1 2 3 <アマさん雇用顛末記3> 一方、我がコンドミニアムではフィリピン人のアマさんが多く、彼女等の多くはお互いに『顔見知り』である。『フィリピン人アマさんネットワーク』なんて大袈裟なものでもないが、夕方の子供の散歩で子連れで外をウロウロしているうちに、フィリピン人のアマさん同士で親しくなる場合が多いようである。また彼女等は一般的に“クリスチャン”であり、日曜日の“フィリピン人専用”のキリスト教の教会で顔を合わせて仲良くなる事も多いらしい。それでジョシーにも同じコンドミニアムにたくさんのフィリピン人アマさんの友達がいた。夕方によく外で井戸端会議を開き、情報交換している姿を目撃した事がある。皆子連れで、子供の世話を放っちらかして会話に熱中しているのである。アマさん同士でも『上下関係』があり、いろいろややこしい、という話も聞く。アマさんも大変である。 ある日、ジョシーがウチで働きたいというフィリピン人の女性を連れて来た。 ドアを開けると、付き添いの友人が更にもう一人で、合計3人のフィリピン人がウチの入り口のグリルに文字通り『へばり付いていた』。これは以前、ジョシーに誰かアマさんを紹介してくれるように頼んでおいた事があったので、それから直ぐに友達に声を掛けておいてくれていたようである。その後話が変わり、『ジョシーを雇おうか』という話になったのだが、彼女は既に友達に声を掛けてしまった手前『やっぱり自分が行く』とも言い出せず、取り敢えず紹介しに来てくれたようであった。 彼女の名前は『リタ』という。 まあ、名前よりも・・・その顔の印象が強烈な人で、あまりにもガメツく厚かましそうな『リタの顔つき』に我々は最初からギョギョッとしてしまったが、とにかくそれよりも何よりも『どうしてジョシーが他の人を連れて来たのか』という“真意”の方が先に気になって仕方が無かったのであった。 でもまあせっかくだから話くらいは聞いてやろうと相手の条件を尋ねる事にした。 ・・・・何!!、自給10ドルよこせ、だとーー!!(怒)。 彼女は信じられない位に高額な条件を突き付けてきたのである。リタが言うには、『あなた達は金持ちだ。私達はお金が無い。自給10ドルくらいくれてもいいだろう?』とのこと。通いのアマさんと言えば、時給5ドルが大体の相場であるが・・・。こいつ、やっぱり見た目の通りのヤツだった・・・と妙に安心したが、やはり『イヤなヤツ』には違いが無い。そう思いながら素早く計算をした。パートタイム制で週に2日、1回4時間で40ドル、週に80ドル、という事は月に320ドルか・・・。 何気なくジョシーの顔色を伺って見た。複雑な表情をしていたが、彼女の真意は読み取れなかった。なにか分からなくなった。・・・しかし、ウチの入り口の“鉄格子”にフィリピン人が3人、へばり付いている姿って・・・良く見たら、なんか『異様』です。 それで結局こちらが折れて、時給10ドルで試しに雇ってみることにした。来週の月曜日の朝11時から来てくれるようリタにお願いした。こういっちゃなんだが、あくまでも『試し』である。会社で言えば『試庸期間』である。ジョシーの薦めで仕方なく・・・である。リタの“顔”と“態度”ははっきり言って『嫌い』だが、付き合ってみれば意外と良かったりするもんだ、と家内が自分に言い聞かせるように呟いた。我々にとってもアマさんを雇うなんてホントに初めての経験で、期待と不安が交錯するなんとも言い様のない感覚であった。家内は一生懸命、アマさんが来てからの予定を立てている。なんだかんだ言いながらでも、今までやりたかったけど我慢していた事がアマさんが来てくれるお陰で出来るようになる事が余程嬉しいらしい。ちょっと給料が高いような気もしないでもないが、家内の喜ぶ姿を見ると、まあ良かったな、と自分でも思った。 つづく By.YT 1 2 3 |
---|