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All people be HAYAKAWA'N

<<一億総ハヤカワ化計画11>>

: Presented by IPPO :

 計画もはや11。10を越えたというのは、一つの「節目」ですかね。
 ま、そんな訳で、模様変えを敢行してみました。 より読みやすく、なったかな?

 まあそういう訳で、今回は、ずっと以前からやりたいやりたいと温めていた
「がんばれ、軍人君!」(ようするに軍隊モノ)
 特集です。

 SFの中で軍人の活躍するもの、というと、非常に幅が広いですが、 その中でも部隊ぐるみ、 指揮官ぐるみで活躍する様なものをピックアップしてみました。
 アレが抜けてる、コレが足りない、そんな指摘は 大歓迎です。
 自分でもね、まだ抜けてるのが色々とあるのが判るんですよ。 「デイヴィッド王の宇宙船」とかも入れたいなあ、とか、 「虚空の遺産」はどうかなあ、とか……
 言い出すときりがないので、とりあえず打ち切りましたが。
 だからこのページ、ちょっと重めだったりとかする(笑)
 溢れているんだよねえ


終りなき戦い ジョー・ホールドマン
  THE FOREVER WAR Joe Haldeman
宇宙の戦士 ロバート・A・ハインライン
  Starship Troopers Robert A. Heinlein
栄光のスペース・アカデミー ロバート・A・ハインライン
  SPACE CADET Robert A. Heinlein
戦闘機甲兵団レギオン(上・下) ウィリアム・C・ディーツ
  LEGION ON THE DAMNED William C. Dietz
大いなる旅立ち(上・下)
《銀河の荒鷲シーフォート1》
デイヴィッド・ファインタック
  Midshipman's Hope David Feintuch
チャレンジャーの死闘(上・下)
《銀河の荒鷲シーフォート2》
デイヴィッド・ファインタック
  Challenger's Hope David Feintuch
銀河おさわがせ中隊 ロバート・アスプリン
  PHULE'S COMPANY Robert Asprin
銀河おさがわせパラダイス ロバート・アスプリン
  PHULE'S PARADISE Robert Asprin
超戦士コブラ
《宇宙戦記1》
ティモシイ・ザーン
  COBRA Timothy Zahn
ブラックカラー ティモシイ・ザーン
  THE BLACKCOLLAR Timothy Zahn
ブラックカラー2/地球潜入 ティモシイ・ザーン
  THE BACKLASH MISSION Timothy Zahn
宇宙の傭兵たち ジェリー・パーネル
  THE MERCENARY Jerry Pournelle
マイルズ・ヴォルコシガン(デンダリィ)シリーズ
既存分ポインタ
ロイス・マクマスター・ビジョルド
  戦士志願     THE WARRIOR'S APPRENTICE
親愛なるクローン BROTHERS IN ARMS
無限の境界    BORDERS OF INFINITY
ヴォル・ゲーム  THE VOR GAME
名誉のかけら   Shards ob Honor
Lois McMaster Bujold





終りなき戦い ジョー・ホールドマン
THE FOREVER WAR Joe Haldeman
昭和六十年発行 1974

 ヒューゴー/ネビュラ賞受賞。

 再読してみて、はじめて高い評価を与えた本である。
 初読の時には、どのあたりがいいのかよく判らなかった。 ダラダラと戦争の話が続き、山も何もないままに終る。
 そういう意味では、くだらないという評価も間違っていない、 ちょっと変わった本なのだ。
 つまり、「クズみたいな戦争」というのを、一兵卒の視点から、 あまりにも短く、又は長く、書き綴ったものだからだ。「中身のない戦争」 という、あまりにも戦争の真実(くだらなさ)を正直に書くのなら、 確かに中身のない文章になるしかないからなのだ。
 なんで、こんなくだらない事をしないといけないのだ。 なんで、こんな事を、人の死を日常みたいに思わないといけないのだ。 常に、一兵卒のそのぼやきが聞こえてくる。だからこそ、面白いと思えた時、 これは傑作に化ける。
 「ベトナム戦争を批判した」本だとも一説にいう。うん、納得。 実際にベトナム戦争に従軍した作者だからこそ、書けた物語かもしれない。

