがる。だが、 政治的な骨肉の争いをしながらも惑星探査は勧められたのだ、 新しい大地、植民惑星を発見する事こそが地球の現状を救うのだ、と。
 そして候補となる惑星があがり無人探査を終えた。 次には有人による探査が、一番最初の極小人数による徹底した調査と そして植民の足掛かり作成が必要だった。
 主人公コンラッドは軍人だった。だが、命令にそむいた救助活動をし、 更にはその救助活動の失敗までを含めて、 社会的に死んだも同然の人間だった。
 そこを拾い上げられたのだった。
 彼を指揮官として集められたのは、誰もが高い知性と専門技能を持ち、 かつ、「使い捨てられる」人間だった。犯罪者、精神的社会的廃者。
 おそろしく高価につくその探査行は簡単に諦めさせれるものでもないし、 そうであってもならない。
 彼らの任務はただひとつ。
 示されたその惑星で敵を倒し、邪魔を排除し、 生き伸びてみせてそこが人類植民可能な星だと証明する事。
 でなければ、全滅してみせる事で植民の不可能な星だと証明する事。
 異星の軌道上、7台のロボットが見守る中で、6人の 「エクスペンダブル=使い捨てられる人間」が冷凍睡眠から目覚めた。 眼下に未知の世界、征服せねばならぬ義務を背負った土地を見降ろしながら。


タンタロスの輪
《コンラッド消耗部隊》
リチャード・エイヴァリー
THE RINGS OF TANTALUS
[THE EXPENDABLES]
Richard Avery
1980年初版 1975
創元推理文庫SF ISBN4-488-66202-1

 あらすじ。
 という事で、前巻でレギュラーメンバーとなる3人が紹介され、 かっちりと枠が決まりました。
 鉄の軍人、命令を絶えず発し続けて皆をキリキリと絞る主人公。
 医者であり、彼が倒れた時には指揮を引き継ぐヒロイン。
 一番高い知能指数と運動能力と皮肉なユーモアを持つ黒人のサポーター。
 彼ら三人+αが、再び惑星探査に赴きます。
 ところが今回の任務にあたっては、ちょいと問題が。  ひとつ。今回の新人の中にはこの計画をうとんじる勢力から派遣された 「破壊工作員」が居るかもしれない、居ないかもしれない、 何人居るか居ないか判らない、という事。
 ひとつ。到着したタンタロスの軌道にはどう見てもエイリアンの船が、 そして地表にも施設が存在したという事!
 内に外に「異星環境」という以上の問題を抱えてコンラッドはどうする!?


 という事で、このあたりからこのシリーズの特色が更にはっきりと 打ち出されはじめます。すなわち、「他の事など知った事か、 とにかく人類が第一だ」という人類至上主義、地球中心主義、 という部分です。
 人類の死をかけて(それが自業自得であれ、 将来的にであって今すぐでないにしろ)コンラッド消耗部隊は 異星開拓にあたっている、失敗は許されない。 人類に害する土着生物がいればそれを滅し、地をならし、食糧源を確保し、 とにかく頑張る。
 環境保護なんざあっちむいてほい(笑)
 知性体が発見されたら、名目としては平和を保て(笑) ……そう、名目としては。(笑)
 実はそこんところにほとんど気を使ってないんですよねえ、彼らは(笑)
 何が知性となり=何が危険となるかについては充分に卓見、つまり、 全てが疑わしい、何があっても不思議でない、を判っているのに、 基本として、その星は侵略先であって融け込む場所じゃない。
 これは、時代、でしょうね。
 同じ名で書かれた上述 「プラネット・ハザード」 が、最大限に 「地元を尊重」していたのと好対称をなしています。

 まあ、最初っから移民というのが侵略だ、 どんなにうわべをつくろってもそういう事だ、 という鋭くも厳しい意見があっての上での そういう書き方なのかもしれません。


ゼロスの戦争ゲーム
《コンラッド消耗部隊》
リチャード・エイヴァリー
THE WAR GAMES OF ZELOS
[THE EXPENDABLES]
Richard Avery
1980年初版 1975
創元推理文庫SF ISBN4-488-66203-X

 あらすじ。
 今回の惑星もイカモノです。
 事前の無人探査では何もない手つかずのいい星だと思われていたのに、 いざ来てみればそこには街が、村があるじゃないですか!
 どう考えてもこれは自然産物じゃない、知性体が居る。
 しかも着陸して接触してみれば、彼らはどう見ても人類そっくり。
 そっくりどころか、ヴァイキングの様な狩猟系、 野蛮系の風習なだけのまさしく人類。
 「侵入者」であるコンラッドらに対して彼らは自衛の戦を仕掛け、 自分らの命と宇宙船を守るという事からそれに答える形になってしまった 探査部隊一行。
 「戦争」が始まった訳です。
 コンラッドの、いわば「和平」や「移民条約」 を結ぼうという工作は二転三転していき、彼らの「オリンピック」 で一騎打ちをして決着をつける事に……


