アシュランド(6):近年の住宅開発

周辺に広大な土地が広がっているにも関わらず、アシュランドは既成市街地の密度を上げることで、自然環境の保全と街の活性化を両立したまちづくりを行っています。この様な都市成長管理政策はオレゴン州法に基づいてフレゴネシさんが導入したもので、ポートランド・メトロ地域の同様の政策に先行したものです。現在の街の素晴らしさは、この政策が経済原理と噛み合ってうまく実現されているからに他なりません。このように、政治的リーダーシップと住民の意志がうまく重なり合えば、小さい都市でも理念を持ったまちづくりを進めることができると思います。
高密度な住宅開発

アシュランドの伝統的な住宅は、大きな敷地の中に建つコテージのような一戸建てが主流でした。しかし、近年では街のあちこちに写真のような高密度の開発が行われています。ポーチや飾り窓など歴史的な建築要素を取り入れたデザインは、ブームにもなった「ネオ・トラディショナル」と呼ばれるもので、既成住宅地にもうまく溶け込んでいます。この様な高密度な住宅開発は以前は存在しなかったもので、政策が潜在的な住民のニーズと住宅市場を掘り起こしたと言えます。


集合住宅の導入

写真の住宅はタウンハウス呼ばれるもので、複数の家が横に繋がったものです。以前は巨大な一戸建てばかりだったアシュランドに、この様な集合住宅が建ち始めた当時は、住民もびっくりしたそうですし、周辺の空地を開発して従来型の戸建て住宅を整備すべきだという意見は現在でもかなり強いそうです。しかし、敢えて高密度な市街地整備を推進し、周辺の自然を保全するまちづくりは、多数の住民に支持されて継続されています。

(終わり)



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