 別のセールスポイントとしては科学ギミックが面白い。強化服関係、それから、 高加速関係の技術が非常に肌に迫って感じれるのだ。何故か、と分析して思った。 それは、それらの技術の進歩を描きながらも、常に「クソどうしようもない限界」 がそれにあるのをも描写し続けるからなのだ。決して魔法に陥らない。
 例えば。強化服は、どこまで行っても排尿管を指さないといけない(笑)。 高Gに耐えるには、高圧剤を打って水タンクに浮くしかない。そういうリアル。
 そうみるとほほえましいよな(笑)<なにがや

 あらすじ。
 だしぬけに、初めての星間戦争が始まった。謎の異星人トーランの襲撃。
 徴兵制度が復活し、社会は戦時体制へと移行する。 徴兵された主人公は、強化服を身にまとい、縮退星ジャンプを潜り抜け、 はるか恒星の彼方にある拠点へと、あるいは攻めに、あるいは守りに、 あるいは基地建設にと部隊と共に赴いて行く。
 問題は、相対性理論による時間差だった。主観時間では僅か数か月の旅が、 縮退星ジャンプの度に大きくなる。帰ってくる旅に、地球社会は激変していた。
 そしてまた、訳の判らぬピンポイントな拠点へと赴き、 あまりにもあっけなく、あまりにも高い死亡率を潜り抜け、 数百年を経た地球へと帰還する。
 そしてまた。繰り返し。繰り返し……


宇宙の戦士 ロバート・A・ハインライン
Starship Troopers Robert A. Heinlein
1977年発行 1958

 1960年度ヒューゴー賞受賞。

 ハインラインの残した名作です。
 私は、ハインラインのベストは、と聞かれたら、よく上げられる 「夏への扉」ではなく、 「銀河市民」か、そうでなければ、この 「宇宙の戦士」を上げたい、と、そう思うのです。

 戦争問題として、色々と物議を醸しもした作品だそうです。 あまりにも軍国主義賛美の右翼な物語だ、と肯定も否定もされたし、 また逆に、いやいや、あれはハインラインならではの皮肉だ、 あそこまでべったり軍隊賛美をやらかして、 逆にその情けなさをあげつらった左翼な作品なのだ、という意見もあるそうです。
 私にとっては、どちらでもありません。
 そんな右や左を乗り越えて、ただただ楽しい、 又は心にずしんとくる作品だったのです。
 何も考えていなかった、いい意味「素直」な主人公が放り込まれる、 軍隊の訓練所。一本哲学の通った、そして多枝に渡るその訓練の描写。
 どんどんと主人公に「考える」事を強要する、その教育。
 ただただ鵜のみに、右、左と言わず、自ら考えてその道を選べ、 と問う様な、そんな姿勢を感じるのです。
 結果、この作品の主人公は、まあ、右に行く訳ですし、実は、 その理由も、理屈というよりは感情(軍ならではの仲間意識? とか、 ヒロイズムとか)に沿った故、とも思える訳ですが。

 また、物語の中で戦争を肯定する為に、敵を「相互理解不可能な昆虫」 と定義してしまっているあたりもポイントです。 それがプラスかマイナスかはさておくとして。
 これのおかげで、主人公達は安心して「人殺し」おっと、「虫退治」 を出来ている訳です。

 横道に逸れた注目点としては、元祖「パワードスーツ」の存在があります。 「着る戦車」をメジャーにしたのは、この作品だと言って過言でないそうです。
 また、「ガンダム」製作サイドが、 この作品を念頭にしていたという噂もあります。
 いやはや、色々な所に波及しているものです。

 一番心に残っているのは、各章の最後で、大抵主人公がモノローグで
「○○は死んだ。」
 と語る部分です。実戦でも、訓練でも。
 ふと、物語の中から、現実を見透かす、そんな瞬間でした。
 そして、私はこの物語の中に、グッと、取り込まれたのです。

 あらすじ。
 高校を卒業した日、彼の親友は言った。「軍隊に入るつもりだ」。 可愛いあの娘もこう言った。「あら、私もよ」。 思わず、彼はこう口走っていた。「いやあ、実は僕もそうなんだ」。
 だが、彼の配属先は、望んでいた輝かしいパイロットコースでもなければ、 研究部門でもない。一番最下層も最下層、汚れ仕事を一手に引き受ける 「機動歩兵」部隊だったのだ!
 息つく間もなく、果てしなく続く訓練。 今まで思いもよらなかった技術、ありとあらゆる技術の訓練。 いつしか彼は立派な兵士として「スペシャリスト」 へと変化してしまった自分に気づく。
 折しも続く異星人バグ共との戦争の中、他人へと預けていた「戦う意味」 を再発見し、彼は「兵卒」から「士官」への道へと歩み続ける。
 肉親の死。仲間の死。そんなものを乗り越えながら。
 そう、彼は誇り高き部隊の一員、「機動歩兵」なのだ!