 今まで語り忘れていましたが、実は主人公及びヒロインは義手義足の、 いわゆるサイボーグです。主人公は、そもそもの話の始まりとなった、 自分を「社会的軍派閥的に殺した」事故の時に片目片腕を失っており、 この変わりに赤外線眼と100万馬力腕(笑)を取り付けていますし、 ヒロインもただの一般人だったのですが青年海外協力隊してる時に ゲリラに襲われて拷問されて両足切り落とされて、 という酷い過去のせいでトラウマしてエクスペンダブルに来た訳ですが、 そんな訳で両足はビルもひとっ飛び君です(笑)
 そういえばもう一人のレギュラー、黒人のにいちゃんは、ロボット (というか、モビルスーツ? AT?)の操縦がうまくて、 まるで自分の体の様に扱います。
 現地人達にはこれが効いていましたね(笑)
 「星の国から来た男達は魔人だ」(笑)
 別の話でこれをされたらお笑いだったでしょうが、 今までが真面目に異星探査していたこのシリーズ。 なんだか妙に説得力と笑いがあってよかったです。 でなきゃワンパターンとそしってやるのだが。
 このパターンと言えば 「地球から来た傭兵たち」 なんてのと似てるかもしれません。


アルゴスの有毒世界
《コンラッド消耗部隊》
リチャード・エイヴァリー
THE VENOM OF ARGUS
[THE EXPENDABLES]
Richard Avery
1981年初版 1976
創元推理文庫SF ISBN4-488-66204-???

 あらすじ。
 コンラッドは怒り心頭に達していた。
 かつての部下達が異星で死んだのだ。ただ死んだのならいい、 だが、その経緯には腐った官僚による汚職が絡んでいた!
 コンラッド、当の問題だった上司を殴り倒して退場。
 話はやばい方向に転がり、とりあえず任務に行って姿をくらませ! となる。
 休暇を打ち切られて向かった星は、これまでとは違って、 暫く見てても何の問題もない、非常に平和な世界に思えた。
 休暇の続きみたいなもんだ。誰もがそう思い出した。隊長一人を覗いて。


 という事で、今回の出だしのキーポイント「駄目上司を殴る」。 うん、定番(笑)

 更に、第二段、その汚職が云々部分、実はロボット納品に関して。
 むむ、ここは俺的にちょっと深く解説(笑)
 従来使われていたマシン(これもある意味「レギュラー」登場人物) は、低度の会話機能を持つ典型的ブキッチョ君(言われた事しかやらない) だった訳です。「ここで俺の帰りを待て」と言われたら、 1メートル先で御主人が獣に襲われても助けに行かず「待って」いるみたいな。 実際そういう事故があったりもした訳です。
 で、今回納入のマシンには高度な自己判断を搭載、 そういうのに対応できる様にした、という訳ですが、 これに主人公コンラッドは大反対、結局旧式を持って行く訳です。
 ですが、もう一部隊、かつての部下の方にはその新型が無理矢理あてられてて、 結果マシンの「いらぬお節介」で作戦は失敗したという。
 「道具は従ってこそ道具」と主唱するコンラッドの意見はある意味 男らしいし納得もします。
 ……でもなあ、ロボットにも意識が欲しいなあ俺(笑)
 どうせ人間だって判断ミスするんだしさあ(笑)
 そのへんでひねって話をつくって欲しかったですね。
 でもまあ、そんな事はなくこれはさらっと流されて。

 そしてメイン。普通に見えてやっぱり普通じゃなかった異星地表。
 だけどコンラッドは頑張る訳です。
 シリーズの終りとしては、ちょっと尻切れとんぼだったかな。
 いつも通りのコンラッドでした。

 使い捨ての愚連隊、というと、こういう奴らも思い出しました。
 なんだか前回の
軍人さん特集 と似たベクトルのラインナップになっちゃいましたね、今回。
 まあ、軍隊モノ、傭兵モノって所でそれは避けれなかったかな?


地球から来た傭兵たち ジェリー・パーネル
JANISSARIES Jerry Pournelle
1984年初版 1979
創元推理文庫SF ISBN4-488-67103-9

 《イラストレイテッドSF》。
 当時向うの業界ではやっていた、そういうブツなのだそうです。
 確かに、挿絵というよりは多少多めに挿絵が入ってはいます。
 でも、特にそこまで強く押す程でもないやな、というのは、漫画に慣れている、 挿絵の沢山ある本に慣れている、日本のジュニアだからこそ言える事なのかなあ。

 と、思っていたら、 某お人 より現物を確かめさせて頂く機会を得ました。 感謝致します。
 で、現物を見て思った事。なるほど、これは「イラストレイテッド」だ、 という事。もちろん、絵と文を比べれば文の方が多いのですが、 まるで絵本に近い感触を与えます。いい間合い、いいシーンで、 うまく絵が入るせいなのでしょう。
 ちなみに、396頁中72頁が挿絵。私の数えによると。

