ペルーより無事に生還しました。途中で日本人学生の事件を聞いた時にはかなりビビったが、観光地は「途上国」なりに注意していれば特に問題もなく、唯一困ったのはお腹を壊したことくらい。ともあれ、スペイン語を力技で操る連れのYには感謝仕切れない。ありがとう。
丸一日かけてクスコに到着した日は、高山病を恐れておとなしく市内をぶらぶら。ぶらりと入った店のランチが美味しい。アメリカの食事から離れた幸せに浸る。そして、念願のインカの時代の石壁へ。すごい、本当に隙間のない完璧な噛み合わせ。剃刀一枚通さない。植民地建築の石積みは間にセメント(みたいなもの)が入っているのに、インカのは入っていない。技術よりも意思の力を感じて圧倒される。道にはインディヘナのおばさんや物売りのガキが多い。いつかどこかで会ったことのあるような顔ばかりで、妙な親近感がわく。やはり先祖は一緒か?
翌日、念願のマチュピチュへ。朝6時の列車に乗る時には空はすっかり明るい。太陽に近いせい?3時間もガタゴトと列車にゆられて、到着した駅は秘境の谷間。あたり一面熱帯林。本当にこんなところに文明が栄えたのか?それよりも、よくこんな山を乗り越えて発見した奴がいたもんだ。そしてバスで山頂へ登ると、ありました、いつも写真で見てきた「あの」マチュピチュが。今日はここで一日ゆっくり歴史に浸ろう。見事な石造技術、高度なまちづくり、スペイン語なまりの英語ガイドの言う「ウルバン・デザイナー」の神業である。しかし、どうしてまたこんな急峻な頂の上に?? 頭を空にしてぼーっと空を見上げていると最高に幸せな気分。欧米やアジアとは全く別に生まれた高度文明。うーむ、世界は広く人間はすごい!
3日目、インカ聖なる谷ツアーへ。ホテルを複数回って順に客を拾うのだが、時間に追われてガイドさんはバスを降りて全力疾走。働くペルー人。地元民は高山病にはならない。 峠を越えて、いざ谷へ入る。はるかに万年雪の高峰を望み、手前にはごつい山々。その間にはトウモロコシが豊かに実った農地が広がる。こんな風景は見たことない。アンデスに来たんだ、と感じるが、とても富士山の高さにいる実感はない。ピサックの市では、工芸品に加えて生鮮食品や日用品も並び楽しい。変なトウモロコシやピーマン、ぶどう、じゃがいも、カブ、何でもある。肉と魚の回りの蝿の数には絶句。その後、別のインカの遺跡を見た後、高度4000mの最高地点へ。ここにもなだらかな畑が広がり、インディヘナが暮らしている。それも、かつての暮らしそのままに。自分もここに生まれたら、今とは全然違う人生を送ったのだろうなあ、と思う。歴史文化のロマンに気持ち良くなり、ついに有名な地ビールを呑む。うまい、そして酔いが異常に早く回る。ホテルに戻ってバタン。
4日目、朝起きると、ひどい頭痛&腹痛。ビールが高山病を招いたか?コカ茶を飲み安静にしつつ、ビールを飲んだことを後悔。でも、頑張って午後から市内&近郊ツアーへ。コリカンチャはインカの城の上にキリスト教会を建てたもの。歴史の定めとはいえ、侵略者の横暴に憤りが沸き上がる。コルドバのモスクを思い出す。サクサイワマンは市街戦においてインカ最後の拠点となった所。街を見下ろしながら、1万人の大軍が数百人のスペインの侵略者に負けた悲劇に思いを馳せる。
他に交通手段がないので久しぶりにツアーに入ったが、なかなか面白かった。唯一うっとうしかったのは、ギャーギャーうるさいアメリカ人観光客。お前ら、黙っていられないのか?