栄光のスペース・アカデミー ロバート・A・ハインライン
SPACE CADET Robert A. Heinlein
昭和六二年発行 1948

 「宇宙の戦士」 との対比、という意味で、 引っ張りだして検討を加えてみたい作品。
 ほぼ同じ様な話なのだ。少年が宇宙軍に入隊し、教育を受け、 どんな事にもへこたれず、立派な士官として成長していく物語。 まあ、これが 「宇宙の戦士」 に行くと、 相手がそもそも少年でなく青年だったり、士官というより兵卒だったり、 地球内の平和パトロール隊ではなくエイリアン相手の戦争だったり、 する訳ですが。
 ベトナムの影をひきずっているか、いないか、というのが、 その一番大きな差の部分、という言い方も出来ると思う。
 どちらもハインライン節全開ってな所に、違いはないのだけれどね(笑)
 深読みしていくならば、疑いもてらいもなく、 アメリカが「世界の正義」をやってた頃を、やれてた頃を思い起こさせます。
 そういう意味での楽天的な理想主義というのでしょうか、 そういうのがあるのです。
 あけっぴろげに力の正統性、倫理の鉄壁性を信じる、歌い上げる、 そういう雰囲気。
 二つ合わせて読んだ時、貴方はどんな思いを持つでしょうか。
宇宙の戦士」が渋い?
栄光のスペース・アカデミー」が甘い?
 私は、どちらもそれなりに楽しみました。優劣はつけにくいですね。

 とか思ってたんですが、おやおや、これは本のあとがきで、 既に同じ様に議論されてしまっていましたね。二番煎じでした(笑)

 あらすじ。
 少年は士官を夢見てパトロール隊に入隊した。 そこではありとあらゆる訓練が、ありとあらゆる空間を巡りながら続く。 教育はいつでも実地で、任官はいつでも突然。
 やがて彼は一回り、二回り、と、 立派なパトロール隊員として成長を遂げて行く……
 血湧き肉踊り、それでいて心温まる、少年の成長の物語。


戦闘機甲兵団レギオン(上・下) ウィリアム・C・ディーツ
LEGION ON THE DAMNED William C. Dietz
1998年発行 1993

 銀河帝国に異星人が攻めてきたぞ、戦争だぁ、という話なのですが……。
 「異星人戦争」である必然性はこれっぱかりもありません。せいぜい、 単なる「異民族戦争」ぐらいなもんです。
 ぽこぽこと大量に色々な「異星人」が出てくるんですが、 これがメンタリティ的にも、それどころか大抵肉体的にも、 もうほとんど人類と変わりありません。ある種族なんか、 例の「自然の営み」で、混血児まで作れてしまうくらい。
 サイボーグ兵士というのが主軸の一本をなすガジェットの様ですが、 これも同様に全く表面だけをなぞっているもので、特に新しい所もないですし、 よくも悪くもスタンダードにサイボーグなだけです。深みなし。
 も、全然リアリティとか科学考証系とか、ないです、ほんと。

 そういう所には全て目をつぶっちゃって。
 カッコイー外人部隊の活躍を楽しみ、 外人部隊という肩書と誇りを持つ兵士達の吐く台詞にウットリ(笑) する為の物語です、はい。

 これは、好みが判れますよお。ミリタリー系列とか、その中でもそういう エトランジェ系列、海軍士官と上官系列が好きな人なら、楽しめるかな。 こういうSF系列作品を見た事のない人様の、 軽いペーパーバックとしてもいいかもしれない。
 でも、俺自身は、「SF読みたいならこれ読んでみな」 とか言いながら人にこれを勧める事なんて、多分絶対確実に無い様な気がする。

 関係の無い所では、「混血可能な異星人」として、ケモノ系人類が出てきます。 体皮に毛皮のずらっと生えてるヒューマノイド。ビジュアルとして想像して、 おいらはニヤリ、ってしちゃいました、はい。 一部の人にはウけるんじゃないかなー?(笑)

