リマの高速道路は無料です。一般道路は渋滞がひどく運転マナーも劣悪ですが、高速道路は比較的整然と流れていました。片側3車線は時速50〜60km、60〜70km、70〜80kmと各々最高と最低速度が定められており、スピードによる住み分けは良く守られています。注目すべきは中央にバス専用レーンが設けられていることです。一般レーンとの分離帯に設けられたバス停には、交差する道路から階段で降りられるようになっており、排気ガスはひどいものの安全は確保されています。ここでは、途上国の庶民の足として不可欠なバスの運行に最大限の配慮がなされています。
バスと並ぶ市民の足が、大通りをひっきりなしに走る乗り合いバス「コレクティーボ」です。ルートは決められていますが始終点以外に停留所はなく、どこでも自由に乗り降りできます。常に開いているドアからは、車掌のお兄さんが歩行者に向かって行き先を連呼しており、慣れた市民はヒョイと飛び乗っていました。人件費の安さがプラスに働いています。料金はバスと大差ないようで、運行の頻度や乗降場所の自由さを考えれば大変便利な交通機関です。先進国のデマンド・バスよりも却って便利かもしれませんが、地理に暗く治安に不安もあった私には使えませんでした。
バスやコレクティーボの車体には、やたらと外国語が目につきます。このバスには「お降りの方はボタンを押してください」と書いてあり、後部には「滋賀大津日産」のステッカーが貼ってありました。(「○×株式会社」と書かれたタクシーも沢山走っています。)これは外国人旅行者のためでは勿論なく、先進国で使われなくなった車両のお下がりを使っているためです。人件費は安くても、設備投資にはゆとりのない発展途上国の事情がうかがえます。しかし、保守点検がまともになされていないため、排気ガスの汚さには参りました。アメリカが途上国に温暖化ガス削減義務づけをしつこく求めたことが思い出されました。
住宅街の大通りで見かけた路上駐車帯です。タイヤのところに最低限の舗装がなされているだけで、残りは芝で覆われています。駐車するには何の支障もありませんし、美観に優れています。雨が殆ど降らないリマでは、ぬかるんだ芝生に足を取られることもまずありません。実は、駐車場の舗装面積の削減は先進国の都市では大問題です。大雨の際には雨水が浸透しないために排水設備に大きな負担をかけると同時に、アスファルトや車の油滴が水質汚濁の原因ともなるためです。ペルーの土木技術者が環境面に配慮したのか、それとも建設コストを削減したかったのかはわかりませんが、結果としてできたこの駐車帯のデザインは非常に優れています。
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