 お話の方は、いつのも通りのパーネルです。


 あらすじ。
 傭兵部隊は窮地に陥っていた。前に進んでも後ろに進んでも敵、 じっとしていても全滅は確実という時、その丘に飛んできたのはUFOだった!
 地球の科学ではあり得ない軌道で着地したそのUFOに乗った部隊は、 異様な姿をしたエイリアンから提案を受ける。
「このまま死ぬか、 我々が求める星へ行って我々の求める武力制圧と統治を行なうか」
 命がかかっているとなると選択枝はない。 彼らは宇宙を越えての傭兵部隊となったのだ。
 だが、休息と補給の後彼らの連れていかれた惑星には、既に人類が存在した!
 それも、ローマなどなどの各時代の特色を残している……
 この星はエイリアンらの「密売」の星。 何百年かに一度、この星でしかとれない麻薬の栽培と収穫のため、 その都度人類は奴隷として狩り出されていたのだ。
 人類は銀河連邦の法律では隔離保護のレベルの種族であり、 この様な行ないは本来違法のはずなのだが……
 おまけに指導者たる主人公は、部隊内部の内紛により、 ほぼ一人でこの星の上を流浪するはめに。
 同じ人類とはいえ多くの「民族」と「国」がグンユウカッキョする中を、 一体どう生き残るのか……

 関連書籍
地球から来た傭兵たち
イラストレイテッドSF 2
ジェリー・パーネル
ベアメイホウ(絵)
JANISSARIES 1980年初版
東京創元社



地球から来た傭兵たち2
トラン攻防戦
ジェリー・パーネル&ローランド・グリーン
Janissaries
Clan and Crown
Jerry Pournelle & Roland Green
1988年初版 1982
創元推理文庫SF ISBN4-488-67104-7

 かなり時間を空けて執筆された第二巻。 イラストレイテッドの試みは風化して消えたようです。
 そして物語は共著者を向かえて、よりミリタリー色濃くなって来た気が。 あるいは、情けない人情もつれ物語になって来た気が。
 まあ、ヒーロー、よりは悩みもつれる人間像、の方が面白いかもしれません。


 あらすじ。
 情勢は二重の意味で非常に微妙だった。
 銀河規模で話を見てみよう。
 「人類」は、銀河連邦からみれば、今だ保護を必要とする 接触制限付きの星である。あるいは、その戦争思考から、 芽のうちに地球は滅ぼすべきかもしれないとされている。
 連邦内部で下級官吏として働く「人類」は、 この微妙なせめぎあいの中をうまく渡り歩き、 人類を連邦の一員へと格上げしたいと考えている。
 惑星規模で話を見てみよう。
 連邦には秘密にしている「麻薬星」の存在は、あれば非常に高価だが、 ばれるようであれば一気に証拠インメツ、 星に住む人々ごと消滅させて何もなかったようにしなければならない。
 傭兵部隊はエイリアンの手先として麻薬の栽培と収穫を行ない、 分裂してしまっている各国家を統一して 一つの勢力としなければならない一方、 エイリアンの裏を書いてなんとかこの奴隷の状況を改めねばならない。
 しかも惑星はあと数年で、 作物の収穫できない灼熱の周期に入るという。

 複雑に勢力と思惑の絡む中、部隊隊長、その側近、妻、 部隊が身を寄せる国の王、王子、敵対国家……彼らのドラマが紡がれる。


地球から来た傭兵たち3
勝利の嵐(上・下)
ジェリー・パーネル&ローランド・グリーン
Janissaries III
Storms of Victory
Jerry Pournelle & Roland Green
1990年初版 1987
創元推理文庫SF ISBN4-488-67105-5 ISBN4-488-67106-3

 各勢力の流れが非常に混沌としてきました第三巻。
 話は収束に向かっているのか、それとも発散してるのか?


 あらすじ。
 麻薬の栽培が可能となる季節に惑星は突入した。
 それは同時に、惑星が太陽に近付き、 その全地表が灼熱化しつつある事を意味する。
 より赤道に近い土地は不毛の荒野と化し、当然の帰結として、 そこに暮らしていた部族が主人公らの暮らす国へと攻めてくる。 ではと言って極方向に目を向ければ、こちらは冬の国から夏の国へと 急変した事を受けて豊かになりつつあり、これもまた侵略を企て始めている。 一度は征服したはずの土地でも不穏な動きがあり、 しかも空の上からは自分らを危険な奴隷と思っている宇宙人らが監視を 浴びせており、これにばれない様にしながら、 生き残りと反乱をかけて力を蓄えていかねばならない。
 外に対してもこれだけの心配があるのに、そこはそれ人間の集団。 中でも様々な思いが渦巻き、ある種のギクシャクが続くのであった。
 さあ、彼らの明日はどっちだ。


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