 あらすじ。
 異星人フダサの軍が、銀河帝国辺境へと攻めてきた。
 その母星は苛酷であり、そこで進化して来た彼らは和睦を知らない。 常に世界は自分か、自分以外の敵かしかあり得ないのだ。 辺境惑星は執拗な絨毯爆撃と徹底した掃討戦に曝される。降伏は効かない。 捕虜もとらない。
 これに対して即起兵し、迎撃をするべき帝国指令部は、だがしかし、 腐っていた。無能な皇帝。地位を競う官僚。 辺境を切り捨てて生き伸びようとする案が主を占めた。
 だが、それではすまされぬ人々が居る。
 外人部隊をその前身に持つ兵団レギオン。あらゆる汚れ仕事を押しつけられる、 正規軍との反発醒めやらぬ辺境部隊。 死刑囚から作られたサイボーグ、過去を問わずに受け入れられたならず者。 部隊のみが故郷である、誇り持ち、死を恐れぬ兵士達。
 切り捨てられかける彼らは故に牙を向いた。帝国へ、 そして攻めてくる異星人フダサの大軍団へ。
 時同じくして、腐った宮廷を見放して、革命組織が帝国内で蠕き始めた。
 ……兵士達の熱い戦いが始まる。

 とまあ、アツく語るとこういう話です。
 こういう話を見ると、どうしても私は 「宇宙の戦士」 との対比を 思い浮かべてしまいますね。 あれも戦争と、そして汚れ仕事の誇り持つ部隊の話でした。 戦争という事象を正当化する為に、相手を「相互理解できぬ異星人」 と位置付けて描写する所も同じです。 でありながら、決定的にこちらの話の方がツメが甘い。 軍隊野郎共が結構半端こいてやがるし、多人数の視点からぽろぽろと数行ずつ 話を進めるので、誰に対しても感情移入ががっちりしにくい。 何が焦点かというと、ひたすらに「カッコよさ」みたいな所にあって、 軍組織としての正当な部分とか論理的な部分とかは解説されない。
 何よりも許せないのは、その「理解不能」なはずの異星人が、 充分に理解可能な所です。理解可能なら理解可能なりに、 どうしても戦争に至るしかなかった国力や国勢の問題とか、 俗に背景と呼ばれてるものをしっかり作り込めばいいのに、単なる「侵略」 ですからね。対する人類やら共闘するこれまた別の異星人達の方も、 起動の動機がものすごく低レベルで安易で薄っぺらです。
 うん、書けば書く程愚作な気がしてきた。 ほんっとになんにも考えずに書いた話だな、こりゃ。アラがいくらでも出て……
 いかん。真面目になっちゃ駄目。
 これはそういう「ホラ系列」「スカッとドンパチ系列」なんだから。 落ち着け、落ち着け……

 あ、そうだ。軽めのエイリアンが沢山出てきてわいのわいのするっていう点で、 デイヴィッド・ブリンの 「知性化」シリーズに相通ずるものがあるかもしれない。 うん、なんだかそんな気がする(笑)  そう思うと、そんなに悪い話でもないかもしれない。

発掘 Reference
  1. 暴走野郎の 小島修一さんの書評


大いなる旅立ち(上・下)
《銀河の荒鷲シーフォート1》
デイヴィッド・ファインタック   [TITLE]
  [TITLE]
Midshipman's Hope David Feintuch
一九九六年発行 1994

 キャンベル賞受賞。

 海軍モノ、というのでしょうか、厳しい規律の中で上官にしごかれたり、 そんな中でも同輩と甘ずっぱい思い出を共有したりという、 そういう青春路線を踏襲している作品です。
 類似のSFなシチュエーションとしては、 ハインラインの某作品を思い出したりしました。たいして取り得もない男の子が、 一所懸命下働きしてると、上の人間がバタバタと死んでしまい、なんと、 艦長をやらなきゃいけないハメになってしまう! おまけに船は漂流するわ、 なんやかんやと事件は起きるわ……って奴ですね。
 違いは、軍律にやたら拘りまくるあたりとか、宗教的な意味合いでの、 誓いだとか、宣誓だとか、暮らしのモラルだとかに、 やったらめったら縛られている、かしこまった、コチンコチンの、 なんだか青いなあと思わせるその主人公像でしょうか。いやあもう、 はがいいやら、かわいいやら、むかつくやら(笑)

 成長モノ、という側面よりも、隠された天才開花、 という側面の大きなお話です。その意味でも、最近の作というより、 少しオールドな時代を感じさせます。

 あらすじ。
 キリスト教を母体とする宗教の強い影がある、統合政府。
 その政策のもと、人類は大きく躍進を見せていた。
 分裂時代の傷跡はまだ癒えきってはおらず、 ダウンタウンや貧困が変わらず存在するのも確かだが、 N波航法と呼ばれるワープの開発により、 他恒星系への移民が開始されているのも事実なのだ。
 厳しい規律と訓練に耐える主人公・シーフォートは、 宇宙軍士官見習いとして軍艦に乗り組み、 移民惑星への航天に出発した。順風満帆の航海に思えたその時、 爆発事故が発生、艦長が死亡してしまう。 続いて就任した艦長も連続するアクシデントのうちに病死。 そして恐ろしい事に、軍の規則書は、次に艦長に就くべき人物として、 最先任士官見習い、つまり、彼を指名していたのだ!
 一気に雑用係から、 船の守り神であり絶対君主である地位と責任を負わされたシーフォート。 今までの上官、今までの友人、今までの喧嘩相手、その全てが彼の部下、 その全てが彼の指示を待っている!
 更に呪われた航天は続き、アクシデントに次ぐアクシデント。
 果たして、旅の行方は、そして彼の命運は……

発掘 Reference
  1. 茅ヶ崎花架さん宅 『銀河の荒鷲シーフォート』のフロア


チャレンジャーの死闘(上・下)
《銀河の荒鷲シーフォート2》
デイヴィッド・ファインタック   [TITLE]
  [TITLE]
Challenger's Hope David Feintuch
一九九七年発行 1995

 シーフォート・シリーズの第二弾。
 このシリーズ、一応三弾までで終りらしいのだが、そして、 それはこの間の10月には翻訳が終っているはず、だったらしいのだが…… 1998年5月、野田大元帥のお言葉によると、 彼はまだ訳していないそうである。……なにしてんだよ。
 そういえば、時々誤植がめだっていたなあ。ちょっと、製作サイド、 甘いんと違うか? と、作品とはまた違うベクトルで愚痴ってから、さて本編。

 主人公を襲う新たなる試練。
 うん、この一言でいいや(笑)
 詳細は粗筋に譲るが、例によって山程苦悩をしつつも、 男らしく、格好よく、規則規則とわめきつつ、 スパパパパッと天才ぶりを発揮して ちゃんかちゃかちゃか と難関を突破していく主人公がそこにおります。
 これを楽しいと感じる人には楽しいし、 くだらんと感じる人にはくだらんだろうなあと思ったり。
 俺? 楽しみましたよ。三が出たら確実に買います。
 ま、でも、三がなかなか出ないからと言ってジタバタもしない、程度ですが (笑)

 SF的な要素としては、これに出てくる「異星生物」、 あの液体金属金魚達の体質に興味があります。 さてさて、どういう生物として描写してくれるのでしょうか。 例によって例のごとく、 「宇宙の戦士」 のバグと同じに 「理解不能、知性問答無用の原生生物だ、だから戦争して構わないのだ」 という論理に落ち着くんじゃあ、ちょっと拍子抜けだから、 それ以上の論理を期待したいですねえ。望み薄ですが(爆)

 シリーズ第三巻はこちらへ。

 あらすじ。
 呪われた航天は終了した。事故、反乱、そして異星生物との接触。 様々な事件を乗り越えた彼は、 奇跡とも思える力を発揮して無事船を地球の港へと帰したのだ。
 息つく間もなく、植民惑星への次の航海が開始され、 いつまた突然に出会うかもしれぬ異星生物、 それとの接触体験を持つ唯一の艦長として、彼もまた共に旅立った。
 今回は対異星生物を意識して複数の艦を擁しての航海である。
 だが、船団の隊長がくせものだった。 彼はハナからそんな異星生物の存在を信じていないのだ。 挙げ句、主人公を幻覚を見て騒いだ青二才と断じてしまう。 最新艦からオンボロ小型艦へと席を転がせ、 一番危険な役割をロクな装備も持たずにやらせ、植民、 というよりは難民、とでも言いたくなる、 今回運んでいた貧民窟の住人達を押しつけ…… そして遂には、敵の攻撃でエンジンの破壊された艦を彼に押しつけ、 一人でさっさと逃げていってしまった!
 部下と乗員を抱え、動かぬ船で一体何をしろというのだ!

発掘 Reference
  1. 茅ヶ崎花架さん宅 『銀河の荒鷲シーフォート』のフロア


銀河おさわがせ中隊 ロバート・アスプリン   [TITLE]
PHULE'S COMPANY Robert Asprin
一九九二年発行 1990

 いやあ、楽しい! これだよ、こういうのこそがコメディってもんだよ。 久々に「痛快」とでも形容したくなるタイプの物語に合いました。 少年探偵団系列の痛快さ、とか、田中芳樹の書いた 「銀河英雄伝説」の自由惑星同盟軍系のノリ、とか書くと、 もう判る人には判って貰えるんじゃあないでしょうか。
 とにかく読んで損はさせません。名作っていうのとは、 又ベクトルが違うんですけどね。

 この作者ロバート・アスプリンは、最近じゃあ 「マジカルランド」シリーズというのを早川FT文庫で並べています。 買って読んでみましたが、そちらのパンチ力はいまいち。まあ、 私がFTよりの人間でないのも一因だし、その作品は、 駄洒落系列の遊びをふんだんに入れているタイプのもの (「魔法の国ザンス」シリーズ等を参考)であり、また、 魔法自身のコウトウムケイさをあげつらう様な所のポイントをついているもの (「ランド・オーヴァー」シリーズ等を参考) でもあるので、そういう意味で面白くもあり、また、面白くもない訳です。  基調となる味は同じですけどね、どうせ読むならこちらの 「おさがわせ中隊」 シリーズの方を俺は押します。

 ところで、中表紙の挿絵。
 やっぱり、男性読者をターゲットにしたものなんですかね(笑)
 私は見事にひっかかりましたが(爆)

 あらすじ。
 主人公フール、大金持ち。兵器産業でトップを占める企業の一人息子。 自身もやり手の経営マン。
 そんな彼が、何を思ったか、はみ出し者の吹き溜りたる「宇宙軍」 に入隊した! と、入隊したと思ったら、早速やり過ぎで左遷。
 何時でも何処でも共に居る執事のビーカーと一緒にやってきたのは、 オメガ中隊。ならず者の中でも特に問題児ばかりの放り込まれた、 吹き溜り中の吹き溜りだった。だけどフールはへこたれない。
「やりかけたからには、徹底的にやるのが私の流儀だ!」
 自身の財力と経営哲学をぶちまけて、彼の部隊再教育が始まった。
 そして、誰も、そう、当人達ですら思わなかった。
 まさか自分達が世に名の響く有名部隊、 「オメガ・ギャング」に成長しようとは!

 いいですか、ここで「ギャング」と書かれてる辺り、「精鋭部隊」とか、 「銀河の誇り」とか書かれてない辺り、に、充分に注目して下さいよ(笑)
 いやあ、楽しいコメディです。そして、成長物語(?)です(笑)
 基本として、「お前らそれは反則だろう」とか、 「悪党相手にゃイカサマもルールのうちってね」 「じゃあお前らも悪党なんじゃん」とか、 そういう突っ込みをついついしながら読んじゃう、みたいな。

 これの 第二巻 は既に発売されています、が、三巻は果たしていつの事やら。 うううう、待ち遠しいぞ。


銀河おさわがせパラダイス ロバート・アスプリン   [TITLE]
PHULE'S PARADISE Robert Asprin
一九九三年発行 1992

 お待たせしました!
 という訳で、我らが フール隊長 (これは、読みの発音から「馬鹿」 っていうのも含まれているんだよ、マジに(笑)。中隊のシンボルマークは ピエロだしさあ(笑))の活躍第二弾!
 今回も、いや、前回に倍してメチャクチャ旋風が吹き荒れます!
 いや、正直な所、クライマックス近くまでは、 それでもかなりおとなしいじゃんと思っていたんですが、やっぱり馬脚(笑) を現しますねえ、オメガ・ギャング(笑)。こいつら、 根っから上品には出来てないんだよなあ、きっと……(大笑)
 なんも言わずとも、買いです。特に第一巻を読んで待ち遠しい思いをした貴方。 まあ、期待を裏切る事はないと思いますよ。少なくとも、心配は無用です。

 あらすじ。
 今回のオメガ中隊の任務の舞台は、カジノ!
 中隊に頭を悩ませる上司の差金だった。 そう、相手は手強いギャングだったのだ。
 で。”カジノ”と聞いてはみ出し者達が黙って勤めるはずもない。
 個性的な奴らがそれぞれにと活躍と活動を繰り返し、 あれやこれやと思う間もなく事態は進展。
 さて、運命のサイコロはどんな目を?

 きっとオメガ・ギャングなら、ピンゾロを揃えてくれますぜ。 イカサマを使ってでもね(笑)

 そうそう、登場人物の一人に東洋人が居るのですが、彼の名前が「スシ」 と言います(偽名ですよ、部隊入隊時に好きに名乗れるんです)。 ……後輩に指摘されるまで気がつかなかったんですが、 彼の名前、つまり、「寿司」だったんですねえ(笑)
 余談でした。


超戦士コブラ
《宇宙戦記1》
ティモシイ・ザーン
COBRA Timothy Zahn
一九八九年発行 1985

 おお、サイボーグ特殊部隊! 定番、という感じですねえ(笑)
 対エイリアン戦争! まさしく定番ですねえ(笑)
 冗談はおくにしても、話の中身もまさしく、という感じで裏切りません。 あ、でも、サイボーグ、というイメージ 、最近ではかなりサイバーパンクずれしていますが、 この作中のはその系列の臭いはありません。いわゆるコンピュータ制御、 というノリではなく、古き良き時代からの伝統、筋力強化、 といった趣に重点がよせられています。
 サイバーというのに食傷ぎみの人でも、 これならすっきりできるんじゃないでしょうか。
 そしてここで重点となるのは、「一般家庭に帰ってきた兵士の苦悩」 系列です。やはり、これはベトナム戦争を重ねて見ずにはいられませんねえ。  まあ、この話の場合、再び戦争が再開されて「ヒーロー」 として又も脚光を浴びる訳ですが……

 リアルなポイントは、体に組み込まれた武器が、 時に”過熱”したりする不良品な所。 これが初期ロットにしか存在しないバグとかで(笑)
 うわあ、リアルだなあ(笑)

 更に余談。最後の方のシーンに出てくる「女神も一緒に御招待」の意味、 あのエイリアン、どれくらい判って言ってるんだろうか。 本当にフルに理解して言っているのなら、なかなかに洒脱味のある相手だぜ。 もし全然判らずに真剣に受け止めているのなら、やれやれ、 これからの戦争が大変だぜ、と笑ってしまう。まあ、人事だけどさ(笑)

 あらすじ。
 コブラとは、対エイリアン戦争の為に作られたサイボーグ兵士である。 強化された骨格、各関節に組み込まれたサーボ。更に、手は小指、 足はかかとの部分からレーザー光線を走らせる。
 彼らの投入により戦局は人類有利で決着した。
 そして、停戦。
 兵士ではなくなったコブラは、だが、もう「只の人間」には戻れなかった。
 彼らの多くは開拓惑星へと人生を求め、更にそれでも困難な道は続く。
 そして。エイリアンとの戦いも、それは”停戦”であり、 ”終戦”では決してなかったのだ……

 以下、続巻として 「コブラ部隊出撃!」 「コブラの盟約(上・下)」 といったのがあるらしいのだが、無念、 私は本屋でみかけた記憶がございません。とほほ。

 と書いたら、 「コブラの盟約(上)」 だけ入手。……これだけあってもなあ。とほほ(笑)
 そう、これの表紙、どうやら女性のコブラ。おお、そんな話になるんかぁ。


ブラックカラー ティモシイ・ザーン
THE BLACKCOLLAR Timothy Zahn
昭和六二年発行 1983

 どうでもいいのだが、これの表紙、いつも 「超戦士コブラ」と混同してしまう。
 同じ様な黒一色に染めた、同じ様な体にぴったりとしたボディスーツ。 そして、同じ様なヘルメット。しかも作者まで同じ人で、 話の内容も同じ様な特殊部隊もの。
 せめて、表紙の絵柄は買えて欲しかったよなあ(笑)

「耐え忍び、相手を欺き、裏の裏をかいて、勝つ。」
 そういうテンションで格好イイお話です。そらもう、なんてったって 「忍者」ですから(笑)
 だから、おお、忍者だ! という楽しみ方をして下さい。
 あんまり頭は使わないで読めますね。ヒーローもの、 というカラーが強いと思います。それなりにどんでん返しも用意されてるし。

 ブラックカラーの「カラー」は、「色」ではなく「襟」の事だそうです。
 ほにゃほにゃ。身分的なものを象徴してるんですかね。

 あらすじ。
 戦争は集結した。だが、アンダーグラウンドで戦いは続く。
 主人公は、この日の為に育てられた秘密喋報員だった。 ついに盗み出した機密には起死回生の一手となり得る 超戦艦部隊の秘隠場所が記されていた。
 この戦艦を目覚めさせるには、”ブラックカラー”部隊、元は東洋のニンジャ の流れを組んでいるという訓練を積んだ特殊部隊、彼らの助力が必要だ。 今は骨抜きになった、退役老人ばかりだと言うが……一筋の希望を抱いて、 彼は部隊の存在する惑星へと飛び、なんとか接触を果たす。
 だが、追手も着々と距離を縮めてきていた……

 という話だったと思う(笑)
 再読してみないと、記憶の怪しい所がちらほらあるなあ(笑)


ブラックカラー2/地球潜入 ティモシイ・ザーン
THE BACKLASH MISSION Timothy Zahn
昭和六三年発行 1986

 結構 一巻 ですっきり決着がついていたので、ああ、そういう話か、 と思ってたんですが、出てましたね、第二巻が。
 という訳で読んでみました。
 んー。一巻を読んでるなら、続けて読む価値あり、かな?
 シリーズもの、という以上の魅力は、あんまり感じない本でした。
 で、シリーズもの、と捉えるならば。これで三巻がでないのは詐欺だぞ、 と、そう思うのでした(笑)

 あらすじ。
 超戦艦部隊を手に入れ、そして再びの勝利をもぎとる為に、 彼らブラックカラー部隊の戦いは続く。
 決定的なのは人員の不足。ブラックカラーは一騎当千、 主人公も又訓練を重ね、部隊の一員となろうとするが、 それには決定的な要素がかけていた。 服用により、永続的に対象の反射神経速度を跳ね上げる「バックラッシュ」 と呼ばれる薬品がそれである。  その入手の可能性があるのは、敵の本国「地球」でのみ。 決死の潜入作戦が展開され始める……

 おっとっと、これは早川ではなかったか。
 まあ、原典というか、デフォルトというか、て訳で最後にもう一冊。


宇宙の傭兵たち ジェリー・パーネル
THE MERCENARY Jerry Pournelle
創元SF文庫 1981年初版 1977

 なんと言うのでしょうか。私が「真剣なミリタリーSF」に出会った、 これが原点でしょう。つまり、血湧かせる事の為に戦うのでもなく、 男の友情の為でもなく、祖国や大義の為ですらなく。
 最低の手段として自らを認識しつつ、手を汚して戦う、 戦うしか能のない兵士。
 そういうしっかりとした「意識」を持っての戦闘、というのに、 痺れました。
「我々は何も生み出しはしない、助けはしない。見ろ、この血の海を!  我々は只時間を稼ぐだけだ!」
 その叫びは痛烈に心を打ちます。そして、 そうして稼いだ時間を有効利用する責任を、何かを生み出し、助ける義務を、 魂に刻んでくれます。
 私は、あの兵士達に対して、義務をおったのです。
 とまあ、そういう気分にさせてくれるSFなのです。

 優れた軍人、とか、良くできた兵隊、というのはどういうものか、という定義を、 私はこの本と「宇宙の戦士」 ぐらいから学んだ感じです。

 ジェリー・パーネルといえば、ミリタリーSFの第一人者。 ついでに言うとこれは 「神の目の小さな塵」 というのと、同じ世界を共有している物語なのだそうです。 あわせてそちらも読むといいかも。

 あらすじ。
 連合国家は遠隔植民地からの撤退を決議した。
 差末事で軍を追われたファルケンバーグは、 そんな辺境惑星へと傭兵部隊をひきいて行く事になる。
 植民地はあえいでいた。抱える人口は支える事が可能なそれを越えている。 にも関わらず、連合国家が人口増加対策として地球から追い出した人々 (囚人。当然、志願して来た訳ではない)が更に流れ込んでくる。
 強力な上からの圧力と援助がなければ保たない現在、 それでも連合国家は撤退していく。
 彼の手元にあるのは、自身の指導力と、鋼の規則。
 ファルケンバーグは汚れ仕事に取りかかった。


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優  不可  努力を要す 











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